2003年3月29日(土)配信

V8搭載のトヨタスープラがJGTC開幕戦バトルを制す!
ライバル勢もパワーアップを図る中で、
ディフェンディングチャンピオンの 脇阪/飯田組が先勝


V8エンジンを搭載の03年型スープラで見事開幕戦優勝を飾った
脇阪/飯田組のトヨタ・スープラ
 全日本GT選手権がいよいよ開幕。第1戦「GTチャンピオンシップ・イン・TI」が3月29日、30日の両日、岡山県のTIサーキット英田で開催された。
 現行規定10年目を迎えてJGTCは車両規定・競技規則の大幅改定が実施され、これに従いGT500クラスのトヨタ・スープラも、車体構造ではコクピット以遠のパイプフレーム化/クラッシャブルストラクチャー搭載のほか、ミッションを後軸付近に搭載するトランスアクスル化などを採用した03年モデルに進化。
 さらに、エンジンを3UZ‐FE型をベースとする5・2リットルのV型8気筒自然給気に換装するなど、一層の性能向上を図った。半面、フラットボトムを義務付ける新規定により、ダウンフォースが減少。各チームとも空力の改良に腐心することとなった。
 今季はGT500クラスに7台のスープラが、また、GT300クラスにはMR-S5台が参戦。スープラは開幕戦にはプロジェクトμエスペリアスープラ35号車のみが02年モデルで出走。第2戦富士(5月4日決勝)から7台全車が03年モデルでの参戦となる。

予選
 新規定下の初セッションとなる29日の公式予選は、好天の完全なドライコンディション。午前中の1回目にauセルモスープラ38号車の立川祐路が、スカイライン23号車に次ぐ2番手タイムを記録。
 午後の2回目セッション終盤のGT500専有時間にこれを逆転するべく、スープラ38号車、エッソウルトラフロー スープラ1号車がアタックを敢行するが惜しくも届かず。コースレコードを破る1分24秒944を記録したスープラ38号車は2番手グリッド、スープラ1号車は4番手からの決勝スタートとなった。
 また、GT300クラスではRECKLESS MR-S31号車が1回目セッションで暫定ポールポジションを獲得するが、2回目にポルシェ24号車に僅かに逆転され、やはり2番手からのスタートと、決勝の混戦模様を予想させた。

決勝
 30日も朝から好天に恵まれたTIサーキットには昨年を上回る5万5千人が入場。国内最多の観客動員を誇る同シリーズの人気を改めて印象付けた。
 午前中には、ワンメイクシリーズ、ネッツカップ・アルテッツァシリーズの第1戦をはじめサポートレースが行われ、セレモニーに続いて午後2時過ぎにJGTC第1戦のローリングスタートが切られた。
 ところが、この直前のフォーメーションラップ中に2番手グリッドのスープラ38号車はミッショントラブルでストップ。そのまままさかのリタイヤ。しかし、6番手から好スタートを切ったADVAN スープラ25号車が一気に2位に、さらに、スープラ 1号車も3位に浮上。2台のスープラがポールポジションからトップを逃げるスカイラインを追う展開となった。
 30周を過ぎると上位3台はテール・ツー・ノーズ状態となり、35周目のバックストレートエンドでスカイラインが一瞬姿勢を崩したこの間隙を縫ってスープラ25号車が首位奪取。しかし、この直後からの中盤のピット作業が一巡すると、再び首位はスカイライン。
 この後半戦への激しい首位攻防戦は、52周目にはスープラ1号車がトップに立ち、後続との差を広げにかかったものの、スープラ1号車はGT300車両が落としたタイヤカスを避けてバックストレートエンドヘアピンで痛恨のスピン。これで三度スカイラインに首位を譲るシーソーゲーム。
 果敢に首位争いを演ずるスープラ勢は、代わってスープラ25号車が首位猛追。スカイラインをテール・ツー・ノーズで追い詰めていたが、69周目の最終コーナーで25号車はGT300車両と運悪く接触を喫して後退。しかし、スピンから立ち直り、渾身の追い上げを続けていたスープラ1号車がスカイラインの後方に迫る。終盤を迎えた75周目のバックストレートエンドヘアピンでスカイラインのインをさしたスープラ1号車は首位奪還。そのまま逃げ切り、見事チェッカーフラッグ。
 昨年のチャンピオンコンビ脇阪寿一/飯田章組スープラが開幕戦を制し、連覇に向けて確かな一歩を踏み出した。6位にはWOODONEトムススープラ36号車、9位には02年モデルで健闘したスープラ35号車が入り、接触により左前輪をパンクさせたスープラ25号車は10位でレースを終えた。
 GT300クラスでは、MR-S31号車が3位、シグマMR-S71号車が4位入賞を果たし、貴重なポイントを獲得した。

