2002年11月17日(日)配信

トヨタスープラとMR-SがJGTC両クラスのタイトル制覇!
GT500クラスは脇阪/飯田組、GT300クラスは新田/高木組がドライバーズチャンピオン獲得


2002年のJGTCドライバーズチャンピオンを獲得した
GT500クラスの脇阪寿一/飯田章と
GT300クラスの新田守男/高木真一
 全日本GT選手権の第8戦「鈴鹿GT300㎞レース」が11月16日~17日の両日、三重県の鈴鹿サーキットで開催された。
 熱戦の繰り広げられた今季のJGTCもこれが最終戦。GT500、GT300の両部門でドライバーズタイトル決定がかかり、文字通りの最終決戦となる同大会には47台が出走した。このうちトヨタ勢はGT500クラスにスープラ8台、GT300クラスにMR-S5台がエントリー。
 初冬の冷え込みにもかかわらず決勝当日には3万2千人の観客動員を記録するなど、会場は大いに盛り上がりを見せた。
 第7戦を終えた時点でGT500クラスでは脇阪寿一/飯田章組エッソウルトラフロースープラ6号車が61点でランキング首位。ディフェンディングチャンピオンの竹内浩典/立川祐路組auセルモスープラ1号車が2点差の2番手と、トヨタ勢がポイント1、2位を占める。
 また、GT300クラスでも新田守男/高木真一組ARTAアペックスMR-S31号車がトップから僅か4点差のランキング3位につけており、逆転タイトルをかけて最終戦へと臨んだ。

予選
 16日(土)好天のもとで行われた公式予選では、スープラ6号車の脇阪寿一が50kgのウェイトハンディにもかかわらず午前中に行われた1回目のセッションでコースレコードとなるトップタイム1分55秒811を記録。午後の2回目終盤にはNSX64号車がこれを上回ったが、シケインのショートカットによりタイムを抹消され、同セッションでさらにタイムを短縮したスープラ6号車が見事ポールポジションを獲得。
 一方、4番手にはF3マカオGP出場で欠場したP・モンティンに代わり、野田英樹が黒澤琢弥と組むZENTトムススープラ37号車が食い込んだが、スープラ1号車は70kgのウェイトハンディにセッティングが定まらず苦戦し、5番手グリッドに甘んじることとなった。
 また、GT300クラスでは、セッティングの決まったシグマMR-S71号車Guts城内/澤圭太組が3番手タイムを記録。一方、MR-S31号車は、タイムアタック中にドライブシャフトの破損に見舞われ、クラス6番手にとどまり、決勝レースへ向けて体制を整えることとなった。

決勝
 17日(日)快晴で迎えた決勝は、午後2時5分にローリングスタートが切られるとスープラ6号車がトップで周回を開始。しかし、後続のNSX18号車と64号車はスタート直後からペースが速く、ウェイトに配慮して序盤のペースを抑えたスープラ6号車はスープラ37号車にもかわされ、オープニングラップで4位に後退。
 13周目で首位に立ったNSX64号車はファステストラップも記録し、その加点を含めて、逆転チャンピオンという局面を迎えた。しかし、22周目のピットインで飯田章から脇阪寿一にドライバー交代したスープラ6号車は、タイヤにトラブルを抱えるスープラ39号車をかわして35周目に3位に浮上。さらに、1ポイント獲得対象のベストラップ3番手タイムを叩き出すなど気迫の走りを披露。終盤には、前を行く64号車と8号車のNSX勢に追いつき、ファイナルラップまで接近戦を展開して観客を大いに沸かせた。
 激しいチャンピオンポイント争いは、NSX16号車が、ベストラップタイムのポイント奪取を狙って予定外のピットイン、ソフトタイヤに履き替えてアタックを仕掛けるなど加熱。しかし、タイムを縮めるには至らず。3位でチェッカーを受けたスープラ6号車が、優勝したNSX64号車のポイント逆転を僅か1ポイントながら阻止して念願のJGTCチャンピオンを獲得した。
 一方、GT300クラスはランキングトップのシルビア3号車がエンジントラブルで戦列を去り、ランキング2位のヴィーマック62号車もステアリング系トラブルでペースが上がらないなど苦戦。しかし、中盤までにMR-S71号車をかわしてクラス4位に上がったMR-S31号車が、後半にミッション不調でスピンを喫しながらも無事4位を堅守してチェッカーを受け、感動的な逆転チャンピオンを獲得した。

エッソウルトラフロースープラ6号車 ドライバー脇阪寿一のコメント:
 スープラの速さと、シーズンを見据えたチームの戦略が大きな勝因。今季からコンビを組んだ飯田章選手との信頼関係のもとで、彼が前半で燃費をセーブし、後半は自分がガンガン攻めに出る作戦が今回を含めて上手く機能した。とにかく今はメチャクチャに嬉しい。

