2015年 モータースポーツ活動発表会ムービー

豊田章男社長プレゼンテーション動画(14分28秒)

加藤光久副社長プレゼンテーション動画(7分4秒)

2015年 トヨタ モータースポーツ活動発表会
豊田章男社長プレゼンテーション

皆さん、こんにちは、豊田でございます。
本日は、ご多忙の中、お越しいただき ありがとうございます。

また、日頃より、私どもトヨタのモータースポーツ活動にお力添えをいただき、心より、お礼申し上げます。

昨年1年間も、様々な活動をさせていただきました。
TOYOTA Racingでは、「世界耐久選手権WEC」、「NASCAR」、「スーパーフォーミュラ」等へ参戦。

LEXUS RACINGでは「SUPER GT」へ新型のLEXUS RC Fで参戦いたしました。

GAZOO Racingでは、「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」への挑戦や、「86/BRZレース」をはじめ、クルマを楽しんでいただく様々な取り組みも続けてまいりました。
結果に結びついたレース、悔しい思いをしたレース、いずれもございますが、心をひとつに戦い抜いてくれたドライバーやチームスタッフのみなさん...、 活動をご支援いただいたスポンサーの方々...、
そして、なにより応援してくださったファンの皆さま...、 全ての
皆さまのお力によって、世界中の方々に「クルマの楽しさ」をお届けし、「笑顔」になっていただくことができたと思います。
この場をお借りしまして、感謝申し上げます。
ありがとうございました。

昨年...、『もっといいクルマづくり』と『クルマファンづくり』を
トヨタのモータースポーツの『ぶれない軸』にしていきたい...と申し上げました。

この想いを強くしたキッカケは、私どもの創業者である豊田喜一郎の残した文章にありました。
「オートレースは、単なる興味本位のレースではなく、日本の乗用車製造事業の発達に、必要欠くべからざるものである」 という一節でございます。

「レースなど過酷な環境にさらされた時、クルマも、そしてヒトも本当に鍛えられる...」

ニュルのレースへの挑戦などを通じ、私が実感していた「その想い」が「喜一郎の一節」と合致していることに驚き、
その想いを今一度、オモテに出し、みんなで受け継いでいきたいとの考えに至りました。

世界耐久選手権WEC。
このレースは、「ハイブリッド車」で各社が、その速さや、耐久性を競いあっています。
極限の環境で凌ぎを削り、それぞれのハイブリッド技術が高まって
いく...、 それは、単に、燃費技術や耐久性という面だけではない、
ハイブリッドが、いかに楽しいものになっていけるのか? といった技術にも繋がっていくものだと思います。
モーターが動力に加わることで、これまでとは違った「クルマのワクドキ」が得られる...、 私はそんな可能性を感じています。

レースを戦い抜き、輝かしい喜びを求めると共に、もっといいクルマをつくっていくイノベーションの種を探しながら、WECへの参戦を、今後も続けてまいりたいと思います。

SUPER GT、スーパーフォーミュラも、昨年は、より多くのお客様にサーキットにお越しいただきました。今年は、もっともっと多くのお客様に楽しんでいただけるよう、力を尽くしてまいります。

「米国トヨタによるNASCARへの参戦」、「トヨタ車体による
ダカールラリーへの参戦」も支援を続けてまいります。

NASCARは昨年、チャンピオン獲得まであと一歩でした。
その悔しさを乗り越えていくことを、今年は期待しております。

ダカールラリーは、「チームランドクルーザー」が、昨年に続き、
市販車部門で優勝を果たしてくれました。長く過酷な道のりを、
走り抜いたドライバーとナビ、それを支えたメカニックの皆さんに、
心から敬意を表したいと思います。

私どもトヨタも、昨年、社員がオーストラリア大陸を走破するという
プロジェクトを実施いたしました。
走破したメンバーは、行く先々でランドクルーザーを運転される
お客様から「ランドクルーザーは道を選ばない」、「その安心感が
なければ生活が成り立たない」など、大変ありがたいお言葉をいた
だいたそうです。

ランドクルーザーが、こういう存在になり得ているのも、ダカールラリーに参戦し続け、「命をも賭けて、その性能のありったけを発揮している」からなのだと思います。

「オーストラリア」や、「フィンランド」など、私自身も、昨年、様々な世界の道を走らせていただきました。その中で強く感じ、社内の
皆に伝えたいと頭に浮かんだのが、
「道が人を鍛える...、人がクルマを作る...」という言葉でした。

フィンランドでは、WRCラリーを間近で見せていただきました。
ラリーは、お客様が「日常使う道」を舞台に、「日常使う市販車を
ベースとしたクルマ」で争われます。その道も、舗装路やドロ道、雪道など、あらゆる表情をもっており、人とクルマを鍛え上げる
ためには、最適な舞台だと実感いたしました。

