2005年7月 3日(日)配信

全日本F3第12戦でINGINGのR.ストレイトが初優勝
第11戦ではトムス勢が表彰台を独占。
J.P.デ・オリベイラは1/2位でポイント首位のリード拡大


第12戦で今季初優勝を果たしたインギングのR.ストレイト
 2005年の全日本F3選手権の第6大会(第11戦、第12戦)が7月2日(土)、3日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで開催された。今シーズン2回目となる鈴鹿戦にはシリーズエントリーの14台が出場し、トヨタ・トムス3S‐GE型エンジン搭載車はこのうち10台を占めた。
 梅雨時に行われる今大会は1日(金)の練習走行から断続的な降雨に見舞われたが、1日(金)の練習走行では、束の間のドライとなった午後のセッションでJ.P.デ・オリベイラ(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)がトップタイムを記録。中嶋一貴(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)が2番手につけた。

予選
 2日(土)は午後から降雨の予報があったが、午前中は曇り。定刻の10分遅れ、午前11時40分からの公式予選は気温28度、ドライコンディションの下で行われた。
 第11戦のセッションでは、J.P.デ・オリベイラが2周目、3周目とトップタイムを更新すると、その後はタイヤの摩耗を防ぐため早めにアタックを切り上げた。すると、周回ごとにタイムを上げてきた池田大祐(トムス/トヨタ・トムス3S‐GE)がチェッカー直前の5周目に渾身のアタックを決めて逆転。見事今季2回目(通算3回目)のポールポジションを獲得し、トムス勢がフロントロー独占となった。
 一方、中嶋一貴は今ひとつ調子に乗れず4番手、R.ストレイト(INGING/トヨタ・トムス3S‐GE)が5番手で続いた。
 10分のインターバルを経て開始された第12戦のセッションは、いつも通りタイヤのラバーが載って路面状況が好転。序盤から激しいタイムアタック合戦が展開された。そんな中自己ベストを更新したJ.P.デ・オリベイラが見事ポールポジションを獲得。好調の池田大祐は逆転は果たせず2番手。序盤からトップ争いに加わったR.ストレイトが3番手となった。

第11戦決勝
 午後3時過ぎから小雨が降り出し、路面はウエットコンディション。このため第11戦決勝に先立ち午後4時から10分間のフリー走行が追加された。しかし、間もなく雨は上がり、各チームは路面状況の推移を読んでレインタイヤを選択する難しい状況となった。
 午後4時39分に決勝レース(12周)がスタート。最前列の池田大祐とJ.P.デ・オリベイラが上手いスタートを切る一方で、3番手の横溝直輝(ニッサンSR20VE)がエンジンストール。R.ストレイト(INGING)が3位、中嶋一貴が4位で周回を開始した。
 しかし、溝の深いタイヤを履くR.ストレイトはペースが上がらず、浅溝タイヤを選択した中嶋一貴が4周目の1コーナーでR.ストレイトをパス。首位を行く池田大祐も走行によって乾き始めた路面に比較的溝の深いタイヤがマッチせず苦戦を強いられ、浅溝タイヤのJ.P.デ・オリベイラが急迫。
 9周目の1コーナー進入でJ.P.デ・オリベイラが首位逆転。このチャンスに中嶋一貴も池田大祐のイン側に飛び込み、2台はサイド・バイ・サイドのままでS字へ。このバトルに観客は釘付けとなったが、結局中嶋一貴がこれを制し、2位に浮上。さらに中嶋一貴はファステストラップを記録しながらJ.P.デ・オリベイラに迫るが逆転はならず。
 J.P.デ・オリベイラ、中嶋一貴、池田大祐の順でチェッカーを受け、トムス勢が第8戦以来今季3度目の表彰台独占となった。

