2010年9月26日(日)配信

TDPドライバー大嶋和也が悲願の初優勝!


フォーミュラ・ニッポン初勝利を挙げた大嶋和也(#37)
 フォーミュラ・ニッポンの第5戦が9月25日(土)、26日(日)の両日、宮城県のスポーツランドSUGOで行われた。
 前レースから一ヶ月半以上のインターバルを経ての開催となったフォーミュラ・ニッポン。これまでの4戦全て勝者が異なるという激しいレースが展開されている。
 今大会、フォーミュラ・ニッポンのレース車両に、新たにパワーステアリングが装着されることとなり、注目が集まった。また、パワーステアリングの動作確認とドライバーの習熟のために、24日(金)に合同テスト走行が行われた。

予選
 25日(土)は悪天候が予想されていたが、午前中の
フリー走行でこそ小雨に見舞われたものの、午後の予選は
ドライコンディションで行われた。
 晩秋のような肌寒さの一日となり、かなり低い気温の下で、午後2時30分からノックダウン方式の予選がスタート。予選Q1では、TDPドライバーの石浦宏明(Team LeMans)が3番手。目下ランキング首位につけるJ.P.デ・オリベイラ
(Mobil1 TEAM IMPUL)が4番手。ルーキーながら好走を見せたケイ・コッツォリーノ(Team LeMans)が5番手タイムをマーク。このセッションでは、松田次生(KONDO RACING)が14番手、TDPドライバーの井口卓人(DELIZIEFOLLIE / CERUMO・INGING)が15番手に留まり、Q2進出を逃した。
 10分間のインターバルを経てQ2がスタート。セッションが終盤になり、各車がアタックを開始したところで、好調だった
コッツォリーノがコースアウト。これによりイエローフラッグが振られ、この影響を受けてしまったTDPドライバーの大嶋和也(PETRONAS TEAM TOM'S)と平中克幸(KCMG)がQ2で脱落となってしまった。
 コースアウトしたコッツォリーノの車輌を排除するために予定よりも3分ほど遅れて開始されたQ3は、激しいタイムアタック合戦となったが、オリベイラが3番手。アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)が4番手。Q2で2番手と気を吐いた石浦は、アタックラップでコースアウトを喫しタイムロス、5番手となった。ランキング3位につけるTDPドライバー 平手晃平(Mobil1 TEAM IMPUL)はセッティングに苦しみながらもQ3まで進出し、8番手となったが、予選中の違反によりグリッド降格の車輌が出たため、7番手グリッドから決勝をスタートすることとなった。

決勝
 26日(日)のSUGOは、前日とはうって変わって好天に恵まれ、気温21度、路面温度33度の、秋らしい天候の下で午後2時30分に第5戦決勝レース(62周)のスタートが切られた。
 スタートでは、朝のフリー走行でクラッシュを喫したものの、決勝までに修復を終えて見事グリッドに並んだ石浦が、5番手からジャンプアップを果たし、3位に浮上。
 その後方では、4位を争うロッテラーとオリベイラが並んだまま2コーナーへと侵入し、接触。オリベイラがスピンしたため、混乱した後続集団で多重クラッシュが発生した。オリベイラはこの接触で左フロントタイヤのパンクと車体前部の破損に見舞われ、ピットイン。午前中のフリー走行でトップ5タイムを叩き出し、決勝での追い上げを狙っていた平中もこのクラッシュに巻き込まれ、無念のリタイアとなってしまった。
 このクラッシュにより、レースは1周目からセーフティカーが導入され、5周目に再スタート。石浦が3位、ロッテラーが4位での序盤戦となった。
 26周目が終了したところで、上位勢での先頭を切ってロッテラーがピットイン。給油と共にタイヤを4本交換してピットアウト。28周目には石浦がピットインしたが、ロッテラーは石浦の前に出ることに成功した。
 30周目には、ロッテラー、石浦の前を走る小暮卓史(NAKAJIMA RACING)がピットインし、ロッテラーの前でコースへ復帰。しかし、ロッテラーは猛追を見せ、33周目の1コーナーで並びかけたが、軽い接触があり、ロッテラーはスピン。すぐに立て直したロッテラーは、再び小暮を追撃し、36周目のストレートで並ぶと、1コーナー進入でついに小暮をパス。続いて石浦も、38周目に激しいブレーキング競争の末に小暮の前に出た。
 一方、上位には、まだピットに入っていない大嶋と平手が1-2、そして1周目のピットインで最後尾まで落ちながらも
追い上げてきたオリベイラが3位までポジションを挽回していた。
 45周目終了時点で平手がピットイン。しかしここでピット作業時のタイムロスがあり、コース復帰時点で9位に後退。また、平手は作業時にトラブルがあり、再度のピットインを強いられ、周回遅れとなってしまった。
 その後も大嶋とオリベイラはピットに入らず周回を重ね、ペースで勝るオリベイラが55周目に大嶋をパス。その後方では、4位のロッテラーがファステストラップを塗り替えながらの猛烈な追い上げで、3位を走るロイック・デュバル
(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)をプッシュ。3位争いのバトルと、上位2台の燃料が最後までもつか、最後の
最後まで気の抜けない展開となった。
 ついにファイナルラップへ突入。首位を行くオリベイラが今季2勝目を飾るかと思われたが、2コーナーでまさかのスローダウン。大嶋がこれをパスし首位浮上。3位を争っていたデュバルとロッテラーの2台も、オリベイラをかわし、それぞれ
ひとつずつポジションをアップ。

