JGTC第2戦。波乱の富士をトヨタ・スープラが制す!
JGTC最長の500kmレースで2年連続優勝を1-2フィニッシュで飾る
大荒れとなったJGTC第2戦を制した
竹内/立川組のトヨタ・スープラ
全日本GT選手権第2戦、「オールジャパン富士GTレース」が5月3日~4日の両日、静岡県の富士スピードウェイで開催された。大型連休中に行われる同大会はJGTCの中でも毎年最多の観客動員を記録。全日本F3選手権の第5、6戦、ネッツカップのヴィッツ関東シリーズ第3戦/アルテッツァシリーズ第3戦、さらに、今季新型シャシーに進化したフォーミュラトヨタシリーズ開幕戦など、トヨタの人気サポートレースの併催もあり大盛況となった。
予選
好天に恵まれた3日にはF3第6戦決勝レースを挟んで公式予選が行われた。午前中のセッションでは、昨年のウィナーであるエッソウルトラフロースープラ6号車の脇阪寿一が、コースレコードを破る1分24秒303のトップタイムを記録。一方、auセルモスープラ1号車の立川祐路はタイムアタック中のブレーキングミスにより、1分24秒475の2番手タイムにとどまった。
午後のセッションでは、コンディションがやや悪化したものの、終盤にスープラ1号車の立川祐路が、自己タイムを更新する1分24秒386を記録。さらにタイムアップを狙ったが、スロー走行中の他車と接触、アタックを断念した。その際、車両の破片がコース上に残ったことから、後続の6号車もそのまま走行を終了した。
その結果、午前中のタイムにより、スープラ6号車が同大会2年連続のポールポジションを獲得した。スープラ1号車は2番手につけ、スープラがフロントローを独占した。
GT300では、前戦TIで優勝したARTAアペックスMR-S31号車がハンディウェイトの影響でタイムが伸びず、ウェッズスポーツMR-S19号車が3位、シグマMR-S71号車が5番手に付けた。
決勝
4日は朝から暗い雲に覆われ、降雨も予想されたが、午前中のアルテッツァ、フォーミュラトヨタの決勝レースが終わる頃には次第に好転。晴れ間も覗く中、午後1時43分にスタートが切られた。
レース序盤はスープラ6号車、1号車の順で周回を開始、よりセッティングの決まっていたスープラ1号車が7周目にトップに立った。その後、中盤戦となる57周目にかけて、スープラ1号車、6号車、そして、マクラーレン、三つ巴の激しい首位争いが繰り広げられた。
しかし、その後、スープラ6号車は、飯田章にドライバー交代したピットでの発進時の安全確認ミスにより、30秒のピットストップペナルティを課されて後退。着実に順位を上げてきたスープラ36号車が代わって2位に躍進。その後も、スープラ勢の優勢が続くかと思われた。
ところが、スープラ36号車と1号車が2度目のピット作業を行った直後、コースアウト車両の回収のために、4回目のセーフティカーが導入され、このタイミングを利用してピットインしたNSX8号車と16号車に、先行を許してしまった。
79周目にレースが再開されたが、スープラ1号車はトップを逃げるNSX8号車に6.993秒差。しかし、立川祐路は、満場の観客を大いに沸かせて、1周ごとに1秒以上短縮する炎の追撃を開始。88周目のセーフティカー導入でその差はさらに縮まり、90周目にはスープラ1号車は、NSX16号車をかわし2位へ、92周目には、遂にトップの座を奪還するとそのまま後続を引き離してフィニッシュ。また、
一時6位まで順位を下げたスープラ6号車も積極的に追い上げ、108周目にNSX8号車を抜き3位へ復帰、114周目のファイナルラップではNSX16号車をかわすデッドヒートを見せて、スープラ1号車に続く2位でチェッカーを受けた。
スープラ勢は、セーフティカーが6回も導入される波乱のレースで高いパフォーマンスを発揮、見事同大会2年連続優勝をワン・ツー・フィニッシュで飾った。この結果によりスープラ1号車はポイントランキング首位に躍進した。
一方、GT300クラスでは、クラス5番手スタートのMR-S71号車が徐々にポジションをアップ。上位陣の脱落もあり、セーフティカー導入時のピット作業を活かして36周目にトップに躍進。その後はこのMR-S71号車とMR-S19号車が首位を争う展開となった。そして、2度目のピット作業を機にMR-S19号車が首位に立ち、終盤までリード。しかし、残り3周でエンジントラブルで5位に後退。MR-S・71号車は、惜しくも終盤首位の座をヴィーマックに譲るものの2位となり、表彰台獲得を果たした。
auセルモスープラ1号車のドライバー 竹内浩典のコメント:
念願の優勝が出来て最高の気分。立川とのコンビと、チームのおかげで、今、スープラの中で我々が一番セッティングを煮詰められていると思う。良いクルマを作ってくれたチームに感謝している。
auセルモスープラ1号車のドライバー 立川祐路のコメント:
