2002年10月27日(日)配信

JGTC第7戦で土屋/ガードナー組トヨタ・スープラが3位
脇阪/飯田組スープラは4位に入り、逆転でポイント首位に。
ランキングはスープラの1-2で最終戦へ


JGTC第7戦で3位入賞を果たした土屋/ガードナー組のトヨタ・スープラ
 全日本GT選手権の第7戦「CP MINE GTレース」が10月26日~27日の両日、山口県のセントラルパークMINEサーキットで開催された。同大会には44台が出走し、トヨタ勢はGT500クラスにスープラ8台、GT300クラスにMR-S5台がエントリー。人気のワンメイクレース、ネッツカップ・アルテッツァシリーズ第9戦、ヴィッツ西日本シリーズ第5戦も併催され、天候不順ながら決勝当日には44,800人の観客動員を記録し、盛り上がりを見せた。
 シリーズも終盤を迎え、ここMINEと鈴鹿を残すのみ。GT500クラスでは、現在ディフェンディングチャンピオンの竹内浩典/立川祐路組auセルモスープラ1号車がポイントランキング首位、脇阪寿一/飯田章組のエッソウルトラフロースープラ6号車が3位につける一方、黒澤琢弥/P・モンティン組のZENTトムススープラ37号車も7位、土屋武士/W・ガードナー組トクホントムススープラ36号車が8位とタイトル獲得圏内。しかし、第2戦・第5戦と2勝を挙げた1号車は90kg、第3戦優勝の6号車も50kgというウェイトハンデを背負って厳しい展開が予想された。

予選
 26日(土)に行われた公式予選では、午後に一時降雨の予報があり、気温の低下も予想されたことから午前中の1回目セッションでタイヤ2セットを使ったスープラ36号車が暫定ポールポジションを獲得。
 しかし、走行直後に降り出した雨は間もなく止み、午後の2回目セッションまでには路面もドライに。このため多くの車両が午後にタイムアップを果たし、36号車は2番手グリッドを確定。また、セッション3番手タイムを記録した影山正彦/脇阪薫一組プロジェクトμエスペリアスープラ35号車が4位グリッドに浮上、スープラ37号車も5番手につけた。
 一方、スープラ6号車はタイムアップを狙った2回目セッション中にパワーステアリングトラブルが発生したが、GT300クラス車両による赤旗中断にも助けられて修復に成功。無事9番手グリッドを確定した。ウェイトの重さと同時にMINEの滑りやすい路面と低温でタイヤのグリップ不足に悩んだスープラ1号車は15番手スタートとなった。

決勝
 27日(日)も天候は不順。しかし、朝のフリー走行中には雨に見舞われたが、午後2時の決勝スタートは曇天で迎えた。予想以上の低温にタイヤが温まらず、オープニングラップでは3コーナーで多重スピンが発生。ストップした車両をグラベルに避けたスープラ1号車は25位まで大きく後退。
 一方、スープラ36号車の土屋武士は1周目でポールポジションのNSXを抜いてトップへ。GT300車両をパスしながら、2位、3位に付ける2台のNSXを従えて首位を守りきり、33周でW.ガードナーに交代した。ところが、W.ガードナーはピットアウト直後のタイヤが冷えた状態で痛恨のスピン。12位までポジションダウン。
 だが、そこからの激しい追い上げは凄まじく、順位を回復、なんと、65周目には5位、そして残り4周で3位に浮上してチェッカー。今季2度目の表彰台を獲得した。
 一方、スープラ6号車もオープニングラップの混乱の中で他車に追突されるもポジションを守り、32周目に7位で飯田章から脇阪寿一に交代。脇阪寿一は他車との接触で左前輪のアームを曲げながらも力走を続け、45周目には4位に浮上。終盤には次戦の最終戦を見越して、あえて3位に上がらず、ウェイトを増やさずにポイントを最大に取れる4位キープのチーム作戦を採り、W.ガードナーを先行させてチェッカーを受けた。
 また、スープラ1号車も懸命の追い上げを見せ終盤7位に浮上したが、立川祐路が黄旗追い越しのペナルティストップを課せられ、結局9位で完走した。この結果によりポイントランキングでスープラ6号車が首位に浮上。2位には2点差で1号車が続き、スープラが1、2位を独占して最終戦に臨むこととなった。また、今回3位入賞の36号車も11点差の7位でチャンピオンの可能性を残した。
 スタートした44台で完走は26台。今季で最も厳しいサバイバルレースとなったが、苦しい状況の中でトヨタ勢はシリーズタイトルに向けて大きく前進することとなった。

