2004年6月 7日(月)配信

全日本F3第8戦でトヨタエンジンが表彰台独占!
インギングのR.クインタレッリが今季3勝目 横溝直輝が2位に入りチーム1-2


2番手グリッドから好スタートを切ったインギングの
R.クインタレッリ(右)が、見事今季3勝目をあげた
 全日本F3選手権の第4大会(第7戦、第8戦)が6月5日(土)、6日(日)の両日、栃木県のツインリンクもてぎで行われた。同大会にはシリーズ参戦中の14台が参加。このうちトヨタ・トムス3S‐GE型エンジン搭載車は10台を占め、4日(金)に行われた練習走行では横溝直輝(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)がトップタイム、中嶋一貴(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)が3番手タイムを記録するなど、トヨタ勢は好調を維持して、もてぎ戦に臨んだ。

◆予選◆
 5日(土)は入梅入り前の好天に恵まれ、午前中から気温26度と夏本番を思わせる暑さの中で午前9時30分から15分間づつ公式予選が行われた。
 第7戦の予選は、序盤から積極的にアタックした番場琢(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)がJ.P.デ・オリベイラ(M-TEC MF204C)と激しい予選トップタイム合戦を展開した末、最終アタックで2番手グリッドを獲得。3番手には第6戦優勝のR.クインタレッリ(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)が続いた。
 第8戦の予選では、さらに調子を上げたR.クインタレッリが3周目のタイムアタックで2番手を確保。再び予選最終アタックで、逆転ポールポジションを狙った番場琢は、若干のミスが響いて惜しくも3番手、横溝直輝が4番手につけた。

◆第7戦決勝◆
 5日(土)午後3時15分に第7戦の決勝がスタートする頃には、気温はさらに上昇して31度を記録。路面温度も50度近くまで上がる中、注目のスタートでは、2番手グリッドから番場琢が絶妙なスタートを切り、ポールポジションから首位を逃げるJ.P.デ・オリベイラを激しく追い上げた。しかし、3周目の最終コーナーで痛恨のコースオフを喫して7位まで後退。
 一方、3番手スタートのR.クインタレッリはオープニングラップの3コーナー先でF.カルボーン(ニッサンSR20VE)にパスされ4位にポジションを下げたものの、番場琢のコースオフで再び3位に浮上。これに8番手グリッドスタートながら着実に順位を上げて来たR.アンティヌッチ(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)が続いた。
 その後、R.クインタレッリは後半ややペースが鈍り、R.アンティヌッチはオーバーテイクのチャンスを探るが、抜きどころの少ないもてぎのロードコースで逆転はならず、そのままR.クインタレッリが3位でチェッカー。
 ゴール後、スタート時に番場琢に対して進路妨害があったとして、J.P.デ・オリベイラに1分加算のペナルティが課されたため2位以下13位までの順位が繰り上がり、R.クインタレッリが2位、R.アンティヌッチが3位、横溝直輝が4位となった。なお、この暫定結果に対してトムスチームから控訴が提出されたため、第7戦の正式結果は裁定されるまで保留となった。

◆第8戦決勝◆
 6日(日)は朝から打って変わり曇天。午後から降雨との予報だったが、午前11時5分スタートの第8戦の決勝レースはドライコンディションで行われた。
 2番手グリッドのR.クインタレッリはきれいなスタートを決め、ポールポジションのJ.P.デ・オリベイラを抑えて1コーナーへ。一方、3番手グリッドの番場琢はスタートを失敗し、横溝直輝とR.アンティヌッチが先行、これに番場琢と山本左近が続いて序盤戦に突入した。
 首位を行くR.クインタレッリは、2位で追いすがるJ.P.デ・オリベイラを0.5秒の僅差で従えたまま周回を重ねて首位を死守。緊迫した接近戦に観客は釘付けになった。しかし、13周目にJ.P.デ・オリベイラはエンジントラブルでストップし、2位以下がポジションアップ。その後も安定したペースで走り切ったR.クインタレッリと横溝直輝のインギング勢が、チーム初のワン・ツー・フィニッシュを飾った。
 そして、3位にR.アンティヌッチ、4位は番場琢、5位には番場琢を追って11周目に決勝中ベストタイムを記録した山本左近が続き、トヨタエンジン搭載車は上位5位までを独占して圧勝。
 見事今季3勝目を挙げたR.クインタレッリは、選手権ポイントでもR.アンティヌッチを逆転して首位に立った。

