2008年11月 9日(日)配信

SUPER GT第9戦富士 レクサスSC430が2-3位表彰台
トムスがチームタイトルを獲得


15番手スタートから追い上げトヨタ勢最上位の
2位フィニッシュを果たしたZENT CERUMO SC430 38号車
 2008年シーズンのSUPER GT最終戦となる第9戦「FUJI GT 300km RACE」が11月8日(土)、 9日(日)の両日、静岡県の富士スピードウェイで開催された。
 シーズンも最終戦を迎えることとなったが、ランキング3位につける脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー組のPETRONAS TOM'S SC430 36号車と、同5位の立川祐路/リチャード・ライアン組のZENT CERUMO SC430 38号車が、タイトル獲得の可能性を残しており、タイトル奪還をかけてトヨタのホームコースである富士で行われる最終戦に臨んだ。
 今大会にはGT500クラスに16台、GT300 クラスに27台の計43台がエントリー。トヨタ勢はGT500クラスに6台のレクサスSC430、GT300クラスには2台のレクサスIS350と2台のトヨタMR-Sが出場した。

予選
 予選の行われた8日(土)は朝から降雨に見舞われ、ウェット状態で行われることとなった。予選1回目は午前10時10分から行われ、低い気温とウェット路面に各車苦しむこととなった。
 スーパーラップへの出場権をかけた予選1回目では、宝山 KRAFT SC430 35号車が3番手、逆転タイトルを狙う36号車が5番手、ECLIPSE ADVAN SC430 25号車は6番手でレクサスSC430は3台がスーパーラップ進出。タイトルを争う38号車はタイムアップを果たせず15番手。決勝での追い上げに賭けることとなった。
 午後1時45分からの予選2回目に続き行われたスーパーラップでは、TDPドライバー石浦宏明がアタックを担当した25号車が4番手グリッドを確保。35号車が6番手、36号車が8番手につけた。
 GT300クラスでは、唯一スーパーラップに進出したウェッズスポーツIS350 19号車が好走を見せ2列目3番手グリッドとなった。

決勝

チームタイトルを獲得したPETRONAS TOYOTA TEAM TOM'Sの関谷正徳監督
 9日(日)は雲は多いものの雨は止み、朝8時35分からのフリー走行は、当初はウェット部分が残るものの、セッションが進むに連れ路面は乾き、各車ドライタイヤでの走行となった。このフリー走行では、負傷から3戦ぶりの復帰を果たした伊藤大輔のドライブするENEOS SC430がトップタイム。これに38号車、36号車、 35号車のレクサスSC430が続き、決勝での活躍に期待が高まった。
 決勝レースのスタート前まではドライコンディションであったが、スタートを目前にして再び降雨に見舞われ、グリッド上でほとんどの車両が浅溝のウェットタイヤに交換。低い気温を考慮して、2周のフォーメーションラップの後、66周で競われる決勝レースのスタートが切られた。
 6番手からスタートを切った36号車は、ウェットコンディションを得意とするアンドレ・ロッテラーが序盤から猛追を見せ、一気に2位に浮上。しかし、路面はどんどん乾いていき、各車は2周目から6周目にかけて、ウェットタイヤからドライタイヤへと交換を行っていった。これで上位に浮上したのが、ドライタイヤのままのスタートを選択したDENSO DUNLOP SARD SC430 39号車。14番手から、スタート直後は最後尾まで後退していたものの、他車がピットでのタイヤ交換を行ったため、首位に浮上した。
 後方では、4位を走行する36号車が激しいバトルを繰り広げていたが、18周目に他車と接触。右リアタイヤのパンクを喫し、ピットイン。大きくポジションを落とすこととなってしまった。
 同様にドライタイヤでのスタート作戦を採ったGT-R 12号車と首位争いを展開していた39号車は、ドライバーを交代する中盤のピットインで、引き続きドライタイヤを選択したが、不運にもその直後から雨足が強くなり、再度ピットインしウェットタイヤへと交換。首位争いからは脱落してしまった。
 変わりやすいコンディションで、順位がめまぐるしく入れ替わるレースとなったが、中盤のドライバー交代を終えた時点で、35号車が2位、そして15位スタートの38号車が見事な追い上げで3位までポジションを上げた。勢いに乗る38号車は、35号車もパスし2位に浮上すると、終盤、ウェットコンディションの中で他車よりも1秒近く速いタイムで猛烈な追い上げを見せ、首位との差を縮めていったが、惜しくも届かず。

  38号車が2位、後半追い上げた6号車が3位でフィニッシュし、シーズン最終戦で2台のレクサスSC430が表彰台を獲得した。後半のタイヤ選択でポジションを落としたものの、終盤猛追を見せた39号車が5位、35号車が6位。アクシデントでポジションを落とした 36号車は7位に終わり、逆転タイトル獲得はならなかった。25号車も8位でフィニッシュし、レクサスSC430勢は、ホームレースとなる富士で、全車がトップ10入賞を果たし、シーズンを締め括った。
 ドライバーズタイトル獲得は惜しくも叶わなかったものの、コンスタントに上位入賞を重ねた36号車のPETRONAS TOYOTA TEAM TOM'Sは、チームタイトルを獲得した。

 GT300クラスでは、17番手スタートのDOUBLEHEAD avex apr MR-S 31号車が難コンディションで粘り強くポジションを上げ4位フィニッシュ。3番手からスタートした19号車は、スタート後まもなくトップに立ち、前半激しい首位争いを繰り広げたが、後半のウェットコンディションで順位を落とし、5位でチェッカーを受けた。

