2004年10月25日(月)配信

全日本F3最終戦 山本左近がポール・トゥ・ウィンで初優勝! 第19戦は山本左近が2位。 トヨタ・ドライバーズ・アカデミーから凱旋の平中克幸は3位


全日本F3初優勝をポール・トゥ・ウィンで決めた山本左近
 全日本F3選手権の第10大会(最終戦・第19戦、第20戦)が10月23日(土)、24日(日)の両日、栃木県のツインリンクもてぎロードコースで行われた。同大会にはシリーズ参戦の14台に加え2台がスポット参戦。このうちトムス・トヨタ3S‐GE型エンジン搭載車は11台を占めた。
 今季2回目のF3開催となる同サーキットは清々しい気候に恵まれた。21日(木)に行われた公式練習では午前、午後共に山本左近(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)がトップタイムを記録。
 また、父親危篤のため急遽イタリアへ戻ったR.アンティヌッチ(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)の代役として、若手ドライバー育成プログラム(TDA)から今季ユーロF3に参戦していた平中克幸が抜擢され、2年振りにトムスチームから出場することとなった。

◆予選◆
 23日は朝から好天に恵まれたが、気温は18度と肌寒くシーズン終盤を感じさせる。人気のワンメイクレース、ネッツカップ・ヴィッツ関東シリーズ第6戦の予選に続いてF3の公式予選が午前9時5分から15分づつ行われた。
 第19戦の予選では前戦で今季のチャンピオンを確定しているR.クインタレッリ(INGING/トヨタ・トムス3S‐GE)が3番手に食い込む一方、路面状況変化でオーバーステアに悩んだ山本左近は4番手、ユーロF3と異なるタイヤでのアタックにタイミングを掴み切れなかった平中克幸(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)が5番手、中嶋一貴(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)が6番手を獲得した。
 続く第20戦の予選では路面状況も好転して各車続々とタイムアップ。6番手までがコースレコードを更新する中、残り2分でトップに立った山本左近がF3自己初のポールポジションを獲得。横溝直輝(INGING/トヨタ・トムス3S‐GE)が3番手、R.クインタレッリが4番手、中嶋一貴が5番手につけた。

◆第19戦決勝◆
 午後1時10分より行われた第19戦の決勝レースは、ポールポジションのJ.P.デ・オリベイラ(M-TEC MF204C)がスタートからトップで逃げる一方、予選3番手のR.クインタレッリは序盤からブレーキトラブルに見舞われてペースが伸びず、5周目にはコースアウトを喫してストップ。さらに予選2番手の武藤英紀(M-TEC MF204C)も6周でリタイアしたため、予選4番手スタートの山本左近が2位、予選5番手スタートの平中克幸が3位へ浮上した。
 好調な山本左近はファステストラップを記録しながら猛追。J.P.デ・オリベイラとの間隙を詰めて観客を釘付けにするが、14周のスプリントだけに惜しくも届かず2位でチェッカー。久しぶりに日本のF3を戦った平中克幸も3位で表彰台に上がった。さらに予選9番手から健闘した番場琢(INGING/トヨタ・トムス3S‐GE)が4位。横溝直輝が5位に入賞した。

◆第20戦決勝◆
 24日(日)は朝から晴天。エッソ・フォーミュラトヨタシリーズ第8戦の決勝に続いてF3第20戦の決勝レースが午前11時より20周で行われた。
 ポールポジションの山本左近はややスタートを失敗するが、2番手のJ.P.デ・オリベイラも出遅れ、山本左近が首位のポジションを守って1コーナーへ。その直後、3コーナーへの進入でJ.P.デ・オリベイラが山本左近に追突し、J.P.デ・オリベイラはノーズにダメージを受けてピットイン。
 これで首位の山本左近、横溝直輝、R.クインタレッリ、中嶋一貴が上位を独占。追突のダメージもなく快走する山本左近はさらに後続を引き離し、独走体制へと持ち込んだ。その一方で、R.クインタレッリと中嶋一貴の激しい3位争いも観客の注目を集めたが逆転はならずそのままチェッカー。
 13.856秒の大量リードを築いた山本左近がF3参戦4年目で初優勝を獲得し、横溝直輝、R.クインタレッリが続いてトヨタエンジン勢が最終戦の表彰台を独占。
 一方、凱旋初レースとなった前日の第19戦で3位に入賞し、活躍が期待された平中克幸は、スタートで痛恨の出遅れ。他車との接触もあり9位に終わった。
 なお、11月23日(火)に行われるF3マカオGPにはトムスチームから中嶋一貴とR.アンティヌッチ、INGINGから横溝直輝とR.クインタレッリ、プレマ・パワーから平中克幸が出場する予定。

