2003年7月13日(日)配信

JGTC第4戦 変則2ヒートで行われた富士でスープラが3位
スープラ勢は予選で速さを見せるも、決勝は霧と雨の悪コンディション。
路面状況の判断が結果を分ける


2ヒート総合でトヨタ・スープラ勢最上位の3位に入った
シュワガー/織戸組のトヨタ・スープラ
 全日本GT選手権の第4戦「Malaysian JGTC in FUJI SPEEDWAY」が7月12日~13日にかけて静岡県の富士スピードウェイで開催された。
 今大会は本来6月22日にマレーシア・セパンサーキットで予定されていたが、新型肺炎SARSの影響を考慮して中止となり、代替イベントとして急遽富士スピードウェイで行われることになったもの。
 富士でのGTレースは5月の第2戦のほか、8月にも第5戦が予定されていることから、今回はシリーズ初の試みとして2ヒート制が採用された。予選で第1ヒートのグリッド順を決定、決勝はピットストップなしのスプリント的な30周で第1ヒートを行ったあと、25分間のインターバルをおいて第1ヒートの結果順に第2ヒートを実施。今度はピットストップを義務つけた50周で行われる。
 レースとしてはあくまで1レースで、総合順位はそれぞれのヒート結果に与えられる仮ポイントの合計によって決定される。2つのヒートの周回数が異なり、インターバルにはセッティング変更も可能など、通常のイベントとは異なる要素が注目を集め、決勝当日は霧と断続的に小雨の降る不安定な天候も影響して波乱含みの展開となった。
 今大会はGT500に18台/GT300に26台のエントリーがあり、このうちトヨタ勢はGT500クラスに7台のトヨタ・スープラ、GT300に4台のトヨタ・MR-Sと1台のトヨタ・セリカ、合計12台が参加した。

予選
 12日の公式予選は曇天。路面はドライだったが降雨も予想されており、午前中の1回目セッションの早いうちから積極的なアタックが行われた。
 スープラ勢はストレートの長い富士に合わせた空力パーツを装着して予選に臨み、この中でauセルモスープラ38号車が早めのタイムアタックで1分24秒324を記録してトップに。その後赤旗中断をはさんでスープラ勢がタイムアップを果たし、WOODONEトムススープラ36号車が2番手、プロジェクトμエスペリア スープラ35号車が3番手、そしてZENT トムススープラ37号車が4番手につけた。
 午後の予選2回目も結局雨は降らなかったが、他カテゴリー車の走行などにより路面状況が思わしくなく、大半の車両が1回目のタイムを更新できず、第2戦富士に続くスープラ38号車のポールポジションが決定した。また、ADVANスープラ25号車は悪条件下で果敢にアタックを決めて総合5番手に食い込み、スープラ勢は見事グリッド1~5位を占める圧倒的なパフォーマンスを披露した。
 一方、GT300クラスではウェッズスポーツセリカ19号車が初のポールポジションを獲得した。前戦SUGOでシェイクダウンしたばかりのセリカだが、その後開発も進み序々に本来のパフォーマンスを発揮。決勝に期待を持たせた。

決勝
 決勝日の13日は朝から小雨模様。朝のフリー走行は霧の影響で5分遅れとなり、その後霧は一度晴れたが、第1ヒートのスタート前には再び発生。このためスタート時刻は1時間15分遅れ、当初の予定から周回数を短縮して行われることとなった。第1ヒートは20周、第2ヒートは30周となり、第2ヒートのピット義務も撤廃された。
 霧が晴れ、第1ヒートのスタートが切られた午後2時20分には、雨は殆ど上がり、路面もハーフウェット状態に。このため基本はウエットタイヤだが一部のチームはスリックタイヤを選択していた。
 ポールポジションスタートのスープラ38号車は雨を予想してダウンフォースが強めのセッティングで臨むも、雨はスタート直後に一旦落ちたのみで、不利な展開となった。強めのダウンフォースでストレートスピードの伸びない38号車は4周目にスカイライン12号車の先行を許したあと序々に後退。2番手スタートのスープラ36号車も乾きかけた路面にレインタイヤがマッチせず、ピットに戻ってスリックタイヤに履き替え、順位を落とすこととなった。
 一方、スリックタイヤでのスタートに賭けたデンソーサードスープラ39号車は、周回を重ねるごとに順位を浮上する快進撃を見せ、4位で迎えた最終ラップに2台をパス。2位でチェッカーを受けた。
 続いてインターバルの整備時間をはさんで午後4時4分にスタートが切られた第2ヒートは強い雨の中、2番手スタートから好スタートを決めたスープラ39号車がトップで周回を開始。序盤は後続を引き離しにかかるが、セーフティカー導入によりそのリードは帳消し。その後、路面コンディションにレインタイヤがマッチせず序々にペースダウン。スカイラインの先行を許すこととなってしまった。一方、スープラ38号車はじわじわと順位を上げ、残り5周で3位にポジションをアップ。さらに上位を窺うがそのままチェッカーとなった。
 この結果レース順位は39号車が3位に入り、第2戦に続く富士での連続表彰台を獲得。38号車も4位、また前戦での優勝などにより110kgものウエイトを積んで臨んでいたスープラ1号車も6位入賞を果たし、ポイントランキング首位に踏みとどまることに成功した。
 一方、GT300クラスで初PPを獲得したセリカ19号車は、第1ヒートはタイヤ選択をミス、第2ヒートはフロントウインドウが曇るトラブルに見舞われてクラス5位に終わった。

