2002年7月28日(日)配信

真夏のJGTC第5戦富士でトヨタ・スープラ勢圧勝 トップ6に4台入賞。
竹内/立川組スープラがポール・トゥ・ウィンで今季2勝目


JGTC第5戦でポール・トゥ・ウィンで今季2勝目を挙げた
竹内/立川組のトヨタ・スープラ
 真夏恒例のGTレース、全日本GT選手権第5戦「ジャパンスペシャルGTカップ」が7月27日、28日の両日、静岡県・富士スピードウェイで開催された。
 サポートレースのネッツカップ・ヴィッツ関東シリーズ第5戦には107台ものエントリーが集まったほか、今季から新型シャシー"FT30"を導入したエッソ・フォーミュラ・トヨタシリーズ第5戦でも、トップドライバーを目指す若手ドライバーによる熾烈な争いが繰り広げられた。さらには13年ぶりに"グラチャン"が新シリーズ「GC-21」となって復活し、開幕するなど話題も多い大会となった。
 連日好天に恵まれ気温は30度を超えたが、夏休み期間中の開催ということもあり、木曜日の合同テストから数多くの観客がサーキットを訪れ、決勝レースの日曜日には5万1千人の観客動員を記録。相変わらずGT人気の高さを印象付けた。

予選
 今大会には総勢47台がエントリー。予選には45台が出走し、このうちトヨタ勢はGT500クラスに8台のスープラ、GT300クラスに5台のMR-Sが参加した。スープラ勢はエンジンの更なる性能向上と、空力の見直しを施してストレートの長い富士に臨んだ。
 26日に好天のもとで行われた練習走行では、第2戦で優勝し今回30kgのウェイトを積むauセルモスープラ1号車が午前/午後の両セッションでトップタイム。続く27日の公式予選・午前中のセッションでも1分24秒729を記録して暫定ポールを獲得した。これにFK/マッシモADVANスープラ25号車が0.191秒差の2番手で続き、前戦セパンで2位表彰台に上がったトクホントムススープラ36号車も4番手など、スープラ勢が上位を占めた。
 午後のセッションでは、路面状況が滑りやすくなる中、全体的にタイムが伸び悩み、スープラ1号車のポールポジションが確定。スープラはフロントロウを独占した。予選結果は上位14台が1秒差以内に入るという接戦で、決勝での混戦が予想された。

決勝
 決勝日の28日は朝から曇りがち。午前中にはネッツカップ・ヴィッツ関東シリーズ第5戦、エッソ・フォーミュラ・トヨタシリーズ第5戦の決勝に続き、富士スピードウェイ独自の新シリーズGC-21スポーツカーレースの開幕戦が行われた。これに先立ってセレモニーでは関谷正徳現トヨタ・チームトムス監督をはじめとする往年のGCドライバーがメインスタンド前で一堂に会し、かつてのGCマシンとGC-21のパレードを行うなど、老若男女を問わず詰め掛けたファンを魅了した。
 予定より約25分遅れてスタートしたJGTCの決勝はスープラ1号車がまずリード。これにスープラ25号車、好スタートを切ったスープラ36号車が続いた。しかし、オープニングラップでGT300車両2台が接触し、早々にセーフティカー導入に。
 4周後にレースは再開され、2台のスープラは後続を引き離すが、60kgのウェイトに苦しむスープラ36号車はスカイライン22号車と激しい3位争いの末、4位に後退。19周目にはスープラ33号車がコースアウトを喫し、その排除のため2度目のセーフティカー導入。スープラ33号車はすぐにコース復帰を果すが、競技車両の隊列順位を整えるのに手間取り、セーフティカーは6周に渡って走行。
 各車はこの間隙を縫って燃料補給/ドライバー交代のピットに向かい、順位は錯綜。スープラ1号車は混雑するピットレーンでピットアウトに手間取り、一時は5位まで後退するが、レースが再開されるとスープラ1号車のペースは速く、29周目には2位、31周目にはトップに返り咲いた。
 一時は首位に立ったスープラ25号車は、他車との接触によりスカイライン22号車に先行を許す一方、3位には序盤から予選タイムを上回るベストラップを叩きだして快走、30周目に36号車をかわしたスープラ37号車が浮上した。そして、このままチェッカーかと思われた49周目の最終コーナーで3台のGT300車両が接触してストップ。3度目のセーフティカー導入となった。
 マージンを帳消しされたスープラ1号車だったが、54周目のレース再開で見事なダッシュを決め、結局スカイライン22号車に4.996秒の大差をつけて嬉しい今季2勝目を獲得。ポイントランキングでも再び首位に立った。スープラ37号車は3位で前戦に続く連続表彰台。上位6台中4台を占めたスープラ勢が再び強さをアピールする結果となった。

