2010年10月17日(日)配信

アンドレ・ロッテラーが今季初優勝!
トヨタエンジンが表彰台独占


アンドレ・ロッテラー(中央左)が今季初勝利。J.P.デ・オリベイラ(左)が
2位、石浦宏明(右)が3位でトヨタエンジン勢が表彰台を独占した
 フォーミュラ・ニッポンの第6戦が10月16日(土)、17日(日)の両日、大分県のオートポリスで行われた。
 全7戦で競われている今季のフォーミュラ・ニッポンも残すところ2戦となったが、これまで5戦を終えて5人の勝者が誕生する混戦となっており、ランキング上位ドライバーのポイント差は非常に小さく、タイトル争いは激しさを増している。
 阿蘇山の麓に位置するオートポリスでのフォーミュラ・ニッポン開催は3回目。今大会は1回のタイヤ交換が義務付けられており、昨年の大会でもピット戦略で大きく順位が入れ替わったことから、戦略が重要なレースとなる。

予選
 16日(土)午後1時45分からノックアウト方式の予選が開始。Q1から上位13台がコースレコードを更新するハイレベルな戦いとなった。このセッションでは、地元九州出身で、トップフォーミュラでの凱旋となったTDPドライバーの井口卓人(DELIZIEFOLLIE/CERUMO・INGING)が14番手、午前中のフリー走行はトラブルでほとんど走れず、苦戦を強いられた松田次生(KONDO RACING)が15番手でQ1敗退となった。
 Q2では、Q1で6番手と好走を見せたルーキーのケイ・コッツォリーノ(Team LeMans)がタイムを伸ばせず、11番手。平中克幸(KCMG)が12番手でグリッド確定。
 最終Q3セッションでは、残り6分を切って各車一斉にコースイン。アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)がまずトップタイムをマークしたが、その直後に1コーナーでスピンし、コース上にストップ。車輌排除のために赤旗となり、規定に則ってそのままセッションは終了となった。
 ロッテラーを含む5台のみがタイム計測を終えたが、ロッテラーは赤旗の原因を作ったとしてタイムが抹消され、4グリッド降格となった。この結果、TDPドライバーの大嶋和也(PETRONAS TEAM TOM'S)がフォーミュラ・ニッポンで初のポールポジションを獲得。貴重な1ポイントを獲得した。
 同じくTDPドライバーの平手晃平(Mobil1 TEAM IMPUL)が2番手、石浦宏明(Team LeMans)が3番手となり、TDPドライバーが予選トップ3を占めた。
 ロッテラーは5番手。以下はQ2のタイムで順位が決定され、J.P.デ・オリベイラ(Mobil1 TEAM IMPUL)が6番手グリッドとなった。

決勝
 17日(日)も秋晴れとなったオートポリス。フォーミュラ・ニッポンの決勝が行われる午後2時半には、気温21度、路面温度は38度とこの週末では最も暑いコンディションとなり、50周で争われる決勝レースがスタートした。
 スタートでは、最前列に並んだ大嶋と平手が若干遅れ、これをかわそうとした2列目以降で混乱が発生。4番手のロイック・デュバル(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が石浦に接触し、コントロールを失って大嶋に追突。大嶋はスピンしながら壁にクラッシュし、ここに他車が突っ込むという、多重クラッシュとなった。
 このクラッシュでセーフティカーが導入。セーフティカーランとなってすぐ、1周目終了の時点で、ロッテラーとオリベイラがタイヤ交換義務を果たすべくピットイン。後輪2本のみの交換としたロッテラーが前でコースへ復帰した。また、接触により左前タイヤのパンクなどダメージを負った石浦もピットへ向かい、応急処置とタイヤ交換、給油を行った。
 セーフティカーランは5周に渡って続き、井口、平中らもピットイン。ピットに入ったロッテラー以降が、入らなかった5台の後についての再スタートとなった。
 6周目に再スタートが切られ、ピットに入らず2番手につけた平手が、首位の山本尚貴(NAKAJIMA RACING)を猛プッシュ。4位のコッツォリーノも好ペースで前走車を追走。
 18周目、ピットに入らず、5位を走行していた松田がトラブルでコース脇にストップ。5台目のリタイアとなってしまった。
 平手は、21周目に山本がピットインしたことで首位に立ち、一気にペースアップ。コッツォリーノは25周目にピットインすると、山本の前でコースに復帰した。
 平手は32周目まで引っ張ってピットイン。きわどいタイミングながら、井口、コッツォリーノらの直前でコースに復帰した。これで、ロッテラーが首位に浮上。オリベイラが2位、石浦が3位、平手は4位となった。
 燃料やタイヤをセーブする走行を強いられた前3台を、フレッシュなタイヤの平手が追い上げるかに注目が集まったが、42周目、平手が突然燃料系のトラブルに見舞われペースダウン。レースは続行したが、次々に後続にパスされることとなってしまった。
 一方、首位を行くロッテラーは、オリベイラとの差をコントロールしながら、着実なペースで周回を重ね、見事トップでチェッカー。昨年の第6戦以来となる、今季初勝利を挙げた。これにより今季のフォーミュラ・ニッポンでは、6戦で6人目のウィナー誕生となった。
 2位はオリベイラ。3位は、スタートでの接触でステアリング系にダメージを負いながらも着実に走り続け、ファイナルラップでの後続の猛追を凌ぎきった石浦が入り、昨年の第3戦以来キャリア2度目となる表彰台を獲得。トヨタエンジン勢が表彰台を独占する結果となった。