昨年は無勝でタイトルを獲得したこともあり、今年は"勝ってチャンピオン"が目標なので、まずはその一歩を踏み出せた。金曜から決勝レースに向けて調整してきたセッティングがうまく決まり、NSXに先行された時も、余裕を持って追いかけることが出来た。優勝はやはり気持ちが良い。
エッソウルトラフロースープラ6号車のドライバー 脇阪寿一のコメント:
今回は一発の速さは出せたが、決勝のセッティングでは1号車に負けていたと思う。それでも頑張ってスープラによるワン・ツー・フィニッシュが出来てとても嬉しい。
エッソウルトラフロースープラ6号車のドライバー 飯田章のコメント:
ピットからの発進の際、タイミング悪く他車と接触してしまい、ペナルティを受けてしまった。コクピットからは死角の部分で、とても悔しいが次戦で再び上位を目指す。
トヨタ自動車(株)モータースポーツ部主査 柘植和廣のコメント:
予選から富士仕様のセッティングがうまく決まり、スープラでワン・ツーを獲得することが出来た。セーフティカーの導入には運・不運もあったが、この結果は実力で出したものだと思う。GT300クラスのMR-Sは、31号車がウェイトで苦しむなど、優勝を逃してしまった。次戦以降の巻き返しに期待したい。
トヨタ自動車(株)モータースポーツ部部長 松井誠のコメント:
富士はスープラにとって得意なコースだが、500kmの長丁場では何があるか分からない。その中で、空力をここFISCOに的を絞って開発するなど努力した結果が出たと思う。スタンドを埋めた多くのレースファンも、何度もセーフティカーの導入される波乱のレース展開を楽しんでもらえたのでは。
リザルト
順位 | No. | 車名 | ドライバー名 | 所要時間/差 | 周回 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | トヨタスープラGT | 竹内浩典/立川祐路 | 3:14'42.322 | 114 |
2 | 6 | トヨタスープラGT | 脇阪寿一/飯田 章 | 0'05.311 | 114 |
3 | 16 | ホンダNSX | 伊藤大輔/D.シュワガー | 0'06.178 | 114 |
4 | 8 | ホンダNSX | 土屋圭市/金石勝智 | 0'14.557 | 114 |
5 | 100 | ホンダNSX | 光貞秀俊/金石年弘 | 0'16.093 | 114 |
6 | 23 | スカイラインGT-R | 影山正美/E.コマス | 0'25.572 | 114 |
7 | 22 | スカイラインGT-R | 本山 哲/M.クルム | 0'28.587 | 114 |
8 | 76 | マクラーレンGT-R | 服部尚貴/田嶋栄一 | 1'17.315 | 114 |
9 | 30 | マクラーレンGT-R | 岡田秀樹/黒澤治樹 | 1Lap | 113 |
10 | 35 | トヨタスープラGT | 影山正彦/脇阪薫一 | 1Lap | 113 |
チーム | 車両 | No. | ドライバー | 決勝結果 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
TOYOTA TEAM CERUMO | トヨタスープラGT | 1 | 竹内浩典/立川祐路 | 1位 | |||
ESSO TOYOTA TEAM LeMans | トヨタスープラGT | 6 | 脇阪寿一/飯田 章 | 2位 | |||
KRAFT | トヨタスープラGT | 35 | 影山正彦/脇阪薫一 | 10位 | |||
TOYOTA TEAM TOM'S | トヨタスープラGT | 37 | 黒澤琢弥/P.モンティン | 12位 | |||
土屋エンジニアリング | トヨタスープラGT | 25 | 山路慎一/G.リース | 13位 | |||
TOYOTA TEAM TOM'S | トヨタスープラGT | 36 | 土屋武士/W.ガードナー | 25位 | |||
TOYOTA TEAM SARD | トヨタスープラGT | 39 | J.デュフォア/織戸 学 | リタイア | |||
シグマテックレーシングチーム | トヨタMR-S | 71 | Guts城内/澤 圭太 | 15位/2位 | |||
RACING PROJECT BANDOH | トヨタMR-S | 19 | 田中 実/後藤 聡 | 18位/5位 | |||
TOM'S SPIRIT | トヨタMR-S | 17 | 松永まさひろ/滑川 健 | 24位/11位 | |||
KRAFT | トヨタMR-S | 86 | 長島正興/松田晃司 | 31位/17位 | |||
ARTA with A'PEX | トヨタMR-S | 31 | 新田守男/高木真一 | リタイア | |||
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