2003年8月11日(月)配信

全日本F3第7大会 第14戦で片岡龍也がポール・トゥ・ウィン完全勝利
第13戦は勝利を逃すものの第14戦はトヨタ・トムスエンジンが表彰台独占


第14戦でポール・トゥ・ウィンでの勝利を飾った
トムスチームの片岡龍也
 全日本F3選手権の7大会(第13戦/第14戦)「2003筑波チャレンジカップレース第2戦」が8月9日、10日の両日、茨城県の筑波サーキットで行われた。
 同大会はF3の2レースのほか、若手育成中間フォーミュラとして14年の歴史を持つ、フォーミュラトヨタシリーズが、初の試みとして第4戦・第5戦の一大会2戦を開催。また人気のワンメイクレースシリーズ、ネッツカップヴィッツ関東シリーズ第5戦が筑波のフルグリッド30台を大幅に超える68台のエントリーを集めて、予選落ち車両を対象としたコンソレーションレースも2戦行われるなど、夏休みらしく盛りだくさんな内容で来場した観客を楽しませた。

予選
 9日(土)は、台風10号の接近により朝から荒れ模様。午前10時50分から15分づつ行われた公式予選は雨こそ落ちてこなかったものの、強い風が吹く悪コンディションとなった。
 しかし、このセッションで、6日(水)、7日(木)にツインリンクもてぎのJGTC合同テストでGT300のセリカ71号車を初ドライブしたあと筑波入りした片岡龍也(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)は好調を維持。シリーズ随一のツイスティなコースに強めのダウンフォースをつけて臨むと、第13戦の予選で、11周目にトップタイムをマークし、F3では自己初となるポールポジションを獲得した。そして、続く第14戦の予選でもコンディションの変化を待って最終周にトップタイムをたたき出し、2戦連続ポールポジションを獲得。
 一方、現在ポイントランキング首位を守るJ.コートニー(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)は、やや少なめのダウンフォースセッティングを選択したが、初めて走る、やや特殊なコースに馴染めず第13戦、第14戦ともに3番手。
 第14戦では、前戦連続2位入賞のR.クインタレッリ(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)が2番手グリッドにつけた。
 F3の予選は、なんとかドライコンディションで行われたが、その後間もなく大粒の雨が降り出し、風も風速10mを超え、午後に予定されていたフォーミュラトヨタ第4戦の決勝とF3の第13戦の決勝は、翌日10日(日)に順延されることとなった

第13戦決勝
 10日(日)は、台風一過で朝から快晴。強い陽射しが照りつけ、気温は午前中に30度を超え、路面温度も50度近くまで上昇する、夏本番の戦いとなった。 32周から27周に短縮され、午前9時57分にスタートが切られた第13戦の決勝では、ポールポジションからスタートした片岡龍也が痛恨のスタートミス。2番手スタートの山西康司(無限MF204C)の先行を許し、レース序盤のダッシュで逃げ切りを図ろうとする山西康司を激しくプッシュ。
 この片岡龍也の追撃は観客を釘付けにしたが、舞台は抜きどころのほとんどない筑波とあって、惜しくも逆転はかなわず、結局そのままの順位でチェッカー。片岡龍也は「悔しい」2位表彰台となった。
 また、3番手スタートのポイントリーダーJ.コートニーもスタートが思わしくなく、P.モンティン(ニッサンSR20VE)、R.クインタレッリに続く5位でレースを終えた。

第14戦決勝
 第13戦が行われた後、サポートレースをはさんで第14戦は、午後2時57分に45周のレースがスタート。
 今度は「100点満点」という好スタートを切った片岡龍也は、R.クインタレッリを従えて1コーナーに進入。そのまま後続を引き離すと間もなく独走体制を築くが、ギャップが開いてもペースを緩めず、積極的な走りでレースをリード。2位のR.クインタレッリに4.158秒差をつけてチェッカー。
 片岡龍也がF3で自己初のポール・トゥ・フィニッシュの完全勝利をものにした。3位にはJ.コートニーが続き、表彰台を独占したトヨタエンジン搭載車が圧倒的強さをアピールした。

