JAFグランプリ開幕。SUPER GT第1レースで脇阪寿一が3位表彰台
フォーミュラ・ニッポンの予選ではJ.P.デ・オリベイラがポールポジション
13番手スタートから追い上げ3位表彰台を獲得した
脇阪寿一(D'STATION KeePer SC430 35号車)
「JAF Grand Prix SUPER GT & Formula NIPPON FUJI SPRINT CUP 2011」が11月11日(金)から13日(日)にかけて静岡県の富士スピードウェイで開催されている。
昨年20年ぶりにその名称が復活した「JAFグランプリ」は、今年も日本最高峰カテゴリーのSUPER GTとフォーミュラ・ニッポンの両レースを実施。
既に両カテゴリー共に今シーズンの日程は終了し、ポイントはかからないレースではあるが、多額の賞金と「JAFグランプリ」の称号をかけて、通常とは異なったフォーマットで激戦が展開された。
また、昨年同様にドライバーを出身地で東西に分け、来場者も参加して競われる「東西対抗戦」、昨年人気を集めた、往年の名ドライバーによるワンメイクレース「レジェンドカップ」なども行われる盛りだくさんのイベントとなっている。
トヨタ/LEXUS勢では、今季のSUPER GTに参戦したGT500クラスのLEXUS LS430 6台、GT300クラスのLEXUS IS350 1台、カローラアクシオ2台の全車がSUPER GTに出場。フォーミュラ・ニッポンには今季トヨタエンジンを搭載して参戦した8チーム10台が出場した。
今大会では、通常のシリーズ戦とは異なるフォーマットで各レースが開催。SUPER GTは100kmのスプリントレースを2レース行い、2人のドライバーがどちらかのレースに出場。ドライバーの交代はない。また、GT500、GT300のクラス別でレースが行われ、計4レース、全て、通常は行われないスタンディングスタート(グリッド上停止からのスタート)で行われる。
フォーミュラ・ニッポンは、昨年は2レース行われたが、今年は1レース。しかし、予選はスーパーラップ方式(1台ずつのアタック)で実施され、富士ならではの長いストレートエンドでの最高速でも競い合う。一周一発のタイムと最高速、それぞれの順位毎にポイントが与えられ、その合算でグリッドが決定される。
予選
11日(金)はあいにくの雨。SUPER GTの公式練習、フォーミュラ・ニッポンのフリー走行を経て、午後1時50分から、ウェットコンディションでGT300、GT500のクラス毎に第1レースの公式予選が行われた。
GT300クラスでは今大会、海外のレースに出場するために欠場したアレキサンドレ・インペラトーリに代わってSG CHANGI IS350 14号車を駆ることとなった山野直也がスピンを喫しながらも8番手。ハセプロMA イワサキ aprカローラ 31号車の嵯峨宏紀が9番手。TDPドライバーの国本雄資が第1レースを走るCOROLLA Axio apr GT 74号車は、コースイン直前に駆動系トラブルに見舞われノータイム。最後列15番手グリッドからのスタートとなった。
GT500クラスでは、序盤好タイムをマークしたTDPドライバーの大嶋和也(ENEOS SUSTINA SC430 6号車)が2番手。後半は雨量が増したためにタイムの更新はなく、大嶋は最前列グリッドを確保。PETRONAS TOM'S SC430 36号車のアンドレ・ロッテラーが6番手につけた。
その後雨は強さを増し、午後2時55分から予定されていた第2レースの予選は翌日へと延期となった。
12日(土)は、天候は回復したものの、午前7時50分から行われた第2レースの予選開始時には、路面はまだウェット。先に走行開始されたGT300クラスは各車ウェット用タイヤでのアタックとなった。序盤は74号車の新田守男、31号車の岩崎祐貴らが上位に付けたが、その後ライバル勢にタイムで上回られ、74号車が5番手、31号車が6番手と3列目に並ぶことに。14号車の折目遼はタイムが伸びず、最後尾18番手となった。
続いて行われたGT500クラスでも、路面は乾かず、各車ウェットタイヤでアタック。LEXUS勢はタイムを伸ばすことができず、荒聖治のWedsSport ADVAN SC430 19号車が最上位5番手。立川祐路がドライブした38号車が7番手。TDPドライバー井口卓人の39号車が10番手で、他のLEXUS勢はその後方に続くこととなった。
