2003年7月 6日(日)配信

全日本F3第5大会 今季2度目の鈴鹿戦でトムス勢苦戦
J.コートニーは第9戦不運なトラブルから怒濤の追い上げで5位。
第10戦は2位表彰台獲得


第9戦トラブルでピットスタートながら怒濤の追い上げで
5位入賞を果たしたJ.コートニー
 全日本F3選手権も今季の折り返し戦となり、第5大会(第9戦&第10戦)が7月5日、6日の両日、鈴鹿サーキットで開催された。開幕戦に続いて今季2度目となる鈴鹿の大会は、フォーミュラ・ニッポンと共にサポートレースとして若手育成の中間フォーミュラとして高い人気を誇るエッソ・フォーミュラトヨタ・シリーズ第3戦も行われて賑やかな大会となった。
 F3には、レギュラー勢の13台がエントリーし、うちトヨタ・トムス3S‐GE型エンジン搭載車は9台を占めた。トヨタエンジンユーザー勢は公式予選に先立ち、ドライコンディションで行われた金曜日の練習走行から片岡龍也(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)、J.コートニー(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)が1、2番手を占めるなど、好調ぶりを印象づけた。

予選
 5日(土)の天候は曇り一時雨。午前9時45分から15分づつ行われた公式予選の直前から小雨が降り出し、路面はウェットに。この状況の中、まず第9戦の予選セッションで横溝直輝(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)が序盤に2分17秒308のベストタイムを記録。これをターゲットとして各車がアタックする中、J.コートニーが終盤17秒308で逆転ポールポジションを獲得。
 その後横溝直輝はコースアウトを喫し、縁石でリアのロールバーを損傷してタイムを伸ばせず2番手。トヨタ・トムスエンジン勢がフロントローを独占した。ドライ用セッティングにレインタイヤを履いて出走した片岡龍也は苦戦して6番手、横溝のチームメイト、R.クインタレッリ(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)が7番手で続いた。
 10分のインターバルを挟んで10時10分から行われた第10戦の予選セッションでは雨脚が若干弱まり、J.コートニーは路面状況の好転を狙ってセッティングを若干変更。2周目に17秒306を記録し、さらにタイムアップのチャンスを窺うが、思ったように路面状況は変化せず、終盤P.モンティン(ニッサンSR20VE)の逆転を許して2番手で決勝へ臨むこととなった。

第9戦決勝
 5日午後1時48分から12周で行われた第9戦の決勝レースでは、フォーメーションラップへの出走時にJ.コートニー、横溝直輝が揃ってスタータートラブルに見舞われスタート出来ないというまさかの大波乱。J.コートニーはピットスタートとなり、オフィシャルに押されて発進した横溝直輝はフォーメーションラップの後、最後尾グリッドに着くが、レース後、スタート違反(押し掛け)のペナルティを課された。
 レースは3番手グリッドの細川慎弥(無限MF204C)を先頭にスタート。これにP.モンティン、佐藤晋也(無限MF204B)が続き、片岡龍也が4位に付けた。
 一方、ピットスタートのJ.コートニーは、最後尾から猛然と追撃を見せ、観客を大いに沸かせた。3周目には7位、8周目には5位にまで浮上したJ.コートニーは、片岡龍也の背後につき、10周目のシケイン入り口でオーバーランした片岡龍也の間隙を縫って4位に躍進。しかし、ハードプッシュが響いてタイヤがグリップダウンしたJ.コートニーは11周目のデグナーカーブで姿勢を崩して片岡龍也が再逆転。結局片岡龍也が4位、J.コートニーは5位でチェッカーを受けた。

第10戦決勝
 6日(日)は朝から小雨が降り、フォーミュラトヨタの決勝は完全なウェットコンディションで行われた。しかし間もなく雨は上がり、時折り陽射しも覗いてコースは、ドライコンディションへ。この刻々と変化する路面状況下、午後1時33分に第10戦のスタートが切られた。
 若干長い17周で戦われたレースのスタート時、ホームストレート上のグリッドは、ポールポジションのアウト側はレコードラインのため乾いているが、イン側は濡れている状況。その悪条件下にもかかわらずJ.コートニーは絶妙な好スタート。しかし、ポールのP.モンティンをパスすることはかなわず。2位で序盤戦へ突入。
 懸命にプッシュするJ.コートニーだったが、P.モンティンはミスを犯さずギャップを保ったままチェッカーへと逃げ切り、J.コートニーは2位表彰台を獲得した。
 一方、やはりイン側の8番手からスムーズなスタートを切った片岡龍也は快調な走りを見せ、2周目には6位、11周目には4位に浮上。さらに細川慎弥とのギャップを詰めながら4位でチェッカーを受けた。

