2002年6月23日(日)配信

猛暑のマレーシア戦でトヨタ・スープラ2位入賞
海外で初のシリーズ戦開催となるJGTC第4戦 トムス勢が2.3位表彰台


JGTC第4戦で2位入賞を果たした
土屋/ガードナー組のトヨタ・スープラ
 全日本GT選手権第4戦「TMタッチ ジャパンGTチャンピオンシップ マレーシア」が6月22日と23日の両日、マレーシアのセパンサーキットで開催された。一昨年からノンタイトル戦として開催されて来たセパン戦だが、シリーズ戦は今回が初めて。全日本選手権レースの海外シリーズ開催は過去に例がなく、日本のモータースポーツ史上でも意義深い大会として注目を集めた。シリーズ戦化に伴い、昨年の約5割増しにあたる39台が出場。トヨタ勢はGT500クラスのスープラ8台と、GT300クラスのMR‐S3台の総勢11台がエントリーした。金曜日から始まったフリープラクティスでは、気温が36度を超える例年通りの酷暑の中、午前中のセッションではトクホントムススープラ36号車(ウェイト20kg)がトップタイムを記録。第2戦富士での優勝により現在50kgのウェイトを積むauセルモスープラ1号車も6番手、デンソーサードスープラ39号車(ウェイト10kg)が7番手と好調な出足を見せた。今回がデビュー戦となるUnited UKYOスープラ33号車の高校生ドライバー下田隼成も片山右京「監督」の指導のもとで積極的に周回を重ねていた。

予選
 22日(土)の公式予選にはGT500クラス18台、GT300クラス21台が出走。午前11時20分から気温34度の中でスタートした午前中のセッションでは、終盤のGT500/GT300混走時間帯に土屋武士のアタックするスープラ36号車とNSX64号車のトップ争いとなり、この2台が早くも1分台に突入。1分59秒800を叩きだしたスープラ36号車が僅か0.004秒差ながらNSX64号車を押さえ、暫定ポールポジションを獲得した。午後3時半から行われた午後のセッションでは気温が序々に下がり、後半にはタイムが向上。GT300、GT500両クラス共に走行時間終盤でのアタック合戦が展開された。GT500では、P・モンティンが初めてアタックを担当したZENTトムススープラ37号車が一時トップに躍り出るなどスープラ勢は健闘。しかし、残り数分で再びスープラ36号車とNSX64号車の一騎打ちとなり、土屋武士が1分59秒328でトップに立つものの、チェッカー間際にNSX64号車が逆転、惜しくもPP獲得は果せなかった。第2戦2位、第3戦の優勝で90kgものウェイトを積むエッソウルトラフロースープラ6号車は苦しみながらも9番手を獲得した。一方、GT300クラスでは走行時間終盤にウェッズスポーツMR‐S19号車の田中実が1分10秒214を記録してトップに立ち、優位かと思われたが、予選終了間際にヴィーマックに逆転された2番手からの決勝スタートとなった。

決勝
 23日(日)の決勝スタート時刻は、日中の暑さを配慮して午後3時。ほぼ定刻にローリングスタートが切られ、オープニングラップを2位で周回を開始したスープラ36号車は、早々にNSX64号車との激しいトップ争いを展開。 観客の盛んな歓声を浴びる一方、その後では、第1コーナーでスープラ37号車がスピンし、他車と接触。コースに復帰するが、この影響を受けたスープラ6号車とともに後退してしまった。その後も、スープラ36号車とNSXの首位争奪戦が続いたが、スープラ36号車は、周回遅れ車両に行く手を阻まれ35周目の最終コーナーで無念のコースオフ。戦列復帰はしたがその差は23秒に広がり、結局そのまま2位でのフィニッシュとなった。また、迫真の追い上げを見せたスープラ37号車は、見事終盤3位に浮上し、36号車ともども初表彰台を獲得した。また、近藤真彦と組んで初レースを戦った下田隼成は無事7位で完走を果した。一方、GT300クラスではポールポジションからスタートのヴィーマックが後退した後、2番手スタートのMR-S19号車が首位に立つが、予定より早めのピットインを余儀なくされ、後半ペースを保てずに後退。代わって、予選こそ振るわなかったが、ハードタイヤを選択してコンスタントに走り切ったARTAアペックスMR-S31号車が2位でチェッカーを受けた。

