TOYOTA MOTOR SPORTS
2011年11月12日(土)配信

JAFグランプリ開幕。SUPER GT第1レースで脇阪寿一が3位表彰台
フォーミュラ・ニッポンの予選ではJ.P.デ・オリベイラがポールポジション


13番手スタートから追い上げ3位表彰台を獲得した
脇阪寿一(D'STATION KeePer SC430 35号車)
 「JAF Grand Prix SUPER GT & Formula NIPPON FUJI SPRINT CUP 2011」が11月11日(金)から13日(日)にかけて静岡県の富士スピードウェイで開催されている。
 昨年20年ぶりにその名称が復活した「JAFグランプリ」は、今年も日本最高峰カテゴリーのSUPER GTとフォーミュラ・ニッポンの両レースを実施。
 既に両カテゴリー共に今シーズンの日程は終了し、ポイントはかからないレースではあるが、多額の賞金と「JAFグランプリ」の称号をかけて、通常とは異なったフォーマットで激戦が展開された。
 また、昨年同様にドライバーを出身地で東西に分け、来場者も参加して競われる「東西対抗戦」、昨年人気を集めた、往年の名ドライバーによるワンメイクレース「レジェンドカップ」なども行われる盛りだくさんのイベントとなっている。
 トヨタ/LEXUS勢では、今季のSUPER GTに参戦したGT500クラスのLEXUS LS430 6台、GT300クラスのLEXUS IS350 1台、カローラアクシオ2台の全車がSUPER GTに出場。フォーミュラ・ニッポンには今季トヨタエンジンを搭載して参戦した8チーム10台が出場した。
 今大会では、通常のシリーズ戦とは異なるフォーマットで各レースが開催。SUPER GTは100kmのスプリントレースを2レース行い、2人のドライバーがどちらかのレースに出場。ドライバーの交代はない。また、GT500、GT300のクラス別でレースが行われ、計4レース、全て、通常は行われないスタンディングスタート(グリッド上停止からのスタート)で行われる。
 フォーミュラ・ニッポンは、昨年は2レース行われたが、今年は1レース。しかし、予選はスーパーラップ方式(1台ずつのアタック)で実施され、富士ならではの長いストレートエンドでの最高速でも競い合う。一周一発のタイムと最高速、それぞれの順位毎にポイントが与えられ、その合算でグリッドが決定される。

予選
 11日(金)はあいにくの雨。SUPER GTの公式練習、フォーミュラ・ニッポンのフリー走行を経て、午後1時50分から、ウェットコンディションでGT300、GT500のクラス毎に第1レースの公式予選が行われた。
 GT300クラスでは今大会、海外のレースに出場するために欠場したアレキサンドレ・インペラトーリに代わってSG CHANGI IS350 14号車を駆ることとなった山野直也がスピンを喫しながらも8番手。ハセプロMA イワサキ aprカローラ 31号車の嵯峨宏紀が9番手。TDPドライバーの国本雄資が第1レースを走るCOROLLA Axio apr GT 74号車は、コースイン直前に駆動系トラブルに見舞われノータイム。最後列15番手グリッドからのスタートとなった。
 GT500クラスでは、序盤好タイムをマークしたTDPドライバーの大嶋和也(ENEOS SUSTINA SC430 6号車)が2番手。後半は雨量が増したためにタイムの更新はなく、大嶋は最前列グリッドを確保。PETRONAS TOM'S SC430 36号車のアンドレ・ロッテラーが6番手につけた。
 その後雨は強さを増し、午後2時55分から予定されていた第2レースの予選は翌日へと延期となった。
 12日(土)は、天候は回復したものの、午前7時50分から行われた第2レースの予選開始時には、路面はまだウェット。先に走行開始されたGT300クラスは各車ウェット用タイヤでのアタックとなった。序盤は74号車の新田守男、31号車の岩崎祐貴らが上位に付けたが、その後ライバル勢にタイムで上回られ、74号車が5番手、31号車が6番手と3列目に並ぶことに。14号車の折目遼はタイムが伸びず、最後尾18番手となった。
 続いて行われたGT500クラスでも、路面は乾かず、各車ウェットタイヤでアタック。LEXUS勢はタイムを伸ばすことができず、荒聖治のWedsSport ADVAN SC430 19号車が最上位5番手。立川祐路がドライブした38号車が7番手。TDPドライバー井口卓人の39号車が10番手で、他のLEXUS勢はその後方に続くこととなった。

