2004年4月11日(日)配信

全日本F3第2大会 トヨタエンジン搭載車が2戦を制し4連勝
第3戦はR.アンティヌッチ、第4戦はR.クインタレッリが初優勝。 番場琢は4連続表彰台


第3戦で初優勝、第4戦でも2位に入り、ポイントランキングで
首位に浮上したトムスチームのR.アンティヌッチ
 全日本F3選手権の第2大会(第3戦・第4戦)が4月10日(土)、11日(日)の両日、茨城県の筑波サーキットで開催された。同大会には第1大会と同じ14台がエントリー。このうちトヨタエンジン搭載車は、10台を占めた。
 1周2.045kmとコンパクトでコース幅も狭い筑波は、決勝中の追い越しが難しいコースのひとつで、スターティンググリッド順が非常に重要な意味を持つ。このため前日9日(金)の練習走行から各チームは予選用のセットアップを入念に調整し、R.アンティヌッチ(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)が2番手タイムを記録。前回大会では、F3デビュー戦ながら2戦連続ポール・トゥ・ウィンで飾った中嶋一貴(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)も4番手と順調な仕上がりを見せた。

◆予選◆
 10日(土)は好天に恵まれ、気温も20度を超える春らしい日和のもと、定刻の12時から15分間づつ行われた公式予選では、クリアラップを見定めながら、各車序盤から積極的にタイムアタックを展開。
 第3戦の予選では、R.アンティヌッチが終了間際にトップタイムを記録するが、直後に逆転され2番手となった。練習走行から好調なR.クインタレッリ(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)は3番手、F3ルーキーの池田大祐(ナウモータースポーツ/トヨタ・トムス3S-GE)が4番手で続き、番場琢(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)が5番手、中嶋一貴は7番手にとどまった。
 続く第4戦の予選では、さらにタイムが短縮される中、5周目にクリアラップを決めたR.クインタレッリがポールポジションを獲得。R.アンティヌッチは僅差の3番手、横溝直輝(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)が4番手に付けて決勝を迎えた。

◆第3戦決勝◆
 10日(土)予選の後、若手育成カテゴリーとして人気のエッソ・フォーミュラトヨタ開幕戦に続いて午後3時28分から32周で行われた第3戦決勝レースでは、ポールポジションのJ.P.デ・オリベイラ(M-TEC MF204C)が僅かに出遅れるのを尻目にR.アンティヌッチが絶妙なスタートを切りトップで第1コーナーへ。これにR.クインタレッリが続き、5番手スタートの番場もJ.P.デ・オリベイラに続く4位にポジションを上げて周回を開始した。
 R.アンティヌッチがハイペースで逃げる一方、3周目の最終コーナー立ち上がりでR.クインタレッリは痛恨のスピン。これでJ.P.デ・オリベイラが2位、番場琢が3位へとそれぞれ順位を上げた。
 その後もR.アンティヌッチは、J.P.デ・オリベイラを抑え切ってチェッカー。3戦目で見事シリーズ初優勝を果たした。番場琢も日本人最上位となる3位入賞を獲得した。

◆第4戦決勝◆
 11日(日)は、曇りがちの天候のもと、午前中からネッツカップ・ヴィッツ関東シリーズ第2戦やエッソ・フォーミュラトヨタ第2戦などの決勝レースが盛況に行われ、午後3時2分にメインレースとしてF3第4戦が45周の決勝レースでスタートが切られた。
 スタートではポールポジションのR.クインタレッリがスムーズにリードする一方、 再び出遅れたJ.P.デ・オリベイラをパスしてR.アンティヌッチが2位、5番手グリッドから絶妙なスタートを切った番場琢が3位で周回を開始した。
 R.クインタレッリは序盤2位以下との差を開くものの、中盤までにR.アンティヌッチ等が追いつき接近戦に。しかし、抜きどころのきわめて少ない筑波のコースで逆転はならずチェッカーを受けた。
 R.クインタレッリが全日本F3初優勝。トヨタ・トムス3S‐GEエンジンは開幕4連勝を果たす結果となった。また、2位入賞のR.アンティヌッチはシリーズポイント首位に浮上。3位の番場琢は、開幕4連続表彰台を獲得し、シリーズポイントでも2位に付けた。
 また、8番手スタートの中嶋一貴はスタートで出遅れ、序盤に11位まで後退したが、その後、追撃を見せ、9位でフィニッシュした。