トヨタ・チームトムス 山本左近のコメント:
 完璧な形で初優勝を果たせて本当に嬉しい。金曜日からセッティングが決まり、第20戦ではスタートさえ決めれば勝てる自信があった。レース中は最後まで気を抜かずにプッシュし続け、ファステストラップも記録することが出来た。泣かないつもりだったが、マシンを降りた後、2001年から共に苦労してやってきたチームスタッフの顔を見たら涙が出てしまった。8月に十勝24時間レースにFTRSチームとして初出場したのをきっかけにクルマの細かい動きが分かるようになり、レベルアップ出来たと思う。4年目の今年は価値あるシーズンとなった。

トヨタ・チームトムス 平中克幸のコメント:
 木曜日に帰国して時差ぼけで予選前夜は眠れず、ユーロF3と日本のF3とのタイヤの違いから、予選ではタイヤのパフォーマンスを上手く引き出せなかった。第19戦の3位は内容的には満足していないが、帰国してすぐのレースで表彰台に上がれたことは正直嬉しかった。第20戦はスタートで失敗。トムスのマシンの仕上がりは素晴らしく、乗っていて楽しいほど。結果はともあれ、自分の力を確認できたことはマカオGPに向けて大きな収穫となった。マカオGPは02年4位、03年3位。3回目となる今年は何としても優勝出来るよう全力を尽くす。

トヨタ・チーム・トムス監督 関谷正徳のコメント:
 山本君は効率良くミスなく走るドライビングを見つけられたようだ。中嶋君も番場君も可能性を見せてくれ、成長も果たしたと思う。横溝君も初優勝など、今季は結果も出してくれた。ともあれ、我々は環境を用意するところまでで、そこからは自分の力。人を育てる難しさも痛感したが、今後も若手育成を頑張りたい。

リザルト

第19戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 10 J.P.デ・オリベイラ(ブラジル) M-TEC 14 25'15.209 1 ホンダ(M-TEC MF204C)
2 7 山本左近 TOM'S 14 1.529 4 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 1 平中克幸 TOM'S 14 5.359 5 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 36 番場 琢 TOM'S 14 10.916 9 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 3 横溝直輝 INGING 14 14.386 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
6 11 D.ワッツ(イギリス) M-TEC 14 15.073 10 ホンダ(M-TEC MF204C)
7 12 F.カルボーン(ブラジル) Three Bond Racing 14 15.582 7 ニッサン(ニッサンSR20VE)
8 14 柳田真孝 Three Bond Racing 14 16.957 11 ニッサン(ニッサンSR20VE)
9 8 中嶋一貴 TOM'S 14 18.41 6 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
10 19 柴田裕吉 DTM 14 23.846 12 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
第20戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 7 山本左近 TOM'S 20 35'58.910 1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
2 3 横溝直輝 INGING 20 13.856 3 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 20 14.576 4 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 8 中嶋一貴 TOM'S 20 15.258 5 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 2 武藤英紀 ZAP SPEED 20 20.087 6 ホンダ(M-TEC MF204C)
6 11 D.ワッツ(イギリス) M-TEC 20 20.466 7 ホンダ(M-TEC MF204C)
7 36 番場 琢 TOM'S 20 20.958 10 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
8 12 F.カルボーン(ブラジル) Three Bond Racing 20 21.658 9 ニッサン(ニッサンSR20VE)
9 1 平中克幸 TOM'S 20 22.199 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
10 14 柳田真孝 Three Bond Racing 20 29.225 11 ニッサン(ニッサンSR20VE)
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1 R.クインタレッリ トヨタ・トムス 251
2 J.P.デ・オリベイラ M-TEC 211
3 横溝直輝 トヨタ・トムス 177
4 R.アンティヌッチ トヨタ・トムス 161
5 中嶋一貴 トヨタ・トムス 138
6 番場 琢 トヨタ・トムス 133
7 山本左近 トヨタ・トムス 131
※ポイントはシリーズ全戦の80%が有効