2002年7月29日(月)配信

トヨタチーム CART第10戦バンクーバーでまさかの試練
全4チーム7台が戦線離脱 次戦ミッドオハイオで雪辱戦

予選
惜しくもリタイアに終わった高木虎之介とトヨタ・レイナード
惜しくもリタイアに終わった高木虎之介とトヨタ・レイナード
 CART第10戦は、カナダ西海岸バンクーバーが舞台。トロント、モントリオールに次ぐカナダ第3の都市のダウンタウンから南東に、わずか500メートルのアイスホッケースタジアムに隣接して特設された1周1.781マイル(2.866Km)のストリートコース。昨年、トヨタチームは、ベテランのR.モレノが勝利を収めており、表彰台を逃がした前戦クリーブランドの雪辱戦でもある。
 予選第1日目となった7月26日(金)は、晴れのち曇りと変わりやすい天候で、気温20度と快適な1日。しかし、C.ダ・マッタにとっては、非常に辛い1日となってしまった。プラクティスからメカニカルトラブルに見舞われ、予選もトラブルを抱える不運で、予選初日は16番手に沈んだ。
 つづく27日(土)の予選第2日目は、今にも雨の降り出しそうな曇天。C.ダ・マッタは、予選開始早々にコースインし、タイムアタック。他車の影響を受けることなく全力疾走したC.ダ・マッタは、コースレコードを更新。前日暫定首位となったP.トレーシー(ホンダ)を逆転し、堂々今季5度目、3戦連続のポールポジションを獲得した。さらに、S.ディクソンが予選4番手、C.フィッティパルディが予選7番手と続き、期待の高木虎之介は14番手からのスタートとなった。

決勝
 7月28日(日)曇り空のもと午後1時30分に100周のレースがスタート。しかし、オープニングラップ早々に、予選10番手スタートのK.ブラックがM.アンドレッティ(ホンダ)、J.バッサー(フォード)と接触してリタイア。さらに、9周目には、予選4番手のS.ディクソンは、右フロントサスペンションが突然壊れてスピンを喫しストップ。トヨタチームは、序盤戦から思わぬ苦戦を強いられることとなった。
 予選14番手スタートの高木虎之介は、一時9位まで躍進する鋭い追い上げを見せたものの、35周目の第6ターンでM.アンドレッティと接触、リタイアを余儀なくされ、トヨタ勢には再び暗雲が漂い始めた。
 しかし、前戦で5戦連続優勝は逃がしたものの、予選では好調さを見せ付けたC.ダ・マッタは序盤から快調にトップを疾走。その後、激しくP.トレーシーと首位攻防しつつ、中盤戦へと持ち込んだ。ところが64周目に、チームメイトのC.フィッティパルディと時を同じくしてドライブシャフトを折損して、共にストップ。まさかのリタイアとなってしまった。
 残るB.ジュンケイラにトヨタチームの期待が集まったが、68周目3回目の給油ピットインの際に左前輪ホイールナットが締まらず、ピットレーンでスローダウン。そこに後方から来たP.トレーシーが接触。大事には至らなかったものの、再度のピットイン。タイヤを交換し、9位に順位を落としてレースに復帰したが、90周目、今度はスピンしたA.タグリアーニ(フォード)に接触。無念にも完走はならなかった。
 完走わずか7台というサバイバルレースで、トヨタチームは全車リタイアという雪辱を次戦ミッドオハイオで晴らす。

C.ダ・マッタ(ニューマン・ハース・レーシング)のコメント:
感情の起伏の激しい週末になってしまった.。金曜日が不調だっだだけに、予選でのポールポジション獲得は、喜びもひとしおだった。そして、今日の決勝では、急に駆動が伝わらなくなってしまった。前戦に続く2戦連続リタイアは、とても残念だが、とにかくトラブルは克服しなくてはならない。

高木虎之介(ウォーカー・レーシング)のコメント:
プラクティス、予選と、セッティングがなかなか決まらず、今日もクルマの調子が良くなかった。35周目には、出口の狭いターン6で、M.アンドレッティと接触。不本意ながらリタイアを余儀なくされてしまった。やはり、予選でもうちょっと上位につけておかないと、特にストリートコースはポジションアップが難しい。

TRD-USA社長 J.オーストのコメント:
まさか、このようなレース結果に終わるとは、予想も出来なかった。とても悔しいが、我々にとって重大な課題が残された。この状況を真摯に受け止めて、何としてでも次戦までに対策を講じる。

TRD-USA 林 博美のコメント:
今回はトヨタチーム全車にアクシデントとトラブルが重なり、最悪の結果となってしまった。CART全20戦の中には、うまくいくレースもあれば、このような結果に見舞われることもある。ただ、トラブルさえなければ、引き続き調子は良いので、今日とは、正反対の良い結果も絶対に出るはず。とにかく、気を引き締めて、各チームとともに徹底的に原因を究明し、体制を整えて次戦ミッドオハイオで雪辱を晴らすつもりだ。

リザルト

決勝結果
順位No.ドライバーエンジンシャシーチームLapタイム/差ST
127D.フランキッティホンダローラグリーン10002:16:05.0633
226P.トレーシーホンダローラグリーン1001.2392
310T.カナーンホンダローラモーナン1002.3636
49M.ジョルダイン・Jr.フォードローラレイホール1002.70918
532P.カーペンティアフォードレイナードフォーサイス1003.31916
94B.ジュンケイラトヨタローラチップ・ガナッシ9010 Laps12
126C.ダ・マッタトヨタローラニューマン・ハース6436 Laps1
1311C.フィッティパルディトヨタローラニューマン・ハース6436 Laps7
1420O.セルビアトヨタレイナードパトリック5842 Laps15
155高木虎之介トヨタレイナードウォーカー3466 Laps14
1644S.ディクソントヨタローラチップ・ガナッシ991 Laps4
1812K.ブラックトヨタローラチップ・ガナッシ298 Laps10
Race DATA
ポールポジションC.ダ・マッタ (1:00.339)
ファステストラップC.ダ・マッタ (1:01.633)
最多リードラップP.トレーシー(45周)
気温摂氏20度
天候曇り
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1位C.ダ・マッタトヨタ122
2位D.フランキッティホンダ84
3位B.ジュンケイラトヨタ74
8位K.ブラックトヨタ60
9位C.フィッティパルディトヨタ58
11位S.ディクソントヨタ52
14位高木虎之介トヨタ36
18位T.ベルトヨタ19
19位O.セルビアトヨタ13
マニュファクチャラーズポイント
順位エンジンポイント
1位トヨタ171
2位ホンダ155
3位フォード126