続く午前10時15分、フォーミュラ・ニッポンの予選がスタート。快晴に恵まれたコースはかなり乾き、ライン上はほぼドライで、部分的に濡れている場所が残っている状態。通常フォーミュラ・ニッポンでは行われない、1台ずつのスーパーラップ方式で、今季ランキングの逆順でアタックが開始された。
今大会欠場のインペラトーリに代わってスポット参戦となる松田次生(SGC by KCMG)が先陣を切ってコースイン。その後3番手にアタックしたアンドレア・カルダレッリ(KONDO RACUNG)が306.036km/hという最高速をマーク。これを、7番手出走の国本(Project μ/cerumo・INGING)が最高速に振ったセッティングを活かし、307.342km/hという速度で上回った。
その後、タイムは塗り替えられていくものの、最高速では国本がトップをキープ。最終戦までタイトルを争ったランキング上位3台が最後に出走すると、J.P.デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)がトップタイムに加え、最高速でも国本とカルダレッリに次ぐ3番手を記録。続いてコースインしたTDPドライバーの中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)も、タイムは7番手ながら、最高速でオリベイラに次ぐ4番手。オリベイラと中嶋一貴が、合計得点で1-2に立った。
最後にアタックした今季のチャンピオン、アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)はタイム、最高速共に伸びずまさかの7番手グリッド。オリベイラがポールポジション、中嶋一貴が2番手で最前列に並び、3番手には、国本と同ポイントながらタイムで上回ったTDPドライバーの石浦宏明(Team KYGNUS SUNOCO)、国本は最高速トップが奏効し、自己最高となる4番手グリッドを獲得。トヨタエンジン搭載車が2列目までを独占した。
決勝
決勝第1レースは、フォーミュラ・ニッポン予選の後、ピットウォークを挟んで午後0時45分からGT300クラスがスタート。レース前に急に雲が空を覆い始めたこともあり、路面温度は17度と低く、GT車両にとっては今大会初のドライコンディションで、タイヤ選択に苦しむレースとなった。
8番手スタートの14号車 山野直也はスタートから順位をキープし、中団グループでのバトルを繰り広げて8位でフィニッシュ。直前のフォーミュラ・ニッポンとの掛け持ちで乗り換えとなった9番手スタートの嵯峨は、1周リタイアに終わった。
同じくフォーミュラ・ニッポンから乗り換えることとなった国本は、15番手スタートから序盤10位までポジションを上げたが、タイヤの摩耗が厳しく、残り5周でタイヤ交換のためにピットイン。16位でレースを終えた。
午後3時15分にスタートしたGT500クラスの第1レースは、最前列の6号車大嶋が2番手をキープ、後方では6番手スタートの36号車ロッテラーが好スタートを切ったが、1コーナー進入のバトルの中で順位アップには至らず、6位のまま序盤戦へ。これに10番手スタートから追い上げたTDPドライバー 平手晃平(ZENT CERUMO SC430 38号車)、11番手スタートの片岡龍也(19号車)、そして13番手スタートの脇阪寿一(D'STATION KeePer SC430 35号車)が続く形となった。
しかし7位に浮上した平手は序盤ペースが上げられず、2周目に片岡とのバトルで接触しスピン。14位まで後退。
2位を行く大嶋もペースが上がらず、3位にポジションを落とした後、追い上げてきたロッテラー、脇阪の追撃を受けることに。9周目にはロッテラー、11周目に脇阪が大嶋をかわし、それぞれ3位、4位に浮上。後半戦はこの2台による表彰台をかけた、手に汗握る激しいバトルが展開された。
毎周のように脇阪はロッテラーに並びかけるが追い抜くまでには至らず、そのままの順位でフィニッシュするかと思われた。しかし、ファイナルラップのヘアピンで、ついに脇阪がロッテラーのインを挿し、見事逆転。そのまま逃げ切り、13番手スタートから10ポジションを上げた脇阪が、チームに今季初の表彰台をもたらすこととなった。ロッテラーは4位。一旦後退を喫しながらも、後半見事な追い上げを見せた平手が5位。片岡、大嶋が6位、7位、石浦も9位でフィニッシュし、LEXUS SC430は全車がトップ10フィニッシュを果たした。
明日の13日(日)はフォーミュラ・ニッポンの決勝レースと、SUPER GTは本日走行したドライバーのパートナーがドライブを担当する第2レースが行われ、両レースの獲得ポイントの合計により、栄光のJAFグランプリタイトルが決定される。
