2005年11月 6日(日)配信

SUPER GT最終戦 トヨタが3年振りのWタイトル奪取
GT500はスープラ38号車が勝利し逆転チャンピオン。
GT300もMR-S30号車がチャンピオン獲得


GT500クラスでチャンピオンを獲得したスープラ38号車
「SUPER GT」第8戦(最終戦)「SUZUKA GT 300km」が11月5日(土)、6日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキット国際レーシングコースで行われた。
 今季全8戦のSUPER GTも遂に最終戦を迎え、GT500クラスでチャンピオンの可能性がある5台の内、トヨタ勢はOPEN INTERFACEトムススープラ36号車が7ポイント差のランキング同点2位、すでに2勝を挙げているZENTセルモスープラ38号車が14点差の4位。またGT300クラスではRECKLESS MR‐S30号車がランキング首位と、チャンピオン獲得に向けて期待が集まった。
 今大会にはGT500クラス17台、GT300クラス28台の総勢45台が参加。このうちトヨタ勢はGT500クラスに8台のスープラ、GT300クラスには2台のセリカと2台のMR-Sがエントリー。
 4日(金)に好天の下で行われた練習走行ではスープラ38号車が3番手タイムを記録した。

予選
 5日(土)は秋晴れの好天に恵まれ、完全ドライコンディションの下で午前10時に公式予選1回目がスタート。終盤の両クラス混走時間にエッソウルトラフロースープラ6号車がただ一台コースレコードを更新する好タイムでスープラ38号車を逆転し、トップタイムをマーク。スープラ38号車は2番手、OPEN INTERFACEトムススープラ37号車も3番手で続き、スープラ勢が順調に上位3番手までを独占して午後のスーパーラップにコマを進めた。
 GT300クラスでは吉兆宝山MR‐S31号車がセッション序盤から好調にトップタイムを連発してセッショントップにつけた。
 1台づつのタイムアタックにより上位グリッド10台分を決定するスーパーラップは、午後2時35分より開始。GT500クラスではスープラ38号車が見事ポールポジションを獲得。スープラ6号車が2番手、スープラ37号車が3番手のタイムをマークし、スープラは再び予選上位3位グリッドまでを独占した。
 また、GT300クラスでもMR‐S31号車がポールポジションを獲得し、トヨタ車によるGT500/GT300の両クラスダブルポールポジションで決勝に臨むこととなった。

決勝
 6日(日)は朝から天候が悪化。午前8時20分からのフリー走行が始まる頃には雨が落ち始め、昼前には本降りとなった。路面コンディション変化に対応し、15分間のフリー走行が追加されたが、断続的な激しい風雨のため、スタートは遅延、周回数を52周から39周に減らし、午後2時55分にフォーメーションラップなしのセーフティカーランでスタートが切られた。
 一人のドライバーが運転出来る規定周回数は変わらず35周だったため、スタートから4周が過ぎると早めのピット作業とドライバー交代を行うチームが出始め、ポールポジションからスタートしたスープラ38号車、2番手のスープラ6号車も6周目にピットイン。タイヤ交換は行わず、燃料補給とドライバー交代のみでコースに復帰、追い上げを開始した。
 これで一時は11位までポジションを落としたスープラ38号車だったが、その後16周目から21周目に渡ってコースアウト車輛処理のためセーフティカーが導入され、先行車との間隙を詰めることに成功。
 その後、序盤ピットインしなかった上位車両がピットへ向かうごとにポジションを上げていったスープラ38号車は、35周目に再び首位奪還。
 この頃には雨も弱くなり、路面コンディションも良くなって行ったが、スープラ38号車は深溝レインタイヤを労わりながら、後続から見事逃げ切り、今季3勝目を獲得。ランキング4位からの驚異的な逆転劇で、シリーズチャンピオンを確定した。
 トヨタ・スープラのGT500チャンピオン獲得は2002年以来3年振り。ドライバーの立川祐路はGT500最多となる通算7勝目を挙げた。また、共に戦った僚友高木虎之介は、IRL参戦から今季SUPER GTに戦いの場を変えた初参戦のルーキーイヤーながらチャンピオンに輝いた。
 一方、GT300クラスでは、MR‐S30号車が3位入賞。ドライバーズチャンピオンと共にチームチャンピオンのダブルタイトルを確定した。

ZENTセルモスープラ38号車 ドライバー立川祐路のコメント:
 シリーズ最多の3勝を挙げられたことも嬉しいが、何といっても勝ってタイトルを決められたのは最高の気分だ。しかし、シーズンを振り返れば、ノーポイントに終わったレースもあり、そうした浮き沈みを無くし、コンスタントな強さを発揮することが来シーズンへ向けての課題だと思う。

