2004年9月12日(日)配信

全日本F3第16戦でR.アンティヌッチが2位入賞
微妙な天候での予選と決勝。ルーキー池田大祐が3位表彰台を獲得


2戦連続の表彰台を獲得したR.アンティヌッチ
 全日本F3選手権第8大会(第15戦、第16戦)「ハイランドF3チャンピオンシップレース」が9月11日(土)、12日(日)の両日、宮城県の仙台ハイランドレースウェイで行われた。同大会にはシリーズ参戦中の14台が参加。このうちトヨタ・トムス 3S‐GE型エンジン搭載車は10台を占めた。
 2年ぶりのF3開催となる同サーキットは仙台市郊外の山間地にあり、地形を活かした激しいアップダウンが特徴で、テクニカルな設定に加え、舗装は荒れて滑りやすい。
 9日、10日に行われた練習走行ではR.アンティヌッチ(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)がただ一人コースレコードとなる1分39秒869でトップタイム。これにチームメイトの山本左近(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)、前戦14戦で念願の初優勝を果たした横溝直輝(インギング/トヨタ・トムス3S‐GE)が続き、トヨタ勢は好調を維持して予選へと臨んだ。

◆予選◆
 11日(土)は朝から曇天で気温16度と肌寒い中、午前10時頃から霧雨が降り出し、午前11時から15分づつ行われたF3公式予選開始時にはコースはタイヤ選択の微妙なハーフウエット状態となった。このため、途中でスリックタイヤからレインタイヤに履きかえる選手が続出、ピットレーンはあわただしい雰囲気に包まれた。
 結果的に第15戦の予選は早めにレインタイヤを装着してタイヤを暖めた選手が上位に並ぶこととなり、柴田裕吉(DTM/トヨタ・トムス3S‐GE)が初ポールポジションを獲得。池田大祐(ナウモータースポーツ/トヨタ・トムス3S‐GE)が3番手、横溝直輝が4番手グリッドを獲得した。
 続く第16戦のセッションには全車そろってレインタイヤを装着。R.アンティヌッチが序盤いきなり52秒台のトップタイムを記録してリード。その後終盤に向けて次々とベストタイムが塗り替えられる激戦となり、6周目にトップタイムを出した池田大祐(ナウモータースポーツ/トヨタ・トムス3S‐GE)が初ポールポジションを獲得。コースアウト車両に阻まれた横溝直輝が2番手、中嶋一貴(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)が3番手で続いた。

◆第15戦決勝◆
 予選後も天候は回復せず、第15戦の決勝レースは霧雨の中、午後3時18分にスタートを切った。ポールポジションの柴田裕吉はスタートを失敗。横に並びかけた2位の池田大祐と絡んで1コーナーでコースアウト、リタイア。
 この間隙にJ.P.デ・オリベイラ(M-TEC MF204C)が首位に立ち、7番手グリッドから好スタートを切ったR.クインタレッリ(インギング/トヨタ・トムス3S‐GE)が2位で首位攻防戦を展開。同じくスタートの混乱の中、R.アンティヌッチが4位、中嶋一貴が5位、番場琢(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)が6位までポジションを上げて序盤戦を開始した。
 その後もR.クインタレッリはJ.P.デ・オリベイラを追うがじわじわと離されて首位逆転はならず。一方、タイヤの摩耗で後半ペースの苦しくなった中嶋一貴を番場琢が果敢に追い詰め、16周目に4位に躍進。
 17周のレースはR.クインタレッリが2位、R.アンティヌッチが3位で表彰台を獲得。番場琢は12番手スタートからの見事な追い上げで4位と気を吐き、中嶋一貴も5位でフィニッシュを果たし、続く第16戦へと期待を繋いだ。

◆第16戦決勝◆
 12日(日)も朝から霧雨が降る不順な天候。気温19度、路面は完全に乾かない不安定なコンディションの下でスタートを迎えた。初のポールポジションから池田大祐は好スタートを決め、トップで1コーナーへ。
 しかし、2位の横溝直輝は濡れた路面でホイールスピンを喫した上、1コーナー進入時に姿勢を乱してポジションを落とし、予選5番手のR.アンティヌッチが僅差の3位で周回を開始した。
 トップを逃げる池田大祐は8周目の1コーナーでJ.P.デ・オリベイラの先行を許し2位へとポジションダウン。さらに、13周目にはR.アンティヌッチが池田大祐を捉えて2位に浮上し首位を逃げるJ.P.デ・オリベイラを追うが、すでに間隙は開いており逆転かなわずフィニッシュ。R.アンティヌッチは2戦連続入賞を果たした。また、池田大祐は3位でルーキーイヤーながら2度目の表彰台を獲得した。

