2004年7月 4日(日)配信

全日本F3第10戦でR.クインタレッリが今季4勝目!
トムス勢は、不運の後退。 R.クインタレッリがポイントランキング首位を堅守


見事今季4勝目をあげたインギングのR.クインタレッリ
 全日本F3選手権の第5大会(第9戦、第10戦)が7月3日(土)、4日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで行われた。同大会にはシリーズ参戦中の14台が参加。このうちトムス・トヨタ3S‐GE型エンジン搭載車は10台を占めた。
 2日(金)に行われた公式練習では、ここまで3勝を挙げてランキングトップのR.クインタレッリ(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)がトップタイムをマーク。開幕戦の鈴鹿で連続ポール・トゥ・ウィンを飾った中嶋一貴(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)が4番手タイムを記録するなどトヨタ勢は好調を維持して今季2度目となる鈴鹿戦に臨んだ。

◆予選◆
 3日(土)早朝には、一瞬雨がぱらついたが路面は終日ドライ。鈴鹿の夏らしい蒸し暑い一日となった。午前10時45分から15分間づつ行われた公式予選で、まず第9戦セッションの序盤からR.クインタレッリが積極的にアタックし、5周目には、2番手に0.187秒差をつけて今季2度目のポールポジションを獲得。チームメイトの横溝直輝(インギング/トヨタ・トムス3S-GE)も好調ぶりを見せ、終盤逆転されたものの、僅差で3番手グリッドを得た。
 続く第10戦のセッションでは更にタイムアップが進む中、J.P.デ・オリベイラ(M-TEC MF204C)とトップタイムを争うR.クインタレッリは、一旦ペースダウンをして最終ラップでアタックする作戦に出たが、イエローフラッグの追い越し規制に阻まれ、惜しくもタイム更新はならず、ポールポジションのJ.P.デ・オリベイラから僅か0.038秒差で2番手。また、横溝直輝は再び3番手、R.アンティヌッチ(トムス/トヨタ・トムス3S-GE)は5番手から決勝へ臨むことになった。

◆第9戦決勝◆
 3日(土)午後3時30分に第9戦の決勝がスタートする頃には気温は30度を記録。路面温度も50度近くまで上がり、猛暑の中でのレースとなった。
 注目のスタートでは、ポールポジションからR.クインタレッリがレースをリード。オープニングラップで早くも後続を引き離しにかかるが、3周目に、デグナーカーブでコースアウト車がコースに出した砂に乗って姿勢を乱し、痛恨のポジションダウン。これで2位に上がった横溝直輝が果敢にトップのJ.P.デ・オリベイラを追う展開となった。
 しかし、首位奪還までには至らず、横溝直輝は2戦連続となる2位表彰台を獲得した。一方、R.クインタレッリは4位から再び猛烈な追い上げを見せるが、抜きどころの少ない鈴鹿で逆転は果たせず4位でチェッカーフラッグ。トムス勢ではR.アンティヌッチが5位、中嶋一貴は6位に入り、貴重なポイントを獲得した。

◆第10戦決勝◆
 4日(日)は朝から曇天。気温は28度と低めだが、湿度が80%以上と依然蒸し暑く、一時降雨の予報もあったが、午後1時35分スタートの第10戦はドライコンディションで行われた。
 2番手グリッドのR.クインタレッリは絶妙なスタートを決めてトップで第1コーナーへ。これに4番手スタートの武藤英紀(M-TEC MF204C)、5番手のR.アンティヌッチが続いて周回を開始した。3番手グリッドの横溝直輝はクラッチトラブルで無念のストップ。ポールスタートのJ.P.デ・オリベイラは反則スタートによるドライブスルーペナルティを受けて後退。
 その後もR.クインタレッリはミスを犯さず安定したペースで逃げ切り、首位を守ってチェッカーフラッグ。今季4勝目を挙げてポイントランキング首位のリードを拡大することとなった。
 一方、3位争いを繰り広げていたR.アンティヌッチと中嶋一貴は12周目のシケインで接触して共に戦列を去り、代わって山本左近(トムス)が3位を狙って猛アタックを見せたが、逆転は果たせず、4位でゴールした。

インギング R.クインタレッリのコメント:
 第9戦は残念な結果に終わってしまったが、第10戦で今季4勝目を挙げることが出来、非常に嬉しい。シャシーやエンジンは開幕戦の頃に比べて大きく進歩しており、ハードワークでここまで仕上げてくれたチームに感謝すると共に、次戦SUGOでもライバルに負けないよう、テストから全力で連勝へと挑む。

インギング 横溝直輝のコメント:
 予選から第9戦決勝にかけてはマシンのバランスも良く、手応えがあったのにJ.P.デ・オリベイラに離されてしまった。2位で表彰台に上がることは出来たが悔しい結果だ。また、第10戦ではフォーメーションラップからクラッチに違和感があり、残念な結果に終わってしまった。今週の悔しさを糧に今後もベストを尽くす。

トヨタ・チーム・トムス監督 関谷正徳のコメント:
 中嶋一貴は第10戦などで、トップグループに遜色ない走りを見せてくれたが、チームメイト同士の接触は残念。監督としてR.アンティヌッチ共に指導を徹底したい。横溝直輝は順調にトップ争いに加わるレベルに成長してきたが、まだミスを犯す場面も見受けられる。今大会は、他にも悔しい結果に終わったドライバーが目立った。しかし、こうした経験をきちんと活かし、彼らが成長するきっかけになればと思う。

リザルト

第9戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 10 J.P.デ・オリベイラ(ブラジル) M-TEC 12 23'57.403 2 ホンダ(M-TEC MF204C)
2 3 横溝直輝 INGING 12 8.336 3 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 2 武藤英紀 TODA RACING 12 9.436 4 ホンダ(M-TEC MF204C)
4 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 12 10.15 1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 1 R.アンティヌッチ(アメリカ) TOM'S 12 10.599 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
6 8 中嶋一貴 TOM'S 12 11.34 6 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 12 F.カルボーン(ブラジル) Three Bond Racing 12 18.472 9 ニッサン(ニッサンSR20VE)
8 32 小早川済瑠 Now Motorsports 12 35.697 13 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
9 14 柳田真孝 Three Bond Racing 12 37.566 10 ニッサン(ニッサンSR20VE)
10 33 池田大祐 Now Motorsports 12 38.532 11 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
第10戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 17 34'15.049 2 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
2 2 武藤英紀 TODA RACING 17 1.299 4 ホンダ(M-TEC MF204C)
3 14 柳田真孝 Three Bond Racing 17 12.815 11 ニッサン(ニッサンSR20VE)
4 7 山本左近 TOM'S 17 13.622 6 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 10 J.P.デ・オリベイラ(ブラジル) M-TEC 17 15.266 1 ホンダ(M-TEC MF204C)
6 36 番場 琢 TOM'S 17 22.94 7 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 19 柴田裕吉 DTM 17 51.398 14 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1 R.クインタレッリ トヨタ・トムス 128
2 R.アンティヌッチ トヨタ・トムス 102
3 J.P.デ・オリベイラ M-TEC 92
4 中嶋一貴 トヨタ・トムス 76
4 横溝直輝 トヨタ・トムス 76
6 番場 琢 トヨタ・トムス 74
7 山本左近 トヨタ・トムス 56
10 池田大祐 トヨタ・トムス 33
※ポイントはシリーズ全戦の80%が有効