2003年8月 3日(日)配信

JGTC第5戦 GT300クラスでセリカが念願の初優勝
改修前の富士スピードウェイ最後のレースで
スープラ勢健闘空しく有終の美を飾れず


デビュー3戦目にして念願のGT300クラス優勝を果たした
青木/田中組のトヨタ・セリカ
 全日本GT選手権の第5戦「JAPAN SPECIAL GT CUP」が8月2日、3日の両日、静岡県の富士スピードウェイで開催された。
 富士スピードウェイは9月15日から2005年4月までレーシングコースを閉鎖し、本格的な改修工事に入る予定となっており、すでに南側の調整池や30度バンク内側のショートコースなど造成も進行中。2日の予選日にはプレス向けの実地見学会も行われ、今大会は現在のコースでの最後のGTレースとなった。
 第4戦マレーシア大会の代替としてスプリント的な2ヒート制レースが3週間前に行われたばかりの富士スピードウェイだが、今大会は通常の夏の大会(250km)より若干長い300kmでの開催となった。
 2日(土)には遅れていた関東地方の梅雨明けも宣言され、曇天ながら決勝日は気温が31度まで上昇して真夏の暑さ。観客も両日合計で7万人近くが入場してJGTCの人気ぶりを改めてアピール。人気のワンメイクレース、ネッツカップ・アルテッツアシリーズ第4戦、富士オリジナルのGC-21スポーツカーレース第4戦などが併催されて大いに賑わいを見せた。
 今回、トヨタ勢はGT500クラスにはここまで開幕戦と第3戦で優勝を果たし現在ポイントランキングで同点首位につけるエッソウルトラフロースープラ1号車をはじめとするスープラ7台が出場。GT300クラスでは新たにシグマの71号車がセリカにスイッチし、2台のセリカと3台のMR-Sがエントリーした。このセリカはリアセクションをパイプフレーム構造化したFRレイアウトの新型車両。エンジンは3S‐GE型インタークーラーターボにGT300用リストリクターを装着し、駆動系や足回りの一部などに01年型および02年型スープラのコンポーネントを採用して、高い耐久性を誇ると共に、軽く空力特性に優れたボディを持つ。終盤戦までにはトムススピリット17号車もスイッチし、3台体制となる予定。

予選
 トヨタのホームコースであり、長いストレートのコースレイアウトを持つ富士スピードウェイは、空力に優れたスープラが得意とするコース。今季は不運にも勝利を逃してきただけに、現在の富士スピードウェイ最後のレースへと各チームともいつも以上に気合を入れて臨むこととなった。
 公式予選では、金曜日の練習走行からトップタイムを維持していたauセルモスープラ38号車が午前中の予選1回目にもトップタイムをマーク。これにZENTトムススープラ37号車、WOODONEトムススープラ36号車、スープラ1号車、プロジェクトμエスペリアスープラ35号車、ADVANスープラ25号車が続き、スープラが1~6番手を独占した。
 午後の予選2回目はやや路面温度が下がり、1回目のタイムを更新する車両は少なかったが、それでもスープラ38号車はセッション終盤のGT500専用時間にさらにタイムを詰め、文句なしのポールポジションを獲得。スープラ38号車は昨年の同大会から富士で見事4回連続のポールポジション獲得となった。これにスープラ37号車が続きスープラは予選ワン・ツーを達成。
 また、GT300クラスでもウェッズスポーツセリカ19号車が2戦連続ポールを決め、シグマDUNLOPセリカ71号車が続いて嬉しいワン・ツーを果たした。

決勝
 3日(日)の決勝レースは定刻にスタート。序盤はトップで逃げるスープラ38号車に、僅差でスープラ37号車が続くが、16周目の1コーナーでスープラ37号車はNSX18号車の先行を許し後退。
 中盤のピット作業を経ても、スープラ38号車は首位をキープ。追いすがる2位のNSX、続くスカイラインらを引き離して快走を続けた。
 ところが、このままゴールかと思われた残り6周、スープラ38号車は右前輪がパンクしてまさかのスピードダウン。内圧の下がったタイヤで渾身の走行を続けるが後退は避けられず、NSX18号車とスカイライン23号車の先行を許し、無念の3位でチェッカーを受けた。
 これによりドライバーズランキングで同点首位だったスカイライン23号車に2位入賞を譲り、6点差を付けられたが、同時にスカイライン23号車は40kgのウエイトを積むことになるため、残り3戦での巻き返しが期待される。
 一方、GT300クラスは、ポールポジションを獲得したセリカ19号車が序盤からトップを快走。ノートラブルで300kmのレースを走りきり、デビュー3戦目で嬉しい初優勝を飾った。

ウェッズスポーツセリカ19号車 ドライバー青木孝行のコメント:
 本当はもっと早く勝ちたかった。セリカには勝てるポテンシャルがあり、今回は全てが順調。勝ててホッとした。次はウエイトを積むことになるがどんどん行きたい。

