2002年8月25日(日)配信

大荒れの全日本F3選手権第15戦で吉本大樹が初表彰台獲得
第16戦ではフロントロースタートの平中克幸が2位表彰台


第16戦で2位入賞を果たした
トムスチームの平中克幸
 全日本F3選手権第8大会(第15戦、第16戦)が8月24日~25日の両日、宮城県仙台市の仙台ハイランドレースウェイで開催された。同大会は人気のワンメイクレース、ネッツカップ・アルテッツァシリーズ第7戦、ヴィッツ東北シリーズ第5戦と共に行われ、F3は今季のレギュラー勢13台、うちトヨタ・トムス3S-GE型エンジン搭載車は8台が出走した。
 第15戦、第16戦の公式予選と第15戦決勝が行われた24日は朝から天候不順で、ヴィッツの予選走行前には一時小雨も落ちたが、路面はまもなく乾き、11時50分からのF3の予選は曇天ながら完全なドライコンディションとなった。
 第15戦の予選セッションではP.モンティン(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)が2番手グリッドを獲得。また、前日午前中の練習走行では横溝直輝(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)が2番手につけるなど、好調で臨んだトムスのルーキー勢は、平中克幸(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)が予選4番手、横溝直輝が予選5番手、片岡龍也(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)も予選7番手につけた。
 続く第16戦の予選セッションでは路面状況が好転して全体にタイムアップする中、平中克幸が2番手に食い込み、横溝直輝も4番手と健闘。P.モンティンはミスが続いて5番手スタートとなった。

◆第15戦決勝◆
 午後2時15分にコースインした第15戦の決勝(17周)は、まずスタートで見事P.モンティンがポールの小暮卓史を抑えて、トップで第1コーナーへ。これに6番手スタートのM.ザンガレリ(INGING/トヨタ・トムス3S-GE)、横溝直輝と続く。
 P.モンティンと小暮卓史の首位争いは熾烈で、3周目の1コーナーでは激しいブレーキング競走から2台が揃ってコースアウトする場面も。しかし,2台は無事コースに復帰するとヘアピンで小暮卓史がP.モンティンをパスするが翌周には再逆転という大接戦で観客を沸かせた。しかし、ハードブレーキングでタイヤにフラットスポットの出来たP.モンティンは徐々にペースが鈍り、6周目のヘアピンで小暮卓史の先行を許してしまった。
 そして、P.モンティンの直後につけたM.ザンガレリはスピンを喫して横溝直輝が3位に浮上。これに佐藤晋也(無限MF204B)をパスして4位に上がった平中克幸が続いた。ところが11周目、ヘアピンの手前でP.モンティンの早めのブレーキングに合わせた横溝直輝に平中克幸が追突。横溝直輝は無念にも7位に後退し、平中克幸はその場でリタイヤとなってしまった。
 その後P.モンティンは8位まで順位を下げる一方、9番手スタートからオーバーステアに苦しみながらも我慢の走行を続けてきた吉本大樹(ナウモータースポーツ/トヨタ・トムス3S-GE)が3位でチェッカーフラッグを受け、見事F3選手権初表彰台を獲得した。片岡龍也も4位に入賞、横溝直輝は6位でチェッカーを受けた。

◆第16戦決勝◆
 続く25日は朝から好天に恵まれ、ヴィッツ、アルテッツァの決勝に続いて午後2時から第16戦の決勝レースが24周で行われた。スタートではポールの小暮卓史がトップを守る一方、5番手グリッドのP.モンティンが絶妙なスタートを切り、第1コーナー手前では2位の平中克幸に並びかける勢いで3位まで浮上。これに佐藤晋也、片岡龍也、M.ザンガレリ、横溝直輝が続いた。
 周回を重ねるにつれて上位3台の間隔は広がる半面、4位争いは片岡龍也が佐藤晋也に詰め寄りテール・ツー・ノーズ状態となるなど接近戦となった。そして、何度か仕掛けようとするが簡単にはパスできないまま20周目を迎え、遂に最終コーナーで2台は接触し、揃ってスピン。M.ザンガレリが4位、横溝直輝が5位でチェッカーを受けた。
 健闘の平中克幸は2度目の2位表彰台を獲得。P.モンティンは3位に入賞。今季のF3選手権も終盤戦を迎え、残り2ラウンド、4戦となったが、P.モンティンのチャンピオン獲得へ向けての奮闘が期待される。