 続く午前10時15分、フォーミュラ・ニッポンの予選がスタート。快晴に恵まれたコースはかなり乾き、ライン上はほぼドライで、部分的に濡れている場所が残っている状態。通常フォーミュラ・ニッポンでは行われない、1台ずつのスーパーラップ方式で、今季ランキングの逆順でアタックが開始された。
 今大会欠場のインペラトーリに代わってスポット参戦となる松田次生(SGC by KCMG)が先陣を切ってコースイン。その後3番手にアタックしたアンドレア・カルダレッリ(KONDO RACUNG)が306.036km/hという最高速をマーク。これを、7番手出走の国本(Project μ/cerumo・INGING)が最高速に振ったセッティングを活かし、307.342km/hという速度で上回った。
 その後、タイムは塗り替えられていくものの、最高速では国本がトップをキープ。最終戦までタイトルを争ったランキング上位3台が最後に出走すると、J.P.デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)がトップタイムに加え、最高速でも国本とカルダレッリに次ぐ3番手を記録。続いてコースインしたTDPドライバーの中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)も、タイムは7番手ながら、最高速でオリベイラに次ぐ4番手。オリベイラと中嶋一貴が、合計得点で1-2に立った。
 最後にアタックした今季のチャンピオン、アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)はタイム、最高速共に伸びずまさかの7番手グリッド。オリベイラがポールポジション、中嶋一貴が2番手で最前列に並び、3番手には、国本と同ポイントながらタイムで上回ったTDPドライバーの石浦宏明(Team KYGNUS SUNOCO)、国本は最高速トップが奏効し、自己最高となる4番手グリッドを獲得。トヨタエンジン搭載車が2列目までを独占した。

決勝
 決勝第1レースは、フォーミュラ・ニッポン予選の後、ピットウォークを挟んで午後0時45分からGT300クラスがスタート。レース前に急に雲が空を覆い始めたこともあり、路面温度は17度と低く、GT車両にとっては今大会初のドライコンディションで、タイヤ選択に苦しむレースとなった。
 8番手スタートの14号車 山野直也はスタートから順位をキープし、中団グループでのバトルを繰り広げて8位でフィニッシュ。直前のフォーミュラ・ニッポンとの掛け持ちで乗り換えとなった9番手スタートの嵯峨は、1周リタイアに終わった。
 同じくフォーミュラ・ニッポンから乗り換えることとなった国本は、15番手スタートから序盤10位までポジションを上げたが、タイヤの摩耗が厳しく、残り5周でタイヤ交換のためにピットイン。16位でレースを終えた。

 午後3時15分にスタートしたGT500クラスの第1レースは、最前列の6号車大嶋が2番手をキープ、後方では6番手スタートの36号車ロッテラーが好スタートを切ったが、1コーナー進入のバトルの中で順位アップには至らず、6位のまま序盤戦へ。これに10番手スタートから追い上げたTDPドライバー 平手晃平(ZENT CERUMO SC430 38号車)、11番手スタートの片岡龍也(19号車)、そして13番手スタートの脇阪寿一(D'STATION KeePer SC430 35号車)が続く形となった。
 しかし7位に浮上した平手は序盤ペースが上げられず、2周目に片岡とのバトルで接触しスピン。14位まで後退。
 2位を行く大嶋もペースが上がらず、3位にポジションを落とした後、追い上げてきたロッテラー、脇阪の追撃を受けることに。9周目にはロッテラー、11周目に脇阪が大嶋をかわし、それぞれ3位、4位に浮上。後半戦はこの2台による表彰台をかけた、手に汗握る激しいバトルが展開された。
 毎周のように脇阪はロッテラーに並びかけるが追い抜くまでには至らず、そのままの順位でフィニッシュするかと思われた。しかし、ファイナルラップのヘアピンで、ついに脇阪がロッテラーのインを挿し、見事逆転。そのまま逃げ切り、13番手スタートから10ポジションを上げた脇阪が、チームに今季初の表彰台をもたらすこととなった。ロッテラーは4位。一旦後退を喫しながらも、後半見事な追い上げを見せた平手が5位。片岡、大嶋が6位、7位、石浦も9位でフィニッシュし、LEXUS SC430は全車がトップ10フィニッシュを果たした。

 明日の13日(日)はフォーミュラ・ニッポンの決勝レースと、SUPER GTは本日走行したドライバーのパートナーがドライブを担当する第2レースが行われ、両レースの獲得ポイントの合計により、栄光のJAFグランプリタイトルが決定される。

