2004年10月 4日(月)配信

トヨタエンジン搭載のR.クインタレッリが今季全日本F3を制覇
第17戦では山本左近、第18戦は中嶋一貴が日本人最上位3位表彰台獲得


チームの地元MINEで連勝。2004年全日本F3の
シリーズチャンピオンを獲得したR.クインタレッリ
 全日本F3選手権の第9大会(第17戦、第18戦)が10月2日、3日の両日、山口県のMINEサーキットで開催された。同大会にはシリーズ参戦中の14台が参加。この内、トヨタ・トムス3S‐GE型エンジン搭載車は10台を占め、1日(金)に行われた練習走行ではポイントランキング首位のR.クインタレッリ(INGING/トヨタ・トムス3S‐GE)が非公式ながらコースレコードタイムを記録してトップ。
 R.アンティヌッチ(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)が2番手とトヨタエンジン搭載ドライバーが前戦に引き続き他車をリードして好調ぶりをアピール。余勢をかって予選へと臨んだ。

◆予選◆
 2日(土)の天候は曇りのち晴れ。路面は未明の降雨により朝方までハーフウエット状態だったが、10時25分からのF3公式予選までにはほぼ乾き、気温17度と秋を感じさせる気候の中で予選が行われた。
 第17戦では序盤こそ路面コンディションが不安定でタイムが伸びなかったが周回を重ねるごとにペースアップ。各車が次々とタイムを短縮する混戦を展開。5周目にトップタイムを記録したR.クインタレッリが翌周さらにタイムを縮め、コースレコードとなる1分22秒476でポールポジションを獲得した。また、僅差でチームメイトの横溝直輝(INGING/トヨタ・トムス3S‐GE)が4番手、山本左近(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)が5番手グリッドを得た。
 続く第18戦の予選もR.クインタレッリがリードしながら推移。2番手のF.カルボーン(ニッサン SR20VE)に0.335秒差をつける1分21秒652と再びコースレコードを破る圧倒的な速さで連続ポールを獲得。日本人勢では横溝直輝が予選5番手、山本左近が6番手となった。

◆第17戦決勝◆
 第17戦の決勝レースは20周で午後2時43分にスタート。R.クインタレッリはややスタートで出遅れ、予選2番手のJ.P.デ・オリベイラ(M-TEC MF204C)に並びかけられるがポジションを守りきり、トップで周回を開始。
 一方、横溝直輝は他車との接触でポジションを下げ、山本左近が4位、予選7番手スタートのR.アンティヌッチが5位に浮上。R.クインタレッリとJ.P.デ・オリベイラは接近戦のままラップを重ねるが、13周目の第1ヘアピンでJ.P.デ・オリベイラが単独コースアウトしてリタイア。このためレースは14周で赤旗中断となった。
 約37分間後に4周で再開された第2ヒートのグリッドはR.クインタレッリ、F.カルボーン、山本左近、R.アンティヌッチの順でスタート。鋭いスタートを決めたR.クインタレッリはトップで1コーナーに飛び込むと僅か4周で2位に1.979秒差をつけて優勝。山本左近もスタートでやや出遅れたもののF.カルボーンを僅差で追い詰めながら3位でチェッカーを受け、今季2度目の表彰台をものにした。
 一方、R.アンティヌッチはスタートで痛恨のフライング。ペナルティを受け、繰上げで中嶋一貴(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)が4位、番場琢(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)が5位と、それぞれ入賞を果たした。

◆第18戦決勝◆
 3日(日)の第18戦は、全日本F3選手権初の2ヒート制で行われた。20周の第1ヒートの結果順で第2ヒートを同じく20周で戦い、総合順位は両ヒートの周回数を合算し、同一周回の場合、第2ヒートの順位で決定される。
 午後1時に第1ヒートがスタート。ポールポジションからきれいなスタートを切ったR.クインタレッリはトップで周回を開始。終盤タイヤの内圧上昇でペースが鈍るが逃げ切りそのままチェッカー。スタートで順位を上げた山本左近が4位、R.アンティヌッチが5位、中嶋一貴が6位でそれぞれ第2ヒートへと駒を進めた。
 1時間半のインターバルを置いて行われた第2ヒートではR.クインタレッリがスタートをミス。しかし、首位に立った武藤英紀(M-TEC MF204C)はペナルティでまもなく後退。首位に復帰したR.クインタレッリはその後ノーミスで走りきり、2戦連続ポール・トゥ・ウィンを達成した。
 この結果により今季のドライバーズチャンピオンはR.クインタレッリに確定。一方、予選6番手スタートの中嶋一貴は着実に順位をアップ。6周目には3位にポジションを上げるとそのままチェッカーを受け、第5戦TI以来の表彰台を獲得した。

