2003年5月19日(月)配信

トムスのJ.コートニーが第3大会の2戦を制し4連勝
第5戦、第6戦とも片岡龍也、R.クインタレッリが続き、
トヨタ・トムスエンジン搭載車が表彰台を独占


前大会から続き圧倒的な早さで4連勝を果たした
J.コートニー
 全日本F3選手権の第3大会(第5戦、第6戦)「TIスーパーF3レース」が5月17日~18日にかけて岡山県のTIサーキット英田で開催された。同大会には13台が出走、うちトヨタ・トムス3S‐GE型エンジン搭載車は9台を占める。また、今大会では若手育成中間フォーミュラとして高い人気を誇るフォーミュラ・トヨタシリーズの開幕戦が併催され、注目を集めた。
 17日の天候は晴れ。まず午前10時30分から15分づつ行われた公式予選では、第5戦のセッションでトムスのJ.コートニーがポールポジションを獲得。今季よりタイヤスペックの変更もあって上位6台がコースレコードを更新する中、今回からチームメイトの小早川済瑠(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)とともに剛性を高めた3S-GE型 エンジンの先行開発仕様を採用した片岡龍也(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)が3番手、横溝直輝(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)が4番手で続いた。
 また、J.コートニーは第6戦のセッションでもさらにタイムを詰め、再びコースレコードを記録する見事な連続ポールポジションで強さをアピール。これに呼応するかのようにトムスの僚友片岡龍也も調子を上げ、僅か0.021秒差、同じくレコードタイムで2番手につけるなど成長ぶりを印象づけた。

予選
 曇天のもと、7日(土)の午前9時30分から15分づつ行われた両戦の公式予選では、前日のフリー走行から好調のP.モンティン(ニッサンSR20VE)がセッションをリード。これをJ.コートニーが追う形で互いにタイムアップを繰り返す激しいアタック合戦が展開された。
 第7戦の予選セッションでは、序盤にP.モンティンの出したタイムにJ.コートニーは僅かに届かず2番手。片岡龍也が3番手で続き、5番手の横溝直輝(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)までがコースレコードを更新した。
 続く第8戦の予選では若干コースコンディションが好転。J.コートニーはセッション開始早々に、先ほど更新されたばかりのコースレコードを上回るタイムでトップに躍り出るが、まもなくP.モンティンが逆転。さらにタイムを上げて詰め寄るJ.コートニーだったが、惜しくも届かず、2戦続けて2番手で決勝レースへと臨むこととなった。また、片岡龍也は逆転をかけてのアタック中に、90度コーナーで僅かにマシンを滑らせタイムロス。コースレコードを更新するタイムながら細川慎弥(無限MF204C)に続く4番手。R.クインタレッリが5番手につけた。

第5戦決勝
17日午後3時23分から18周で行われた第5戦の決勝レースのスタートでは、路面温度の上昇で予想外にグリップする路面にJ.コートニーがクラッチミートをミス。好スタートを切った片岡龍也は1コーナー手前で追いつくが、追い越すラインを取れずパスには至らず。
 後続では多重クラッシュも発生する中、トップを保持したまま周回を開始したJ.コートニーは序盤ハードにプッシュ、片岡龍也をじりじり引き離すと中盤以降は独走体制を築き、見事ポール・トゥ・ウィンを飾った。
 2位には片岡龍也、3位にはチームメイト横溝直輝とのポジション争いを制したR.クインタレッリ(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)、4位に横溝直輝が入り、トヨタ・トムスエンジン勢は1~4位を独占した。

第6戦決勝
 明けて18日はフォーミュラトヨタ開幕戦決勝のあと、午後3時3分に第6戦の決勝レース(25周)がスタート。昨日よりもややスリッパリーな路面状況の中、ポールポジションのJ.コートニーは今回は良いスタートを切り、2番手グリッドの片岡龍也、P.モンティン(スリーボンド/ニッサンSR20VE)がこれに続く。
 J.コートニーは1周目で早くも1.315秒差、さらに2周目には2秒以上の差をつけるハードプッシュで独走体制を築き、最後には8.450秒の大差をつけて4戦連続のポール・トゥ・ウィンを達成した。
 片岡も4戦連続となる2位表彰台を獲得、3番手にはR.クインタレッリが浮上し、トヨタ・トムスエンジン搭載車が2戦連続で表彰台を独占する結果となった。また、5位には横溝直輝との接戦を抑えきった小早川済瑠が入賞した。
 J.コートニーはこれで4連勝を含む今季6戦中5勝目。圧倒的な強さを見せるJ.コートニーに片岡龍也をはじめとする日本人勢が今後どこまで巻き返すかが今後の注目となりそうだ。