フィンランド滞在中、多くのファンの皆さまから 「トヨタは、いつラリーに戻るんだ?」という声をいただきました。
かつてトヨタがWRCに参戦させていただいていたこと...
そのことが、まだ多くの方々の記憶に残っていることに「驚き」と
「感謝」の気持ちでいっぱいになりました。
そして、この記憶が消えない内に、トヨタは、ここに戻って来なければいけない...、そう強く感じるようになりました。
「もっといいクルマを作るため...」 そして
「多くの方々に、笑顔になっていただくため...」
その想いで、私どもトヨタは、WRC...世界ラリー選手権の「道」に
再び、戻らせていただきたいと思います。

具体的には、2017年からの参戦を計画しております。

1999年以来、実に18年ぶりの参戦です。先ほど、「戻らせて
いただく」と表現いたしましたが、「復帰ではなく、初めての参戦」というのが、現実かもしれません。
イチからチームとクルマを鍛え、参戦に向け、一歩一歩、準備を
進めてまいります。

1980年代に、トヨタのラリーを支えていただいたビョルン・ワルデガルドさんが、昨年亡くなられました。
日本にも、ラリーの素晴らしい文化を、もっと伝えていきたいという私どもの活動にも共感いただき、一昨年の新城ラリーでは、健在
だったその走りを、日本のファンに見せていただきました。
当時、まだ1年しかラリー経験のなかった「駆け出し」の私、モリゾウのことも「イチ ラリースト」として接していただき、色々なお話をお聞かせいただいたことは、忘れることができません。
ここに謹んで哀悼の意を表したいと思います。

もっといいクルマを作る...、その為の人を育てたい...、
GAZOO Racingは、その一心で活動を続けてまいりました。

その活動の中心であるニュルブルクリンク24時間耐久レースへの挑戦も今年で9年目を迎えます。
昨年は、毎年の目標としている過去最高周回数を、2年ぶりに更新
することができました。幸いにも出場した3台全てがクラス優勝という結果もついてまいりました。
限られた時間の中で、1周でも多く、その過酷な道を走り続けたい...、その想いが人を鍛え、クルマも鍛え上げられる...、 昨年は、
その取り組みをニュルの道が受け入れてくれたのだと思います。
今後もGAZOO Racingは、更なる進化を目指し、初心を忘れることなく、ニュルへのチャレンジを続けてまいります。

さらに本年からは、その「人とクルマを鍛える舞台」をラリーの分野にも広げ、人材育成の取り組みを強化してまいります。

私自身、10数年来、運転トレーニングを続け、様々な道、様々な
クルマと対話をさせていただきました。それにより、この体の中に
あるクルマを感じるセンサーのようなものが、研ぎ澄まされていった実感がございます。

私はエンジニアではございません。しかし、そのセンサーを体に宿せたことで、他のエンジニア達と同じ言語で議論し、商品開発の最終責任者...、トヨタ車を世に送り出す最後のフィルターとして、日々、
もっといいクルマを追求できているのだと思います。

昨年、最近のトヨタにはなかったスポーツ四駆に乗せていただく機会に恵まれました。「もっともっと様々なクルマ、様々な道と対話をしなければいけない。」、「そうすることで、今まで出会うことのなかった多くの方々から、もっといいクルマを作る為のヒントをいただける。」、それが、そのクルマに乗せていただいた時の正直な想いでした。

私も、ドライバー「モリゾウ」として、その想いを大切に、これからも「ラリーへの挑戦」「テスト車両での味づくり」もしくは「新たな大陸走破への参画」など、あらゆる道との対話を続け、いいクルマ
づくりのセンサーを更に磨いてまいります。
引き続き、応援いただけると、大変心強く思います。

最後になりますが、残念ながら、今年、ドライバーとして、私どものチームに、ご参画いただけなくなった方々もいらっしゃいます。
皆さま、「もっといいクルマづくり」「クルマファンづくり」のため心ひとつに戦ってきた同志です。

チームは別々になりますが、これからも一緒に「クルマ業界全体」を盛り上げていく仲間であり続けたいと思います。

「お客様に笑顔になっていただきたい」、
そして、「社会のお役に立っていきたい」
私どもトヨタ自動車の想いは、創業の頃から変わっておりません。
その為に我々は「もっといいクルマ」を作り続けてまいります。

「TOYOTA Racing」「LEXUS RACING」「GAZOO Racing」
それぞれの活動を通じて、お客様に笑顔になっていただく...

それぞれの経験を通じて、もっといいクルマをつくるチカラを高めていく...

トヨタのモータースポーツは、その「ど真ん中」にある活動として、ReBORNしてまいります。

これからも、変わらぬご支援とご協力をお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。ありがとうございました。