2004年9月 4日(土)配信

JGTC第5戦 トヨタ・スープラ惜しくも首位逃がす
悪天候の乱戦で後半果敢な追い上げを見せ2位。トップ6に4台の健闘


混戦で2位フィニッシュを果たしたスープラ6号車
 全日本GT選手権第5戦「もてぎGTチャンピオンレース」が9月4日、5日の両日、栃木県のツインリンクもてぎで開催された。同大会にはGT500クラス17台、GT300クラス25台が参加し、トヨタ勢はこのうちGT500クラスに7台のスープラ、GT300クラスには3台のセリカと2台のMR‐Sが出場した。今シーズンも残すところ3戦でタイトル争いも佳境に突入。トヨタ勢は本戦に先駆けて8月3・4日に行われた合同テストでスープラ勢が上位1~4番手を独占。2日(金)に行われた公式練習でもイエローハットYMSスープラ35号車がトップタイムを記録するなど、好調の波に乗って臨んだ。

予選
 4日(土)の公式予選は午前10時と午後2時40分からそれぞれ1時間づつ実施。朝方から暗い曇が空を覆っていたが1回目の開始直前から小雨が落ちはじめ、ウエットレースが宣言された。しかし降雨は少量で、各車ドライタイヤでコースイン。さらに雨は中盤までに上がり、路面はところによってハーフウェットからほぼドライへと推移した。
 午後には降雨の予報もあったため、一部のチームは午前の予選終盤には、2セット目のニュータイヤを投入。エクリプスアドバンスープラ25号車が暫定のポールポジションを獲得した。
 午後の公式予選も曇り時々小雨の不安定な状況で迎え、中盤のGT300クラス専有時間には路面はセミウエットとなった。このためタイム更新はならず、午前の予選タイムによりプロジェクトμ太陽石油セリカ52号車が3番手グリッド、ウェッズスポーツセリカ19号車が7番手グリッドを確定した。
 一方、予選最後の20分間行われたGT500クラス専有時間になると雨は上がり路面状況が改善。終盤にアタックを決めたスープラ35号車が見事初ポールポジションを獲得した。また、同じくタイムアップを果たしたエッソウルトラフロースープラ6号車が3番手、auセルモスープラ38号車が5番手に浮上。スープラ25号車は1回目の予選タイムで4番手となった。

決勝
 5日(日)は朝から小雨模様。各車朝のフリー走行でウエット仕様のセッティング確認を行って決勝に臨んだ。その後も雨は断続的に降ったが、午後2時のスタートまでには上がり、路面はハーフウェット状態。このため各車インターミディエイトタイヤでスタートを迎えた。
 曇天で路面はなかなか乾かず、レース序盤は滑りやすいコンディションで、スピンやコースアウト車両が続出。この大荒れの展開の中、ポールポジションからスタートしたスープラ35号車もスピンを喫して後退。
 首位の座がめまぐるしく変わる中、10番手からスタートしたDYNACITYトムススープラ37号車がじわじわと順位を上げ、13周目には2位、27周目にはついに首位に立った。2位はNSX。これを3番手スタートからポジションを堅持してきたスープラ6号車が追うこととなった。
 路面はレコードラインのみが乾きはじめて、各車ドライタイヤにチェンジ。しかし、47周目の最終コーナーで、首位を行くスープラ37号車はブレーキのフェードに見舞われ、さらに周回遅れ車両のパスに手間取り、NSXに先行を許してしまう。
 一方、ペースを上げてきたスープラ6号車は53周目にスープラ37号車をパスし、2位に躍進。さらに首位を逃げるNSXに詰め寄るが、1秒差まで追い詰めたところで惜しくもチェッカー。
 スープラ6号車は前戦十勝に続く2位表彰台を獲得し、リードは1点ながらポイントランキング首位に立った。スープラ37号車は4位、スピンにより9位まで後退しながらも迫真の追い上げを見せたWOODONEトムススープラ36号車が5位、さらにドライブスルーペナルティを課されて後退しながらも後半果敢に追い上げを見せたデンソーサードスープラ39号車が6位に入賞と、スープラ勢は大荒れのレースで安定した強さを発揮した。
 また、GT300クラスではセリカ52号車が序盤戦で首位を走行したが、無念のスピンで後退。RECKLESS MR-S30号車の6位が最上位となった。

エッソウルトラフロースープラ6号車 ドライバー飯田章のコメント:
 序盤は路面状況の変化に対し、どこでドライタイヤに交換するか、そのためにはどんなペースで走ればタイヤが持つかなど、常に考えながらの走行となり、本当に難しかったが、結果として、混戦の中で2位入賞を得られたということで、今日は納得の行く良いレースが出来た。

