2011年6月 6日(月)配信

中嶋一貴がフォーミュラ・ニッポン初優勝!
大嶋和也が続きTDPドライバーの1-2フィニッシュ!


フォーミュラ・ニッポンでの初優勝を飾った
中嶋一貴(中央)と2位に入った大嶋和也(左)
 フォーミュラ・ニッポンの第2戦が6月4日(土)、5日(日)の両日、大分県のオートポリスで行われた。
 開幕戦鈴鹿から3週間のインターバルで開催される今大会は、開幕戦で優勝を果たしたアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)が欠場するため、地元九州出身であるTDPドライバーの井口卓人がスポット参戦。TDPドライバーの中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)のチームメイトとして同チームの36号車をドライブする。
 今レースはタイヤ4本の交換が義務づけられているが、燃料給油の義務はない。しかし、250kmというレース距離は、無給油で走りきるのは難しい距離であり、高低差が厳しく、タイヤにも負担の大きいサーキットで、チームの戦略とドライバーの力が試されるレースとなった。

予選
 予選が行われた4日(土)は梅雨の合間の晴天に恵まれ、夏を思わせる気候の下で午後1時50分よりノックアウト方式での予選が行われた。
 20分間のQ1は、セッション終盤に各車アタック合戦を繰り広げたが、中嶋一貴はアタックラップでミスし、ボーダーラインギリギリの13番手で無念の2戦連続Q1敗退となってしまった。フリー走行でトラブルに見舞われ走り込めなかったアンドレア・カルダレッリ(KONDO RACING)と嵯峨宏紀(Le Beausset Motorsports)もQ2進出を果たせず、14番手、16番手でグリッドが確定した。
 10分間のインターバルを経て7分間のセッションとして行われたQ2は全車終盤に一発アタックでの勝負となり、TDPドライバーの国本雄資(Project μ/cerumo・INGING)が11番手、アレキサンドレ・インペラトーリ(SGC by KCMG)が12番手でQ3進出ならず。スポット参戦の井口は、地元で見事な走りを見せ、初のQ3進出を果たした。
 最終Q3セッションでは、Q1、Q2共に2番手タイムを叩き出したTDPドライバーの大嶋和也(Team LeMans)が最前列2番手グリッドを確保。非常に僅差の争いの中でJ.P.デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)が4番手、TDPドライバーの石浦宏明(Team KYGNUS SUNOCO)が5番手、井口が7番手、TDPドライバーの平手晃平(TEAM IMPUL)が8番手で決勝に臨むこととなった。

