2004年6月19日(土)配信

JGTC第3戦 マレーシア トヨタ・スープラが1-2フィニッシュ!
猛暑の海外遠征戦 波乱の"ナイトレース"をスープラが完全制覇


波乱のマレーシアラウンドを制したスープラ39号車
 全日本GT選手権第3戦「JAPAN GT CHAMPIONSHIP MALAYSIA」が6月18日(金)、19日(土)の両日、マレーシアの首都クアラルンプール近郊のセパンサーキットで開催された。昨年はSARSの影響を考慮して中止となったが、マレーシアでの開催は2000年以来通算4回目、選手権シリーズ戦としても2001年から3回目となる。
 今大会には、GT500クラス18台とGT300クラス24台の総勢42台が参加。このうちトヨタ勢はGT500クラスに7台のスープラとGT300クラスに3台のセリカ、そして2台のMR‐Sがエントリーした。
 亜熱帯のマレーシアで行われるレースだけに、特例としてボンネット上ルーバーの高さ規制が解除されるなど、各車暑さ対策に腐心。ルーフに室内の熱気を抜くベンチレーターを持つ04年型スープラもボンネットルーバーを追加してラジエターの放熱効果を高めるなどして臨んだ。
 ただし今回は初の試みとして土曜日に決勝レースを行うと共に、スタート時間を夕刻の5時、ゴール予定を7時半過ぎとする"ナイトレース"として開催されることとなり、気温・路面温度の下降による車両、タイヤなどへの影響が注目された。

予選
 18日(金)の公式予選も、通常より遅いタイムスケジュールとなり、1回目が午前11時45分から、2回目は午後5時からそれぞれ1時間づつ行われた。
 この日は午前10時頃から強い雷雨に見舞われ、セッション開始時までには小雨となったものの、完全なウェットコンディションで予選を開始。雨脚が弱まったセッション終盤に満を持して浅溝レインタイヤをタイミングよく投入したデンソーサードスープラ39号車が暫定PPを獲得。3番手タイムを記録したWOODONEトムススープラ36号車が上位車のペナルティにより順位を繰り上げて、トヨタ・スープラのワン・ツーとなった。
 その後、午後2時過ぎに雨が完全にあがると路面は急速に乾き、午後5時からの予選2回目は、完全なドライコンディションで行われた。決勝グリッドをかけたアタックと同時に、両ドライバーの基準タイムクリアなど両クラス共に実質40分の慌しいセッションの終盤には、スープラ36号車とDYNACITYトムススープラ37号車が激しくトップタイムを争い、最後の最後でタイムアップを果たしたスープラ36号車が2番手、スープラ37号車が3番手を獲得した。

決勝
 19日(土)は、朝こそ曇りがちだったが、間もなく晴天となり、決勝レースまでには気温も35度まで上昇。
 午後5時19分にローリングスタートが切られると、2番手スタートのスープラ36号車がオープニングラップで首位を奪取する。2周目には再び2位となるが、ポジションを堅持。25周目に迅速なピット作業でドライバー交代を済ませ、続いてピットインしたフェアレディZを捕らえると、ピット作業が一巡した32周目には首位奪還を果たした。
 一方、スタートでは出遅れたもののじわじわと順位を上げてきたスープラ39号車は、33周目には2位に浮上。ペースを上げたスープラ35号車も3位へとポジションを上げて、トヨタ・スープラは、ワン・ツー・スリー体制に持ち込んだ。しかし、首位を行くスープラ36号車は、クールスーツの故障により、ドライバーが体力を消耗し、45周目のヘアピン先で痛恨のスピン。さらにピットインを余儀なくされ後退。
 代わって首位に立ったスープラ39号車は、その後も安定したペースで勝利のチェッカーフラッグ。2位にはスープラ35号車が続き、荒れたレースでトヨタ・スープラが見事ワン・ツーフィニッシュを飾った。
 一方、GT300クラスでは6番手グリッドからスタートしたRECKRESS MR‐S30号車が安定した走りで4位入賞を果たした。

デンソー サードスープラ39号車 ドライバーJ.デュフォアのコメント:
 4年間GTカーレースを走って今回初めて優勝を果たすことが出来、とても嬉しい。チームの作戦で、後半担当の自分は30周近くを周回せねばならず、最初の10周はとりわけタイヤをセーブしたが、それが功を奏したと思う。暑さで体力を消耗したが、接触やコースアウトの多発する中、良いレースが出来た。