インギング R.クインタレッリのコメント:
 第7戦では後半パフォーマンスが落ちたが、第8戦では良いスタートを切ることが出来、セッティングの変更も功を奏して最後まで快調だった。序盤はタイヤ内圧が低めの状況でJ.P.デ・オリベイラを抑えるのが辛かったが、その後は気持ちよく走れた。クルマはとても良い状態にあり、次戦以降も自信を持ってベストを尽くす。

インギング 横溝直輝のコメント:
 ここにきてチームも自分もモチベーションが高まっており、エンジンのパフォーマンスも向上したことで良い結果につながった。自分としては練習走行で好タイムが出ても予選結果につながらないのが課題だが、今回の結果で精神的にも落ち着いたと思う。得意な鈴鹿、SUGOでは優勝を果たせるよう頑張りたい。

トヨタ・チームトムス R.アンティヌッチのコメント:
 予選結果が悪かったにもかかわらず、連続3位に入ることが出来た。ここまでは毎回初めてのサーキットだったが、次の鈴鹿は開幕戦で走っているので自信を持って臨み、良いレースをしたい。

トヨタ・チーム・トムス監督 関谷正徳のコメント:
 番場琢君は第8戦でのスタート失敗が残念だったが、内容の濃い週末になっただろう。中嶋一貴君は良い練習で良いセットを見つけられたが、慣れや経験不足で予選結果につながらなかった。横溝直輝君は、第8戦で2位表彰台に立ったが、それでも彼にとっては不本意な結果に違いない。山本左近君も含め、誰もがいつでも勝てるレベルに達していると思う。しかし、決勝グリッドとスタートのウェイトが大きなこのコースで予選一発のタイムを出せるかどうかというのはやはり重要なポイントだ。そのあたりが今後の課題になるだろう。

リザルト

第7戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 12 F.カルボーン(ブラジル) Three Bond Racing 14 25'45.713 5 ニッサン(ニッサンSR20VE)
2 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 14 3.959 3 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 1 R.アンティヌッチ(アメリカ) TOM'S 14 4.768 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 3 横溝直輝 INGING 14 5.239 7 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 2 武藤英紀 TODA RACING 14 6.132 4 ホンダ(M-TEC MF204C)
6 8 中嶋一貴 TOM'S 14 7.302 6 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 36 番場 琢 TOM'S 14 8 2 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
8 7 山本左近 TOM'S 14 9.871 9 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
9 33 池田大祐 Now Motorsports 14 14.355 10 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
10 32 小早川済瑠 Now Motorsports 14 20.76 11 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
第8戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 20 36'31.621 2 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
2 3 横溝直輝 INGING 20 1.04 4 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 1 R.アンティヌッチ(アメリカ) TOM'S 20 2.181 5 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 36 番場 琢 TOM'S 20 4.014 3 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 7 山本左近 TOM'S 20 5.747 6 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
6 12 F.カルボーン(ブラジル) Three Bond Racing 20 7.608 9 ニッサン(ニッサンSR20VE)
7 2 武藤英紀 TODA RACING 20 7.848 7 ホンダ(M-TEC MF204C)
8 33 池田大祐 Now Motorsports 20 16.892 10 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
9 14 柳田真孝 Three Bond Racing 20 18.626 12 ニッサン(ニッサンSR20VE)
10 32 小早川済瑠 Now Motorsports 20 30.765 11 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1 R.クインタレッリ トヨタ・トムス 98
2 R.アンティヌッチ トヨタ・トムス 94
3 中嶋一貴 トヨタ・トムス 70
4 番場 琢 トヨタ・トムス 68
5 J.P.デ・オリベイラ M-TEC 64
6 横溝直輝 トヨタ・トムス 61
8 山本左近 トヨタ・トムス 46
9 池田大祐 トヨタ・トムス 32
※ポイントはシリーズ全戦の80%が有効