2003年9月22日(月)配信

全日本F3第9ラウンド トムスのJ.コートニーが2連勝
チャンピオン確定のJ.コートニーは11勝目。第117PPの片岡は2位


第9大会でも2連勝を果たし、シリーズ11勝目を挙げた
トムスチームのJ.コートニー
 今季のF3も残り2イベントを残すのみとなり、全日本F3の第9大会(第17戦、第18戦)が9月20日、21日の両日、山口県のMINEサーキットで開催された。
 同大会には前戦で早くもチャンピオンを確定したJ.コートニー(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)をはじめ12台のF3が出場。このうちトヨタ・トムスエンジン搭載車は8台を占めた。
 この週末は台風15号の影響で19日(金)の練習走行は断続的な降雨でハーフウエットとなったが、予選と決勝はすべてドライコンディションで行われた。また、サポートレースとしてネッツカップ・ヴィッツ西日本シリーズ第5戦も行われた。

予選
 20日(土)の公式予選は午前9時5分から15分間づつ実施された。
 周回によって路面状況が好転し、タイムがじわじわと短縮されていく状況の中、練習走行から好調の波に乗る片岡龍也(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)が序盤からリード。これにR.クインタレッリ(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)、P.モンティン(ニッサンSR20VE)が絡んで次々とトップタイムを更新していく緊迫したセッションとなった。
 しかし8周目に片岡龍也が記録した1分23秒822を以後誰も上回ることはなく、第14戦筑波に続くポールポジションを獲得。2番手は0.089秒差でP.モンティン、3番手のR.クインタレッリが0.117秒差、4番手の横溝直輝(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)が0.129秒差と僅少差で並び、アンダーステアに悩んだJ.コートニーは0.160秒差の5番手スタートとなった。
 続いて9時30分から行われた第18戦の予選ではフロントのセッティングを変更したJ.コートニーが快調に5周目でトップタイムを記録。片岡龍也はこれを追うが、勝負を賭けた最終周にクリアラップを取る事が出来ず、0.028秒差の2番手となった。

第17戦決勝
 雨雲が空を覆う中、午後3時20分にスタートした第17戦決勝(20周)は片岡龍也が好スタート。一方、後方では5番手グリッドのJ.コートニーも絶妙なスタートで3位までポジションを上げて1コーナーへ。さらに2番手のP.モンティンをパスして2周目には2位に浮上する。
 J.コートニーは猛プッシュでじわじわと片岡龍也に迫り、テール・ツー・ノーズの接戦に観客の目は釘付けとなった。抜きどころの限られたMINEのコースでJ.コートニーは片岡龍也のミスを待つ作戦。J.コートニーを必死で抑える片岡龍也だったが、16周目の1コーナーでインを守ろうとして苦しくなり、出口でアウト側にふくらむと、J.コートニーはこれを逃さず片岡龍也をパス。その後はハイペースで逃げ、2位片岡龍也に3.095秒差をつけて見事10勝目を挙げた。
 3位はP.モンティン、P.モンティンと接戦を演じたR.クインタレッリが4位、8番手スタートの吉本大樹(ナウモータースポーツ/トヨタ・トムス3S-GE)が5位で続いた。

第18戦決勝
 21日(日)は朝から快晴となったが、台風の影響で強風が断続的に吹き、走行に影響を与えると共に荒れた路面コンディションでのレースになった。午後1時前にスタートが切られた第18戦(30周)はポールポジションのJ.コートニーがクリアなスタート。
 一方、2番手の片岡龍也は2速にシフトアップしたところでリミッターが誤作動して失速。R.クインタレッリ、P.モンティンの先行を許し、4位で周回を開始した。序盤、ブレーキの調子が思わしくないJ.コートニーのペースが上がらなかったこともあり、この上位4台は接近戦となった。
 しかし、まもなくブレーキの調子が好転したJ.コートニーは後続との差を広げて独走状態に。その後はP.モンティンと片岡龍也の3位争いが注目を集めることとなった。P.モンティンの背後でチャンスを待つ片岡龍也は26周目のテール・ツー・ノーズ状態からP.モンティンの背後にぴったりつくが、1コーナー先でフロントウイングがリアタイヤに軽く接触。これでコースオフを喫し、ポジションはキープしたもののP.モンティンとの差は拡大。結局、このままの順位でチェッカーを受けた。
 これでJ.コートニーは3連勝で11勝目を獲得。ダブルエントリーで出場したフォーミュラ・ニッポンでも7位完走を果たした。

