第12戦で5勝目をあげ、ポイントランキング首位を守った
トヨタ・トムスのP.モンティン
全日本F3選手権第6大会(第11戦、第12戦)が7月6日、7日の両日、三重県・鈴鹿サーキット・東スペシャルコースで開催された。第2大会に続く今季2回目の鈴鹿は東コースをベースにしたスペシャルコースを使用。2000年以来使われているダンロップコーナー先からシケイン手前にショートカットする構成だが、今年は改修されて約37mコースを短縮。ただし、第1コーナー以外の追い越しが難しく、予選結果が決勝レースへの大きなウェイトを占めるこには、変わりない。
天候は不安定で、両日とも降雨が予想されたが、6日(土)は曇りがちながら晴れ間ものぞくドライコンディションで第11戦、第12戦の予選と第11戦の決勝を実施した。今大会にはレギュラー勢13台が出走し、トヨタ3S-GE型エンジン搭載車はこのうち8台。公式予選はコースの短縮によるタイム更新の期待も高まる中、午前11時過ぎに開始。
第11戦の予選セッションでは小暮卓史(無限MF204B)が唯一2秒台に入る1分02秒983を記録、P.モンティン(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)がこれに迫るが僅かに届かず、1分3秒184で2番手グリッドを獲得した。また、1分3秒381のM.ザンガレリ(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)は4番手、片岡龍也(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)は1分3秒942で6番手スタートとなった。
10分間のインターバルを経て行われた第12戦の予選セッションでは佐藤晋也(無限MF204B)が早々に1分3秒064で首位に立ち、これを追うP.モンティンは、自己ベストを縮める1分3秒099を記録するが首位逆転はならず、2番手からのスタートとなった。一方、第11戦時は1分4秒077で8番手にとどまった平中克幸(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)は1分3秒496と大幅にタイムアップ、6番手グリッドを獲得した。
◆第11戦決勝◆
6日(土)午後3時に第11戦の決勝レース24周がスタート。晴天となり気温も30度を超える蒸し暑い中で始まった序盤戦は、抜きどころの極めて少ないショートコースでスタートが注目を集める中、P.モンティンはホイールスピンで出遅れ、3番手の佐藤晋也に並びかけられながら2位で第1コーナーへ。トップを行く小暮卓史をP.モンティンが僅差で追う展開となった。
P.モンティンは、3周目にはファステストラップを記録するなど迫真の走りで小暮卓史に追いすがり、後続を引き離す2台の首位争いは観客を魅了。中盤ショートカットへの進入でハードブレーキからリアをスライドさせ、23周目のシケイン進入でもブレーキングから姿勢を乱す場面があったが、そのたびに果敢なプッシュで差を詰めた。
しかし、首位逆転はならず1.028秒差の2位でフィニッシュ。また、佐藤晋也と激しく3位を争ったM.ザンガレリは4位片岡龍也は7位でチェッカーを受けた。最後まで攻めの首位攻防戦を見せたP.モンティンは表彰台で清清しい笑顔を見せた。
◆第12戦決勝◆
7日(日)は、未明からの小雨で濡れていたコースもフォーミュラ・ニッポンのフリー走行やサポートレースの走行を経て完全ドライに。晴天のもと、午前11時に第12戦の決勝レース33周がスタート。フロントロー2番手グリッドのP.モンティンは、今度は見事なスタートを決め、ポールポジションの佐藤晋也をかわしてトップで第1コーナーに進入。
2位には小暮卓史が続くが、P.モンティンは全力の走りでぐんぐんと後続を引き離す快走。後方では吉本大樹(ナウモータースポーツ/トヨタ・トムス3S-GE)がポジションアップ。平中克幸と激しい6位争いを展開。中盤戦までにP.モンティンは完全な独走状態を確立。その後も快走は続き、小暮卓史に7.358秒差をつけて今季5勝目を挙げた。
第11戦終了時点で一度はドライバーズポイントランキング首位の座を逃したP.モンティンだったが、第12戦の勝利で、見事再逆転。残り4大会8レースを残して、全日本F3選手権のポイント争いは、いよいよ佳境へ入った。
トムスチームのP.モンティンのコメント:
第11戦はスタートを失敗。その後小暮選手を必死で追ったが、抜きどころのないショートコースで逆転はかなわなかった。第12戦ではアンダーステア対策でショックアブソーバーなどのセッティング変更も効を奏し、マシンもパーフェクト。最も大事なスタートを成功させたあと、序盤戦を全力で逃げたら誰もついてこなかった。残り8戦も、チャンピオンタイトルを獲得するためにひたすら優勝を狙って、全力を尽くして戦っていくつもりだ。
ナウモータースポーツチームの吉本大樹のコメント:
第11戦時はアンダーステアに悩まされたため、セッティングを大きく変えたら第12戦ではオーバーステアになってしまった。得意なスタートが決まり、6位には上がったものの、このためにペースが上がらず、平中君を抑え続ける格好となってしまった。残りのレースも全力で表彰台を目指して頑張る。
トムスチーム監督 関谷正徳のコメント:
パオロ(モンティン)はいつも自分の力を出し切っており、第12戦ではハードの良さも揃って勝てたと思う。ただし、合計得点では首位を保ったが、有効得点(80%)が効いて来ると、6勝を挙げている小暮君に対しては厳しくなってくるだろう。一方、平中君、片岡君、横溝君については、今回は予選の悪さが全て。スタートポジションが悪いと本来の速さも生かせない。今季も最後まで厳しい戦いとなりそうだが、全力を尽くす。