トムスチームのP.モンティンのコメント:
 第15戦では車高を低くセッティングしすぎて、ブレーキングするとバンプラバーに当たってロックしやすく、その結果フラットスポットが出来てしまった。第16戦ではスタートで平中選手に並びかけたが、彼のペースは速く、順位キープの作戦とした。チャンピオン獲得はとても大変だが、残り全戦を勝つつもりでベストを尽くす。

トムスチームの平中克幸のコメント:
 第16戦では2番手グリッドを得たがスタートはあまり上手く行かなかった。その後はオーバーステアに悩まされたが、なんとか自分のペースをキープできた。次回からは確実に表彰台を狙っていく。

ナウモータースポーツチームの吉本大樹のコメント:
 金曜の練習時から土曜日へと路面状況が変わり、 第15戦は厳しいオーバーステア状態での走行となっていた。初表彰台は嬉しいが、生き残った結果とはいえ、上位勢が消えたラッキーな3位なので単純には喜べない。次は自力で表彰台に上がるよう頑張りたい。

トムスチーム監督 関谷正徳のコメント:
 今回は初めて平中君がパオロ(モンティン)と競走して勝った。これは価値がある。マルボロマスターズ遠征や十勝24時間レースなどの経験も生きていると思う。第16戦の片岡君は残念ながら接触で後退してしまったが、あそこは攻めるところと評価したい。また、横溝君もここのところ進捗著しい。彼の向上心、精神的な強さが良い形で出てきているようだ。パオロにとってチャンピオンシップは厳しい状況となりつつあるが、ひたすらベストを尽くすべきだ。課題の一つである人材育成では確かな手応えが出てきている。

リザルト

第15戦
順位No.ドライバーエンジンチームタイム周回予選
1 1 小暮 卓史 ホンダ(無限MF204B) 無限×童夢プロジェクト 29'54.850 17 1
2 64 佐藤 晋也 ホンダ(無限MF204B) NAKAJIMA HONDA 17.693 17 3
3 33 吉本 大樹 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) ナウモータースポーツ 19.677 17 9
4 36 片岡 龍也 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 20.237 17 7
5 2 長屋 宏和 ホンダ(無限MF204B) TODA RACING 20.961 17 11
6 8 横溝 直輝 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 27.022 17 5
7 3 M.ザンガレリ(フランス) トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) INGING 27.812 17 6
8 7 P.モンティン(イタリア) トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 33.23 17 2
9 5 西村 秀樹 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TEAM 5ZIGEN 35.138 17 12
10 18 下山 征人 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) チームイエローハットwithエイムスポーツ 39.237 17 13
第16戦
順位No.ドライバーエンジンチームタイム周回予選
1 1 小暮 卓史 ホンダ(無限MF204B) 無限×童夢プロジェクト 42'12.602 24 1
2 37 平中 克幸 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 15.758 24 2
3 7 P.モンティン(イタリア) トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 20.725 24 5
4 3 M.ザンガレリ(フランス) トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) INGING 34.905 24 7
5 8 横溝 直輝 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 36.578 24 4
6 33 吉本 大樹 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) ナウモータースポーツ 38.451 24 8
7 11 星野 一樹 ホンダ(無限MF204B) 童夢 48.269 24 9
8 12 富澤 勝 ニッサン(ニッサンSR20VE) Three Bond 51.027 24 10
9 36 片岡 龍也 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) TOM'S 53.802 24 6
10 64 佐藤 晋也 ホンダ(無限MF204B) NAKAJIMA HONDA 59.757 24 3
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1 小暮 卓史 無限 244
2 P.モンティン トヨタ・トムス 214
3 M.ザンガレリ トヨタ・トムス 141
5 平中 克幸 トヨタ・トムス 108
6 片岡 龍也 トヨタ・トムス 103
7 横溝 直輝 トヨタ・トムス 83
8 吉本 大樹 トヨタ・トムス 62
12 西村 秀樹 トヨタ・トムス 23
13 中村 裕史 トヨタ・トムス 14
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカー(エンジン名)ポイント
1 ホンダ(無限MF204B) 266
2 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) 261
3 ニッサン(ニッサンSR20VE) 61