2012年7月17日(火)配信

天候二転三転の難レースをアンドレ・ロッテラーが逆転で制す!
中嶋一貴2位、大嶋和也3位でトヨタエンジンはトップ8独占


優勝したアンドレ・ロッテラー(中央左)、2位中嶋一貴(左)、
3位大嶋和也とトヨタドライバーが表彰台を独占した
 フォーミュラ・ニッポンの第4戦が7月14日(土)、15日(日)の両日、静岡県の富士スピードウェイで行われた。
 前戦オートポリスから約1ヶ月半ぶりとなる今大会は、全7戦で争われるシリーズの折り返しとなる。

予選
 14日(土)は前夜の降雨により、朝方の公式練習走行はウェットコンディションとなったが、その後雨は止み、全日本F3の第5戦決勝が行われた時点では路面はドライ。しかし、全日本F3の決勝レース中に再び小雨に見舞われ、続いてノックアウト方式で行われたフォーミュラ・ニッポンの予選は、まだスリックで走れるがウェット宣言が出されるという状態で、午後2時10分から開始された。
 Q1は赤旗中断もあったが、セッション中に雨は止んだため、再開後各車順調にタイムアップ。アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)がトップタイムをマークした。上位13台がQ2へと進出するこのセッションでは嵯峨 宏紀(TOCHIGI Le Beausset Motorsports)が14番手、折目 遼(SGC by KCMG)が17番手で敗退となった。
 Q2では、Q1でトップタイムをマークしたロッテラーのタイムが伸びず、まさかの9番手敗退。ロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO)も10番手でQ3進出を逃すことに。安田 裕信(KONDO RACING)が12番手となった。
 上位8台で争われたQ3は、セッション開始直前に再び雨が降り始め、コースは一気にウェットへ。セッション開始と同時に先陣を切ってコースインした中嶋 一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)がポールポジションを獲得。大嶋 和也(Team LeMans)が2番手。国本 雄資(Project μ/cerumo・INGING)が自身最高位グリッドとなる4番手につけた。
 5番手に松田 次生(TEAM IMPUL)、6番手にJ.P.デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)が続き、パドルシフト不調に見舞われた平手 晃平(Project μ/cerumo・INGING)は8番手となった。尚、平手はQ1セッション中にピット出口のホワイトラインをカットしたとして、決勝レースでは3グリッド降格。11番手グリッドから決勝レースをスタートすることとなった。

決勝

残り3周で逆転。今季2勝目を挙げたアンドレ・ロッテラー(#1)
 15日(日)コース路面はほぼ乾いているが空は低い雲が覆い、決勝レース直前のウォームアップラン中にも若干降雨があるなど、タイヤ選択が悩ましい状況でスタートを迎えることとなった。12番手スタートの安田のみウェットタイヤ、それ以外は全車スリックタイヤでスターティンググリッドについた。
 午後2時、55周(250km)で競われる決勝レースのスタートが切られた。ポールポジションの中嶋一貴と2番手の大嶋は一歩も譲らず、サイド・バイ・サイドのまま1コーナーに進入。続くコーナーで前に出た大嶋が首位に浮上した。後方では、6台が横並びで1コーナーへと向かうほどの混戦模様となったが、8番手グリッドのロッテラーが好ダッシュを見せ、4位にジャンプアップ。
 2周目に入るストレート上では、多くの車両がオーバーテイクシステムを点滅させての激しい順位争いが繰り広げられ、ロッテラーは前を行く国本をパス、3位に浮上した。
 その直後、2周目の1コーナーでは中嶋一貴が大嶋のインをつき、一旦は前に出たと思われたが、止まりきれずアウトにはらんだところを大嶋が抜き返し、首位をキープ。その後は大嶋、中嶋一貴、ロッテラーが1秒ほどの差でトップグループを形成した。
 5周目あたりからコースの一部で降り始めた雨は、20周目過ぎにはかなり強くなり、部分的に激しい水煙を巻き上げるほどとなった。このため、国本ら数台がピットインしウェットタイヤへと交換したが、国本より上位の車両は難コンディションの中スリックのまま走行を続けた。
 30周目を過ぎると雨の勢いは弱まり、部分的には晴れている場所も出てくる状態に。中嶋一貴は大嶋との差を詰め、トップグループでは最初の39周目にピットイン、タイヤを交換せず、給油のみでピットアウト。翌周にピットに向かった大嶋も同じ作戦でコースに復帰したが、中嶋一貴は僅差で大嶋の前に出ることに成功した。
 その翌周ピットへ向かったロッテラーは、中嶋一貴、大嶋の後方でコースへ復帰したが、大嶋を猛追。テール・トゥ・ノーズに持ち込みプレッシャーをかけると、49周目1コーナー進入のブレーキングで大嶋がバランスを崩した隙を逃さず、ロッテラーは大嶋をパスし、2位に浮上した。
 勢いに乗るロッテラーは首位を逃げるチームメイトの中嶋一貴にも迫り、激しいバトルを展開。残り5周ほどの時点で、再び最終コーナー方面で雨が降り始め、難コンディションとなる中、残り3周、ロッテラーは最終コーナー手前の第13コーナーからプリウスコーナーにかけて中嶋一貴のインを付いて並び、首位を奪取。
 逆転を許した中嶋一貴は最後までロッテラーを追ったが、ロッテラーが逃げ切り、トップでチェッカー。今季2勝目を挙げた。
 中嶋一貴が2位。大嶋が3位で表彰台を獲得。4位は10番手スタートから見事な追い上げを見せたデュバルが入った。デュバルらと激しいバトルを展開し観客を魅了した松田が5位。オリベイラが6位。7位、8位には平手、国本のセルモ・インギングコンビが入り、入賞圏内のトップ8をトヨタエンジン搭載車が独占した。
 今大会の結果、ドライバーズポイント争いでは中嶋一貴が再び首位に浮上。ロッテラーが4点差の2位で続いている。

