2010年10月24日(日)配信

TOM'SのLEXUS SC430が最終戦で今季初勝利
逆転タイトル獲得は惜しくも叶わず


惜しくも逆転タイトルは逃したが、勝利でシーズンを締め括った
アンドレ・ロッテラー(左)と脇阪寿一(右)
 SUPER GTの2010年最終戦となる第8戦「MOTEGI GT 250km RACE」が10月23日(土)、 24日(日)の両日、栃木県のツインリンクもてぎで開催された。
 第7戦富士が台風の影響で中止となったため、GT500クラスのタイトル争いは9チームが可能性を残す大混戦の中、ウェイトハンデ無し(今季全戦出走車両)の最終戦で決されることとなった。
 LEXUS勢では、ENEOS SC430 6号車がトップと僅か1ポイント差の2位、PETRONAS TOM'S SC430 1号車も10ポイント差の4位につけており、逆転でのLEXUS SC430 2連覇へ向け、最終戦に臨んだ。
 また、GT300クラスでも、若手TDPドライバー 井口卓人/国本雄資コンビのCOROLLA Axio apr GT 74号車が首位と8ポイント差につけており、逆転タイトル獲得へと挑むこととなった。
 今大会にはレクサスチームからGT500クラスに5台のLEXUS SC430が出場。GT300クラスに1台のLEXUS IS350と2台のカローラアクシオが出場した。

予選
 23日(土)、秋晴れのコースでノックダウン方式の予選が行われ、決勝レースのグリッドが決定された。
 午後2時55分から開始された予選セッション1(S1)では、TDPドライバーの大嶋和也がコースレコードを更新するタイムをマークしたMJ KRAFT SC430 35号車が2番手。6号車が6番手。午前中の公式練習で車両を破損したためにあまり走れず、厳しいスタートとなった1号車が、それでも9番手へと仕上げ、セッション2への進出を決めた。ZENT CERUMO SC430 38号車とDENSO DUNLOP SARD SC430 39号車はそれぞれ12番手、
13番手でS1敗退となった。
 S2では6号車、35号車、1号車がトップ3を占め、3台共に最終セッション3へと進出。S3では、6号車の
伊藤大輔が好タイムをマークするも、僅か0.057秒届かず2番手。それでも逆転タイトルに望みを繋ぐ最前列グリッドを獲得した。
 1号車は5番手、35号車は6番手となったが、3番手から6番手までの4台は僅か0.065秒差。トップともコンマ2秒離れていない僅差の予選となり、決勝での激戦が予想された。
 GT300クラスでは、S1で74号車がトップタイム。ウェッズスポーツIS350 19号車が2番手。エヴァンゲリオンRT初号機aprカローラ 31号車も15番手でS2へと進出。
 上位10台が残るS2では、74号車が3番手につけたが、19号車は11番手、31号車は15番手でS3進出はならず、ここでグリッドが確定。
 最終S3では、アウトラップで74号車の国本がスピンしコースオフ。赤旗中断となってしまったが、再開後のアタックでは、74号車は3番手と僅差の4番手タイムをマーク。タイトルを争う、ランキング1,2位の2台を後方に従えてのグリッドを獲得した。

決勝
 24日(日)は空を雲が覆い、気温19度、路面温度20度というコンディションで午後2時過ぎに1周4.8013kmのコースを53周(254.4689 km)で競われる決勝レースがスタート。
 上位勢は予選順位のまま、順当なスタートを切ったが、2番手から逆転タイトルを狙う6号車は、スタート前、
グリッドへ向かう際に違反があったとして、ピットロードで20秒停止という痛恨のペナルティとなり、最後尾へと後退を余儀なくされてしまった。
 一方5番手グリッドの1号車は、スタートしてまもなく4位に浮上し、更に前を行くKEIHIN HSV-010 17号車を激しくプッシュ。14周目にはサイド・バイ・サイドでのバトルの末に、これをパスすると、6号車のペナルティもあり、2位へと浮上した。
 尚も勢いに乗る1号車のアンドレ・ロッテラーは、首位を逃げるウイダーHSV-010 18号車との差をみるみる詰めていき、18周目にはテール・トゥ・ノーズに。19周目の1コーナーで見事なパスを見せて首位に立つと、その差を広げていった。
 23周目に1号車はピットインし、素早いピット作業でコースへ復帰。35周目に全車がピットを終えると、再び首位へ浮上。
 その後、18号車は1号車の後にぴたりと着け、時には息を呑むようなサイド・バイ・サイドでのバトルを展開。
しかし、1号車の後半を担当した脇阪寿一は、落ち着いたドライブで首位の座をキープ。最後までその座を譲ることなく、53周を走り抜き、トップでチェッカー。今季初勝利を挙げた。
 後方では、35号車が3位争いを展開したが、逆転は叶わず、4位でチェッカー。39号車が11位、6号車が 12位でレースを終えた。
 タイトル争いでは、18号車が2位に入ったことで、2年連続のタイトル獲得を狙っていた1号車は惜しくも5ポイント及ばず、ランキング2位。ノーポイントに終わった6号車は4位、35号車が6位という最終ランキングと
なった。

