2004年8月30日(月)配信

全日本F3第14戦でトヨタエンジン勢1-2フィニッシュ
横溝直輝が念願の初優勝!第13戦でも健闘し2位表彰台を獲得


第14戦で初優勝を飾った横溝直輝
 全日本F3選手権の第7ラウンド(第13戦、第14戦)が8月28日、29日の両日、山口県のMINEサーキットで開催された。第7ラウンドにはシリーズ参戦中の14台が参加。このうちトヨタ・トムス3S‐GE型エンジン搭載車は10台を占め、27日(金)に行われた練習走行では、12戦中6勝を挙げてポイントランキング首位を堅持しているR.クインタレッリ(インギング/トヨタ・トムス3S‐GE)が、2番手タイムを記録するなど依然好調をキープして予選へと臨んだ。

◆予選◆
 28日(土)の天候は晴れ時々曇りと、台風16号接近の影響も無く、好天のもと気温30度の蒸し暑さの中で公式予選が午前11時から15分づつ行われた。
 第13戦の予選は開始早々からめまぐるしく首位の入れ替わる激戦で、8周目に1分23秒928のベストタイムを叩き出した横溝直輝(インギング/トヨタ・トムス3S‐GE)が2番手に浮上。R.クインタレッリもタイムアップするが届かず3番手にとどまり、R.アンティヌッチ(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)がこれに続いた。
 10分間のインターバルを挟んで行われた第14戦の予選も、序盤から横溝直輝、R.クインタレッリ、R.アンティヌッチのトヨタエンジン勢と、J.P.デ・オリベイラ(M-TEC MF204C)による熾烈なトップ争いが展開された。3周目にトップに立った横溝直輝は、その後も毎周タイムを縮めてライバルの逆転を許さず、見事第12戦に続くポールポジションを獲得した。R.アンティヌッチは3番手、山本左近(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)が5番手に食い込んだ。

◆第13戦決勝◆
 予選の後、午後には俄かに雲が広がり、ごく少量の降雨もあって気温、路面温度共に下がったが、午後3時頃には再び好転。太陽が顔を出し、気温も31度まで上昇する中で午後3時23分に20周のレースのスタートが切られた。
 2番手スタートの横溝直輝はきれいなスタートを切るが、J.P.デ・オリベイラをかわすには至らず2位で第1コーナーへ。序盤戦は、横溝直輝が首位奪取のチャンスを窺いながら逃げるJ.P.デ・オリベイラをぴったり追走。3位以下との差を広げるがJ.P.デ・オリベイラもミスを犯さずこう着状態。  残念ながら逆転には至らず、第11戦に続く2位表彰台を獲得した。また、激しい3位争いを演じたR.クインタレッリとR.アンティヌッチも結局順位は変わらずチェッカー。
 一方、予選7番手の番場琢(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)、8番手の山本左近、そして、9番手からスタートとなった中嶋一貴(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)の3人トムス若手勢は、番場琢と山本左近がスタートで1位づつポジションをアップ。8位争いの中嶋も健闘を見せたが、追い越しの難しいツイスティなMINEサーキットのコースに苦戦。番場琢が6位、山本左近7位、中嶋一貴9位でチェッカーフラッグを受けることとなった。

◆第14戦決勝◆
 29日(日)も台風の影響による降雨はなく、天候は晴れ時々曇り。気温は35度まで上昇して前日に増して蒸し暑い一日となった。
 午後12時53分に第14戦(30周)のスタートが切られると、ポールポジションの横溝直輝は好スタートを切り、トップで第1コーナーへ。同じく絶妙なスタートを見せたR.アンティヌッチが予選2番手のJ.P.デ・オリベイラを抑えて2位で周回を開始した。
 上位3台は接近戦のまま4位以下ををじわじわと引き離し、その後方では山本左近と武藤英紀(M-TEC MF204C)が激しく4位争いを展開。緊迫したレース運びに観客は釘付けとなった。
 安定したハイペースで首位を守る横溝直輝はミスを犯さず、後半戦にはR.アンティヌッチとの差を拡大して、F3ステップアップ3年目で念願の初優勝を果たした。
 終盤、激しいバトルを演じたR.アンティヌッチも2位でゴールし、トヨタエンジン勢がワン・ツー・フィニッシュ。ポジションを守りきった山本左近は4位入賞。R.クインタレッリも6位入賞で貴重なポイントを獲得した。