決勝
 5日(日)は朝から激しい雨に見舞われ、午前9時からのフリー走行はヘビーウェットコンディションの中で嵯峨がコースイン直後にクラッシュ。オリベイラを含む数台がコースアウトするなど厳しい状態で、天候やコンディションの変化をにらみながら決勝を迎えた。
 決勝のフォーメーションラップが開始される午後2時半には、雨は止んだものの路面はまだ濡れており、全車ウェットタイヤでグリッドへ。フリー走行でクラッシュした嵯峨は修復のためにピットスタート、直前のウォームアップ走行で駆動系のトラブルに見舞われた国本はかろうじてフォーメーションラップまでにはコースへ出たが、最後尾グリッドからのスタートとなった。
 午後2時34分、シグナルがブラックアウトし54周(250km)の決勝レースがスタート。最前列2番手の大嶋はポールポジションの塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)に並びかけ、そのままサイド・バイ・サイドでコーナーをクリアしていったが、惜しくも前に出るまでには至らず。
 しかし、1周目を終えて各車が戻ってきた時点で、大嶋、中嶋一貴、国本らが早くもピットイン。タイヤをドライ用のスリックタイヤに交換し、コースへ復帰した。
 翌周には塚越や石浦、井口、カルダレッリらもピットへ向かうが、先に入った大嶋と中嶋一貴はこの判断が見事にはまり、塚越をかわしポジションアップ。3周目、4周目にも各車次々にピットインしていき、全車がスリックタイヤに交換した時点で、大嶋が首位、中嶋一貴が2位、石浦が3位に浮上し、TDPドライバーによる1-2-3体制、これにオリベイラが続く形となった。
 地元井口はこの時点で6位と健闘を見せ、さらに前走車を攻めたが、7周目に他車との接触でサスペンションを破損。長い修復の後にレースへは復帰したが、6周遅れとなってしまった。
 首位を行く大嶋を中嶋一貴が一定の間隔を保って追う後方では、オリベイラが猛追を見せるが、オリベイラは20周目に給油のためにピットインしたために7位へ後退。石浦も接触を喫しペースダウン。徐々に順位を落とすこととなった。
 周回を重ねていっても大嶋と中嶋一貴は給油のためのピットインを行わず、1-2体制のまま後半戦へと突入。そのまま終盤の燃費勝負になるかと思われたが、42周目、大嶋にぴたりとつけていた中嶋一貴が、1コーナー進入で一気に大嶋をパス。その後は大嶋との差を広げていった。
 終盤戦は、無給油作戦を採る中嶋一貴、大嶋の2台が最後まで走り切れるかに注目が集まった。2位の大嶋は、3位塚越からの猛追を受け、燃料もタイヤも厳しい中で最後まで激しい2位争いを展開。
 結局中嶋一貴は、見事なマネージメントで燃料もタイヤも最後までもたせ、トップでチェッカー。国内トップフォーミュラであるフォーミュラ・ニッポン参戦2戦目にして初勝利を挙げた。
 チェッカー直前まで僅差のバトルを繰り広げた大嶋も逃げ切り、2位でフィニッシュ。TDPドライバーが1-2フィニッシュを果たすこととなった。
 オリベイラが4位。デビュー2戦目のインペラトーリが7位に入り嬉しいフォーミュラ・ニッポン初ポイントを獲得。接触によるノーズ交換のために予定外のピットインを強いられながらも、終盤他車より1秒以上速いファステストラップで猛烈な追い上げを見せた平手が8位に入った。
 チェッカー目前で燃料切れ車両が出るなど、厳しい戦いとなったこのレースを13番手スタートから見事制した中嶋一貴は、第1戦の3位に続く2戦連続表彰台獲得で、ドライバーズランキングでも首位に浮上。大嶋が2位で続くこととなった。

リザルト

順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選予選タイムエンジン
137中嶋 一貴PETRONAS TEAM TOM'S541:28'22.185131'33.290TOYOTA RV8K
27大嶋 和也Team LeMans540'06.95321'31.303TOYOTA RV8K
341塚越 広大DOCOMO TEAM DANDELION RACING540'07.70211'30.845HONDA HR10E
41J.P.デ・オリベイラTEAM IMPUL540'32.19741'31.397TOYOTA RV8K
516山本 尚貴TEAM 無限541'02.31161'31.785HONDA HR10E
640伊沢 拓也DOCOMO TEAM DANDELION RACING531Lap91'32.544HONDA HR10E
718アレキサンドレ・インペラトーリSGC by KCMG531Lap121'33.523TOYOTA RV8K
82平手 晃平TEAM IMPUL531Lap81'31.827TOYOTA RV8K
910小林 崇志HP REAL RACING531Lap151'33.402HONDA HR10E
108石浦 宏明Team KYGNUS SUNOCO531Lap51'31.490TOYOTA RV8K
1133国本 雄資Project μ/cerumo・INGING531Lap111'32.990TOYOTA RV8K
1236井口 卓人PETRONAS TEAM TOM'S486Laps71'31.796TOYOTA RV8K
3アンドレア・カルダレッリKONDO RACING4410Laps141'33.356TOYOTA RV8K
31中嶋 大祐NAKAJIMA RACING648Laps101'32.721HONDA HR10E
32小暮 卓史NAKAJIMA RACING351Laps31'31.332HONDA HR10E
62嵯峨 宏紀Le Beausset Motorsports0161'34.863TOYOTA RV8K
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1中嶋 一貴TOYOTA RV8K16
2大嶋 和也TOYOTA RV8K12
3アンドレ・ロッテラーTOYOTA RV8K10
6J.P.デ・オリベイラTOYOTA RV8K8
9アレキサンドレ・インペラトーリTOYOTA RV8K2
10平手晃平TOYOTA RV8K1
11石浦 宏明TOYOTA RV8K1