トムスチームのJ.コートニーのコメント:
 今回はF3とフォーミュラ・ニッポンのダブルエントリーだったため忙しく、今どちらに乗っているのか混乱したこともあった。第17戦では先行する片岡選手のミスを待ち、若干ラインが膨らんだところでパスすることが出来た。第18戦はスタートを上手く決められたものの序盤はブレーキのタッチが安定せず、プッシュできなかったが、数周したら直ったので、その後はペースを上げられた。残り2戦もこの調子で走りきりたい。

トムスチーム 片岡龍也のコメント:
 今週は予選までは良かったが、決勝は2戦とも悔しいレースとなってしまった。ギリギリでの接戦についてもっと勉強する必要がある。GTやスーパー耐久など、他カテゴリーにも出場することでF3でも速く走れるようになり、いわゆる「乗れている」状態になってきた。この調子を保ちながら実力を高めたい。

トヨタ・チーム・トムス監督 関谷正徳のコメント:
 予選一発の速さは出てきたが、決勝レースでの競り合いに弱いのは日本人ドライバー共通の課題だ。ギリギリの状態でのマシンコントロールや読みなど、抜いたり抜かれたりの経験が不足しているのが原因だと思う。若手育成というテーマの中で、そうした環境作りも課題の一つと考えている。今回、予選では良いパフォーマンスを見せてくれたが、次の最終戦では今季の総決算として良いレースを見せてほしい。

リザルト

第17戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 7 J.コートニー(オーストラリア) TOM'S 20 28'26.079 5 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
2 36 片岡龍也 TOM'S 20 3.095 1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 12 P.モンティン(イタリア) Three Bond Racing 20 5.241 2 ニッサン(ニッサンSR20VE)
4 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 20 14.663 3 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 33 吉本大樹 Now Motorsports 20 27.135 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
6 2 佐藤晋也 TODA RACING 20 28.812 9 ホンダ(無限MF204B)
7 8 小早川済瑠 TOM'S 20 30.446 7 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
8 3 横溝直輝 INGING 20 42.996 4 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
9 19 柴田裕吉 DTM 20 47.139 12 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
10 10 R.オースティン(イギリス) 童夢レーシングチーム 20 58.744 11 ホンダ(無限MF204B)
第18戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 7 J.コートニー(オーストラリア) TOM'S 30 42'41.786 1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
2 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 30 14.575 3 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 12 P.モンティン(イタリア) Three Bond Racing 30 18.042 4 ニッサン(ニッサンSR20VE)
4 36 片岡龍也 TOM'S 30 25.403 2 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 10 R.オースティン(イギリス) 童夢レーシングチーム 30 29.396 8 ホンダ(無限MF204B)
6 3 横溝直輝 INGING 30 29.692 5 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 33 吉本大樹 Now Motorsports 30 43.458 10 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
8 2 佐藤晋也 TODA RACING 30 46.133 9 ホンダ(無限MF204B)
9 8 小早川済瑠 TOM'S 30 46.444 7 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
10 19 柴田裕吉 DTM 30 58.882 11 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1 J.コートニー トヨタ・トムス 285
2 片岡達也 トヨタ・トムス 207
3 P.モンティン ニッサン 197
4 R.クインタレッリ トヨタ・トムス 196
5 横溝直輝 トヨタ・トムス 93
9 小早川済瑠 トヨタ・トムス 50
9 柴田裕吉 トヨタ・トムス 50
11 吉本大樹 トヨタ・トムス 44
12 番場琢 トヨタ・トムス 39
マニュファクチャラーポイント
順位メーカー(エンジン名)ポイント
1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) 300
2 ニッサン(ニッサンSR20VE) 197
3 ホンダ(無限MF204B/C) 174