2003年10月26日(日)配信

JGTC第7戦 織戸/D.シュワガー組がスープラで初優勝
脇阪/飯田組スープラがポイント首位堅守。
GT300クラスでは片岡/澤組のセリカが2連勝で最終戦へ


九州初のシリーズ戦で見事優勝を果たした
織戸/シュワガー組のトヨタ・スープラ
 全日本GT選手権第7戦「JAPAN GT in KYUSHU 300km」が10月25日(土)、26日(日)の両日、大分県のオートポリスサーキットで開催された。
 同サーキットでは、99年にオールスター戦が行われているが、シリーズ公式戦は今回が初開催。全日本選手権レースとしては、94年のJTCC全日本ツーリングカー選手権開幕大会以来、実に9年ぶりで、秋晴れのもと、2日間合わせて5万8千人もの観客が入場した。
 阿蘇山麓の地形を活かしたサーキットはアップダウンに富み、高低差52m、 10%の下り勾配を持つダウンヒルストレートなどテクニカルな設定。路面は滑りやすく、タイヤに厳しいコースで戦いが繰り広げられた。
 JGTC参戦車両の走行は久しぶりのため、練習走行では周回を重ねるごとにラバーグリップが載って徐々にタイムが短縮された。事前の合同テストは行われず、各チームはぶっつけ本番、23日、24日の練習走行でセッティングを煮詰めることとなった。

予選
 25日(土)好天のもと、気温19度、路面温度24度という状況の中で、午前10時30分から行われた公式予選1回目では、70kgのウエイトを積むauセルモスープラ38号車が、1分42秒688のコースレコードタイムで暫定ポールポジションを獲得。 現在シリーズポイントランキング首位のエッソウルトラフロースープラ1号車も90kgのハンディウエイトをものともせず、4番手につけた。
 続いて午後2時50分からの予選2回目も気温19度、路面温度23度と、ほとんど予選1回目と同じ状況でタイムアタック。最後の20分間、GT500クラスの専有走行枠終盤になると多くの車両が出走し予選タイムを更新。渾身の走りでスープラ38号車が午前中の自身のタイムをさらに縮め、1分42秒548を記録。見事今季4度目のポールポジションを獲得した。
 また、スープラ1号車はアタック中にスピンからコースアウトを喫するものの1回目のタイムで4番手グリッドを獲得。これにデンソーサードスープラ39号車が5番手で続いた。
 一方、GT300クラスでは1回目でシグマDUNLOPセリカ71号車がコースレコードタイムで暫定ポールポジションを決めるものの、2回目ではタイム短縮かなわず0.041秒差の2番手。ウエッズスポーツセリカ19号車が3番手につけた。

決勝
 26日(日)は、予定を早め午前4時にゲートオープン。前夜からの徹夜組をはじめ4万3900人の観客が入場。九州地区初のシリーズ戦は賑やかな雰囲気のもとで決勝を迎えた。
 午後2時にローリングスタートが切られると、まずはポールポジションのスープラ38号車がリード。しかし、オープニングラップのヘアピンでオーバーランを喫して3位に後退。代わってスープラ39号車が2位で首位を逃げるNSXを追う展開で序盤戦に突入。
 スープラ39号車はあせらず、周回遅れが絡んで混戦模様となるのを待つクレバーなレース運びを見せ25周目に首位奪取。中盤戦では、ピット作業をはさんでNSXに先行を許すが、ペースで勝るスープラ39号車は37周目に再びNSXをパス。全車最後のピットインを終えた42周目にトップに立つと、以降は後続を寄せ付けず、トップでチェッカーを受けた。
 トヨタ・チームサードのJGTC優勝は97年以来。ドライバーの織戸学にとってはGT500初優勝、D.シュワガーにとってもスープラでの初優勝となった。
 また、スープラ38号車は22周目に他車に接触されてスピンを喫したが粘り強く走り切って3位表彰台を獲得した。
 一方、4番手スタートのスープラ1号車はスローパンクチャーのため28周目に予定より早めのピットインを強いられたが、その後見事な追い上げを見せ、33周目には3位、さらに54周目には2位まで躍進。しかし、最終ラップで燃料不足により後退。4位でレースを終えた。無念の結果となったスープラ1号車であったが、ランキング首位の座は堅守。ランキング2位のスカイラインとの獲得ポイント差を6点に広げることとなった。
 一方、GT300クラスでは、序盤戦2位のセリカ71号車が、中盤戦のピット作業を機にトップに立ち、その後一旦首位を譲るものの、最終ラップに再び首位奪還。前戦もてぎに続く2連勝を飾った。
 トヨタ勢は、見事、GT500/GT300の両クラスを制し、来月の最終戦へと臨む事になっ