エッソウルトラフロースープラ1号車 ドライバー脇阪寿一のコメント:
 新しいエンジンなど新型車での初戦だけに不安もあったが、スピンの後は全力でアタックした。それでも、スープラは全くノートラブルで走り切ってくれ、開幕戦優勝を飾ることが出来て嬉しい。次はスープラの得意な富士だが、ウェイトを積んで如何にポイントを稼げるかが勝負になる。

エッソウルトラフロースープラ1号車 ドライバー飯田章のコメント:
 新規定下の初レースを戦ってみて、スープラのポテンシャルの高さが確認出来た。連覇に向けては脇阪選手と共に積極的な戦いをしていくことが不可欠と思っている。

トヨタ自動車(株)モータースポーツ部主査 柘植和廣のコメント:
 約一年間かけて開発してきた、03年モデルスープラのポテンシャルを開幕戦で示すことが出来て良かった。ただし、今回は勝てたがまだまだやり残したこともたくさんある。車両だけでなく、今季からは燃料補給中にタイヤ交換などの作業が出来なくなるなどのルール変更が行われており、これに対応してピット時間を短縮する工夫など、全ての面で努力が必要だ。今後も一層気持ちを引き締めて臨む。

リザルト

順位車名No.ドライバー名所要時間/差周回グリッド
1 1 トヨタスープラGT 脇阪寿一/飯田 章 2:05'08.439 82 4
2 23 スカイラインGT-R 本山 哲/M.クルム 0'04.283 82 1
3 18 ホンダNSX 道上 龍/S.フィリップ 0'29.358 82 5
4 16 ホンダNSX 伊藤大輔/T.コロネル 0'40.362 82 3
5 64 ホンダNSX 松田次生/小暮卓史 1'08.948 82 9
6 36 トヨタスープラGT 土屋武士/E.コマス 1'11.691 82 7
7 100 ホンダNSX 加藤寛規/光貞秀俊 1'12.506 82 10
8 22 スカイラインGT-R R.ライアン/影山正美 1'26.681 82 13
9 35 トヨタスープラGT 服部尚貴/脇阪薫一 1Lap 81 12
10 25 トヨタスープラGT 荒 聖治/J.デュフォア 1Lap 81 6
チーム車両No.ドライバー決勝結果
ESSO TOYOTA TEAM LeMans トヨタスープラGT 1 脇阪寿一/飯田 章 1位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 36 土屋武士/E.コマス 6位
KRAFT トヨタスープラGT 35 服部尚貴/脇阪薫一 9位
TEAM ADVAN・ツチヤ トヨタスープラGT 25 荒 聖治/J.デュフォア 10位
TOYOTA TEAM SARD トヨタスープラGT 39 D.シュワガー/織戸 学 31位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 37 黒澤琢弥/M.アピチェラ リタイア
TOYOTA TEAM CERUMO トヨタスープラGT 38 竹内浩典/立川祐路 リタイア
TEAM RECKLESS トヨタMR-S 31 佐々木孝太/後藤 聡 16位/3位
シグマテックレーシングチーム トヨタMR-S 71 Guts城内/澤 圭太 17位/4位
RACING PROJECT BANDOH トヨタMR-S 19 青木孝行/田中 実 21位/8位
TOM'S SPIRIT トヨタMR-S 17 松永まさひろ/長島正興 33位/18位
DENTAIRE PROJET RACING with apr トヨタMR-S 34 西澤誠剛/松田晃司 リタイア
ドライバーズポイント
順位ドライバー名ポイント
1位 脇阪寿一/飯田 章 21
2位 本山 哲/M.クルム 17
3位 道上 龍/S.フィリップ 12
6位 土屋武士/E.コマス 6
9位 服部尚貴/脇阪薫一 2
9位 荒 聖治/J.デュフォア 2
11位 竹内浩典/立川祐路 1
エンジンチューナーポイント
順位エンジンチューナーポイント
1位 トヨタテクノクラフト 20
2位 オーテックジャパン 15
3位 無限 12
チームポイント
順位チーム名ポイント
1位 ESSO TOYOTA Team LeMans 21
2位 NISMO 17
3位 童夢レーシングチーム 12
6位 TOYOTA TEAM TOM'S 6
8位 KRAFT 2
8位 TEAM ADVAN・ツチヤ 2
10位 TOYOTA TEAM CERUMO 1