2003年7月28日(月)配信

全日本F3第6大会 トヨタ・トムス勢2戦連続表彰台独占
悪天候に強いJ.コートニーが圧倒的な強さで2連勝。
第11戦ではルーキー番場が初表彰台獲得


圧倒的な強さで2戦連続優勝を果たしたJ.コートニー
 全10大会で競われる全日本F3選手権も中盤戦に差し掛かり、第6大会(第11戦&第12戦)が7月26日~27日の両日、宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。
 仙台市近郊の丘陵に地形をそのまま利用したSUGOは、コーナーが連続し、最大標高差も70m弱(69.83m)に及ぶアップダウンの激しいテクニカルコース。今季のF3では9月6日~7日にも第15戦/第16戦の開催が予定されており、後半戦の鍵を握るサーキットとなる。
 今大会には14台がエントリーしたが、公式予選に出走したのは全11台と今季最も少ない台数。この中でトヨタ・トムス3S‐GE型エンジン搭載車は8台を占めた。
 予選前日の25日(金)には、練習走行が行われたが、木曜日から続く降雨によりコースのところどころには川のように水が流れ、終日降り続けた霧雨が風に乗って真横から吹きつけるなど厳しい状況。その難しいコンディションの中で、トムスのJ.コートニーは2番手以下を1秒以上引き離す圧倒的なパフォーマンスを発揮し、好調ぶりを印象づけた。

予選
 26日(土)も雨は降り続け、早朝のヴィッツレース公式予選はなんとか行われたものの、路面状況は改善せず、F3の予選は順延されることとなった。
 やや雨脚が弱まった午後3時35分より第11戦の予選のみが行われ、この日行われる予定だった第11戦の決勝レースは翌27日(日)午前中に順延。第12戦の予選は中止され、第11戦の決勝結果でグリッドを決定することとなった。
 雨量は少なくなったとはいえ、至るところに川がある過酷な路面状況。ここでも強さを見せたのはやはりJ.コートニーで、2位以下を1.230秒引き離すトップタイムを記録。見事今季7度目のポールポジションを獲得した。2番手には横溝直輝(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)、3番手にR.クインタレッリ(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)とインギング勢が続き、トムスの片岡龍也(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)も4番手で2列目グリッドを決定した。
 なお、同日宮城県を襲った地震によるサーキットの施設等への影響は見られなかった。

第11戦決勝
 27日(日)は朝方霧雨が残ったものの、間もなく雨は上がり、第11戦決勝は午前8時40分から当初の18周を13周に短縮して行われた。
 路面は乾きかけるものの、一部には依然コース脇から流れ込む水でウエット部分が残り、乾いた部分も土や埃で滑りやすく、非常に難しいコンディション。各車スリックタイヤを履き、ドライのセッティングで臨むが、ただ1台吉本大樹(ナウモータースポーツ/トヨタ・トムス3S-GE)はレインタイヤを選ぶ賭けに出た。
 ポールポジションのJ.コートニーはスタートを失敗。一方、予選3番手のR.クインタレッリが絶妙なスタートでJ.コートニーと予選2番手の横溝直輝をパス。1コーナーにトップで飛び込むパフォーマンスを見せた。
 しかし、J.コートニーは間もなくR.クインタレッリの後方につけ、2周目の1コーナー進入で首位逆転。その後は後続との差を広げて独走体制とし、最後は21秒913もの大差をつけて今季6勝目を挙げた。2位はR.クインタレッリ、3位には最後尾の予選11番手から見事な追い上げを見せた番場琢(ナウモータースポーツ/トヨタ・トムス3S-GE)がF3初表彰台を獲得。トヨタ・トムスエンジン搭載車が表彰台を独占した。
 また、4位には2周目に横溝直輝と1コーナーの進入で接触、スピンを喫しながらもその後迫真の走りで挽回した片岡龍也(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)が入った。