インギング 横溝直輝のコメント:
 前戦SUGOでは自分のミスで勝機を逸しただけに、第14戦で優勝出来て嬉しいと同時にほっとした。第13戦ではスタート直前のコンディション変化が影響して、後半ペースが鈍ったことが反省点。第14戦では満足の行くスタートを切ることが出来、難しい路面コンディションだったが落ち着いて走れた。これから最終戦まで、残りのレースで1レースでも多く勝利を重ね、チームメイトのR.クインタレッリに近づけるように頑張る。

トヨタ・チームトムス R.アンティヌッチのコメント:
 良いスタートが切れて2位に上がったが、第1、2コーナーのダウンフォースで横溝選手にかなわず逆転出来なかった。今日は2位だが久しぶりに自分のベストが出せたことに満足している。次戦の仙台ハイランドは初めてのサーキットで分からないこともあるが、常にポジティブな姿勢でベストを尽くす。

トヨタ・チーム・トムス監督 関谷正徳のコメント:
 横溝君はいつ勝ってもおかしくない状態だったが、今回初優勝を決められたことが今後の自信につながるだろう。彼にとっては完璧なレースだった。また、山本君は予選結果がもう少し良ければ勝つチャンスもあったと思う。一方、今回の番場君と中嶋君は少々パフォーマンス不足を感じる部分があったのも事実。シーズンも6戦を残すのみとなり、今後も厳しいレースが続くと思うが、全力を尽くして戦い続けてほしい。

リザルト

第13戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 10 J.P.デ・オリベイラ(ブラジル) M-TEC 20 28'16.383 1 ホンダ(M-TEC MF204C)
2 3 横溝直輝 INGING 20 7.403 2 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 20 9.21 3 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 1 R.アンティヌッチ(アメリカ) TOM'S 20 12.004 4 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 12 F.カルボーン(ブラジル) Three Bond Racing 20 14.727 5 ニッサン(ニッサンSR20VE)
6 36 番場 琢 TOM'S 20 21.627 7 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 7 山本左近 TOM'S 20 21.708 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
8 2 武藤英紀 TODA RACING 20 22.64 6 ホンダ(M-TEC MF204C)
9 8 中嶋一貴 TOM'S 20 24.932 9 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
10 14 柳田真孝 Three Bond Racing 20 25.432 11 ニッサン(ニッサンSR20VE)
第14戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 3 横溝直輝 INGING 30 43'04.314 1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
2 1 R.アンティヌッチ(アメリカ) TOM'S 30 2.341 3 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 10 J.P.デ・オリベイラ(ブラジル) M-TEC 30 2.531 2 ホンダ(M-TEC MF204C)
4 7 山本左近 TOM'S 30 3.947 5 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 2 武藤英紀 TODA RACING 30 4.396 4 ホンダ(M-TEC MF204C)
6 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 30 5.686 7 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 36 番場 琢 TOM'S 30 14.611 9 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
8 12 F.カルボーン(ブラジル) Three Bond Racing 30 33.807 6 ニッサン(ニッサンSR20VE)
9 33 池田大祐 Now Motorsports 30 42.827 13 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
10 50 磯崎元彦 ZAP SPEED 30 55.424 14 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1 R.クインタレッリ トヨタ・トムス 186
2 J.P.デ・オリベイラ M-TEC 151
3 横溝直輝 トヨタ・トムス 138
4 R.アンティヌッチ トヨタ・トムス 132
5 中嶋一貴 トヨタ・トムス 88
6 番場 琢 トヨタ・トムス 88
8 山本左近 トヨタ・トムス 73
※ポイントはシリーズ全戦の80%が有効