 GT300クラスでは、3番手から逆転タイトルをかけてスタートを切った74号車が、1周目に単独スピンを喫し、
コースアウト。グラベルからのコース復帰に時間がかかり、逆転タイトル獲得は難しくなってしまった。
 一方で11番手スタートから、混戦を粘り強く走りきった19号車が7位でフィニッシュ。74号車はファステストラップをマークする走りで追い上げたが、最終的には1周遅れの17位、31号車は19位に終わった。
 最終ランキングでは、ノーポイントに終わった74号車は5位、19号車が8位、31号車が10位となった。

PETRONAS TOM'S SC430 1号車 ドライバー 脇阪寿一:
「昨日のフリー走行で最後尾からのスタートとなり、苦しんだ週末だった。しかしチームの士気がどんどん上がっていき、また自分にとって節目となる101戦目のレースでもあり、若返ったつもりで攻めるレースをしようと思い臨んだ。序盤のアンドレ(・ロッテラー)の走りに励まされ、スタート直後にペナルティを受け、チャンピオンの可能性を失ったチームルマンの思いも背負って走ったつもりだ。チームワークの大事さを改めて感じ、トムスというチームの皆の頑張りで、このような結果がついてきた事に感謝したい」

PETRONAS TOM'S SC430 1号車 ドライバー アンドレ・ロッテラー:
「今日のレースは、序盤とてもエキサイティングでオーバーテイクはとても楽しく、トップに立つことができて良かった。(脇阪)寿一にスイッチしてからは走りから全く目が離せず、残りの10周は心臓が止まるかと思う展開で、ハラハラした。優勝することができて本当に嬉しい。ここに集まってくださったファンの皆様、サポートしてくださったスポンサーの皆様、チームの皆に感謝したい。1年間ありがとうございました」

リザルト

GT500
順位No.車名ドライバー名周回所要時間/差予選WH
11PETRONAS TOM'S SC430脇阪 寿一/アンドレ・ロッテラー531:37'19.5255 
218ウイダー HSV-010小暮 卓史/ロイック・デュバル530'00.3261 
317KEIHIN HSV-010金石 年弘/塚越 広大530'15.3273 
435MJ KRAFT SC430石浦 宏明/大嶋 和也530'15.7066 
512カルソニック IMPUL GT-R松田 次生/ロニー・クインタレッリ530'32.3264 
6100RAYBRIG HSV-010伊沢 拓也/山本 尚貴530'32.9628 
78ARTA HSV-010ラルフ・ファーマン/井出 有治530'36.22310 
823MOTUL AUTECH GT-R本山 哲/ブノワ・トレルイエ530'44.1969 
932EPSON HSV-010道上 龍/中山 友貴530'50.84111 
1024HIS ADVAN KONDO GT-RJ.P・デ・オリベイラ/安田 裕信531'05.1777 
1139DENSO DUNLOP SARD SC430カルロ・ヴァンダム/平手 晃平531'11.00913 
126ENEOS SC430伊藤 大輔/ビヨン・ビルドハイム531'16.8622 
38ZENT CERUMO SC430立川 祐路/リチャード・ライアン3518Laps12 
GT300
順位No.車名ドライバー名周回所要時間/差予選WH
13TOMICA Z星野 一樹/柳田 真孝491:38'00.8301
22アップル・K-one・紫電加藤 寛規/濱口 弘490'22.3038
386JLOC ランボルギーニ RG-3山西 康司/関口 雄飛490'32.7913
411JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430田中 哲也/平中 克幸490'33.2037
55マッハGOGOGO車検408R玉中 哲二/黒澤 治樹491'06.07813
625ZENT Porsche RSR都筑 晶裕/土屋 武士491'08.1531624
719ウェッズスポーツIS350織戸 学/片岡 龍也491'08.42811
87M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7谷口 信輝/折目 遼491'12.6476
99初音ミク X GSRポルシェ番場 琢/佐々木 雅弘491'16.58922
1062R&D SPORT LEGACY B4山野 哲也/佐々木 孝太491'17.7432020
1774COROLLA Axio apr GT井口 卓人/国本 雄資481Lap4
1931エヴァンゲリオンRT初号機
aprカローラ
嵯峨 宏紀/松浦 孝亮472Laps15
※WH:ウェイトハンデ(kg)
ドライバーズポイント(GT500)
順位No.ドライバー名ポイント
118小暮 卓史/ロイック・デュバル67
21脇阪 寿一/アンドレ・ロッテラー62
317金石 年弘/塚越 広大53
46伊藤 大輔/ビヨン・ビルドハイム51
635石浦 宏明/大嶋 和也45
938立川 祐路/リチャード・ライアン37
1239アンドレ・クート/平手 晃平12
チームポイント(GT500)
順位No.チーム名ポイント
118ウイダー ホンダ レーシング84
21LEXUS TEAM PETRONAS TOM'S82
317KEIHIN REAL RACING72
46LEXUS TEAM LeMans ENEOS70
635LEXUS TEAM KRAFT62
938LEXUS TEAM ZENT CERUMO52
1239LEXUS TEAM SARD26