2012年11月 5日(月)配信

9番手スタートからの大逆転!
中嶋一貴がレース2を制しシリーズチャンピオンを獲得


シリーズチャンピオンを獲得した中嶋一貴
 フォーミュラ・ニッポンの第7戦が11月3日(土)、4日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで行われた。
 2012年シーズンの、選手権がかかったシリーズ最終戦となる今大会は、2レース制として実施される。ポイントは1レース毎に通常の半分が与えられるが、各レースの優勝者には3ポイントのボーナスが加えられる。このため、2レースで最大18ポイントを獲得することが可能。理論的には7名がタイトル獲得の可能性を残しての最終戦を迎えた。
 今季のタイトル争いは近年まれに見る接戦となっており、第6戦終了時点でポイントリーダーの中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)、5ポイント差のアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)、7ポイント差のJ.P.デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)を含む、わずか7ポイント差の中にいる5人が事実上タイトルを争う形で最終戦に臨むこととなった。

予選
 3日(土)午前中のフリー走行を経て、午後1時30分からノックアウト方式での予選が行われた。今大会は2レース制のため、Q1の順位でレース1のグリッドが決定。上位13台で競われるQ2及び、上位8台によるQ3でレース2のグリッドが決定された。
 曇り空で若干肌寒いコンディションの中、Q1では松田次生(TEAM IMPUL)がトップタイムをマークし、レース1のポールポジションを獲得。チームメイトのオリベイラが3番手で逆転タイトルへ向け2列目グリッドにつけた。
 タイトルを争うロッテラーは5番手につけたものの、中嶋一貴は13番手とまさかの後方グリッドに。また、中嶋一貴はこのQ1で2度チェッカーフラッグを受けるというミスを犯し、レース1のスタートは更に3グリッド降格、16番手からの追い上げを強いられることとなった。
 10分間のインターバルを経て7分間で行われたQ2でも中嶋一貴はタイムを伸ばせず、9番手でQ2敗退。Q3では、逆転タイトルを狙うオリベイラがコースレコードを破る速さでトップタイムをマークし、レース2のポールポジションを獲得。同じくコースレコードを破った松田が3番手。ロッテラーは7番手スタートとなった。

決勝レース1
 4日(日)は好天に恵まれ、気温17度、路面温度23度という過ごしやすい気候の下、午前10時20分にレース1決勝がスタート。周回が20周と少なく、ピット義務のないレース1ではスタートが重要となるが、ポールポジションの松田は2番手スタートの伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)の先行を許し、2位に後退。オリベイラも4位へと一つポジションダウン。これにロッテラーが続く形となった。
 その後は大きな順位変動は無く、そのまま松田が2位、オリベイラが4位、ロッテラーが5位でフィニッシュ。
 16番手スタートの中嶋一貴はスタートで3つ順位を上げ、その後1台パスしたものの12位。ノーポイントに終わり、タイトル争いは、レース1で1位、3位に入った伊沢と塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が同ポイントでトップに浮上。中嶋一貴は2点差の3位に後退。ロッテラーは5点差の4位、オリベイラが6.5点差の5位で最終レースとなるレース2を迎えることとなった。

決勝レース2
 好天だったレース1とはうってかわって空には雲がかかり、路面温度がレース1に比べ3度ほど低下するコンディションの中、午後2時半にレース2(28周)のスタートが切られた。レース2はタイヤ4本の交換義務があるため、各チームピットタイミングの戦略も注目となった。
 スタートではポールポジションのオリベイラがポジションを守りホールショット。松田も3位をキープ。しかし、松田は1周目を終えて戻って来たシケイン手前でスローダウン。駆動系トラブルのため1周目にしてレースを終えることとなってしまった。
 9番手スタートの中嶋一貴ら数台が、1周目終了のタイミングでピットへ。タイヤを交換した中嶋一貴は、ピットに入った車両の中でトップでピットアウトすると、猛烈な速さで追い上げを開始した。
 首位を行くオリベイラは8周終了時にピットインし、中嶋一貴の前でピットアウト。しかし、翌周にもピットに戻り、再度タイヤを交換したため後退。13周目にもピットへ向かったオリベイラは、リアウィングのトラブルでそのままリタイアとなり、タイトル争いから脱落してしまった。
 その後は、各車が順次ピットへ向かっていったが、ハイペースで周回を重ねる中嶋一貴がライバル勢に先行し、徐々にポジションアップ。最後までピットインを引っ張った平手晃平(Project μ/cerumo・INGING)が23周目にピットインすると、中嶋一貴がついに首位に立った。
 中嶋一貴は安定したペースで首位を快走。最後は若干ペースを落としながらも、猛追するロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO)に1秒以上の差を付けてトップチェッカー。9番手スタートからの大逆転で開幕戦に続く今季2勝目を挙げ、逆転で今季のシリーズチャンピオンを獲得した。2位にはデュバル、終盤ファステストラップをマークする好走を見せた平手が5位。後半バトルを続け、ファイナルラップにロッテラーをかわした大嶋和也(Team LeMans)が7位、ロッテラーが8位でポイントを獲得した。
 昨年シリーズ2位に終わった中嶋一貴にとって、フォーミュラ・ニッポン2年目のシーズンで念願の初チャンピオン獲得となった。PETRONAS TEAM TOM'Sは昨年のロッテラーに続き、2年連続のドライバータイトル獲得。
 日本のトップフォーミュラとして1996年以来17年に渡り争われてきたフォーミュラ・ニッポンは、来季より「全日本選手権スーパーフォーミュラ」と名称が変更されることが発表されており、中嶋一貴はフォーミュラ・ニッポン最後のチャンピオンとして名を刻むこととなった。

