2003年3月23日(日)配信

全日本F3選手権開幕。第1戦はトヨタエンジンが表彰台独占
第1戦はトムスのJ.コートニーが大逆転勝利
第2戦はインギングのR.クインタレッリが猛追


全日本F3のデビュー戦を優勝で飾ったJ.コートニー
 全日本F3選手権の第1ラウンド(第1戦、第2戦)が3月22日(土)、23日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで開催された。今季は14台がシリーズエントリーを行い、トヨタ・トムス3S‐GE型エンジンユーザーは、内9台を占める。
 組み合わされるシャシーはダラーラのF303もしくはF302+アップデートキットを大半のユーザーが使用する一方、新たに英国のローラと日本の童夢が共同開発したローラ童夢F106/03シャシーも登場。トヨタエンジンユーザーのナウ・モータースポーツの2台と無限勢の2台が同シャシーを使用する。開幕戦には、吉本大樹(33号車)のみがローラ童夢を使用、今年フォーミュラトヨタからステップアップを果した番場琢(32号車)は、納車が間に合わず、次第以降に変更予定。
 今季のトヨタ・チーム・トムスは、昨年、英国F3選手権シリーズ2位獲得のJ.コートニー(オーストラリア・7号車)、やはり昨年、フォーミュラトヨタチャンピオン獲得の小早川済瑠(8号車)、昨年、フォーミュラトヨタからステップアップし、2年目のF3挑戦となる片岡龍也(36号車)の3台体制。
 22日(土)は天候が不順で、午前11時30分からの公式予選が始まるころに降りだした小雨は、路面を完全なウェット状態とし、全車レインタイヤで出走。滑りやすい路面状況の中でJ.コートニーが速さを見せ、第1戦の予選ではP.モンティン(日産SR20VE)に次ぐ2番手タイムを記録するが、2度のピット出口白線カットによるペナルティでベストラップ及びセカンドベストラップを抹消され、12番手グリッドとなった。しかし、続く第2戦の予選では2番手の柴田裕紀(無限MF204B)に1秒480差をつける圧倒的好タイムでポールポジションを獲得した。

第1戦決勝
 22日(土)に行われた第1戦の決勝は完全なウェットコンディション。ポールポジションのP.モンティンは、不運にもエンジン不調でピットスタートとなり、2番手グリッドの細川慎弥(無限MF204C)もスタートを失敗する波乱の中、5番手から絶妙なスタートを切った横溝直輝(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)がトップで1コーナーへ。僚友R.クインタレッリ(伊・インギング/トヨタ・トムス3S-GE)がこれに続いた。
 この2台が後続を引き離しながら周回を重ねる中、12番手スタートのJ.コートニー(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)が一気に4位まで驚異的な躍進を見せる。さらにプッシュするJ.コートニーは、前を行く佐藤晋也(無限MF204B)、R.クインタレッリをパスすると終盤には首位の横溝直輝を猛追。
 残り2周でテール・ツー・ノーズ状態に持ち込みコースの随所で果敢なアタック。横溝直輝も懸命に耐えたが、最後の最後、ファイナルラップの最終コーナー手前のシケインで、J.コートニーが遂に横溝直輝をパスしてチェッカー。F3らしいスリリングなレースを堪能した観客席の大声援の中、全日本F3選手権のデビューウィンを飾った。
 2位は横溝直輝、3位はR.クインタレッリと、シリーズ開幕戦は、トヨタエンジン搭載車が表彰台を完全独占した。

第2戦決勝
 23日(日)は朝から好天に恵まれ、午前10時過ぎの第2戦スタート時は路面の一部はやや湿っているものの、ドライコンディション。
 ポールポジションから好スタートを決めたJ.コートニーだったが、またもやコースイン時に白線をカット。ピットロードの通過をやむなくされたが、このピットインの際に、ピットレーン通過速度違反を問われて再度ピットスルーペナルティとなり、惜しくも8位へ後退。
 その後は、細川慎弥、柴田裕紀、P.モンティン、R.クインタレッリの順で周回。しかし、首位を逃げていた細川慎弥が残り2周でサスペンショントラブルからコース上にストップ。
 終盤戦は、2位争いのP.モンティンへ詰め寄るR.クインタレッリの猛追がサーキットを沸かせたがわずかに届かず、R.クインタレッリは、P.モンティンに続いてチェッカーフラッグを受け、2戦連続3位表彰台の獲得となった。