-
今季初の3位表彰台に上った脇阪寿一 -
翌日決勝レースが行われるフォーミュラ・ニッポンの
ポールポジションを獲得したJ.P.デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)
D'STATION KeePer SC430 35号車 ドライバー 脇阪寿一:
「昨日の予選はうまく行かなかったので、今日は、もう行くしかないと思ってレースに臨んだ。クルマは、二人のエンジニアともてぎでテストをして作り上げたもので、現在海外に滞在する高田エンジニアと、寝る間も惜しんでギリギリまでやりとりした。今日はそのクルマの速さを証明したかった。最後に、自分が世界で一番尊敬するドライバーのアンドレ・ロッテラーをパスできたことも、レースの神様が何か与えてくれたと感じている。アンドレをパスする事は容易でない事は承知していた。1コーナーや最終コーナーで並んだりはしたが、あれはパスするつもりは全くなく、ファイナルラップまで待って、いつもブレーキをかけていたヘアピンで彼に仕かけた。これまで苦労をかけたチームスタッフの労に報いることができ、最後のレースではあったが間に合ったと思っている」
リザルト
フォーミュラ・ニッポン 予選結果 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | No. | ドライバー | チーム | タイム/順位 | 最高速(km/h)/順位 | 合計点 | エンジン |
1 | 1 | J.P.デ・オリベイラ | TEAM IMPUL | 1'25.756/1 | 305.516/3 | 38 | TOYOTA RV8K |
2 | 37 | 中嶋 一貴 | PETRONAS TEAM TOM'S | 1'26.471/7 | 304.654/4 | 31 | TOYOTA RV8K |
3 | 8 | 石浦 宏明 | Team KYGNUS SUNOCO | 1'26.297/5 | 302.098/7 | 30 | TOYOTA RV8K |
4 | 33 | 国本 雄資 | Project μ/cerumo・INGING | 1'27.043/11 | 307.342/1 | 30 | TOYOTA RV8K |
5 | 40 | 伊沢 拓也 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 1'26.105/2 | 299.335/11 | 29 | HONDA HR10E |
6 | 7 | 大嶋 和也 | Team LeMans | 1'26.113/3 | 300.334/10 | 29 | TOYOTA RV8K |
7 | 36 | アンドレ・ロッテラー | PETRONAS TEAM TOM'S | 1'26.319/6 | 301.423/8 | 28 | TOYOTA RV8K |
8 | 2 | 平手 晃平 | TEAM IMPUL | 1'26.568/8 | 302.775/6 | 28 | TOYOTA RV8K |
9 | 3 | アンドレア・カルダレッリ | KONDO RACING | 1'27.051/12 | 306.036/2 | 28 | TOYOTA RV8K |
10 | 16 | 山本 尚貴 | TEAM 無限 | 1'26.962/10 | 304.225/5 | 27 | HONDA HR10E |
11 | 18 | 松田 次生 | SGC by KCMG | 1'26.936/9 | 300.584/9 | 24 | TOYOTA RV8K |
12 | 41 | 塚越 広大 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 1'26.256/4 | 296.053/16 | 22 | HONDA HR10E |
13 | 32 | 小暮 卓史 | NAKAJIMA RACING | 1'27.152/13 | 298.507/13 | 16 | HONDA HR10E |
14 | 31 | 中嶋 大祐 | NAKAJIMA RACING | 1'27.447/14 | 299.335/12 | 16 | HONDA HR10E |
15 | 10 | 小林 崇志 | HP REAL RACING | 1'27.732/15 | 297.931/14 | 13 | HONDA HR10E |