ZENTセルモスープラ38号車 ドライバー高木虎之介のコメント:
 シリーズ参戦初年度でチャンピオンを獲得出来、とても嬉しい。良いパートナーにも恵まれ、実力あるチームと共に切磋琢磨しながら頑張ってきた結果だと思っている。

RECKLESS MR-S30号車 ドライバー佐々木孝太のコメント:
 前戦で優勝を果たしたことで、ハンデウエイトが75㎏と重くなり、今回は金曜日からトラブルに見舞われた。そのため、予選でも下位ポジションに甘んじざるを得ないなど、苦戦を強いられてきたが、最終的にシリーズチャンピオンを獲得することで、チームにやっと恩返しが出来、とても嬉しい。

RECKLESS MR-S30号車 ドライバー山野哲也のコメント:
 昨シーズン、他チームでチャンピオンを獲得している自分にとっては、移籍初年度での2年連続タイトルとなり、純粋に誇りに思う。今日は、雨が上がりかける中で、最後までタイヤを持たせられたのが3位入賞に繋がった。また、シリーズを通じて安定してポイントを稼げたことも大きかった。

トヨタ自動車(株)モータースポーツ部主査 柘植和廣のコメント:
 今季はライバル勢も実力を高めて来たことで、大変な一年となったが、最後は各チーム及びTRDが頑張ってくれたことで、最終戦で優勝し、自力での逆転チャンピオンという最高の結果を導いてくれた。GT300クラスでもチャンピオンを獲得出来、3年振りのダブルタイトルと、こんなに嬉しいことはない。関係者全員の一年間の努力の賜物だ。これに奢ることなく来季に向けて全力を尽くし体制を整える。

リザルト

順位 車両No.ドライバー所要時間/差周回予選
1 38 トヨタスープラGT 立川 祐路/高木 虎之介 1:41'36.807 39 1
2 1 日産フェアレディZ 本山 哲/R.ライアン 1.538 39 9
3 6 トヨタスープラGT 脇阪 寿一/飯田  章 23.605 39 2
4 3 日産フェアレディZ 金石 年弘/E.コマス 31.772 39 7
5 36 トヨタスープラGT 土屋 武士/J.コートニー 32.925 39 13
6 18 ホンダNSX 道上 龍/小暮 卓史 33.804 39 4
7 37 トヨタスープラGT 片岡 龍也/山本 左近 39.778 39 3
8 22 日産フェアレディZ M.クルム/柳田 真孝 41.345 39 10
9 12 日産フェアレディZ B.トレルイエ/井出 有治 45.902 39 17
10 32 ホンダNSX 松田 次生/A.ロッテラー 1'00.621 39 5
チーム車両No.ドライバー決勝結果
TOYOTA TEAM CERUMO トヨタスープラGT 38 立川 祐路/高木 虎之介 1位
ESSO TOYOTA TEAM LeMans トヨタスープラGT 6 脇阪 寿一/飯田  章 3位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 36 土屋 武士/J.コートニー 5位
TOYOTA TEAM TOM'S トヨタスープラGT 37 片岡 龍也/山本 左近 7位
TOYOTA TEAM SARD トヨタスープラGT 39 A.クート/R.クインタレッリ 11位
KRAFT トヨタスープラGT 35 服部 尚貴/P.ダンブレック 13位
TEAM ADVAN・ツチヤ トヨタスープラGT 25 織戸  学/D.シュワガー 14位/1位
KRAFT トヨタスープラGT 34 荒  聖治/横溝 直輝 17位
TEAM RECKLESS トヨタMR-S 30 佐々木 孝太/山野 哲也 19位/3位
吉兆宝山 with apr トヨタMR-S 31 田中  実/中嶋 一貴 23位/7位
RACING PROJECT BANDOH トヨタセリカ 19 加藤 寛規/谷口 信輝 25位/9位
TOYOTA TEAM CERUMO トヨタセリカ 52 竹内 浩典/平中 克幸 34位/18位
ドライバーズポイント
順位ドライバー名ポイント
1位 立川 祐路/高木 虎之介 67
2位 伊藤 大輔/R.ファーマン 61
3位 土屋 武士/J.コートニー 60
6位 脇阪 寿一/飯田  章 51
7位 片岡 龍也/山本 左近 43
12位 服部 尚貴 29
13位 織戸 学 26
15位 D.シュワガー 25
16位 A.クート/R.クインタレッリ 21
チームポイント
順位チーム名ポイント
1位 NISMO 86
2位 Team Honda Racing 82
3位 TOYOTA TEAM TOM'S 73
4位 TOYOTA TEAM CERUMO 67
5位 ESSO TOYOTA Team LeMans 51
9位 KRAFT 29
10位 TEAM ADVAN・ツチヤ 26
12位 TOYOTA TEAM SARD 21