トムスチームのJ.コートニーのコメント:
 日本でF3を戦えて嬉しい。第1戦は途中雨の影響かエンジンの電気系が一時不調になったが、終盤持ち直してプッシュ出来た。第2戦は全く自分のミス。気を取り直して次戦も優勝したい。

インギングのR.クインタレッリのコメント:
 F3をフルシーズン走るのは初めてとなるが、その開幕となるラウンドで、2戦連続で3位表彰台に上がれたのは良かった。とはいえ悔しさも残っている。これから優勝目指して頑張りたい。

トムスチームの横溝直輝のコメント:/strong>
 第1戦は中盤まで100%プッシュしたが、終盤リアのタイヤがきつくなってきたところで、初優勝を目の前にしてJ.コートニーにパスされてしまった。すごく悔しい。第2戦も思うように走れず、結果が出せなかった。F3で2年目の今季は言い訳ではなく結果を出さないとダメだと思っている。自分に厳しく頑張りたい。

トヨタ・チーム・トムス監督 関谷正徳のコメント:
 今年も小早川君や番場君など、F3にフォーミュラトヨタからのステップアップ若手ドライバーを迎えた。F3が2年目の選手も今季が正念場と思って頑張って欲しい。まずはJ.コートニーを目標にしてその速さを盗み、早いうちに彼を追い越す技術を身につけること。ルーキーイヤーでの成長ぶりをいかにアピール出来るかは重要なポイントだ。J.コートニーもチャンピオンを目指す中で同じミスを犯してはダメだ。次戦以降に期待したい。

リザルト

第1戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 7 J.コートニー(オーストラリア) TOM'S 12 28'19.855 12 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
2 3 横溝直輝 TOM'S 12 1.487 5 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 12 7.085 3 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 2 佐藤晋也 TODA RACING 12 25.071 6 ホンダ(無限MF204B)
5 12 P.モンティン(イタリア) Three Bond Racing 12 27.966 1 ニッサン(ニッサンSR20VE)
6 11 柴田裕紀 株式会社 無限 12 46.006 4 ホンダ(無限MF204B)
7 8 小早川済瑠 TOM'S 12 53.377 7 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
8 1 細川慎弥 株式会社 無限 12 53.497 2 ホンダ(無限MF204C)
9 32 番場 琢 (株)ナウモータースポーツ 12 1'03.235 11 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
10 19 柴田裕吉 DTM 12 1'30.970 13 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
第2戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 11 柴田裕紀 株式会社 無限 17 33'42.380 2 ホンダ(無限MF204B)
2 12 P.モンティン(イタリア) Three Bond Racing 17 10.831 4 ニッサン(ニッサンSR20VE)
3 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 17 11.55 5 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 8 小早川済瑠 TOM'S 17 41.419 9 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 32 番場 琢 (株)ナウモータースポーツ 17 42.253 11 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
6 19 柴田裕吉 DTM 17 44.05 13 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 3 横溝直輝 INGING 17 44.321 6 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
8 7 J.コートニー(オーストラリア) TOM'S 17 48.22 1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
9 1 細川慎弥 株式会社 無限 15 2Laps 3 ホンダ(無限MF204C)
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1 柴田裕紀 無限 26
2 R.クインタレッリ トヨタ・トムス 24
3 J.コートニー トヨタ・トムス 23
5 横溝 直輝 トヨタ・トムス 19
6 小早川済瑠 トヨタ・トムス 14
7 番場 琢 トヨタ・トムス 10
9 柴田裕吉 トヨタ・トムス 7
マニュファクチャラーポイント
順位メーカー(エンジン名)ポイント
1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) 32
2 ホンダ(無限MF204B/C) 30
3 ニッサン(ニッサンSR20VE) 23