GC-21スポーツカーレース
 富士スピードウェイを舞台に数々の名勝負を生んだ往年の人気シリーズ、「グラチャン」を21世紀に復刻させようと企画されたのが「GC-21スポーツカーレース」。競技車は99年から01年までのF3をベースとしたシャシーに由良拓也氏がデザインしたボディカウルを被せたもので、ステップドボトム・アンダーパネルを持つ。車両製作時間の関係から開幕戦の参加台数は5台となり、全車F3用のトヨタ・トムス3S-GE型エンジンを搭載。参戦費用を抑えるための設計も特徴の一つで、幅広い選手の参加を含め、FISCO独自のシリーズとしてこれから人気を高めそうだ。今季は全4戦が予定されている。

auセルモスープラ1号車 ドライバー竹内浩典のコメント:
 第2戦の富士で優勝した後、ここ2戦で2ポイントしか獲れずにいたので、今回はタイトル連覇に向けてクールスーツも使用せず(軽量化のため)必勝体制で臨んでいただけに、ここでの勝利は本当に嬉しい。スープラは最高だった。

auセルモスープラ1号車 ドライバー立川祐路のコメント:
 ピット作業時に斜めに止まらざるを得ずに出遅れたが、クルマが速いのは分かっていたので、その後は落ち着いて先行車をパスすることが出来た。今後はチーム全員で気を引き締めてチャンピオンを目指す。

トヨタ自動車(株)モータースポーツ部主査 柘植和廣のコメント:
 スープラ勢としてはまずまずの結果を得ることができた。直線の長い富士でライバル勢を上回るストレートスピードを記録するなど、TRDと各チーム、そして各ドライバーが頑張ってクルマを煮詰めた結果、優勝した1号車をはじめ、ハンディウェイトに苦しんだクルマも貴重なポイントを稼ぐことが出来た。MR-S勢は不運な接触もあったが、ハンディウェイトを課された31号車が4位を得たのは上々の結果。あと3戦もシリーズチャンピオン獲得を目指して全力を尽くしたい。

リザルト

順位No.車名ドライバー名所要時間/差周回
1 1 トヨタスープラGT 竹内浩典 / 立川祐路 1:52'08.123 57
2 22 スカイラインGT-R 本山 哲 / M.クルム 0'04.996 57
3 37 トヨタスープラGT 黒澤琢弥 / P.モンティン 0'06.302 57
4 25 トヨタスープラGT 荒 聖治 / 山路慎一 0'09.703 57
5 36 トヨタスープラGT 土屋武士 / W.ガードナー 0'17.363 57
6 18 ホンダNSX S.フィリップ / R.ライアン 0'18.131 57
7 6 トヨタスープラGT 脇阪寿一 / 飯田 章 0'18.230 57
8 100 ホンダNSX 加藤寛規 / 光貞秀俊 0'22.078 57
9 8 ホンダNSX 土屋圭市 / 金石勝智 0'23.731 57
10 35 トヨタスープラGT 影山正彦 / 脇阪薫一 0'28.948 57
チーム車両No.ドライバー決勝結果
TOYOTA TEAM CERUMO トヨタスープラGT 1 竹内浩典 / 立川祐路 1位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 37 黒澤琢弥 / P.モンティン 3位
土屋エンジニアリング トヨタスープラGT 25 荒 聖治 / 山路慎一 4位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 36 土屋武士 / W.ガードナー 5位
ESSO TOYOTA TEAM LeMans トヨタスープラGT 6 脇阪寿一 / 飯田 章 7位
KRAFT トヨタスープラGT 35 影山正彦 / 脇阪薫一 10位
TOYOTA TEAM SARD トヨタスープラGT 39 J.デュフォア / 織戸 学 15位
TOYOTA TEAM CERUMO トヨタスープラGT 33 近藤真彦 / 下田隼成 16位
ARTA with A'PEX トヨタMR-S 31 新田守男 / 高木真一 20位/4位
KRAFT トヨタMR-S 86 長島正興 / 松田晃司 34位/18位
RACING PROJECT BANDOH トヨタMR-S 19 田中 実 / 後藤 聡 38位/22位
TOM'S SPIRIT トヨタMR-S 17 松永まさひろ / 滑川 健 39位/23位
シグマテックレーシングチーム トヨタMR-S 71 Guts城内 / 澤 圭太 リタイア
ドライバーズポイント
順位ドライバー名ポイント
1位 竹内浩典/立川祐路 56
2位 松田次生/R.ファーマン 45
3位 脇阪寿一/飯田 章 41
7位 黒澤琢弥/P.モンティン 34
9位 土屋武士/W.ガードナー 30
エンジンチューナーポイント
順位エンジンチューナーポイント
1位 トヨタテクノクラフト 87
2位 無限 73
3位 オーテックジャパン 41
4位 BMW Motorsport 12
5位 東名エンジン 3
チームポイント
順位チーム名ポイント
1位 TOYOTA TEAM CERUMO 60
2位 無限×童夢 プロジェクト 50
3位 Mobil 1 NAKAJIMA RACING 45
4位 TOYOTA TEAM TOM'S 43
6位 ESSO TOYOTA Team LeMans 41