トクホントムススープラ36号車 ドライバー土屋武士のコメント:
 路面温度が低く、リアタイヤのグリップがきつかったが、1周目で首位に立ち、後続を抑えきってW.ガードナーにつなぐことが出来た。鈴鹿はウェイト50kgで厳しいが、最後まで頑張る。

トクホントムススープラ36号車 ドライバーW.ガードナーのコメント:
 ピットアウトした周に、直前までアンダーステアだったのがいきなりオーバーステアになってしまいスピン。自分のミスで土屋選手には悪いことをしてしまった。

エッソウルトラフロースープラ6号車 ドライバー脇阪寿一のコメント:
 チャンピオンシップを見越した上で、今回のレースの結果はベストだと思う。昨年取りこぼしたタイトルを、今季こそ絶対に獲得出来るよう、鈴鹿は全力を尽くす。

エッソウルトラフロースープラ6号車 ドライバー飯田章のコメント:
 スタート直後はグリップ不足で大変だったが充実したレースだった。今回の結果で、ドライバーズチャンピオン獲得への切符を手に出来たと思う。

トヨタ自動車(株)モータースポーツ部主査 柘植和廣のコメント:
 MINEはもともと路面グリップが低い上に今回は予想以上の低温傾向でタイヤがグリップしないリスキーな状況。その中でトヨタ勢はよく健闘して良いレースが出来たと思う。優勝こそ逃したが、GT500ではスープラがランキング1、2位を占め、GT300もライバルと三つ巴の状態で両クラスともにチャンピオンをかけて天王山・鈴鹿に臨むことになる。改めて気持ちを引き締めて立ち向かう。

リザルト

順位No.車名ドライバー名所要時間/差周回グリッド 1 16 ホンダNSX 道上 龍 / 伊藤大輔 1:49'28.891 76 3 2 22 スカイラインGT-R 本山 哲 / M.クルム 0'11.732 76 10 3 36 トヨタスープラGT 土屋武士 / W.ガードナー 1'17.497 76 2 4 6 トヨタスープラGT 脇阪寿一 / 飯田 章 1'26.341 76 9 5 25 トヨタスープラGT 荒 聖治 / 山路慎一 1'26.470 76 17 6 64 ホンダNSX 松田次生 / R.ファーマン 1'27.001 76 1 7 39 トヨタスープラGT J.デュフォア / 織戸 学 1'29.663 76 16 8 8 ホンダNSX 土屋圭市 / 金石勝智 1 lap 75 7 9 1 トヨタスープラGT 竹内浩典 / 立川祐路 1 lap 75 15 10 35 トヨタスープラGT 影山正彦 / 脇阪薫一 1 lap 75 4
チーム車両No.ドライバー決勝結果
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 36 土屋武士 / W.ガードナー 3位
ESSO TOYOTA TEAM LeMans トヨタスープラGT 6 脇阪寿一 / 飯田 章 4位
土屋エンジニアリング トヨタスープラGT 25 荒 聖治 / 山路慎一 5位
TOYOTA TEAM SARD トヨタスープラGT 39 J.デュフォア / 織戸 学 7位
TOYOTA TEAM CERUMO トヨタスープラGT 1 竹内浩典 / 立川祐路 9位
KRAFT トヨタスープラGT 35 影山正彦 / 脇阪薫一 10位
TOYOTA TEAM CERUMO トヨタスープラGT 33 近藤真彦 / 下田隼成 11位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 37 黒澤琢弥 / P.モンティン リタイア
ARTA with A'PEX トヨタMR-S 31 新田守男 / 高木真一 17位/5位
RACING PROJECT BANDOH トヨタMR-S 19 田中 実 / 後藤 聡 18位/6位
シグマテックレーシングチーム トヨタMR-S 71 Guts城内 / 澤 圭太 26位/13位
KRAFT トヨタMR-S 86 長島正興 / 松田晃司 リタイア
TOM'S SPIRIT トヨタMR-S 17 松永まさひろ / 滑川 健 リタイア
ドライバーズポイント
順位ドライバー名ポイント
1位 脇阪寿一/飯田 章 61
2位 竹内浩典/立川祐路 59
3位 伊藤大輔 58
7位 土屋武士/W.ガードナー 50
10位 黒澤琢弥/P.モンティン 38
エンジンチューナーポイント
順位エンジンチューナーポイント
1位 無限 113
2位 トヨタテクノクラフト 109
3位 オーテックジャパン 57
4位 BMW Motorsport 24
5位 東名エンジン 3
チームポイント
順位チーム名ポイント
1位 無限×童夢 プロジェクト 93
2位 TOYOTA TEAM CERUMO 63
2位 TOYOTA TEAM TOM'S 63
4位 ESSO TOYOTA Team LeMans 61
5位 NISMO 59