2004年5月 9日(日)配信

第6戦で絶好調インギングのR.クインタレッリが2勝目
第5戦は多重クラッシュ波乱のレース。 R.クインタレッリが2位。中嶋一貴が3位入賞


前大会第4戦の初優勝に続き、第6戦で
2勝目をあげたインギングのR.クインタレッリ
 全日本F3選手権第3大会(第5戦/第6戦)「TIスーパーF3レース」が5月8日、9日の両日、岡山県のTIサーキット英田で開催された。今大会には14台が出走し、このうちトヨタ・トムス3S‐GE型エンジン搭載車は10台を占めた。

◆予選◆
 8日(土)の天候は晴れ。暦上の初夏らしく爽やかな気候のもとで午前10時05分より15分づつ第5戦、第6戦の公式予選が行われた。
 第5戦のセッションでは上位6台までがコースレコードを更新する中、第4戦筑波で 初優勝を飾って好調の波に乗るR.クインタレッリ(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)が終盤に、J.P.デ・オリベイラ(M-TEC MF204C)に続く2番手タイムを記録、3番手には番場琢(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)が続いた。
 第6戦のセッションでは路面コンディションが若干変化する中、現在ポイントリーダーのR.アンティヌッチ(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)がJ.P.デ・オリベイラのトップタイムに迫るものの惜しくも届かず2番手。R.クインタレッリ、山本左近(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)、横溝直輝(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)のトヨタエンジン勢がこれに続いた。

◆第5戦決勝◆
 午後3時24分にスタートが切られた第5戦の決勝(18周)は、R.クインタレッリが好スタートを切りポールのJ.P.デ・オリベイラに僅差で続いて1コーナーへ。しかし、スタート直後の混戦の中、1コーナー出口で多重クラッシュが発生し、山本左近、横溝直輝ら5台がその場でリタイアとなってしまった。
 車両排除作業のため4周目までセーフティカーが導入されると、R.アンティヌッチは、この混乱で他車と接触して痛めたタイヤを交換するべくピットイン。しかし、ピットアウトの際、痛恨のピットレーン速度違反を犯し、ドライブスルーペナルティを課され最下位へ後退。
 レースは再スタートと同時にJ.P.デ・オリベイラが逃げ切り、猛追を見せたR.クインタレッリは2位でチェッカーを受けた。
 また、7番手グリッドからスタート、1コーナーで行き場を失い、オーバーランを喫して最後尾まで後退した中嶋一貴(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)は1周目で5位まで挽回。その後4位まで順位を上げてゴール。さらに、他車のペナルティで繰り上がり、3位入賞となった。しかし、このペナルティ裁定に控訴が提出され、正式結果は保留とされた。

◆第6戦決勝◆
 9日(日)は朝から雨模様。午前中に行われた人気のワンメイクシリーズ、ネッツカップヴィッツ関西シリーズ第1戦、若手育成の中間フォーミュラ、エッソ・フォーミュラトヨタシリーズ第3戦の決勝レースが終わる頃には雨は上がったが、曇天のため路面は思うように乾かず、午後2時40分から行われたF3の第6戦もウェットレース宣言がなされた。
 路面状況確認のための10分間のフリー走行が追加されて25周の決勝レースへと臨んだ。今季初のウェットコンディションとなったレースは、今年からレインタイヤのスペック変更が行われたことも加わってタイヤ選択が極めて難しい状況となり、14台中、インギングの2台を含む3台のみがスリックタイヤでフリー走行に臨み、そのまま決勝グリッドへ並んだ。また、R.アンティヌッチがフリー走行終了後にスリックへと換装。4台がスリックタイヤを装着して決勝レースがスタート。
 素早いダッシュを見せたR.クインタレッリがR.アンティヌッチをかわして2位で周回を開始。レインタイヤを装着したJ.P.デ・オリベイラは首位を逃げるが、周回を重ねるごとに路面が乾き始め、猛追するR.クインタレッリとの間隙は序々に短縮。
 9周目にJ.P.デ・オリベイラを捕らえたR.クインタレッリは首位奪取。その後もハイペースでファステストラップを記録しながら独走体制を築くと、2位のJ.P.デ・オリベイラに9.264秒の大差をつけて見事今季2勝目を獲得した。
 また、3位には9番手グリッドから果敢に攻め、1周目6位、3周目には4位とポジションを上げたルーキー池田大祐(ナウモータースポーツ/トヨタ・トムス3S-GE)が初表彰台をものにした。
 一方、スリックタイヤで序盤ペースの上がらないR.アンティヌッチは一時5位まで順位を下げたが、17周目にコースオフを喫しながらも4位でゴール。ポイントランキング首位をキープした。