 トムスチームの片岡龍也のコメント::
 ずっと望んでいた自力での優勝が実現できて本当に嬉しい。F3での初勝利は、昨年果たしたが、あのときはラッキーもあった。今日はマシンもエンジンも完璧な仕上がりで、決勝中タイムが落ちたのは細かいミスによるものだ。まだ、どう喜んでいいか分からないが、ドライバーとして、今後のレースへと自信にもつながった。

トムスチームのJ.コートニーのコメント:
 初走行の金曜日にデフの交換などで思うように走れず、セッティングが煮詰められないまま予選に臨むこととなった。決勝では2戦ともハードプッシュしたが、今回は片岡が速かった。チャンピオンシップも残り6戦。ポイントはリードしているが絶対に気を抜かず、なんとしてもタイトル獲得に向けて頑張る。

トヨタ・チーム・トムス監督 関谷正徳のコメント:
 片岡君は今回実力を出し切って優勝を飾ってくれた。筑波は、予選順位の比重が大きいのは事実だが、第13戦のようにスタートのワンミスで勝ちを失う厳しい世界で競い合って勝ったということだ。J.コートニーを倒したことは周りの評価、今後の流れが変わるきっかけにもなるはずだ。一方、小早川君は、トランスミッション系のトラブルもあったようだが、結果を出せず残念だった。ルーキーとしての成長に期待している。

リザルト

第13戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 1 山西康司 童夢レーシングチーム 27 24'20.070 2 ホンダ(無限MF204C)
2 36 片岡龍也 TOM'S 27 2.868 1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 12 P.モンティン(イタリア) Three Bond Racing 27 4.346 4 ニッサン(ニッサンSR20VE)
4 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 27 5.735 5 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 7 J.コートニー(オーストラリア) TOM'S 27 6.95 3 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
6 3 横溝直輝 INGING 27 14.487 7 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 2 佐藤晋也 TODA RACING 27 15.691 8 ホンダ(無限MF204B)
8 8 小早川済瑠 TOM'S 27 17.98 6 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
9 11 柴田裕紀 童夢レーシングチーム 27 18.439 10 ホンダ(無限MF204B)
10 32 番場 琢 Now Motorsports 27 21.966 11 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
第14戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 36 片岡龍也 TOM'S 45 40'30.562 1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
2 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 45 4.158 2 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 7 J.コートニー(オーストラリア) TOM'S 45 5.222 3 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 12 P.モンティン(イタリア) Three Bond Racing 45 6.584 5 ニッサン(ニッサンSR20VE)
5 1 山西康司 童夢レーシングチーム 45 7.464 4 ホンダ(無限MF204C)
6 2 佐藤晋也 TODA RACING 45 22.719 6 ホンダ(無限MF204B)
7 11 柴田裕紀 童夢レーシングチーム 45 23.345 7 ホンダ(無限MF204B)
8 3 横溝直輝 INGING 45 25.06 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
9 33 吉本大樹 Now Motorsports 45 30.686 11 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
10 32 番場 琢 Now Motorsports 45 32.766 10 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1 J.コートニー トヨタ・トムス 216
2 片岡達也 トヨタ・トムス 159
3 P.モンティン ニッサン 158
4 R.クインタレッリ トヨタ・トムス 149
6 横溝直輝 トヨタ・トムス 72
9 柴田裕吉 トヨタ・トムス 36
10 小早川済瑠 トヨタ・トムス 32
11 吉本大樹 トヨタ・トムス 29
11 番場琢 トヨタ・トムス 29
マニュファクチャラーポイント
順位メーカー(エンジン名)ポイント
1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) 242
2 ニッサン(ニッサンSR20VE) 158
2 ホンダ(無限MF204B/C) 158