第12戦決勝
 第12戦決勝レースは当初の予定通り午後1時5分より25周で実施。天候は回復しコースは完全に乾いたが、最終コーナーなどには依然川のように水が流れる箇所があり、ドライバーを苦しめた。
 第11戦優勝によりポールポジションからのスタートとなったJ.コートニーは好スタートを切り、2位はR.クインタレッリ、3位には片岡龍也が浮上。この3台が後続を引き離す一方、最後尾からP.モンティン(ニッサンSR20VE)が4位までポジションを上げてきた。
 しかし、P.モンティンは片岡龍也の後方に迫ろうかというところで単独スピン。追従から逃れた片岡龍也は温存していたタイヤグリップを活かして終盤ややペースの落ちた2位のR.クインタレッリを猛追。残り3周は観客を沸かせたが結局パスには至らず、J.コートニーが第11戦、第12戦で2連勝、R.クインタレッリが2位、片岡龍也が3位でチェッカーを受けた。

トムスチームのJ.コートニーのコメント:
難しいコンディションだったが、今週はずっとマシンのセットアップが上手くいっていたので、勝つことが出来た。久しぶりに表彰台の中央に戻れて嬉しい。今季は最後までここに居続けたい。

INGING R.クインタレッリのコメント:
 今日はJ.コートニーの方が速かった。第12戦では中盤から高速コーナーでトラブルが出たため、2位をキープしてチェッカーを目指す作戦に切り替えた。2位表彰台は初めてだが、次は1位を目指す。

ナウモータースポーツ 番場琢のコメント:
 初表彰台は嬉しいが、3位に上がってからクインタレッリ選手を追うのに夢中でペースを乱してしまった自分が悔しい。童夢シャシーも決まってきたが、自分ももっと強くならなければと思う。

トヨタ・チーム・トムス監督 関谷正徳のコメント:
 パオロ(モンティン)との点差を30点拡大する結果となり、J.コートニーは良かったが、片岡君と小早川君には、より闘争精神を持って強くなってほしい。それだけ我々の期待が大きいということでもあり、厳しいようだが、今後もあえてプレッシャーをかけ続けるつもりだ。とにかく彼らには良いレースをしてもらいたい。

リザルト

第11戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 7 J.コートニー(オーストラリア) TOM'S 13 18'23.573 1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
2 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 13 21.913 3 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 32 番場 琢 Now Motorsports 13 22.796 11 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 36 片岡龍也 TOM'S 13 23.976 4 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 19 柴田裕吉 DTM 13 24.585 7 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
6 2 佐藤晋也 TODA RACING 13 30.882 9 ホンダ(無限MF204B)
7 11 柴田裕紀 株式会社 無限 13 31.445 6 ホンダ(無限MF204B)
8 33 吉本大樹 Now Motorsports 13 1Lap 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
第12戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 7 J.コートニー(オーストラリア) TOM'S 25 33'56.982 1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
2 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 25 14.787 2 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 36 片岡龍也 TOM'S 25 14.854 4 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 12 P.モンティン(イタリア) Three Bond Racing 25 18.763 11 ニッサン(ニッサンSR20VE)
5 2 佐藤晋也 TODA RACING 25 34.854 6 ホンダ(無限MF204B)
6 33 吉本大樹 Now Motorsports 25 41.422 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 8 小早川済瑠 TOM'S 25 42.382 9 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
8 3 横溝直輝 INGING 25 1'04.701 10 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1 J.コートニー トヨタ・トムス 196
2 P.モンティン ニッサン 136
3 R.クインタレッリ トヨタ・トムス 124
3 片岡達也 トヨタ・トムス 124
6 横溝直輝 トヨタ・トムス 63
9 柴田裕吉 トヨタ・トムス 36
10 小早川済瑠 トヨタ・トムス 29
11 吉本大樹 トヨタ・トムス 27
11 番場琢 トヨタ・トムス 27
マニュファクチャラーポイント
順位メーカー(エンジン名)ポイント
1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) 207
2 ニッサン(ニッサンSR20VE) 136
3 ホンダ(無限MF204B/C) 130