ポール・トゥ・ウィンで初優勝を飾ったKRAFT SC430 35号車
SUPER GT第6戦「第38回 インターナショナル ポッカ GT サマースペシャル」が8月22日(土)、 23日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで開催された。
夏の鈴鹿大会は、例年1000kmレースとして行われてきたが、今季は700kmへと短縮。それでもシリーズ最長となる長丁場のレース。ピットインが最低3回義務づけられており、ピットタイミングやタイヤ選択と行った戦略もいつも以上に重要となる。
今大会にはレクサスチームからGT500クラスに5台のレクサスSC430が出場。また、GT300クラスに2台のレクサスIS350と2台のカローラアクシオが出場した。
予選
22日(土)午前10時40分からの公式練習を経て、午後2時40分より予選が行われた。今大会は、これまでのスーパーラップ方式ではなく、今季初めて、ノックダウン方式での予選となった。また、最終セッション3まで進出した場合は、出場するドライバー全員が予選アタックを担当しなくてはならず、1人のドライバーが予選アタックを担当するスーパーラップ方式とは異なる作戦が要求される予選となった。
セッション1は、出場ドライバー全員が予選通過基準タイムを通過するための、GT500、GT300の30分に渡る混走時間帯を終え、それぞれ10分ずつの専有時間帯で、激しいアタックが繰り広げられた。ここでDUNLOP SARD SC430 39号車が脱落。13番手グリッドが確定。
セッション2では、残りのレクサス SC430勢は全車通過。セッション3では、初めて大嶋和也がアタックドライバーを担当したKRAFT SC430 35号車が、見事ポールポジションを獲得。2007年GT300クラスチャンピオンコンビである、TDPドライバー石浦宏明と大嶋和也にとって、GT500クラスで初めてのポールポジション獲得となった。
ENEOS SC430 6号車とZENT CERUMO SC430 38号車が3、4番手。PETRONAS TOM'S SC430 36号車は7番手となった。
GT300クラスでは、KUMHO TIRE SHIFT IS350 52号車が4番手、ウェッズスポーツIS350 19号車が5番手。COROLLA Axio apr GT 74号車もセッション3に進出し、8番手につけた。avex apr COROLLA Axio 31号車は16番手となった。
決勝
表彰台で初優勝を喜ぶ石浦宏明(中央左)と大嶋和也(中央右)、
3位に入った立川 祐路(右から2番目)とリチャード・ライアン(右)
23日(日)は曇り空。レーススタート前、車両がグリッドに並ぶ頃、ぱらぱらと小雨が落ちてきたが、まもなく止み、例年よりも遅い午後3時に5.807kmのサーキットを121周、700kmという長丁場のレースがスタートした。
上位勢はグリッドの順位のまま順当なスタート。ポールポジションの35号車は序盤からハイペースで逃げ、後続との差を拡げていった。
2番手争いは、3位の6号車とそれに続く38号車が前走車を激しくプッシュするも、逆転には至らず。 38号車は26周目に後続と接触を喫し、5位に後退してしまった。
28周目に首位を行く35号車がピットインし、ドライバー交代、タイヤ交換と給油を行った。翌周には38号車と 36号車、その翌周には6号車と、続々と各車ピットイン。全車が1度目のピットを終えた時点で、35号車は2位以下に大差を付けての首位に復帰した。
その後方では、38号車、6号車共に激しい順位争いを展開し、38号車は53周目に4位に浮上。6号車も54周目に2位に上がり、レクサスSC430の1ー2体制となった。
58周目に35号車が2度目のピットインを行うと、作業時に若干のタイムロス。これを追う6号車は、64周目にピットインし、素早い作業でピットアウトしたが、35号車のやや後ろでのコース復帰となった。
レースも半分を超え、レクサスSC430が盤石の1ー2体制かと思われたが、64周目に2位を走行していた6号車が突然のスローダウン。電装系トラブルでコース脇に車両を停め、無念のリタイアとなってしまった。
85周目に、左リアタイヤのパンクに見舞われながら走行していたARTA NSX 8号車から出火。消火作業とその後の処理のために、セーフティカーが導入されることとなった。
全車を一旦スターティンググリッドに停めて整列させ、順位を整理したあとセーフティカーランが再開。このタイミングで、まず35号車と36号車がピットインし、最後のドライバー交代とタイヤ交換、給油作業を行った。翌周には38号車、39号車もピットイン。
35号車が首位、36号車が2位、38号車が4位で91周目に再スタート。35号車が素晴らしいペースで首位を逃げる後方で、2位の36号車はHASEMI TOMICA EBBRO GT-R 8号車の猛追を受け、94周目のシケイン進入で惜しくも3位に後退。
ライト点灯が指示され、闇が覆ってきたサーキットで、追い上げる38号車と逃げる36号車による、テール・トゥ・ノーズでの激しい3位争いが展開されたが、36号車は、104周目に130RでGT300車両と接触し、コースオフ。38号車が3位に浮上。36号車は4位でコースに戻ったが、この接触でドライブスルーペナルティを科され、8位へと無念の後退。
首位を行く35号車は、ナイトランでもペースを落とさず、最後は2位に10秒もの差を付けてトップでチェッカー。ポール・トゥ・ウィンで嬉しいGT500初優勝を飾った。3位には38号車が入り、表彰台獲得となった。39号車が7位、36号車は8位でチェッカーを受けた。
GT300クラスでは、3度のピットイン義務を果たすべく、序盤にストップのみのピットを行った 74号車が、長いレースで見事な走りを見せ、4位でフィニッシュ。19号車が6位、52号車が9位でポイントを獲得した。
トヨタ自動車(株)モータースポーツ部主査 林博美のコメント:
しばらく苦戦の状況が続いていたが、今回はパフォーマンス復活が成り完勝を遂げることが出来た。ましてや、TDP若手コンビのGT500初優勝と言うことで大変嬉しい結果になった。レクサスSCの性能向上とともに、若手の成長でも成果を示すことが出来たのは、皆様の応援のおかげだと感謝している。残り3戦も全力を尽くしタイトルに挑戦していく。