エッソウルトラフロースープラ6号車 ドライバー脇阪寿一のコメント:
 終盤、リスクを考えずにプッシュすれば首位逆転も可能だったかもしれないが、我々の目標はシリーズチャンピオンであり、その意味で今回2位に入れたことは意味が大きいと思う。次はハンディウエイトが追加されて重くなるが、残り2戦、シリーズタイトル奪取に全力を尽くす。

DYNACITYトムススープラ37号車 ドライバー片岡龍也のコメント:
 後半ポジションを落としたのは悔しいが、難しいコンディションの中でパフォーマンスを見せられたのは良かったし、良い勉強になった。これからも更に上を目指す。

DYNACITYトムススープラ37号車 ドライバーJ.コートニーのコメント:
 ウエットでもクルマの状態がとても良く、とりわけ序盤の難しい路面状況の中でも楽しんで追い上げることが出来た。優勝は出来なかったが、結果には満足している。

トヨタ自動車(株)モータースポーツ部主査 柘植和廣のコメント:
 予選では35号車がポールポジションを獲得し、また、決勝ではハーフウェットの難しい路面コンディションの中、惜しくも優勝は逃したが、2位、4、5、6位入賞と、スープラ04年モデル持ち前の安定した強さを発揮出来た。また、悪天候の中入場された観客の皆さんにも良いレースを見て頂けたと思う。今回の結果により6号車がランキング首位となっているが、まだまだ厳しい戦いが続く。残り2戦もチームと共に全力を尽くす。

リザルト

順位No.車名ドライバー名所要時間/差周回グリッド
1 32 ホンダNSX 松田次生/A.ロッテラー 2:04'26.984 63 8
2 6 トヨタスープラGT 脇阪寿一/飯田 章 0'01.069 63 3
3 1 日産フェアレディZ 本山 哲/R.ライアン 0'02.514 63 2
4 37 トヨタスープラGT J.コートニー/片岡龍也 0'14.957 63 10
5 36 トヨタスープラGT 土屋武士/M.アピチェラ 0'41.410 63 7
6 39 トヨタスープラGT J.デュフォア/A.クート 0'59.879 63 12
7 3 日産フェアレディZ 金石年弘/E.コマス 1'16.058 63 16
8 22 日産フェアレディZ 影山正美/M.クルム 1'18.782 63 13
9 100 ホンダNSX 中野信治/加藤寛規 1'46.056 63 11
10 38 トヨタスープラGT 立川祐路/荒 聖治 1'46.713 63 5
チーム車両No.ドライバー決勝結果
ESSO TOYOTA TEAM LeMans トヨタスープラGT 6 脇阪寿一/飯田 章 2位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 37 J.コートニー/片岡龍也 4位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 36 土屋武士/M.アピチェラ 5位
TOYOTA TEAM SARD トヨタスープラGT 39 J.デュフォア/A.クート 6位
TOYOTA TEAM CERUMO トヨタスープラGT 38 立川祐路/荒 聖治 10位
TEAM ADVAN・ツチヤ トヨタスープラGT 25 織戸 学/D.シュワガー 12位
KRAFT トヨタスープラGT 35 服部尚貴/脇阪薫一 13位
TEAM RECKLESS トヨタMR-S 30 佐々木孝太/後藤 聡 19位/6位
TOYOTA TEAM CERUMO トヨタセリカ 52 竹内浩典/西澤誠剛 21位/8位
RACING PROJECT BANDOH トヨタセリカ 19 青木孝行/谷口信輝 27位/13位
SPIRIT Motorsport トヨタセリカ 17 長島正興/松永まさひろ 30位/16位
A'PEX with apr トヨタMR-S 31 田中 実/松田晃司 リタイア
ドライバーズポイント
順位ドライバー名ポイント
1位 脇阪寿一/飯田 章 48
2位 本山 哲/R.ライアン 47
3位 J.デュフォア/A.クート 43
7位 立川祐路/荒 聖治 34
7位 服部尚貴/脇阪薫一 34
7位 J.コートニー/片岡龍也 34
10位 土屋武士/M.アピチェラ 24
11位 織戸 学/D.シュワガー 17
エンジンチューナーポイント
順位エンジンチューナーポイント
1位 トヨタテクノクラフト 85
2位 AUTECH 64
3位 M-TEC 37
4位 東名エンジン 34
チームポイント
順位チーム名ポイント
1位 NISMO 72
2位 ESSO TOYOTA Team LeMans 48
3位 TOYOTA TEAM SARD 43
4位 TOYOTA TEAM TOM'S 40
7位 TOYOTA TEAM CERUMO 34
7位 KRAFT 34
9位 TEAM ADVAN・ツチヤ 17