2010年8月23日(月)配信

真夏のロングレースで、TDPの石浦/大嶋組LEXUS SC430が5位
GT300クラスではTDPの井口/国本組カローラアクシオが3位表彰台獲得


LEXUS勢最上位の5位でフィニッシュしたMJ KRAFT SC430 35号車
 SUPER GT第6戦「第39回 インターナショナル ポッカ GT サマースペシャル」が8月21日(土)、 22日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで開催された。
 シリーズ最長700kmで争われる今大会は、毎年真夏の猛暑の中で、長丁場の厳しいレースが展開される。また、今大会は、3度のピットインとドライバー交代が義務付けられており、戦略も様々なパターンが考えられるなど、一層興味深いレースとなった。
 今シーズンのSUPER GTは、この第6戦までが、獲得ポイント×2kgのウェイトハンデが課されることとなっているため、ランキング首位につける伊藤大輔/ビヨン・ビルドハイム組のENEOS SC430 6号車の100kg(上限)を筆頭に、LEXUS SC430勢は各車重いウェイトハンデを課されており、厳しい戦いが予想された。

予選
 21日(土)午前中の公式練習を経て、午後1時25分から予選一回目、そしてノックダウン方式で行われる予選2回目が午後3時10分から開始された。
 下位3台が脱落する予選セッション1は、チェッカーを挟む、ラストラップでの激しいタイムアタック合戦となったが、100kgのウェイトハンデを積む6号車と、82kgのハンデを積むPETRONAS TOM'S SC430 1号車が無念の敗退となった。
 セッション2では、やはり60kg台のウェイトハンデを積むMJ KRAFT SC430 35号車とZENT CERUMO SC430 38号車がタイムを伸ばすことができずそれぞれ8番手、10番手でセッション3進出はならず。
 LEXUS勢で唯一セッション3に進出したDENSO DUNLOP SARD SC430 39号車が予選最上位の6番手につけた。
 尚、他車のグリッド降格があったために、8番手以降の順位が繰り上がり、決勝レースのスターティンググリッドは、6番手の39号車に、35号車、38号車、6号車、1号車と5台のLEXUS SC430が続く順位となった。
 GT300クラスでは、ウェッズスポーツIS350 19号車がトラブルのためにまさかのセッション1敗退で、20番手。COROLLA Axio apr GT 74号車とエヴァンゲリオンRT初号機aprカローラ 31号車は共にセッション3へと進出し、TDPドライバーの井口卓人と国本雄資が好走を見せた74号車は2番手。31号車も9番手グリッドにつけた。

決勝
 22日(日)相変わらずの暑さの中で、午後3時に700kmの決勝レース(121周)がスタートした。
 序盤はスタート順位のままで推移したが、11周目に39号車が前走車をパスし、5位に浮上。一方、9位走行中の1号車は、順位争いの激しいバトルの中で接触されコースアウト。2つポジションを落としてしまった。
 25周目前後から各車1回目のピット作業を開始。全車がピットを終えた時点で、35号車が5位、これに早めのピット作戦を採った38号車、39号車が続いた。
 ピットをギリギリまで遅らせポジションアップを狙った6号車は、ピット作業後にエンジンがかからないトラブルに見舞われ後退。
 9位を走行していた1号車は、88周目にGT300クラスの車両と接触しスピン。順位を落としてしまった。
 全車が義務付けられた3度目のピットを終え、午後6時10分過ぎにはライトオンの指示が出された。SUPER GTでは唯一となるナイトセッションでのバトルでは、35号車の4位争い、1号車の9位争いが白熱。闇を切り裂いて疾走するGTカー同士の迫力あるバトルが観客を沸かせた。
 最終的には、着実な走行を続けた35号車がLEXUS SC430勢最上位となる5位でフィニッシュ。38号車が6位。39号車が8位。終盤、1ポイントをかけての攻防戦を繰り広げた1号車は10位に入り、貴重なポイントを獲得した。
 今大会の結果、ドライバーランキングでは6号車の伊藤/ビルドハイム組が2位へと後退することとなったが、首位との差はわずか1ポイント。1号車の脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー組もトップと10ポイント差につけている。2010シーズンの残り2戦は、次戦第7戦がLEXUS勢が得意とする、ホームコースの富士で、ウェイトハンデは半減(獲得ポイント×1kg)され、最終戦もてぎではウェイトハンデ無しの勝負となる。タイトル獲得へ向け、残り2戦でのLEXUS勢の活躍が期待される。

 GT300クラスでは、2番手スタートの74号車が好走。最初のスティントを担当したTDPドライバーの井口卓人が、スタートからトップに食らいつき、16周目に首位を奪取。31周目にTDPドライバーの国本雄資へバトンを渡すと、国本も首位の座をキープした。
 3度目のピットイン直前にタイヤグリップの低下に見舞われ、予定よりも早めに井口から国本へとドライバー交代。しかし、このピット作業を終えた時点でライバルの先行を許し、2位に後退。最後のナイトセッションで、ペースをコントロールしながら2位で走行を続けた国本はなんとか後続を抑えていたものの、終盤やはりタイヤが厳しくなり、残り2周で痛恨のオーバーラン。惜しくも2位の座は譲ったものの、最後まで走り抜き、3位表彰台を獲得。今季3度目の表彰台で、ランキングも首位と8ポイント差の3位へと浮上した。
 20番手と後方スタートを強いられた19号車も着実な追い上げで、4位フィニッシュ。9番手からスタートした 31号車は、接触で車両を破損。ダメージは大きく、リタイアを余儀なくされた。