ウェッズスポーツセリカ19号車 ドライバー田中実のコメント:
 徹夜続きのメカニックに報いることが出来て良かった。セリカはタイヤグリップやコンディション変化に寛容で、速さと同時に強さを感じる。終盤戦までにタイトル争いに絡みたい。

auセルモスープラ38号車 ドライバー竹内浩典のコメント:
 改修前の富士で勝つべく頑張ってきたが、不運としか言いようのないトラブルに見舞われてしまい非常に残念。これもレースだと気持ちを切り替え、残り3戦に全力を尽くす。

auセルモスープラ38号車 ドライバー立川祐路のコメント:
 残り6周の1コーナーでタイヤの内圧低下に気づいた。その後頑張ったが届かなかった。クルマは完璧だったし、竹内さんも体調が悪い中頑張ってくれていただけにものすごく悔しい。

トヨタ自動車(株)モータースポーツ部主査 柘植和廣のコメント:
 GT300のセリカがデビュー3戦目で勝つことが出来て良かった。2台目の71号車も決勝中のアクシデントがなければ、予選ワン・ツーからワン・ツー・フィニッシュの可能性もあったと思う。セリカは素性の良さを見せてくれたので、今後が楽しみだ。一方、GT500ではスープラ38号車がチームもドライバーもパフォーマンスを見せてくれたにもかかわらず、アンラッキーなアクシデントに見舞われてしまった。現コース最後の富士で勝てなかったことは残念だが、これもレースだと思う。また、スープラ1号車が4位に入ったことはライバルとのウエイト差を含めた展開を考えれば良い結果で、全チーム一丸になって残り3戦にベストを尽くしたい。

リザルト

順位車名No.ドライバー名所要時間/差周回グリッド
1 ホンダNSX 18 道上 龍/S.フィリップ 1:41'29.425 68 3
2 スカイラインGT-R 23 本山 哲/M.クルム 0.49 68 8
3 トヨタスープラGT 38 竹内浩典/立川祐路 5.541 68 1
4 トヨタスープラGT 1 脇阪寿一/飯田 章 6.026 68 5
5 トヨタスープラGT 36 土屋武士/E.コマス 21.723 68 4
6 トヨタスープラGT 37 黒澤琢弥/M.アピチェラ 30.876 68 2
7 トヨタスープラGT 39 D.シュワガー/織戸 学 39.223 68 11
8 ホンダNSX 16 伊藤大輔/T.コロネル 44.469 68 12
9 ホンダNSX 64 松田次生/A.ロッテラー 47.157 68 13
10 トヨタスープラGT 35 服部尚貴/脇阪薫一 56.026 68 6
チーム車両No.ドライバー決勝結果
TOYOTA TEAM CERUMO トヨタスープラGT 38 竹内浩典/立川祐路 3位
ESSO TOYOTA TEAM LeMans トヨタスープラGT 1 脇阪寿一/飯田 章 4位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 36 土屋武士/E.コマス 5位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 37 黒澤琢弥/M.アピチェラ 6位
TOYOTA TEAM SARD トヨタスープラGT 39 D.シュワガー/織戸 学 7位
KRAFT トヨタスープラGT 35 服部尚貴/脇阪薫一 10位
TEAM ADVAN・ツチヤ トヨタスープラGT 25 荒 聖治/J.デュフォア 36位
RACING PROJECT BANDOH トヨタセリカ 19 青木孝行/田中 実 15位/1位
TEAM RECKLESS トヨタMR-S 31 佐々木孝太/後藤 聡 17位/3位
シグマテックレーシングチーム トヨタセリカ 71 Guts城内/澤 圭太 リタイア
DENTAIRE PROJET RACING with apr トヨタMR-S 34 西澤誠剛/松田晃司 リタイア
TOM'S SPIRIT トヨタMR-S 17 松永まさひろ/長島正興 リタイア
ドライバーズポイント
順位ドライバー名ポイント
1位 本山 哲/M.クルム 65
2位 脇阪寿一/飯田 章 59
3位 R.ライアン/影山正美 47
5位 土屋武士/E.コマス 38
7位 D.シュワガー/織戸 学 30
8位 竹内浩典/立川祐路 29
9位 服部尚貴/脇阪薫一 19
エンジンチューナーポイント
順位エンジンチューナーポイント
1位 オーテックジャパン 77
2位 トヨタテクノクラフト 76
3位 無限 45
4位 東名エンジン 35
5位 BMW Motorsport 2
6位 シエラスポーツ 2
チームポイント
順位チーム名ポイント
1位 NISMO 83
2位 ESSO TOYOTA Team LeMans 59
3位 TOYOTA TEAM TOM'S 42
6位 TOYOTA TEAM SARD 30
7位 TOYOTA TEAM CERUMO 29
8位 KRAFT 19
11位 TEAM ADVAN・ツチヤ 12