D'STATION KeePer SC430 35号車 ドライバー 脇阪寿一:
「昨日の予選はうまく行かなかったので、今日は、もう行くしかないと思ってレースに臨んだ。クルマは、二人のエンジニアともてぎでテストをして作り上げたもので、現在海外に滞在する高田エンジニアと、寝る間も惜しんでギリギリまでやりとりした。今日はそのクルマの速さを証明したかった。最後に、自分が世界で一番尊敬するドライバーのアンドレ・ロッテラーをパスできたことも、レースの神様が何か与えてくれたと感じている。アンドレをパスする事は容易でない事は承知していた。1コーナーや最終コーナーで並んだりはしたが、あれはパスするつもりは全くなく、ファイナルラップまで待って、いつもブレーキをかけていたヘアピンで彼に仕かけた。これまで苦労をかけたチームスタッフの労に報いることができ、最後のレースではあったが間に合ったと思っている」

リザルト

フォーミュラ・ニッポン 予選結果
順位No.ドライバーチームタイム/順位最高速(km/h)/順位合計点エンジン
11J.P.デ・オリベイラTEAM IMPUL1'25.756/1305.516/338TOYOTA RV8K
237中嶋 一貴PETRONAS TEAM TOM'S1'26.471/7304.654/431TOYOTA RV8K
38石浦 宏明Team KYGNUS SUNOCO1'26.297/5302.098/730TOYOTA RV8K
433国本 雄資Project μ/cerumo・INGING1'27.043/11307.342/130TOYOTA RV8K
540伊沢 拓也DOCOMO TEAM DANDELION RACING1'26.105/2299.335/1129HONDA HR10E
67大嶋 和也Team LeMans1'26.113/3300.334/1029TOYOTA RV8K
736アンドレ・ロッテラーPETRONAS TEAM TOM'S1'26.319/6301.423/828TOYOTA RV8K
82平手 晃平TEAM IMPUL1'26.568/8302.775/628TOYOTA RV8K
93アンドレア・カルダレッリKONDO RACING1'27.051/12306.036/228TOYOTA RV8K
1016山本 尚貴TEAM 無限1'26.962/10304.225/527HONDA HR10E
1118松田 次生SGC by KCMG1'26.936/9300.584/924TOYOTA RV8K
1241塚越 広大DOCOMO TEAM DANDELION RACING1'26.256/4296.053/1622HONDA HR10E
1332小暮 卓史NAKAJIMA RACING1'27.152/13298.507/1316HONDA HR10E
1431中嶋 大祐NAKAJIMA RACING1'27.447/14299.335/1216HONDA HR10E
1510小林 崇志HP REAL RACING1'27.732/15297.931/1413HONDA HR10E
1662嵯峨 宏紀Le Beausset Motorsports1'28.451/16297.849/1511TOYOTA RV8K
SUPER GT GT300 第1レース 結果表
順位No.車両ドライバー周回タイム/差予選予選タイム
14谷口 信輝初音ミク グッドスマイル BMW2238'43.75821'53.857
233藤井 誠暢HANKOOK PORSCHE220'00.09231'54.403
343松浦 孝亮ARTA Garaiya220'22.224131'57.461
411平中 克幸JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458220'24.05711'53.719
515ティム・ベルグマイスターART TASTE GT3R220'24.416111'57.022
627山岸 大PACIFIC NAC イカ娘 フェラーリ220'31.57351'55.338
788関口 雄飛JLOC ランボルギーニ RG-3220'31.98071'56.612
814山野 直也SG CHANGI IS350220'32.21981'56.634
986坂本 祐也JLOC ランボルギーニ RG-3220'44.283101'56.783
1066星野 一樹triple a Vantage GT2220'45.327121'57.062
1674国本 雄資COROLLA Axio apr GT211Lapdnqno time
31嵯峨 宏紀ハセプロMA イワサキ aprカローラ121Laps91'56.649
SUPER GT GT500 第1レース 結果表
順位No.車両ドライバー周回タイム/差予選予選タイム
146ロニー・クインタレッリS Road MOLA GT-R2235'18.66611'47.212
212J.P.デ・オリベイラカルソニック IMPUL GT-R220'00.54141'48.374
335脇阪 寿一D'STATION KeePer SC430220'13.823131'50.283
436アンドレ・ロッテラーPETRONAS TOM'S SC430220'14.11761'48.733
538平手 晃平ZENT CERUMO SC430220'24.712101'49.283
619片岡 龍也WedsSport ADVAN SC430220'24.722111'49.371
76大嶋 和也ENEOS SUSTINA SC430220'26.41021'47.578
8100山本 尚貴RAYBRIG HSV-010220'29.11981'49.032
939石浦 宏明DENSO SARD SC430220'37.547151'51.081
108小林 崇志ARTA HSV-010220'40.22471'48.972