インギング R.クインタレッリのコメント:
 第18戦ではライバルの欠場で楽になった部分もあったがこれもレースだと思う。F3参戦2年目で目標だったチャンピオンを決めることが出来、こんな嬉しいことはない。昨年、F3では実績のない自分を抜擢してくれたINGINGチームには何と言ってお礼をすればよいのか分からない。残る最終戦も気を抜かず、優勝を目指す。

トヨタ・チームトムス 山本左近のコメント:
 第18戦では順位を下げてしまったが、第17戦では久しぶりに表彰台に上がることが出来た。トップ争いに加わることで自分のパフォーマンスを見せられたと思うが、まだまだ努力を重ね、上を狙いたい。

トヨタ・チームトムス 中嶋一貴のコメント:
 第18戦はツキもあったし、ミスも犯したが予選順位からすれば良い結果だと思う。今の課題はニュータイヤで予選一発のタイムを出すこと。最終戦のもてぎも、今回の勢いに乗ってベストを尽くす。

トヨタ・チーム・トムス監督 関谷正徳のコメント:
 今大会では山本君と中嶋君がそれぞれ3位表彰台に上がるなど良いところも見せてくれた。ただ、番場君たちも含め、外国人ドライバーに対して攻めきれていないのも事実だ。頑張ってくれてはいるが正直まだ足りない。今シーズンの締めくくりとなる、最終大会の2戦では全力を出し切ってほしい。

トヨタ自動車(株)モータースポーツ部主査 柘植和廣のコメント:
 トヨタエンジンユーザーの一角として素晴らしい結果を出してくれたR.クインタレッリ選手とINGINGチームにおめでとうございますと申し上げたい。今後も厳しい戦いが続くと思われるが、トヨタエンジンを搭載して頑張る各チームとドライバー達が、引き続きベストを尽くすことを期待する。

リザルト

第17戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 17 5'39.828 1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
2 12 F.カルボーン(ブラジル) Three Bond Racing 17 1.979 3 ニッサン(ニッサンSR20VE)
3 7 山本左近 TOM'S 17 3.075 5 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 8 中嶋一貴 TOM'S 17 4.179 9 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 36 番場 琢 TOM'S 17 5.676 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
6 32 小早川済瑠 Now Motorsports 17 8.22 13 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 14 柳田真孝 Three Bond Racing 17 13.425 11 ニッサン(ニッサンSR20VE)
8 50 磯崎元彦 ZAP SPEED 17 25.089 14 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
9 1 R.アンティヌッチ(アメリカ) TOM'S 17 33.52 7 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
10 33 池田大祐 Now Motorsports 16 1 Lap 12 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
第18戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 4 R.クインタレッリ(イタリア) INGING 40 27'57.927 1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
2 12 F.カルボーン(ブラジル) Three Bond Racing 40 1.405 2 ニッサン(ニッサンSR20VE)
3 8 中嶋一貴 TOM'S 40 6.121 9 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 36 番場 琢 TOM'S 40 11.385 8 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
5 7 山本左近 TOM'S 40 11.454 6 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
6 3 横溝直輝 INGING 40 12.222 5 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 14 柳田真孝 Three Bond Racing 40 12.844 10 ニッサン(ニッサンSR20VE)
8 32 小早川済瑠 Now Motorsports 40 17.186 13 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
9 19 柴田裕吉 DTM 40 20.208 11 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
10 50 磯崎元彦 ZAP SPEED 40 41.215 14 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1 R.クインタレッリ トヨタ・トムス 241
2 J.P.デ・オリベイラ M-TEC 191
3 R.アンティヌッチ トヨタ・トムス 161
4 横溝直輝 トヨタ・トムス 155
5 中嶋一貴 トヨタ・トムス 126
6 番場 琢 トヨタ・トムス 122
8 山本左近 トヨタ・トムス 96
※ポイントはシリーズ全戦の80%が有効