第12戦決勝
 3日(日)は朝から断続的に少量の小雨が落ちる不順な天候。午前中には一旦止んだものの第12戦決勝は小雨が降り続ける中、第11戦時よりも雨量の多い、完全なウエットコンディションで迎えることとなった。
 フォーメーションラップで接触が発生したため、スタート進行は赤旗中断。約10分遅れの午後1時20分に17周のレースのスタートが切られた。スタートでポールポジションのJ.P.デ・オリベイラはホイールスピンで出遅れ、3番手のR.ストレイトがトップで序盤戦に突入。J.P.デ・オリベイラ、池田大祐がこれに続いた。
 しかし、池田大祐は2周目にスプーンコーナーでコースアウト、6周目にもデグナーでコースアウトを喫し、リタイアとなってしまった。
 首位を猛追するJ.P.デ・オリベイラだったが、5周目のスプーンコーナーでオーバーラン、その差は拡大。
 結局安定して17周を逃げ切ったR.ストレイトが初優勝、J.P.オリベイラが2位で続き、シリーズポイントランキング首位のリードを拡げた。

トヨタ・チームトムス J.P.デ・オリベイラのコメント:
 第11戦では2番手グリッドから5勝目を挙げることが出来たが、第12戦はポールポジションからのスタートを失敗してしまった。R.ストレイトを追ってプッシュしたが、ウエットコンディションの中、逆転は難しいと判断した。勝てなかったのは残念だが、チャンピオン獲得の目標に向けて貴重なポイントを稼ぐことが出来た。

インギング・モータースポーツ R.ストレイトのコメント:
 全日本F3での初優勝を果たすことが出来、言葉では上手く言い表せないほど嬉しい。第11戦では微妙な雨だったために、セッティングに失敗してしまったが、第12戦は完全なウエット仕様で上手く行った。この勝利で速さも証明出来、自分の自信にも繋がったので今後も上位を狙って戦い続ける。

TDPスーパーバイザー 関谷正徳のコメント:
 スプリントレースのF3では予選、スタート、決勝と全てミスなくまとめなければ勝つことは出来ない。今回、ウエットコンディションの決勝で中嶋一貴君は良いパフォーマンスを見せてくれた。また、池田大祐君も予選で一発の速さを発揮してくれたが、結果には繋がらなかった。次戦のMINEに向けて引き続き頑張って欲しい。

リザルト

第11戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 36 J.P.デ・オリベイラ(ブラジル) TOM'S 12 27'18.568 2 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
2 37 中嶋一貴 TOM'S 12 1.362 4 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 38 池田大祐 TOM'S 12 8.488 1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
4 10 武藤英紀 M-TEC 12 15.048 9 ホンダ(M-TEC MF204C)
5 1 R.ストレイト(ブラジル) INGING 12 25.835 5 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
6 33 番場 琢 Now Motorsports 12 27.176 7 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
7 14 P.モンティン(イタリア) Three Bond Racing 12 28.475 6 ニッサン(ニッサンSR20VE)
8 12 横溝直輝 Three Bond Racing 12 28.877 3 ニッサン(ニッサンSR20VE)
9 62 嵯峨宏紀 AUTOSPORT with Le Beausset 12 39.215 13 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
10 3 安岡秀徒 INGING 12 45.191 11 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
第12戦
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選エンジン
1 1 R.ストレイト(ブラジル) INGING 16 36'57.002 3 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
2 36 J.P.デ・オリベイラ(ブラジル) TOM'S 16 2.466 1 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
3 10 武藤英紀 M-TEC 16 10.426 5 ホンダ(M-TEC MF204C)
4 14 P.モンティン(イタリア) Three Bond Racing 16 13.664 7 ニッサン(ニッサンSR20VE)
5 37 中嶋一貴 TOM'S 16 14.12 6 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
6 12 横溝直輝 Three Bond Racing 16 23.339 4 ニッサン(ニッサンSR20VE)
7 33 番場 琢 Now Motorsports 16 42.902 11 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
8 62 嵯峨宏紀 AUTOSPORT with Le Beausset 16 54.602 13 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
9 19 折目 遼 DTM 16 1'18.658 12 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
10 50 磯崎元彦 ZAP SPEED 15 1 Lap 14 トヨタ(トヨタ・トムス3S-GE)
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1 J.P.デ・オリベイラ トヨタ・トムス 185
2 横溝直輝 ニッサン 125
3 中嶋一貴 トヨタ・トムス 112
5 池田大祐 トヨタ・トムス 109
6 R.ストレイト トヨタ・トムス 89
8 J.リード トヨタ・トムス 65
9 番場 琢 トヨタ・トムス 38