デンソー サードスープラ39号車 ドライバーA.クートのコメント:
 決勝前のフリー走行でトップタイムを記録し、セッティングがコンディションにぴったり合っていることを確信した。開幕戦は残念なペナルティ(追い越し違反)で勝利を失ったが、これでチームのパフォーマンスを確信した。これからもタイトル獲得を目指し、全力を尽くして頑張る。

トヨタ自動車(株)モータースポーツ部主査 柘植和廣のコメント:
 今回のレースは、暑さも影響して接触やコースアウトが多発する荒れた展開となったが、その中で39号車は予選結果が思わしくなかったにも関わらず決勝では力強く走ってくれた。また、35号車は序盤に接触からスピンも喫したが、上手くリカバーして2位に入賞し、スープラがワン・ツー・フィニッシュを達成することが出来た。これは、マレーシアでのオフシーズンテストによる熱対策や信頼性確保など基本部分の熟成と、暑い中で頑張ってくれた各チームの健闘によるものだと思う。前戦に続いてスープラの連勝を飾ることが出来たが、シリーズチャンピオンを目指して、次戦となる十勝でのレースも各チームと共に全力で臨む。

リザルト

順位No.車名ドライバー名所要時間/差周回グリッド
1 39 トヨタスープラGT J.デュフォア/A.クート 1:53'47.096 54 13
2 35 トヨタスープラGT 服部尚貴/脇阪薫一 0'02.113 54 5
3 1 日産フェアレディZ 本山 哲/R.ライアン 0'21.470 54 9
4 3 日産フェアレディZ 金石年弘/E.コマス 0'36.077 54 7
5 37 トヨタスープラGT J.コートニー/片岡龍也 0'42.987 54 3
6 22 日産フェアレディZ 影山正美/M.クルム 0'45.702 54 4
7 38 トヨタスープラGT 立川祐路/荒 聖治 1'14.961 54 10
8 18 ホンダNSX 道上 龍/S.フィリップ 1'25.118 54 12
9 32 ホンダNSX 松田次生/A.ロッテラー 1'51.137 54 14
10 36 トヨタスープラGT 土屋武士/M.アピチェラ 2'20.890 54 2
チーム車両No.ドライバー決勝結果
TOYOTA TEAM SARD トヨタスープラGT 39 J.デュフォア/A.クート 1位
KRAFT トヨタスープラGT 35 服部尚貴/脇阪薫一 2位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 37 J.コートニー/片岡龍也 5位
TOYOTA TEAM CERUMO トヨタスープラGT 38 立川祐路/荒 聖治 7位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 36 土屋武士/M.アピチェラ 10位
ESSO TOYOTA TEAM LeMans トヨタスープラGT 6 脇阪寿一/飯田 章 34位/14位
TEAM ADVAN・ツチヤ トヨタスープラGT 25 織戸 学/D.シュワガー リタイア
TEAM RECKLESS トヨタMR-S 30 佐々木孝太/後藤 聡 17位/4位
TOYOTA TEAM CERUMO トヨタセリカ 52 竹内浩典/西澤誠剛 21位/8位
SPIRIT Motorsport トヨタセリカ 17 長島正興/松永まさひろ 25位/12位
A'PEX with apr トヨタMR-S 31 田中 実/松田晃司 36位/22位
RACING PROJECT BANDOH トヨタセリカ 19 青木孝行/谷口信輝 リタイア
ドライバーズポイント
順位ドライバー名ポイント
1位 J.デュフォア/A.クート 34
2位 立川祐路/荒 聖治 33
2位 本山 哲/R.ライアン 33
4位 服部尚貴/脇阪薫一 29
5位 J.コートニー/片岡龍也 19
7位 織戸 学/D.シュワガー 17
7位 脇阪寿一/飯田 章 17
エンジンチューナーポイント
順位エンジンチューナーポイント
1位 トヨタテクノクラフト 55
2位 AUTECH 32
3位 東名エンジン 18
4位 M-TEC 12
チームポイント
順位チーム名ポイント
1位 NISMO 36
2位 TOYOTA TEAM SARD 34
3位 TOYOTA TEAM CERUMO 33
4位 KRAFT 29
5位 TOYOTA TEAM TOM'S 23
7位 ESSO TOYOTA Team LeMans 17
7位 TEAM ADVAN・ツチヤ 17