トムスチーム R.アンティヌッチのコメント:
 第4戦は、タイトで追い越しリスクの高いコースで逆転は出来なかったが、第3戦の優勝と併せて速さを証明できて良かった。私が日本に来たのはタイトルを獲るためなので、今後も全力を尽くす。

インギング R.クインタレッリのコメント:
 第4戦で初勝利をおさめることが出来て嬉しい。第3戦では自分のミスから結果を出せず残念だったが、セッティングも上手く行き、力がついてきたように感じている。次のTIが今から楽しみだ。

トムスチーム 番場 琢のコメント:
 金曜日のフリー走行終盤にコースアウトを喫してしまったのだが、それが予選での仕上がりに影響してしまい、5番手グリッドという不本意な予選結果になってしまった。そのポジションから連続で3位入賞を得られたのは結果的には悪くないが、自分としては、次戦こそ是非とも1位を獲得するべく、ベストを尽くす

トヨタ・チーム・トムス監督 関谷正徳のコメント:
 R.アンティヌッチは良かった。我々の狙い通りチャンピオンを目指す強さのあるドライバーだと思う。また、番場琢の成長ぶりは目覚しいものがある。これまでの彼のイメージを新たにするような走りをしてくれた。一方、山本左近も良いところに来たが、もう一皮剥ければというところ。そして中嶋一貴は金曜日の仕上がりから予選結果が芳しくなかったことが敗因となった。決勝では良い走りを見せてくれたが、やはりこのコースは予選結果とスタートの占める比率が大きいということだ。各ドライバーの進捗は著しく今後も注目して欲しい。

リザルト

第3戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 1 R.アンティヌッチ(アメリカ) TOM'S 32 28'07.014 2 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
2 10 J.P.デ・オリベイラ(ブラジル) M-TEC 32 0.622 1 ホンダ(M-TEC MF204C)
3 36 番場 琢 TOM'S 32 7.553 5 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 33 池田大祐 Now Motorsports 32 9.741 4 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 7 山本左近 TOM'S 32 13.114 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
6 3 横溝直輝 INGING 32 13.621 6 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 8 中嶋一貴 TOM'S 32 14.275 7 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
8 2 武藤英紀 TODA RACING 32 17.233 9 ホンダ(M-TEC MF204C)
9 12 F.カルボーン(ブラジル) Three Bond Racing 32 17.886 - ニッサン(ニッサンSR20VE)
10 19 柴田裕吉 DTM 32 32.372 11 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
第4戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 45 39'33.055 1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
2 1 R.アンティヌッチ(アメリカ) TOM'S 45 0.352 3 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 36 番場 琢 TOM'S 45 1.806 5 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 3 横溝直輝 INGING 45 6.381 4 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 10 J.P.デ・オリベイラ(ブラジル) M-TEC 45 5.923 2 ホンダ(M-TEC MF204C)
6 7 山本左近 TOM'S 45 6.852 7 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 33 池田大祐 Now Motorsports 45 8.435 6 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
8 12 F.カルボーン(ブラジル) Three Bond Racing 45 9.006 - ニッサン(ニッサンSR20VE)
9 8 中嶋一貴 TOM'S 45 10.1 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
10 2 武藤英紀 TODA RACING 45 19.898 9 ホンダ(M-TEC MF204C)
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1 R.アンティヌッチ トヨタ・トムス 54
2 番場 琢 トヨタ・トムス 51
3 中嶋一貴 トヨタ・トムス 46
4 横溝直輝 トヨタ・トムス 34
6 R.クインタレッリ トヨタ・トムス 28
7 山本左近 トヨタ・トムス 27
9 池田大祐 トヨタ・トムス 15
※ポイントはシリーズ全戦の80%が有効