トヨタ自動車(株)モータースポーツ部主査 林博美のコメント:
難しい雨のコンディションの中でトヨタ勢各チームは一丸となって全力で戦った結果、チームタイトルでチャンピオンと2位を獲得することが出来た。ファンの皆様には今年一年、暖かい応援を頂けたことを心から感謝申し上げたい。来年は新型の純レーシングV8 3.4Lエンジンを搭載した車両で参戦するメーカーとして、今年の成績を上回る成果を上げ、チームタイトルに加えてドライバーチャンピオンも獲得出来るよう頑張りたい。

リザルト

GT500
順位No.車名ドライバー名所要時間/差周回グリッドWH
1 12 カルソニック IMPUL GT-R 松田 次生/セバスチャン・フィリップ 1:57'09.624 66 12 10 +1
2 38 ZENT CERUMO SC430 立川 祐路/リチャード・ライアン 12.27 66 15 25
3 6 ENEOS SC430 伊藤 大輔/ビヨン・ビルドハイム 13.927 66 11 1
4 32 EPSON NSX ロイック・デュバル/平中 克幸 41.177 66 10 30
5 39 DENSO DUNLOP SARD SC430 高木 虎之介/アンドレ・クート 42.915 66 14 2
6 35 宝山 KRAFT SC430 ピーター・ダンブレック/片岡 龍也 58.891 66 6
7 36 PETRONAS TOM'S SC430 脇阪 寿一/アンドレ・ロッテラー 1'47.061 66 8 55
8 25 ECLIPSE ADVAN SC430 土屋 武士/石浦 宏明 1Lap 65 4 2
9 23 XANAVI NISMO GT-R 本山 哲/ブノワ・トレルイエ 1Lap 65 9 80
10 17 REAL NSX 金石 勝智/金石 年弘 1Lap 65 1 2
GT300
順位No.車名ドライバー名所要時間/差周回グリッドWH
1 26 ユンケルパワータイサンポルシェ 谷口 信輝/ドミニク・ファーンバッハー 1:57'41.086 62 6
2 62 WILLCOM ADVAN VEMAC 408R 柴原 眞介/黒澤 治樹 29.871 62 5 2
3 77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ 山野 哲也/カルロ・バンダム 36.973 62 1 5
4 31 DOUBLEHEAD avex apr MR-S 峰尾 恭輔/坂本 雄也 1'00.616 62 17 1
5 19 ウェッズスポーツIS350 織戸 学/阿部 翼 1'18.229 62 3 30
6 46 MOLAレオパレスZ 星野 一樹/安田 裕信 1Lap 61 9 100
7 81 ダイシン ADVAN Z 青木 孝行/藤井 誠暢 1Lap 61 14 60
8 4 EBBRO UEMATSU 320R 阪口 良平/松下 昌揮 1Lap 61 12 1
9 43 ARTA Garaiya 新田 守男/高木 真一 1Lap 61 4 80
10 5 プロμ マッハ号 320R 玉中 哲二/山野 直也 1Lap 61 10 2
※WH:ウェイトハンデ(kg)
GT500
チーム車両No.ドライバーグリッド決勝結果
TOYOTA TEAM CERUMO レクサスSC430 38 立川 祐路/リチャード・ライアン 15 2
ENEOS TOYOTA Team LeMans レクサスSC430 6 伊藤 大輔/ビヨン・ビルドハイム 11 3
TOYOTA TEAM SARD レクサスSC430 39 高木 虎之介/アンドレ・クート 14 5
houzan TOYOTA TEAM KRAFT レクサスSC430 35 ピーター・ダンブレック/片岡 龍也 6 6
PETRONAS TOYOTA TEAM TOM'S レクサスSC430 36 脇阪 寿一/アンドレ・ロッテラー 8 7
TOYOTA TEAM TSUCHIYA レクサスSC430 25 土屋 武士/石浦 宏明 4 8
GT300
チーム車両No.ドライバーグリッド決勝結果
apr トヨタMR-S 31 峰尾 恭輔/坂本 雄也 17 4
RACING PROJECT BANDOH レクサスIS350 19 織戸 学/阿部 翼 3 5
TEAM TAKEUCH with SHIFT レクサスIS350 52 黒澤 琢弥/井口 卓人 21 13
apr トヨタMR-S 95 平手 晃平/国本 京佑 13
ドライバーズポイント(GT500)
順位No.ドライバー名ポイント
1 23 本山 哲/ブノワ・トレルイエ 76
2 38 立川 祐路/リチャード・ライアン 72
3 36 脇阪 寿一/アンドレ・ロッテラー 63
9 35 ピーター・ダンブレック/片岡 龍也 45
13 6 ビヨン・ビルドハイム 39
15 25 土屋 武士/石浦 宏明 23
16 6 伊藤 大輔 21
17 6 飯田 章 20
20 36 カルロ・バンダム 11
21 39 高木 虎之介/アンドレ・クート 11
23 6 ロベルト・ストレイト 5
チームポイント(GT500)
順位No.チーム名ポイント
1 36 PETRONAS TOYOTA TEAM TOM'S 94
2 38 TOYOTA TEAM CERUMO 93
3 23 NISMO 86
7 35 houzan TOYOTA TEAM KRAFT 68
8 6 ENEOS TOYOTA Team LeMans 64
14 25 TOYOTA TEAM TSUCHIYA 44
16 39 TOYOTA TEAM SARD 29