全日本F3開幕。ルーキー中嶋一貴がデビュー戦完全制覇
2連続ポール・トゥ・ウィン!! トヨタ・トムス勢が2戦とも表彰台独占
フォーミュラ・トヨタチャンピオンとして全日本F3に参戦し
デビュー戦をポール・トゥ・ウィンで制したトムスチームの中嶋一貴
2004年全日本フォーミュラ3選手権の第1大会が3月27日(土)、28日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで開催された。若手ドライバー育成カテゴリーとして重要なポジションを占めるF3は今季も10大会20戦が予定されている。
開幕戦の鈴鹿大会には14台がエントリーし、このうちトヨタ・トムス3S‐GE型エンジン搭載車は10台と大勢を占めた。
◆予選◆
27日(土)は朝から晴天。ドライコンディションのもとで午前10時35分から15分間行われた第1戦の公式予選は序盤から積極的なタイム更新合戦となり、路面状況の変化とともにタイムが縮められていく中、残り3分で中嶋一貴(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)がコースレコードとなる1分55秒389を記録。終盤にタイムアップしたJ.P.デ・オリベイラ(M-TEC MF204C)が千分の一秒台まで同じタイムを記録したが、規定により先にタイムを出した中嶋一貴がポールポジションを獲得した。
予選3番手には横溝直輝(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)が入り、今季欧州F3から全日本F3に復帰した山本左近(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)が4番手、番場琢(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)が5番手とトムス勢が続いた。
10分間のインターバルをおいて行われた第2戦の予選セッションでは各車序盤から55秒台に突入。再び激しいタイムアップ合戦の中で中嶋一貴が3周目に唯一54秒台に入る1分54秒790を記録し、見事連続PPを獲得。
第1戦の予選セッションではセッティングの変更が裏目に出て8番手だったR.アンティヌッチ(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)も4番手に食い込んで気を吐いた。
その後、中嶋一貴は終了間際に再度アタックを敢行したがデグナーでスピンし、コースアウト。テールからスポンジバリアに接触したが、マシンのダメージは最小限で、その後の決勝にも影響はなかった。
◆第1戦決勝◆
27日(土)午後4時28分から12周で行われた第1戦の決勝レースは、ポールの中嶋一貴が絶妙なスタートを決めトップで第1コーナーへ。2番手グリッドスタートのJ.P.デ・オリベイラがスタートを失敗した間隙を突いて番場琢が2位、横溝直輝が3位で続いた。
2周目の第1コーナーでは山本左近が横溝直輝をパスして3位に上がるとともに、ファステストラップを記録してプッシュするが首位争いに加わるにはいたらず。中嶋一貴は後続を引き離して首位を堅持。
最後は2位に4.585秒差をつけて見事なF3デビュー戦をポール・トゥ・ウィンで飾った。2位は番場琢、3位は山本左近が続いてトムス勢が表彰台を独占、横溝直輝が4位でフィニッシュ。トヨタ・トムスエンジンは1~4位を独占した。
◆第2戦決勝◆
27日(日)も朝から好天に恵まれ、第2戦の決勝レースが予定通り午前9時54分から17周で行われた。ポールポジションの中嶋一貴は再び好スタート。予選2番手のJ.P.デ・オリベイラが僅かにスタートを失敗した隙を逃さず、横溝直輝が先行。
3周目にはJ.P.デ・オリベイラのミスを突いてR.アンチヌッチが3位、番場琢が4位に浮上。その後、激しく追い上げたR.アンチヌッチが8周目の第1コーナーで横溝直輝をパス、続いて番場琢もシケインで横溝直輝をパスして再びトムス勢が1~3位独走態勢。
その後も、首位を逃げる中嶋一貴は、J.P.デ・オリベイラと同タイムのファステストラップを記録するなどして快走を続け、2位に5.270秒差をつけて2戦連続の
ポール・トゥ・ウィン。昨年のフォーミュラ・トヨタチャンピオンで今季からF3にステップアップしたルーキーの中嶋一貴がデビュー戦を完全制覇した。
今季第2大会は4月10日、11日の両日、筑波サーキットで開催される。
トムスチーム 中嶋一貴のコメント:
第1戦ではデビューレースなのでプレッシャーもあったが、課題のスタートを決めることが出来て気持ちが楽になった。展開にも恵まれて出来過ぎの感もあるが、2連勝を果せたことは、今までのレースの中でも一番うれしい。次戦以降も、気が抜けない戦いが続くと思うが、シリーズ全戦を悔いの残らぬように全力で挑む。
トムスチーム R.アンティヌッチのコメント:
第1戦はスタートを失敗してしまい、がっかり。第2戦は無難にスタートを切ることが出来、コンスタントにポジションを上げた。しかし、日本のF3は昨年まで戦って来た英国と比べるとタイヤ、コース、スケジュールなど異なることも多い。まだシリーズも始まったばかり。残り18戦でチャンピオンシップを狙っていく。
トムスチーム 番場 琢のコメント:
第1戦では得意のスタートを決められたが、第2戦では失敗してしまった。今年はF3に上がって2年目で勝負の年。2戦連続で表彰台には上がれたが、まだまだこれから。次戦では、もっと上位を目指したい。
トヨタ・チーム・トムス監督 関谷正徳のコメント:
