全日本F3 2014年 第7大会（第14,15戦）富士

第14戦は勝田貴元（中央）が僅差で逃げ切り今季2勝目。山下健太（右）は3位表彰台を獲得 　全日本F3選手権の第7大会(第14戦、第15戦)が10月11日(土)と12日(日)の両日、静岡県の富士スピードウェイで開催された。
　全7大会、15戦で行われる2014年の全日本F3も最終大会を迎えた。今大会に臨むにあたり、タイトル獲得の可能性を残しているのはランキング首位の松下 信治（HFDP RACING）、 2番手の山下 健太（PETRONAS TEAM TOM'S）、3番手の高星 明誠 （B-MAX Racing Team with NDDP）の3名。山下はトップと17点差、高星が18点差という状況で、逆転タイトルに望みを託し最終戦に臨んだ。
　今大会はFIA世界耐久選手権（WEC）第5戦との併催として行われており、多くの観客、そして世界レベルのチームやドライバーが見守る中、明日のトップドライバーを目指す若手による激戦が展開された。

　10日（金）2度にわたって練習走行を行い、11日（土）WECの練習走行の後、午前11時半より第14戦、第15戦の予選がそれぞれ10分ずつのセッションで開始。少しでも良い条件でアタックするべく、各車セッションスタート前からピットレーンに車両を並べコースイン。当初山下が松下とトップを競ったが、終盤、勝田 貴元（PETRONAS TEAM TOM'S）がトップタイムをマーク。しかし、更にチェッカー目前に佐々木 大樹（B-MAX Racing Team with NDDP）がこれを上回ったたため、第14戦は勝田が2番手、山下が3番手グリッドとなった。
　10分間のインターバルを経て開始された第15戦予選は、今季勝利を挙げた5人のドライバーがトップタイムを塗り替えあったが、最終的には勝田3番手、山下4番手で2列目に並ぶこととなった。

　予選に続き、午後2時50分より第14戦の決勝（21周）が行われた。スタートでは2，3番手につけるトムスの勝田、山下が好ダッシュを決め、1コーナー進入はポールポジションの佐々木と3台での激しい首位争いとなったが、中央の勝田が抜け出し、トップに立った。山下と佐々木は並んだまま2コーナーへと進んでいったが、山下が抑えきり2位へ。
　逆転タイトルへ向け優勝が欲しい山下は首位の勝田を追ったが、後続の佐々木からの猛追を受け防戦を強いられた。11周目のストレートで並びかけられ、何とか阻止したものの、続く12周目の100Rでかわされ、3位に後退。
　後半戦は勢いに乗る佐々木が勝田に迫り、ファイナルラップのヘアピン進入ではインから先行されたかに見えたが、アウトにはらんだところを勝田が抜き返し、首位を維持。最終コーナーからの立ち上がりでテール・トゥ・ノーズとなった2台は、最後のストレートで並び、サイド・バイ・サイドでフィニッシュラインへ。
　2台はほぼ並んだままチェッカー。勝田は1000分の7秒差で逃げ切り、今季2勝目を挙げた。
　山下は3位フィニッシュとなり、この時点で逆転タイトルの可能性は消滅した。

　12日（日）の第15戦決勝（15周）は午前8時からと朝の早い時間に、曇り空の下、やや肌寒いコンディションで開始された。
　スタートでは4番手グリッドの山下が飛び出し2位へジャンプアップ。一方で3番手グリッドの勝田は出遅れ5位へと後退。しかし勝田は1周目のダンロップコーナーで前走車をかわし4位へ。
　勝田はスタート直後こそペースが上がらず後続の追撃を受けたがこれを抑えきり、タイヤが温まるとファステストラップをマークしながら後続との差を広げ、前を行く3台との差を詰めていった。
　2位の山下は中盤まで首位を1秒以内の差で追っていたが、レースが終盤にかかるとじりじりとその差が広がり始め、2位でチェッカー。勝田も前走車をかわすまでには至らず、4位でフィニッシュした。
　これで今季の全日本F3は全日程が終了。昨年FCJのチャンピオンとなり今季F3へステップアップを果たしたルーキー山下は、逆転タイトルこそ叶わなかったものの、表彰台獲得率はトップの80％をマークし、F3デビューイヤーながらランキング2位を獲得した。勝田はランキング4位となった。
　国内のF3スケジュールは終了したが、F3の世界一決定戦とも言えるマカオグランプリが、11月の13日（木）から16日（日）にかけて中国・マカオ特別行政区の市街地に特設されたギア・サーキットで開催される。このマカオGPには、山下がトムスチームから参戦する。