トムスチームのJ.コートニーのコメント:
 第9戦は最後尾からたくさん追い越しが出来て面白かったが、総じて残念な週末となってしまった。今日もギャップを縮めようとしたがP.モンティンの仕上がりが良く、逆転には至らなかった。とても悔しかったが、我々のポテンシャルを高めるべく、もう一度チームとも話し合い、全力でシリーズ後半戦に臨みたい。

トムスチームの片岡龍也のコメント:
 金曜の練習走行からドライコンディションでは手応えがあったが、予選で上手くパフォーマンスを発揮出来ず残念。第10戦は路面が乾くのを待って追撃を開始したが、最後はタイヤを使い切ってしまって思い通りにレースを運ぶことが出来なかった。気を取り直して次戦SUGOでは優勝に向けてベストを尽くす。

トヨタ・チーム・トムス監督 関谷正徳のコメント:
 ライバルも力を付けてきており、後半戦に向けては全てを見直したい。片岡君はドライで速さを見せたのにウエットの予選で良いポジションを得られなかった。まずはその原因を見出すことだ。また、小早川君は接触や反則スタートで思うようなレースが出来なかったが、決勝レースで好タイムを記録するなど、能力があることを証明し、進歩の感じられるレースだった。各ドライバーが、さらに磨きをかけてアタックすることを期待している。

リザルト

第9戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 1 細川慎弥 株式会社 無限 12 24'00.483 3 ホンダ(無限MF204C)
2 12 P.モンティン(イタリア) Three Bond Racing 12 6.731 4 ニッサン(ニッサンSR20VE)
3 2 佐藤晋也 TODA RACING 12 7.734 5 ホンダ(無限MF204B)
4 36 片岡龍也 TOM'S 12 10.844 6 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 7 J.コートニー(オーストラリア) TOM'S 12 11.489 1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
6 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 12 12.641 7 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 19 柴田裕吉 DTM 12 25.739 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
8 33 吉本大樹 Now Motorsports 12 27.428 11 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
9 18 小川貴広 エイムスポーツ 12 32.278 13 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
10 11 柴田裕紀 株式会社 無限 12 34.676 9 ホンダ(無限MF204B)
第10戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 12 P.モンティン(イタリア) Three Bond Racing 17 34'10.614 1 ニッサン(ニッサンSR20VE)
2 7 J.コートニー(オーストラリア) TOM'S 17 1.113 2 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 1 細川慎弥 株式会社 無限 17 13.27 3 ホンダ(無限MF204C)
4 36 片岡龍也 TOM'S 17 16.627 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 11 柴田裕紀 株式会社 無限 17 21.863 5 ホンダ(無限MF204B)
6 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 17 22.979 7 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 2 佐藤晋也 TODA RACING 17 29.354 6 ホンダ(無限MF204B)
8 32 番場 琢 Now Motorsports 17 39.987 10 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
9 3 横溝直輝 INGING 17 40.341 4 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
10 18 小川貴広 エイムスポーツ 17 1'03.727 13 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1 J.コートニー トヨタ・トムス 156
2 P.モンティン ニッサン 126
3 片岡達也 トヨタ・トムス 102
4 R.クインタレッリ トヨタ・トムス 94
6 横溝直輝 トヨタ・トムス 60
9 柴田裕吉 トヨタ・トムス 28
10 小早川済瑠 トヨタ・トムス 25
11 吉本大樹 トヨタ・トムス 18
12 番場琢 トヨタ・トムス 15
13 小川貴広 トヨタ・トムス 7
マニュファクチャラーポイント
順位メーカー(エンジン名)ポイント
1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) 167
2 ニッサン(ニッサンSR20VE) 126
3 ホンダ(無限MF204B/C) 116