 大嶋はそのまま逃げ切り、トップでチェッカー。驚きの無給油作戦を見事成功させ、嬉しいフォーミュラ・ニッポン初優勝を飾った。ロッテラーは最後まで
 テール・トゥ・ノーズで追ったが届かず、3位。今季4度目の表彰台獲得となった。石浦が4位。コッツォリーノが7位、
松田が8位に入り、今季の参戦2戦目でポイント獲得を
果たした。オリベイラはそのままコース脇に車両を停め、1周遅れの完走扱いで11位となった。
 今大会大嶋が初優勝を挙げたことで、今季のフォーミュラ・ニッポンは5戦で5人目の勝者が誕生。タイトル争いも、2戦を残して、首位から4位のロッテラーまでが僅か5点差。8点差で5位の平手と共に、今回勝利を挙げた大嶋もトップと11点差でタイトル争いに加わり、終盤2戦は更なる激戦が予想される。

リザルト

順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選予選タイムエンジン
137大嶋 和也PETRONAS TEAM TOM'S621:17'52.542101'09.600TOYOTA RV8K
21ロイック・デュバルDOCOMO TEAM DANDELION RACING623.34711'05.843HONDA HR10E
336アンドレ・ロッテラーPETRONAS TEAM TOM'S623.53841'06.253TOYOTA RV8K
48石浦 宏明Team LeMans6216.65851'06.345TOYOTA RV8K
532小暮 卓史NAKAJIMA RACING6225.96921'05.892HONDA HR10E
62伊沢 拓也DOCOMO TEAM DANDELION RACING6233.257121'12.496HONDA HR10E
77ケイ・コッツリーノTeam LeMans6233.389111'10.859TOYOTA RV8K
83松田 次生KONDO RACING6255.957141'07.861TOYOTA RV8K
916井出 有治MOTUL TEAM 無限6259.188131'07.643HONDA HR10E
1029井口 卓人DELIZIEFOLLIE/ CERUMO・INGING621'07.035151'07.989TOYOTA RV8K
1119J.P・デ・オリベイラMobil1 TEAM IMPUL611Lap31'06.061TOYOTA RV8K
1220平手 晃平Mobil1 TEAM IMPUL611Lap81'06.808TOYOTA RV8K
 10塚越 広大HFDP RACING1448Lap71'06.689HONDA HR10E
 31山本 尚貴NAKAJIMA RACING062Lap61'06.380HONDA HR10E
 18平中 克幸KCMG062Lap91'08.388TOYOTA RV8K
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1小暮 卓史HONDA HR10E31
2J.P・デ・オリベイラTOYOTA RV8K28
3ロイック・デュバルHONDA HR10E28
4アンドレ・ロッテラーTOYOTA RV8K26
5平手 晃平TOYOTA RV8K23
6大嶋 和也TOYOTA RV8K20
9石浦 宏明TOYOTA RV8K9
11ケイ・コッツォリーノTOYOTA RV8K3
12平中 克幸TOYOTA RV8K2
13松田次生TOYOTA RV8K1