 レース後の車検で、4位でチェッカーを受けた塚越広大(HFDP RACING)が失格となったため、5位以降が繰り上がることとなり、ルーキーのコッツォリーノが自身最高位となる4位フィニッシュ。コッツォリーノはレース中のファステストラップもマークした。同じくルーキーの井口も6位フィニッシュとなり、念願の初ポイントを獲得した。平中が7位。最後に平中にかわされた平手も、8位で1ポイントを獲得することとなった。
 完走僅か8台のサバイバルレースとなった今大会の結果、タイトル争いではオリベイラとロッテラーが同点でトップに立ち、最終戦へと臨むこととなった。

リザルト

順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選予選タイムエンジン
136アンドレ・ロッテラーPETRONAS TEAM TOM'S501:26'07.75951'30.997TOYOTA RV8K
219J.P・デ・オリベイラMobil1 TEAM IMPUL501.49861'31.087TOYOTA RV8K
38石浦 宏明Team LeMans5014.29831'40.871TOYOTA RV8K
47ケイ・コッツリーノTeam LeMans5030.372111'31.726TOYOTA RV8K
531山本 尚貴NAKAJIMA RACING5055.08381'31.434HONDA HR10E
629井口 卓人DELIZIEFOLLIE/CERUMO・INGING501'06.729141'33.107TOYOTA RV8K
718平中 克幸KCMG501'15.418121'32.051TOYOTA RV8K
820平手 晃平Mobil1 TEAM IMPUL501'15.68221'35.235TOYOTA RV8K
32小暮 卓史NAKAJIMA RACING2723Laps91'31.568HONDA HR10E
3松田 次生KONDO RACING1733Laps151'33.280TOYOTA RV8K
37大嶋 和也PETRONAS TEAM TOM'S050Laps11'31.973TOYOTA RV8K
1ロイック・デュバルDOCOMO TEAM DANDELION RACING050Laps41'41.883HONDA HR10E
2伊沢 拓也DOCOMO TEAM DANDELION RACING050Laps71'31.379HONDA HR10E
16井出 有治MOTUL TEAM 無限050Laps131'32.482HONDA HR10E
失格10塚越 広大HFDP RACING101'31.695HONDA HR10E
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1J.P・デ・オリベイラTOYOTA RV8K36
2アンドレ・ロッテラーTOYOTA RV8K36
3小暮 卓史HONDA HR10E31
4ロイック・デュバルHONDA HR10E28
5平手 晃平TOYOTA RV8K24
6大嶋 和也TOYOTA RV8K21
8石浦 宏明TOYOTA RV8K15
10ケイ・コッツォリーノTOYOTA RV8K8
12平中 克幸TOYOTA RV8K4
13井口卓人TOYOTA RV8K3
14松田次生TOYOTA RV8K1