トヨタ・チームトムス R.アンティヌッチのコメント:
 第15戦3位、第16戦2位と連続表彰台に上がることが出来たが、本来なら優勝出来るだけのポテンシャルを持って臨んでいただけに、残念だ。だが、今回の結果でシリーズポイント争いは僅少差の戦いになった。今シーズン、残された4戦もこれまで通りベストを尽くしてチャンピオン獲得へと全力で戦う。

インギング R.クインタレッリのコメント:
 今回は不安定なコンディションの中、自分のミスで予選を失敗したのが全て。第16戦はノーポイントに終わり、ポイントのリードも詰まってしまった。しかし、タイトルへ向け残り4戦を全力で頑張る。

ナウモータースポーツ 池田大祐のコメント:
 第16戦の予選では競い合いの中でF3では初めてのポールポジションが獲得出来、自信につながった。第16戦の決勝序盤はペースが伸び悩み、ライバルの先行を許したことは悔しいが、シーズンの中盤戦から調子が落ち込んでいたことを考えれば良い結果だと思う。これを糧に今後のレースを戦いたい。

トヨタ・チーム・トムス監督 関谷正徳のコメント:
 霧雨に翻弄された予選だった。第15戦の決勝レースはタイヤの選択が明暗を分けたが、難しいコンディションの中で中嶋君、番場君がポジションを上げるなど、それぞれがちゃんとレースをこなしたのは評価に値する。山本君もコースアウトしてしまったが、彼らにとっては良い勉強になったと思う。一方、第16戦の決勝はスタートが全て。池田君のポールポジション獲得や、3位フィニッシュという結果も良い自信に繋がるだろう。シリーズも終盤戦に向かうが、これまで以上に気を引き締めて戦いに臨んでもらいたい。

リザルト

第15戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 10 J.P.デ・オリベイラ(ブラジル) M-TEC 17 32'57.031 2 ホンダ(M-TEC MF204C)
2 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 17 12.647 7 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 1 R.アンティヌッチ(アメリカ) TOM'S 17 14.602 10 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 36 番場 琢 TOM'S 17 45.709 13 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 8 中嶋一貴 TOM'S 17 48.291 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
6 32 小早川済瑠 Now Motorsports 17 50.714 6 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 14 柳田真孝 Three Bond Racing 17 51.312 11 ニッサン(ニッサンSR20VE)
8 12 F.カルボーン(ブラジル) Three Bond Racing 17 51.696 14 ニッサン(ニッサンSR20VE)
9 2 武藤英紀 TODA RACING 17 52.362 5 ホンダ(M-TEC MF204C)
10 3 横溝直輝 INGING 17 1'27.119 4 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
第16戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 10 J.P.デ・オリベイラ(ブラジル) M-TEC 24 41'03.042 4 ホンダ(M-TEC MF204C)
2 1 R.アンティヌッチ(アメリカ) TOM'S 24 11.648 5 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 33 池田大祐 Now Motorsports 24 21.585 1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 3 横溝直輝 INGING 24 22.529 2 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 8 中嶋一貴 TOM'S 24 23.08 3 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
6 36 番場 琢 TOM'S 24 24.136 7 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 2 武藤英紀 TODA RACING 24 24.76 6 ホンダ(M-TEC MF204C)
8 7 山本左近 TOM'S 24 25.243 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
9 12 F.カルボーン(ブラジル) Three Bond Racing 24 35.215 12 ニッサン(ニッサンSR20VE)
10 32 小早川済瑠 Now Motorsports 24 48.233 10 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1 R.クインタレッリ トヨタ・トムス 201
2 J.P.デ・オリベイラ M-TEC 191
3 R.アンティヌッチ トヨタ・トムス 159
4 横溝直輝 トヨタ・トムス 149
5 中嶋一貴 トヨタ・トムス 104
6 番場 琢 トヨタ・トムス 104
8 山本左近 トヨタ・トムス 76
※ポイントはシリーズ全戦の80%が有効