TOM'SのLEXUS SC430が最終戦で今季初勝利
逆転タイトル獲得は惜しくも叶わず
惜しくも逆転タイトルは逃したが、勝利でシーズンを締め括った
アンドレ・ロッテラー(左)と脇阪寿一(右)
SUPER GTの2010年最終戦となる第8戦「MOTEGI GT 250km RACE」が10月23日(土)、 24日(日)の両日、栃木県のツインリンクもてぎで開催された。
第7戦富士が台風の影響で中止となったため、GT500クラスのタイトル争いは9チームが可能性を残す大混戦の中、ウェイトハンデ無し(今季全戦出走車両)の最終戦で決されることとなった。
LEXUS勢では、ENEOS SC430 6号車がトップと僅か1ポイント差の2位、PETRONAS TOM'S SC430 1号車も10ポイント差の4位につけており、逆転でのLEXUS SC430 2連覇へ向け、最終戦に臨んだ。
また、GT300クラスでも、若手TDPドライバー 井口卓人/国本雄資コンビのCOROLLA Axio apr GT 74号車が首位と8ポイント差につけており、逆転タイトル獲得へと挑むこととなった。
今大会にはレクサスチームからGT500クラスに5台のLEXUS SC430が出場。GT300クラスに1台のLEXUS IS350と2台のカローラアクシオが出場した。
予選
23日(土)、秋晴れのコースでノックダウン方式の予選が行われ、決勝レースのグリッドが決定された。
午後2時55分から開始された予選セッション1(S1)では、TDPドライバーの大嶋和也がコースレコードを更新するタイムをマークしたMJ KRAFT SC430 35号車が2番手。6号車が6番手。午前中の公式練習で車両を破損したためにあまり走れず、厳しいスタートとなった1号車が、それでも9番手へと仕上げ、セッション2への進出を決めた。ZENT CERUMO SC430 38号車とDENSO DUNLOP SARD SC430 39号車はそれぞれ12番手、
13番手でS1敗退となった。
S2では6号車、35号車、1号車がトップ3を占め、3台共に最終セッション3へと進出。S3では、6号車の
伊藤大輔が好タイムをマークするも、僅か0.057秒届かず2番手。それでも逆転タイトルに望みを繋ぐ最前列グリッドを獲得した。
1号車は5番手、35号車は6番手となったが、3番手から6番手までの4台は僅か0.065秒差。トップともコンマ2秒離れていない僅差の予選となり、決勝での激戦が予想された。
GT300クラスでは、S1で74号車がトップタイム。ウェッズスポーツIS350 19号車が2番手。エヴァンゲリオンRT初号機aprカローラ 31号車も15番手でS2へと進出。
上位10台が残るS2では、74号車が3番手につけたが、19号車は11番手、31号車は15番手でS3進出はならず、ここでグリッドが確定。
最終S3では、アウトラップで74号車の国本がスピンしコースオフ。赤旗中断となってしまったが、再開後のアタックでは、74号車は3番手と僅差の4番手タイムをマーク。タイトルを争う、ランキング1,2位の2台を後方に従えてのグリッドを獲得した。
決勝
24日(日)は空を雲が覆い、気温19度、路面温度20度というコンディションで午後2時過ぎに1周4.8013kmのコースを53周(254.4689 km)で競われる決勝レースがスタート。
上位勢は予選順位のまま、順当なスタートを切ったが、2番手から逆転タイトルを狙う6号車は、スタート前、
グリッドへ向かう際に違反があったとして、ピットロードで20秒停止という痛恨のペナルティとなり、最後尾へと後退を余儀なくされてしまった。
一方5番手グリッドの1号車は、スタートしてまもなく4位に浮上し、更に前を行くKEIHIN HSV-010 17号車を激しくプッシュ。14周目にはサイド・バイ・サイドでのバトルの末に、これをパスすると、6号車のペナルティもあり、2位へと浮上した。
尚も勢いに乗る1号車のアンドレ・ロッテラーは、首位を逃げるウイダーHSV-010 18号車との差をみるみる詰めていき、18周目にはテール・トゥ・ノーズに。19周目の1コーナーで見事なパスを見せて首位に立つと、その差を広げていった。
23周目に1号車はピットインし、素早いピット作業でコースへ復帰。35周目に全車がピットを終えると、再び首位へ浮上。
その後、18号車は1号車の後にぴたりと着け、時には息を呑むようなサイド・バイ・サイドでのバトルを展開。
しかし、1号車の後半を担当した脇阪寿一は、落ち着いたドライブで首位の座をキープ。最後までその座を譲ることなく、53周を走り抜き、トップでチェッカー。今季初勝利を挙げた。
後方では、35号車が3位争いを展開したが、逆転は叶わず、4位でチェッカー。39号車が11位、6号車が 12位でレースを終えた。
タイトル争いでは、18号車が2位に入ったことで、2年連続のタイトル獲得を狙っていた1号車は惜しくも5ポイント及ばず、ランキング2位。ノーポイントに終わった6号車は4位、35号車が6位という最終ランキングと
なった。
GT300クラスでは、3番手から逆転タイトルをかけてスタートを切った74号車が、1周目に単独スピンを喫し、
コースアウト。グラベルからのコース復帰に時間がかかり、逆転タイトル獲得は難しくなってしまった。
一方で11番手スタートから、混戦を粘り強く走りきった19号車が7位でフィニッシュ。74号車はファステストラップをマークする走りで追い上げたが、最終的には1周遅れの17位、31号車は19位に終わった。
最終ランキングでは、ノーポイントに終わった74号車は5位、19号車が8位、31号車が10位となった。
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今季初勝利を挙げたPETRONAS TOM'S SC430 1号車 -
終盤3位を争うも惜しくも4位に終わったMJ KRAFT SC430 35号車