エッソ・フォーミュラトヨタ・シリーズ開幕
 若手育成の中間フォーミュラとして幾多の一流ドライバーを輩出してきた、エッソ・フォーミュラトヨタシリーズがF3第3大会のサポートイベントとして開幕した。
 17日の公式予選では元F1ドライバー、中嶋悟氏の長男の中嶋一貴(18歳)がトムススピリットチームから四輪レースデビューを飾り、見事ポールポジションを獲得。チームメイトで16歳の小林可夢偉が2番手で続いた。
 決勝レースでは、中嶋一貴は僅かにクラッチミートを失敗。小林可夢偉がトップを奪うと、この2台が僅差で首位争いを展開。逃げきった小林可夢偉はFT参戦2戦目で嬉しい初優勝、中嶋一貴は2位入賞を果たした。

トムスチームのJ.コートニーのコメント:
 クルマのセッティングも決まり2連勝を果たすことが出来たのは嬉しい。次戦もてぎも、事前テストの感触が良いので、このまま好調を維持し、まだ先は長いがチャンピオン目指して頑張りたい。

トムスチームの片岡龍也のコメント:
 2位という順位は嬉しいが、コートニーという目標に対してはまだまだ負けている。とりわけスタート直後のタイム差は自分の課題だ。そういう意味で満足はしておらず、今後ももっと上を目指し全力を尽くす。

インギングのR.クインタレッリのコメント:
 第5戦では中盤からマイナートラブルが出てペースを上げることが出来なかった。第6戦は好調だったのだが、片岡君を捕らえられず、再び3位に終わってしまった。もてぎでは更に上位を狙う。

トヨタ・チーム・トムス監督 関谷正徳のコメント:
 チームとしては大満足な結果となった。コートニーはF1テストドライバーの経験も生きているのだと思うが、非常に速いし強い。世界のレベルを身近に見せてくれる存在であり、若手育成というテーマに於いては、日本人選手がいかに彼に追いつき追い越すかが重要だ。この点で片岡君は相当レベルが上がっているが、もう少しだ。また、F3一年目の小早川君も第6戦で横溝君を抑えきったことは評価したい。海外のドライバーは、路面のミューが低いサーキットで鍛えられていることが、スタート直後やタイヤが磨耗してきた 時の速さにつながっているのではないか。フォーミュラ・トヨタのドライバーたちも含め、これからも頑張ってほしい。

リザルト

第5戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 7 J.コートニー(オーストラリア) TOM'S 18 26'19.321 1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
2 36 片岡龍也 TOM'S 18 0'07.676 3 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 18 0'16.756 5 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 3 横溝直輝 TOM'S 18 0'18.057 4 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 12 P.モンティン(イタリア) Three Bond Racing 18 0'21.229 2 ニッサン(ニッサンSR20VE)
6 33 吉本大樹 INGING 18 0'31.540 12 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 19 柴田裕吉 DTM 18 0'40.444 10 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
8 18 小川貴広 エイムスポーツ 17 1Lap 11 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
9 2 佐藤晋也 TODA RACING 16 2Laps 8 ホンダ(無限MF204B)
第6戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 7 J.コートニー(オーストラリア) TOM'S 25 36'35.686 1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
2 36 片岡龍也 TOM'S 25 0'08.450 2 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 25 0'24.274 4 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 1 細川慎弥 株式会社 無限 25 0'26.114 6 ホンダ(無限MF204C)
5 8 小早川済瑠 TOM'S 25 0'37.444 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
6 3 横溝直輝 INGING 25 0'38.223 5 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 19 柴田裕吉 DTM 25 0'45.738 10 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
8 2 佐藤晋也 TODA RACING 25 0'47.683 9 ホンダ(無限MF204B)
9 33 吉本大樹 Now Motorsports 25 0'49.171 11 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
10 32 番場 琢 Now Motorsports 25 1'01.160 - トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1 J.コートニー トヨタ・トムス 103
2 R.クインタレッリ トヨタ・トムス 68
3 片岡達也 トヨタ・トムス 60
5 横溝 直輝 トヨタ・トムス 44
8 小早川済瑠 トヨタ・トムス 25
9 柴田裕吉 トヨタ・トムス 22
11 番場 琢 トヨタ・トムス 11
12 吉本 大樹 トヨタ・トムス 8
マニュファクチャラーポイント
順位メーカー(エンジン名)ポイント
1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) 112
2 ホンダ(無限MF204B/C) 62
3 ニッサン(ニッサンSR20VE) 51