リザルト

レース1
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選予選タイムエンジン
140伊沢 拓也DOCOMO TEAM DANDELION RACING2034'27.68221'39.244Honda HR12E
220松田 次生TEAM IMPUL203.24911'39.231TOYOTA RV8K
341塚越 広大DOCOMO TEAM DANDELION RACING2010.29331'39.336Honda HR12E
419J.P.デ・オリベイラTEAM IMPUL2011.81441'39.441TOYOTA RV8K
51アンドレ・ロッテラーPETRONAS TEAM TOM'S2012.81751'39.460TOYOTA RV8K
632小暮 卓史NAKAJIMA RACING2018.38561'39.525Honda HR12E
78ロイック・デュバルTeam KYGNUS SUNOCO2026.29781'39.621TOYOTA RV8K
87大嶋 和也Team LeMans2027.398101'39.900TOYOTA RV8K
938平手 晃平Project μ/cerumo・INGING2029.236111'39.958TOYOTA RV8K
1031中嶋 大祐NAKAJIMA RACING2030.263121'39.963Honda HR12E
1139国本 雄資Project μ/cerumo・INGING2032.372141'40.267TOYOTA RV8K
122中嶋 一貴PETRONAS TEAM TOM'S2034.71131'39.979TOYOTA RV8K
133安田 裕信KONDO RACING2035.51151'40.626TOYOTA RV8K
1410金石 年弘HP REAL RACING2038.576161'41.227Honda HR12E
1516山本 尚貴TEAM 無限2047.07171'39.574Honda HR12E
1662嵯峨 宏紀TOCHIGI Le Beausset Motorsports2048.63171'41.494TOYOTA RV8K
1715佐藤 琢磨TEAM 無限2052.59491'39.784Honda HR12E
1818折目 遼SGC by KCMG201'14.905181'43.736TOYOTA RV8K
レース2
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選予選タイムエンジン
12中嶋 一貴PETRONAS TEAM TOM'S2849'10.94691'39.452TOYOTA RV8K
28ロイック・デュバルTeam KYGNUS SUNOCO281.28981'39.259TOYOTA RV8K
341塚越 広大DOCOMO TEAM DANDELION RACING286.54721'38.774Honda HR12E
432小暮 卓史NAKAJIMA RACING287.27251'38.934Honda HR12E
538平手 晃平Project μ/cerumo・INGING2810.716101'39.511TOYOTA RV8K
640伊沢 拓也DOCOMO TEAM DANDELION RACING2828.46361'38.958Honda HR12E
77大嶋 和也Team LeMans2828.899131'39.861TOYOTA RV8K
81アンドレ・ロッテラーPETRONAS TEAM TOM'S2829.21871'39.092TOYOTA RV8K
93安田 裕信KONDO RACING2830.466151'40.626TOYOTA RV8K
1015佐藤 琢磨TEAM 無限2831.813111'39.533Honda HR12E
1131中嶋 大祐NAKAJIMA RACING2835.871121'39.592Honda HR12E
1239国本 雄資Project μ/cerumo・INGING2843.852141'40.267TOYOTA RV8K
1362嵯峨 宏紀TOCHIGI Le Beausset Motorsports2856.345171'41.494TOYOTA RV8K
1410金石 年弘HP REAL RACING281'22.451161'41.227Honda HR12E
1518折目 遼SGC by KCMG281'40.677181'43.736TOYOTA RV8K
 19J.P.デ・オリベイラTEAM IMPUL1315Laps11'38.700TOYOTA RV8K
 16山本 尚貴TEAM 無限424Laps41'38.904Honda HR12E
 20松田 次生TEAM IMPUL127Laps31'38.870TOYOTA RV8K
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1中嶋 一貴TOYOTA RV8K46
2塚越 広大HONDA HR12E43
3伊沢 拓也HONDA HR12E41.5
4アンドレ・ロッテラーTOYOTA RV8K35.5
5J.P.デ・オリベイラTOYOTA RV8K34.5
6ロイック・デュバルTOYOTA RV8K25
7大嶋 和也TOYOTA RV8K21.5
8松田 次生TOYOTA RV8K20
9平手晃平TOYOTA RV8K8
13国本雄資TOYOTA RV8K2