PETRONAS TOM'S SC430 1号車 ドライバー 脇阪寿一:
「昨日のフリー走行で最後尾からのスタートとなり、苦しんだ週末だった。しかしチームの士気がどんどん上がっていき、また自分にとって節目となる101戦目のレースでもあり、若返ったつもりで攻めるレースをしようと思い臨んだ。序盤のアンドレ(・ロッテラー)の走りに励まされ、スタート直後にペナルティを受け、チャンピオンの可能性を失ったチームルマンの思いも背負って走ったつもりだ。チームワークの大事さを改めて感じ、トムスというチームの皆の頑張りで、このような結果がついてきた事に感謝したい」
PETRONAS TOM'S SC430 1号車 ドライバー アンドレ・ロッテラー:
「今日のレースは、序盤とてもエキサイティングでオーバーテイクはとても楽しく、トップに立つことができて良かった。(脇阪)寿一にスイッチしてからは走りから全く目が離せず、残りの10周は心臓が止まるかと思う展開で、ハラハラした。優勝することができて本当に嬉しい。ここに集まってくださったファンの皆様、サポートしてくださったスポンサーの皆様、チームの皆に感謝したい。1年間ありがとうございました」
リザルト
GT500 | |||||||
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順位 | No. | 車名 | ドライバー名 | 周回 | 所要時間/差 | 予選 | WH |
1 | 1 | PETRONAS TOM'S SC430 | 脇阪 寿一/アンドレ・ロッテラー | 53 | 1:37'19.525 | 5 | |
2 | 18 | ウイダー HSV-010 | 小暮 卓史/ロイック・デュバル | 53 | 0'00.326 | 1 | |
3 | 17 | KEIHIN HSV-010 | 金石 年弘/塚越 広大 | 53 | 0'15.327 | 3 | |
4 | 35 | MJ KRAFT SC430 | 石浦 宏明/大嶋 和也 | 53 | 0'15.706 | 6 | |
5 | 12 | カルソニック IMPUL GT-R | 松田 次生/ロニー・クインタレッリ | 53 | 0'32.326 | 4 | |
6 | 100 | RAYBRIG HSV-010 | 伊沢 拓也/山本 尚貴 | 53 | 0'32.962 | 8 | |
7 | 8 | ARTA HSV-010 | ラルフ・ファーマン/井出 有治 | 53 | 0'36.223 | 10 | |
8 | 23 | MOTUL AUTECH GT-R | 本山 哲/ブノワ・トレルイエ | 53 | 0'44.196 | 9 | |
9 | 32 | EPSON HSV-010 | 道上 龍/中山 友貴 | 53 | 0'50.841 | 11 | |
10 | 24 | HIS ADVAN KONDO GT-R | J.P・デ・オリベイラ/安田 裕信 | 53 | 1'05.177 | 7 | |
11 | 39 | DENSO DUNLOP SARD SC430 | カルロ・ヴァンダム/平手 晃平 | 53 | 1'11.009 | 13 | |
12 | 6 | ENEOS SC430 | 伊藤 大輔/ビヨン・ビルドハイム | 53 | 1'16.862 | 2 | |
38 | ZENT CERUMO SC430 | 立川 祐路/リチャード・ライアン | 35 | 18Laps | 12 | ||
GT300 | |||||||
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順位 | No. | 車名 | ドライバー名 | 周回 | 所要時間/差 | 予選 | WH |
1 | 3 | TOMICA Z | 星野 一樹/柳田 真孝 | 49 | 1:38'00.830 | 1 | |
2 | 2 | アップル・K-one・紫電 | 加藤 寛規/濱口 弘 | 49 | 0'22.303 | 8 | |
3 | 86 | JLOC ランボルギーニ RG-3 | 山西 康司/関口 雄飛 | 49 | 0'32.791 | 3 | |
4 | 11 | JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430 | 田中 哲也/平中 克幸 | 49 | 0'33.203 | 7 | |
5 | 5 | マッハGOGOGO車検408R | 玉中 哲二/黒澤 治樹 | 49 | 1'06.078 | 13 | |
6 | 25 | ZENT Porsche RSR | 都筑 晶裕/土屋 武士 | 49 | 1'08.153 | 16 | 24 |
7 | 19 | ウェッズスポーツIS350 | 織戸 学/片岡 龍也 | 49 | 1'08.428 | 11 | |
8 | 7 | M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7 | 谷口 信輝/折目 遼 | 49 | 1'12.647 | 6 | |
9 | 9 | 初音ミク X GSRポルシェ | 番場 琢/佐々木 雅弘 | 49 | 1'16.589 | 2 | 2 |
10 | 62 | R&D SPORT LEGACY B4 | 山野 哲也/佐々木 孝太 | 49 | 1'17.743 | 20 | 20 |
17 | 74 | COROLLA Axio apr GT | 井口 卓人/国本 雄資 | 48 | 1Lap | 4 | |
19 | 31 | エヴァンゲリオンRT初号機 aprカローラ | 嵯峨 宏紀/松浦 孝亮 | 47 | 2Laps | 15 | |
※WH:ウェイトハンデ(kg) |
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