デンソーサードスープラ39号車 ドライバーD.シュワガーのコメント:
 第1ヒートは必ず乾くと読んでスリックを履いてスタートしたが、序盤に一時雨が落ちたときは駄目かと思った。3位表彰台は2回目だが、今後はさらに上位を目指す。

デンソーサードスープラ39号車 ドライバー織戸学のコメント:
 第2ヒートは水しぶきがすごく、スタートで前に出ようと狙っていた。ややコンディションが合わず、首位を明け渡さざるを得なかったが、初めてGTでトップを走り、自信につながった。

auセルモスープラ38号車 ドライバー竹内浩典のコメント:
 第1ヒートはフルレイン寄りの強めのダウンフォースが路面状況に合わず、本来のパフォーマンスを発揮出来なかった。しかし、きちんと戦えたことで次戦への手ごたえを感じている。

auセルモスープラ38号車 ドライバー立川祐路のコメント:
 第2ヒートではややライバルに安定性で及ばず悔しい結果となったが、今季初めてきちんとゴールすることが出来た。さらに勢いを増して次の富士に向けては必勝を期す。

トヨタ自動車(株)モータースポーツ部主査 柘植和廣のコメント:
 霧と雨という非常に難しいコンディションの中、きちんと大会が開催されたことは良かったと思う。ドライの予選では相応の速さを発揮出来たが、99年開幕戦(鈴鹿)以来となったウエットレースでは雨でのパフォーマンスを更に高める必要性を感じている。次戦の富士に向けては仕切り直して全力を尽くす。

リザルト

順位No.車名第1ヒート第2ヒート2ヒートの合計ポイント
ドライバー名順位ポイントドライバー名順位ポイント
1 スカイラインGT-R 12 井出有治 1 30 B.トレルイエ 1 30 60
2 スカイラインGT-R 22 影山正美 4 27 R.ライアン 2 29 56
3 トヨタスープラGT 39 D.シュワガー 2 29 織戸 学 6 25 54
4 トヨタスープラGT 38 竹内浩典 6 25 立川祐路 3 28 53
5 スカイラインGT-R 23 本山 哲 3 28 M.クルム 7 24 52
6 トヨタスープラGT 1 飯田 章 9 22 脇阪寿一 4 27 49
7 トヨタスープラGT 36 E.コマス 7 24 土屋武士 8 23 47
8 ホンダNSX 18 S.フィリップ 12 19 道上 龍 5 26 45
9 ヴィーマックRD350R 62 柴原眞介 5 26 密山祥吾 14 17 43
10 トヨタスープラGT 35 服部尚貴 11 20 脇阪薫一 12 19 39
チーム車両No.ドライバー決勝結果
TOYOTA TEAM SARD トヨタスープラGT 39 D.シュワガー/織戸 学 3位
TOYOTA TEAM CERUMO トヨタスープラGT 38 竹内浩典/立川祐路 4位
ESSO TOYOTA TEAM LeMans トヨタスープラGT 1 脇阪寿一/飯田 章 6位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 36 土屋武士/E.コマス 7位
KRAFT トヨタスープラGT 35 服部尚貴/脇阪薫一 10位
TEAM ADVAN・ツチヤ トヨタスープラGT 25 荒 聖治/J.デュフォア 14位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 37 黒澤琢弥/M.アピチェラ 15位
RACING PROJECT BANDOH トヨタセリカ 19 青木孝行/田中 実 5位
TOM'S SPIRIT トヨタMR-S 17 松永まさひろ/長島正興 10位
DENTAIRE PROJET RACING with apr トヨタMR-S 34 西澤誠剛/松田晃司 11位
TEAM RECKLESS トヨタMR-S 31 佐々木孝太/後藤 聡 14位
シグマテックレーシングチーム トヨタMR-S 71 Guts城内/澤 圭太 18位
ドライバーズポイント
順位ドライバー名ポイント
1位 脇阪寿一/飯田 章 49
1位 本山 哲/M.クルム 49
3位 R.ライアン/影山正美 47
5位 土屋武士/E.コマス 30
6位 D.シュワガー/織戸 学 26
8位 服部尚貴/脇阪薫一 18
11位 竹内浩典/立川祐路 15
エンジンチューナーポイント
順位エンジンチューナーポイント
1位 トヨタテクノクラフト 64
2位 オーテックジャパン 62
3位 無限 35
4位 東名エンジン 25
5位 BMW Motorsport 2
6位 シエラスポーツ 2
チームポイント
順位チーム名ポイント
1位 NISMO 67
2位 ESSO TOYOTA Team LeMans 49
4位 TOYOTA TEAM TOM'S 32
5位 TOYOTA TEAM SARD 26
7位 KRAFT 18
9位 TOYOTA TEAM CERUMO 15
11位 TEAM ADVAN・ツチヤ 12