16 | 62 | 嵯峨 宏紀 | Le Beausset Motorsports | 1'28.451/16 | 297.849/15 | 11 | TOYOTA RV8K |
SUPER GT GT300 第1レース 結果表 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | No. | 車両 | ドライバー | 周回 | タイム/差 | 予選 | 予選タイム | |
1 | 4 | 谷口 信輝 | 初音ミク グッドスマイル BMW | 22 | 38'43.758 | 2 | 1'53.857 | |
2 | 33 | 藤井 誠暢 | HANKOOK PORSCHE | 22 | 0'00.092 | 3 | 1'54.403 | |
3 | 43 | 松浦 孝亮 | ARTA Garaiya | 22 | 0'22.224 | 13 | 1'57.461 | |
4 | 11 | 平中 克幸 | JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458 | 22 | 0'24.057 | 1 | 1'53.719 | |
5 | 15 | ティム・ベルグマイスター | ART TASTE GT3R | 22 | 0'24.416 | 11 | 1'57.022 | |
6 | 27 | 山岸 大 | PACIFIC NAC イカ娘 フェラーリ | 22 | 0'31.573 | 5 | 1'55.338 | |
7 | 88 | 関口 雄飛 | JLOC ランボルギーニ RG-3 | 22 | 0'31.980 | 7 | 1'56.612 | |
8 | 14 | 山野 直也 | SG CHANGI IS350 | 22 | 0'32.219 | 8 | 1'56.634 | |
9 | 86 | 坂本 祐也 | JLOC ランボルギーニ RG-3 | 22 | 0'44.283 | 10 | 1'56.783 | |
10 | 66 | 星野 一樹 | triple a Vantage GT2 | 22 | 0'45.327 | 12 | 1'57.062 | |
16 | 74 | 国本 雄資 | COROLLA Axio apr GT | 21 | 1Lap | dnq | no time | |
31 | 嵯峨 宏紀 | ハセプロMA イワサキ aprカローラ | 1 | 21Laps | 9 | 1'56.649 | ||
SUPER GT GT500 第1レース 結果表 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | No. | 車両 | ドライバー | 周回 | タイム/差 | 予選 | 予選タイム | |
1 | 46 | ロニー・クインタレッリ | S Road MOLA GT-R | 22 | 35'18.666 | 1 | 1'47.212 | |
2 | 12 | J.P.デ・オリベイラ | カルソニック IMPUL GT-R | 22 | 0'00.541 | 4 | 1'48.374 | |
3 | 35 | 脇阪 寿一 | D'STATION KeePer SC430 | 22 | 0'13.823 | 13 | 1'50.283 | |
4 | 36 | アンドレ・ロッテラー | PETRONAS TOM'S SC430 | 22 | 0'14.117 | 6 | 1'48.733 | |
5 | 38 | 平手 晃平 | ZENT CERUMO SC430 | 22 | 0'24.712 | 10 | 1'49.283 | |
6 | 19 | 片岡 龍也 | WedsSport ADVAN SC430 | 22 | 0'24.722 | 11 | 1'49.371 | |
7 | 6 | 大嶋 和也 | ENEOS SUSTINA SC430 | 22 | 0'26.410 | 2 | 1'47.578 | |
8 | 100 | 山本 尚貴 | RAYBRIG HSV-010 | 22 | 0'29.119 | 8 | 1'49.032 | |
9 | 39 | 石浦 宏明 | DENSO SARD SC430 | 22 | 0'37.547 | 15 | 1'51.081 | |
10 | 8 | 小林 崇志 | ARTA HSV-010 | 22 | 0'40.224 | 7 | 1'48.972 | |