デンソーサードスープラ39号車 ドライバー織戸学のコメント:
 GT500クラスでの優勝という、自分にとっての目標の一つを達成することが出来て嬉しい。このオートポリスはタイヤに厳しいコースだったが、ソフトタイヤを上手く使うセッティングが決まった。最終戦では、80kgのウエイトを積むことになるが、スープラの強さを活かして頑張りたい。

デンソーサードスープラ39号車 ドライバーD.シュワガーのコメント:
 ベストを尽くした結果で、今までのレースの中でも最も嬉しい勝利。これまではスタートドライバーを担当していたが今回は後半を担当することとなり、ドキドキした。

シグマダンロップセリカ71号車 ドライバー澤圭太のコメント:
 最後はラッキーな面もあったが、プレッシャーを掛け続けた影響もあると思う。ウエイトは80Kgになるが、最終戦で3連勝、鈴鹿1000kmから数えれば4連勝を目指す。

シグマダンロップセリカ71号車 ドライバー片岡龍也のコメント:
 今季JGTCで2回ドライブするチャンスを頂き、その2回とも勝つことが出来てとても嬉しい。最終戦は出られないがこの勢いでマカオGPでも頑張る。

トヨタ自動車(株)モータースポーツ部主査 柘植和廣のコメント:
 九州で初めてのGTレースが無事終了し、たくさんのお客様にGTレースを楽しんで頂くことが出来て良かった。タイヤに厳しく、後半セクションの上り坂の連続など難しいコースで、03年型スープラのパッケージの良さ、オールマイティな強さが発揮出来たと思う。その中でも6年ぶりの優勝を果たしたサードチームは良いパフォーマンスを見せてくれた。また、チャンピオンシップにおいてはスープラ1号車が再び4位に入賞し、良い形で最終戦に臨める。一方、GT300でもセリカが2連勝と、期待に応えてくれた。2年連続両部門チャンピオンという大きな目標に向けて全力を尽くしたい。

リザルト

順位車名No.ドライバー名所要時間/差周回グリッド
1 トヨタスープラGT 39 D.シュワガー/織戸 学 1:58'12.051 65 5
2 ホンダNSX 64 松田次生/A.ロッテラー 0'13.770 65 2
3 トヨタスープラGT 38 竹内浩典/立川祐路 0'20.472 65 1
4 トヨタスープラGT 1 脇阪寿一/飯田 章 0'21.082 65 4
5 スカイラインGT-R 23 本山 哲/M.クルム 0'31.232 65 8
6 スカイラインGT-R 22 影山正美/R.ライアン 0'33.571 65 3
7 トヨタスープラGT 35 服部尚貴/脇阪薫一 1'04.981 65 7
8 トヨタスープラGT 36 土屋武士/E.コマス 1'06.668 65 12
9 ホンダNSX 100 加藤寛規/光貞秀俊 1'13.643 65 6
10 ホンダNSX 16 伊藤大輔/T.コロネル 1'33.374 65 14
チーム車両No.ドライバー決勝結果
TOYOTA TEAM SARD トヨタスープラGT 39 D.シュワガー/織戸 学 1位
TOYOTA TEAM CERUMO トヨタスープラGT 38 竹内浩典/立川祐路 3位
ESSO TOYOTA TEAM LeMans トヨタスープラGT 1 脇阪寿一/飯田 章 4位
KRAFT トヨタスープラGT 35 服部尚貴/脇阪薫一 7位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 36 土屋武士/E.コマス 8位
TEAM ADVAN・ツチヤ トヨタスープラGT 25 荒 聖治/J.デュフォア 12位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 37 黒澤琢弥/M.アピチェラ 13位
シグマテックレーシングチーム トヨタセリカ 71 片岡龍也/澤 圭太 14位/1位
TEAM RECKLESS トヨタMR-S 31 佐々木孝太/後藤 聡 24位/11位
RACING PROJECT BANDOH トヨタセリカ 19 青木孝行/田中 実 29位/16位
DENTAIRE PROJET RACING with apr トヨタMR-S 34 西澤誠剛/松田晃司 32位/19位
ドライバーズポイント
順位ドライバー名ポイント
1位 脇阪寿一/飯田 章 79
2位 本山 哲/M.クルム 73
3位 土屋武士/E.コマス 58
4位 D.シュワガー/織戸 学 55
6位 竹内浩典/立川祐路 45
11位 J.デュフォア/荒聖治 24
13位 服部尚貴/脇阪薫一 23
エンジンチューナーポイント
順位エンジンチューナーポイント
1位 トヨタテクノクラフト 111
2位 オーテックジャパン 85
3位 無限 80
4位 東名エンジン 47
5位 BMW Motorsport 2
6位 シエラスポーツ 2
チームポイント
順位チーム名ポイント
1位 NISMO 93
2位 ESSO TOYOTA Team LeMans 79
3位 TOYOTA TEAM TOM'S 61
5位 TOYOTA TEAM SARD 55
7位 TOYOTA TEAM CERUMO 45
9位 TEAM ADVAN・ツチヤ 24
10位 KRAFT 22