エッソウルトラフロースープラ6号車 ドライバー飯田章のコメント:
 自己初の全日本タイトルは是非欲しかったし、チームのためにもどうしても獲得したかった。チャンピオンが決まった瞬間は、クルマに慣れず、辛い中でレースを頑張って、やっと1ポイントを獲得出来た開幕戦を思い出して涙が出た。チームスタッフ、応援してくれた関係者に感謝する。

ARTAアペックスMR-S31号車 ドライバー新田守男のコメント:
 後半、高木真一選手がスピンしたときはどうなることかと思った。テスト、予選とドライブシャフトにトラブルが出て、決勝は最後まで心配で仕方なかった。今年は初めてのタイヤを使用したのでデータがなく、駆動系への不安など、苦労もあった。それだけに勝利はこれまで以上の感慨がある。

ƒ ARTAアペックスMR-S31号車 ドライバー高木真一のコメント:
 無線が不調でタイトル決定はゴールしてから知った。初の全日本チャンピオンなのでとても嬉しい。シフトがしぶくなってスピンを喫してしまったが大事に至らず、ほっとした。

トヨタ自動車(株)モータースポーツ部部長 松井誠のコメント:
 最後まで本当にドキドキする好レースだった。今季の栄えあるダブルタイトル獲得はトヨタ車を擁するGT500/GT300の全チームがチャンピオンを目指す一方、無益な接触を避けるなどファミリーとしての良さも活かしながら頑張ってきた結果だと思う。

トヨタ自動車(株)モータースポーツ部主査 柘植和廣のコメント:
 シーズンを振り返れば良い時も厳しい時もあったが、TRD、チームのメカニックや監督、そしてドライバーの全員が力を尽くしてチャンピオンが獲得出来た。現在のJGTCでGT500の2年連続、そしてGT300との両部門制覇は簡単に出来ることではない。トヨタの信頼性と強さをアピールできたと思う。来季も、それぞれのカテゴリーでタイトル防衛を目標に、各チームとも一丸となって、引き続き全力で頑張りたい。

リザルト

順位No.車名ドライバー名所要時間/差周回グリッド
1 64 ホンダNSX 松田次生 / R.ファーマン 1:46'44.403 52 3
2 8 ホンダNSX 土屋圭市 / 金石勝智 0'00.724 52 6
3 6 トヨタスープラGT 脇阪寿一 / 飯田 章 0'00.982 52 1
4 100 ホンダNSX 加藤寛規 / 光貞秀俊 0'27.364 52 7
5 39 トヨタスープラGT J.デュフォア / 織戸 学 0'28.754 52 8
6 1 トヨタスープラGT 竹内浩典 / 立川祐路 1'00.354 52 5
7 25 トヨタスープラGT 荒 聖治 / 山路慎一 1'32.593 52 10
8 23 スカイラインGT-R 影山正美 / E.コマス 1'41.485 52 12
9 36 トヨタスープラGT 土屋武士 / W.ガードナー 1'55.166 52 13
10 16 ホンダNSX 道上 龍 / 伊藤大輔 1lap 51 9
チーム車両No.ドライバー決勝結果
ESSO TOYOTA TEAM LeMans トヨタスープラGT 6 脇阪寿一 / 飯田 章 3位
TOYOTA TEAM SARD トヨタスープラGT 39 J.デュフォア / 織戸 学 5位
TOYOTA TEAM CERUMO トヨタスープラGT 1 竹内浩典 / 立川祐路 6位
土屋エンジニアリング トヨタスープラGT 25 荒 聖治 / 山路慎一 7位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 36 土屋武士 / W.ガードナー 9位
KRAFT トヨタスープラGT 35 影山正彦 / 脇阪薫一 12位
TOYOTA TEAM CERUMO トヨタスープラGT 33 近藤真彦 / 下田隼成 13位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 37 黒澤琢弥 / 野田英樹 29位/16位
ARTA with A'PEX トヨタMR-S 31 新田守男 / 高木真一 19位/4位
シグマテックレーシングチーム トヨタMR-S 71 Guts城内 / 澤 圭太 21位/6位
TOM'S SPIRIT トヨタMR-S 17 松永まさひろ / 藤田孝博 26位/11位
RACING PROJECT BANDOH トヨタMR-S 19 田中 実 / 後藤 聡 27位/12位
KRAFT トヨタMR-S 86 長島正興 / 松田晃司 35位/19位
ドライバーズポイント
順位ドライバー名ポイント
1位 脇阪寿一/飯田 章 75
2位 松田次生/R.ファーマン 74
3位 竹内浩典/立川祐路 65
7位 土屋武士/W.ガードナー 52
エンジンチューナーポイント
順位エンジンチューナーポイント
1位 無限 133
2位 トヨタテクノクラフト 121
3位 オーテックジャパン 60
4位 BMW Motorsport 24
チームポイント
順位チーム名ポイント
1位 無限×童夢 プロジェクト 96
2位 ESSO TOYOTA Team LeMans 75
4位 TOYOTA TEAM CERUMO 69
5位 TOYOTA TEAM TOM'S 65