中嶋一貴は、ほぼ完璧だった。プレッシャーもあったと思うが周りに惑わされない精神的な強さを感じる。表彰台に上がった番場琢、R.アンティヌッチ、山本左近の3人も決して悪くない。今シーズンのF3選手権では、新たにルーキーも加え、若手がポイントを取り合う混戦模様になれば良いと考えている。
リザルト
第1戦 | ||||||||
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順位 | No. | ドライバー | チーム | 周回 | タイム/差 | 予選 | エンジン | |
1 | 8 | 中嶋一貴 | TOM'S | 12 | 23'20.562 | 1 | トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) | |
2 | 36 | 番場 琢 | TOM'S | 12 | 4.585 | 5 | トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) | |
3 | 7 | 山本左近 | TOM'S | 12 | 5.914 | 4 | トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) | |
4 | 3 | 横溝直輝 | INGING | 12 | 12.043 | 3 | トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) | |
5 | 12 | F.カルボーン(ブラジル) | Three Bond Racing | 12 | 12.547 | 7 | ニッサン(ニッサンSR20VE) | |
6 | 10 | J.P.デ・オリベイラ(ブラジル) | M-TEC | 12 | 13.282 | 2 | ホンダ(M-TEC MF204C) | |
7 | 1 | R.アンティヌッチ(アメリカ) | TOM'S | 12 | 14.77 | 8 | トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) | |
8 | 2 | 武藤英紀 | TODA RACING | 12 | 20.832 | 6 | ホンダ(M-TEC MF204C) | |
9 | 4 | R.クインタレッリ(イタリア) | INGING | 12 | 23.399 | 9 | トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) | |
10 | 33 | 池田大祐 | Now Motorsports | 12 | 24.089 | 10 | トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) | |
第2戦 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | No. | ドライバー | チーム | 周回 | タイム/差 | 予選 | エンジン | |
1 | 8 | 中嶋一貴 | TOM'S | 17 | 33'23.992 | 1 | トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) | |
2 | 1 | R.アンティヌッチ(アメリカ) | TOM'S | 17 | 5.27 | 4 | トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) | |
3 | 36 | 番場 琢 | TOM'S | 17 | 10.746 | 5 | トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) | |
4 | 12 | F.カルボーン(ブラジル) | Three Bond Racing | 17 | 12.233 | 8 | ニッサン(ニッサンSR20VE) | |
5 | 3 | 横溝直輝 | INGING | 17 | 17.102 | 3 | トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) | |
6 | 4 | R.クインタレッリ(イタリア) | INGING | 17 | 17.873 | 7 | トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) | |
7 | 2 | 武藤英紀 | TODA RACING | 17 | 19.688 | 9 | ホンダ(M-TEC MF204C) | |
8 | 14 | 柳田真孝 | Three Bond Racing | 17 | 29.373 | 11 | ニッサン(ニッサンSR20VE) | |
9 | 19 | 柴田裕吉 | DTM | 17 | 35.979 | 13 | トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) | |
10 | 7 | 山本左近 | TOM'S | 17 | 36.633 | 6 | トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE) | |
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