MJ KRAFT SC430 35号車 ドライバー 石浦宏明:
「今日はとても暑く、選んだタイヤと路面のコンディションを合わせるのが大変難しいレースだった。タイヤマネージメントやペース配分を気にしつつも、まずは自分たちの走りができるよう、考えながら走った。結果的に、レクサスチームの中で最上位フィニッシュとなり、大量得点ではないが、まずまずポイントも稼ぐことができた。次のレースの舞台となる富士では、第3戦で優勝しているので、チャンピオンシップに向けた戦いをしたいと思う」

MJ KRAFT SC430 35号車 ドライバー 大嶋和也:
「今回のレースは、優勝を目標にして臨んだだけに、勝てなくて悔しい。最初のスティントは路面温度が高かったので無理をすることはできなかった。次の担当スティントは、夕方になって路面温度が下がったので、自分の走りに集中できたと思う。次の富士では再び優勝を目指し、上位でフィニッシュしたい」

COROLLA Axio apr GT 74号車 ドライバー 井口卓人:
「トップに浮上し、優勝を目指して頑張ったが、果たせずとても残念だ。しかしチームのみんなが一丸となって、今季3度目の表彰台を獲得できたことは、とてもうれしい。ランキング的にも、シリーズチャンピオンを狙える位置にいるので、表彰台を獲得したことをプラスにして、次のレースに活かしていきたい」

COROLLA Axio apr GT 74号車 ドライバー 国本雄資:
「最後は自分のミスからポジションを落としてしまったので、とても悔しい。常に優勝を目標にやってきたので、とにかく悔しいのひとこと。路面温度が高く、タイヤマネージメントが難しいレースだったが、表彰台に乗ることができたので、最後まで気を緩めないで、次のレースをまた頑張りたい」

リザルト

GT500
順位No.車名ドライバー名周回所要時間/差予選WH
18ARTA HSV-010ラルフ・ファーマン/井出 有治/小林 崇志1214:07'10.085110
223MOTUL AUTECH GT-R本山 哲/ブノワ・トレルイエ1210'22.312246
3100RAYBRIG HSV-010伊沢 拓也/山本 尚貴1210'25.740348
417KEIHIN HSV-010金石 年弘/塚越 広大1211'51.161568
535MJ KRAFT SC430石浦 宏明/大嶋 和也1211'57.905762
638ZENT CERUMO SC430立川 祐路/リチャード・ライアン1201Lap864
732EPSON HSV-010道上 龍/中山 友貴1201Lap46
839DENSO DUNLOP SARD SC430アンドレ・クート/平手 晃平1201Lap618
918ウイダー HSV-010小暮 卓史/ロイック・デュバル1201Lap13100
101PETRONAS TOM'S SC430脇阪 寿一/アンドレ・ロッテラー1201Lap1082
116ENEOS SC430伊藤 大輔/ビヨン・ビルドハイム1174Laps9100
GT300
順位No.車名ドライバー名周回所要時間/差予選WH
162R&D SPORT LEGACY B4山野 哲也/佐々木 孝太1114:09'14.09311
243ARTA Garaiya新田 守男/高木 真一/峰尾 恭輔1101Lap380
374COROLLA Axio apr GT井口 卓人/国本 雄資1101Lap272
419ウェッズスポーツIS350織戸 学/片岡 龍也1101Lap2042
586JLOC ランボルギーニ RG-3山西 康司/関口 雄飛1101Lap1326
67M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7谷口 信輝/折目 遼1101Lap1988
727NAC 衛生コム LMP Ferrari山岸 大/小泉 洋史1101Lap612
811JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430田中 哲也/平中 克幸1101Lap1646
95マッハGOGOGO車検408R玉中 哲二/黒澤 治樹1092Laps820
109初音ミク X GSRポルシェ番場 琢/佐々木 雅弘/木下 みつひろ1092Laps416
31エヴァンゲリオンRT初号機aprカローラ嵯峨 宏紀/松浦 孝亮/坂本 雄也6249Laps944
※WH:ウェイトハンデ(kg)
ドライバーズポイント(GT500)
順位No.ドライバー名ポイント
118小暮 卓史/ロイック・デュバル52
26伊藤 大輔/ビヨン・ビルドハイム51
41脇阪 寿一/アンドレ・ロッテラー42
735石浦 宏明/大嶋 和也37
838立川 祐路/リチャード・ライアン37
1239アンドレ・クート/平手 晃平12
チームポイント(GT500)
順位No.チーム名ポイント
16LEXUS TEAM LeMans ENEOS67
218ウイダー ホンダ レーシング66
31LEXUS TEAM PETRONAS TOM'S59
638LEXUS TEAM ZENT CERUMO52
835LEXUS TEAM KRAFT51
1239LEXUS TEAM SARD23