 次戦第5戦は8月4日(土)5日(日)の両日、栃木県のツインリンクもてぎで開催される。

リザルト

決勝
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選予選タイムエンジン
1 1 アンドレ・ロッテラー PETRONAS TEAM TOM'S 55 1:28'45.190 9 1'26.417 TOYOTA RV8K
2 2 中嶋 一貴 PETRONAS TEAM TOM'S 55 1.09 1 1'36.694 TOYOTA RV8K
3 7 大嶋 和也 Team LeMans 55 4.584 2 1'38.674 TOYOTA RV8K
4 8 ロイック・デュバル Team KYGNUS SUNOCO 55 30.292 10 1'26.646 TOYOTA RV8K
5 20 松田 次生 TEAM IMPUL 55 33.714 5 1'40.495 TOYOTA RV8K
6 19 J.P.デ・オリベイラ TEAM IMPUL 55 52.702 6 1'40.616 TOYOTA RV8K
7 38 平手 晃平 Project μ/cerumo・INGING 55 56.544 8 1'44.812 TOYOTA RV8K
8 39 国本 雄資 Project μ/cerumo・INGING 55 1'05.668 4 1'40.252 TOYOTA RV8K
9 41 塚越 広大 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 55 1'08.199 3 1'40.034 Honda HR12E
10 32 小暮 卓史 NAKAJIMA RACING 55 1'13.398 13 1'27.016 Honda HR12E
11 31 中嶋 大祐 NAKAJIMA RACING 55 1'14.181 7 1'40.631 Honda HR12E
12 16 山本 尚貴 TEAM 無限 55 1'30.390 11 1'26.802 Honda HR12E
13 40 伊沢 拓也 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 55 1'30.715 Honda HR12E
14 62 嵯峨 宏紀 TOCHIGI Le Beausset Motorsports 54 1Lap 14 1'27.829 TOYOTA RV8K
15 11 中山 友貴 HP REAL RACING 54 1Lap 16 1'27.981 Honda HR12E
16 3 安田 裕信 KONDO RACING 53 2Laps 12 1'26.813 TOYOTA RV8K
10 金石 年弘 HP REAL RACING 44 11Laps 15 1'27.974 Honda HR12E
18 折目 遼 SGC by KCMG 37 18Laps 17 1'28.256 TOYOTA RV8K
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1 中嶋 一貴 TOYOTA RV8K 29
2 アンドレ・ロッテラー TOYOTA RV8K 25
3 塚越 広大 HONDA HR12E 23
4 J.P.デ・オリベイラ TOYOTA RV8K 17
6 大嶋 和也 TOYOTA RV8K 15
7 松田 次生 TOYOTA RV8K 13
8 ロイック・デュバル TOYOTA RV8K 11
10 平手晃平 TOYOTA RV8K 4
11 国本雄資 TOYOTA RV8K 2