インギング R.クインタレッリのコメント:
 練習走行からトップタイムを刻むほどクルマは仕上がってきた。第5戦では小さなトラブルも出てトップを追いきれなかったが、第6戦はフリー走行を走ってみて自信を持ってスリックタイヤを選んだのが正解だった。まだドライではライバルに及ばない部分があるので、次戦に向けてさらに仕上げ、チームと共に全力で頑張る。

ナウモータースポーツ 池田大祐のコメント:
 第5戦ではスタート直後の多重クラッシュに巻き込まれてしまったが、チームが見事にマシンを直してくれ、第6戦は気持ちよく攻めることが出来た。スタート順位が悪かったにもかかわらずプッシュし続けた結果の3位は、とても嬉しいし、自信にもつながった。これからもとにかくベストを尽くして、戦い続ける。

トヨタ・チーム・トムス監督 関谷正徳のコメント:
 クルマのセットアップなど、中嶋一貴君は経験不足の面が全てに影響を及ぼしている。第5戦予選で3番手を得た番場琢君、第6戦序盤で3位を走った山本左近君もそうだが、今回は変化するコンディションなど様々な巡り合わせの中で気持ちが空回りして結果につながらなかったところがあると思う。第6戦でR.アンティヌッチ以外はレインタイヤをチョイスしたことは五分五分の選択。一方、3位に入った池田大祐君は評価出来る走りを見せてくれた。若手ドライバーには、今日のような難しい状況下でも、もうちょっと頑張って欲しい。

リザルト

第5戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 10 J.P.デ・オリベイラ(ブラジル) M-TEC 18 32'29.102 1 ホンダ(M-TEC MF204C)
2 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 18 3.345 2 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 8 中嶋一貴 TOM'S 18 11.672 7 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 32 小早川済瑠 Now Motorsports 18 7.724 14 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 14 柳田真孝 Three Bond Racing 18 28.338 12 ニッサン(ニッサンSR20VE)
6 1 R.アンティヌッチ(アメリカ) TOM'S 18 47.037 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 50 磯崎元彦 ZAP SPEED 18 58.058 13 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
8 12 F.カルボーン(ブラジル) Three Bond Racing 18 1Lap 4 ニッサン(ニッサンSR20VE)
9 36 番場 琢 TOM'S 18 1Lap 3 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
第6戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 25 40'26.667 3 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
2 10 J.P.デ・オリベイラ(ブラジル) M-TEC 25 9.264 1 ホンダ(M-TEC MF204C)
3 33 池田大祐 Now Motorsports 25 17.991 6 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 1 R.アンティヌッチ(アメリカ) TOM'S 25 19.847 2 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 7 山本左近 TOM'S 25 30.859 4 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
6 8 中嶋一貴 TOM'S 25 41.461 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 32 小早川済瑠 Now Motorsports 25 41.842 12 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
8 19 柴田裕吉 DTM 25 58.195 11 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
9 3 横溝直輝 INGING 25 59.328 5 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
10 36 番場 琢 TOM'S 25 1'02.125 6 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1 R.アンティヌッチ トヨタ・トムス 70
2 中嶋一貴 トヨタ・トムス 64
2 J.P.デ・オリベイラ M-TEC 64
4 R.クインタレッリ トヨタ・トムス 63
5 番場 琢 トヨタ・トムス 54
6 横溝直輝 トヨタ・トムス 36
7 山本左近 トヨタ・トムス 35
8 池田大祐 トヨタ・トムス 27
※ポイントはシリーズ全戦の80%が有効