トクホントムススープラ36号車のドライバー 土屋武士のコメント:
 今回はクルマもタイヤも気持ち良く決まり、2位を獲得できた。もちろん優勝したかったが、金曜日午後のプラクティスはメカニカルトラブルで走れず、セッティングを詰め切れなかったことが優勝したNSXとの差になってしまったのだと思う。次の富士こそ表彰台の頂点目指し頑張る。

トクホントムススープラ36号車のドライバー W.ガードナーのコメント:
 土屋選手とはセッティングの好みも合う、良いコンビだ。優勝は出来なかったが、37号車も3位で続くなどチームは確実に上向きで来ている。この勢いで次戦以降もアタックする。

トヨタ自動車(株)モータースポーツ部主査 柘植和廣のコメント:
 初のシリーズ戦海外開催はイベントとして上々の成果を収めたと思う。3年目で認知度も上がっているのだろう。スープラ勢は暑さ対策をしてマレーシアに臨んだ。中でもトムス勢はこのところ調子を上げており、やっと結果に結びつけることが出来て良かった。もちろん勝ちたかったが、スープラ勢全体のポイント獲得が達成されたのは選手権として重要な結果だ。GT300は19号車は残念だったが、31号車が2位に入って、再びランキング上位に浮上するなど、どちらのクラスもこれからの後半戦が楽しみだ。

リザルト

順位No.車名ドライバー名所要時間/差周回
1 64 ホンダNSX 松田次生/R.ファーマン 1:52'58.555 54
2 36 トヨタスープラGT 土屋武士/W.ガードナー 0'18.758 54
3 37 トヨタスープラGT 黒澤琢弥/P.モンティン 0'23.767 54
4 22 スカイラインGT-R 本山 哲/M.クルム 0'39.047 54
5 100 ホンダNSX 加藤寛規/光貞秀俊 0'50.724 54
6 8 ホンダNSX 土屋圭市/金石勝智 1'16.113 54
7 33 トヨタスープラGT 近藤真彦/下田隼成 2'02.826 54
8 76 マクラーレンGT-R 服部尚貴/田嶋栄一 1lap 53
9 1 トヨタスープラGT 竹内浩典/立川祐路 1lap 53
10 16 ホンダNSX 伊藤大輔/D.シュワガー 1lap 53
チーム車両No.ドライバー決勝結果
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 36 土屋武士/W.ガードナー 2位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 37 黒澤琢弥/P.モンティン 3位
TOYOTA TEAM CERUMO トヨタスープラGT 33 近藤真彦/下田隼成 7位
TOYOTA TEAM CERUMO トヨタスープラGT 1 竹内浩典/立川祐路 9位
ESSO TOYOTA TEAM LeMans トヨタスープラGT 6 脇阪寿一/飯田 章 11位
KRAFT トヨタスープラGT 35 影山正彦/脇阪薫一 12位
土屋エンジニアリング トヨタスープラGT 25 山路慎一/荒 聖治 リタイア
TOYOTA TEAM SARD トヨタスープラGT 39 J.デュフォア/織戸 学 失格
ARTA with A'PEX トヨタMR-S 31 新田守男/高木真一 16位/2位
RACING PROJECT BANDOH トヨタMR-S 19 田中 実/後藤 聡 20位/6位
KRAFT トヨタMR-S 86 長島正興/松田晃司 27位/13位
ドライバーズポイント
順位ドライバー名ポイント
1位 松田次生/R.ファーマン 45
2位 脇阪寿一/飯田 章 37
3位 D.シュワガー/伊藤大輔 35
4位 竹内浩典/立川祐路 34
8位 土屋武士/W.ガードナー 22
9位 黒澤琢弥/P.モンティン 21
エンジンチューナーポイント
順位エンジンチューナーポイント
1位 トヨタテクノクラフト 67
1位 無限 67
3位 オーテックジャパン 26
4位 BMW Motorsport 12
5位 東名エンジン 3
チームポイント
順位チーム名ポイント
1位 Mobil 1 NAKAJIMA RACING 45
2位 無限×童夢 プロジェクト 44
3位 TOYOTA TEAM CERUMO 38
4位 ESSO TOYOTA Team LeMans 37
6位 TOYOTA TEAM TOM'S 30
10位 TOYOTA TEAM SARD 13