LEXUS RC Fが新生SUPER GT初レースで歴史に残る1-2フィニッシュ!
伊藤大輔/A.カルダレッリ組優勝、大嶋和也/国本雄資組が2位
4月6日(日)岡山国際サーキットで開催されたSUPER GT開幕戦は、伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ組のKeePer TOM'S RC F 37号車が5番手スタートからの逆転で、歴史に名を刻む新生SUPER GTでの初勝利を成し遂げた。ポールポジションから前半首位を逃げた大嶋和也/国本雄資組 ENEOS SUSTINA RC F 6号車は、不具合で無念の逆転を許したものの、2位で続き、LEXUS RC Fはデビューレースを1-2フィニッシュで飾った。
LEXUS RC F勢がデビューレースで1-2フィニッシュを飾った。
優勝した伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ(右)と
2位に入った大嶋和也/国本雄資(左)
SUPER GT第1戦「OKAYAMA GT 300km RACE」が4月5日(土)、6日(日)の両日、岡山県の岡山国際サーキットで開催された。
いよいよ2014年の日本のモータースポーツシーンが開幕。今季のSUPER GTは、スーパーフォーミュラと基本設計を同じものとする、日本ならではの最新技術を織り込んだNRE規定の新エンジンを、ドイツツーリングカー選手権(DTM)と共通化された新たな新規定シャシーに搭載して戦われる。今大会はこの車両、エンジンの両方が全く新しいものに変わる新規定で戦われる最初のレースとなる。
この新規定でのSUPER GTのGT500クラスに、LEXUS Racingは昨年まで8年間にわたって参戦してきたLEXUS SC430に代え、今年後半発売予定の高性能クーペLEXUS RC Fをベースとした車両を採用。この新シャシーに新型2リッター直列4気筒ターボの「RI4AG」エンジンを搭載し、6台のLEXUS RC Fが参戦。GT300クラスには昨年から引き続き熟成を重ねたハイブリッドレーシングカー、トヨタ プリウスが参戦する。
予選
5日(土)は、雨の予報もあったものの結局降ることはなく、終日ドライコンディション。この時期としてはやや寒いくらいの気候となったが、予選開始となる午後2時には太陽が顔をのぞかせ、気温12度、路面温度21度とやや上昇するコンディションの下でノックアウト方式の予選Q1が開始された。
GT500の上位8台がQ2へと進出するQ1セッション(15分)は、タイヤの温まりとアタックのタイミングを見据えて、ほとんどの車両がセッション開始から4分ほど経過したところでコースイン。
伊藤大輔のKeePer TOM'S RC F 37号車は最後のアタックで見事トップタイムをマーク。ENEOS SUSTINA RC F 6号車は国本雄資がドライブし、トップからわずか100分の7秒差という好タイムで4番手。ジェームス・ロシターのPETRONAS TOM'S RC F 36号車も8番手でQ2進出を決めた。
一方、DENSO KOBELCO SARD RC F 39号車は今季より同チームで参戦するオリバー・ジャービスが惜しくも0.014秒届かず9番手。午前中の公式練習走行時にトラブルに見舞われ、満足にセットアップを進められなかったZENT CERUMO RC F 1号車は、平手晃平がアタックしたがタイムを伸ばせず11番手。WedsSport ADVAN RC F 19号車が13番手でQ1敗退となってしまった。
12分間のQ2セッション開始時には再び雲が空を覆い、気温、路面温度ともに下がっていくことに。しかし、この低温をものともしない気迫の走りを見せた6号車の大嶋和也は、最初のアタックラップでいきなりこれまでのコースレコードを3秒も短縮する驚速のタイムをたたき出しトップに。大嶋はこのアタックラップを終えると、セッションをまだ4分ほど残した状態でアタックを終了。終盤、ライバルがこのタイムを追ったが届かず、6号車のLEXUS RC Fが新生SUPER GTでの初ポールポジションを獲得することとなった。
36号車と37号車は、予選よりも決勝を重視したセットアップでのアタックとなったが、それでも中嶋一貴とアンドレア・カルダレッリが好走を見せそれぞれ4番手、5番手グリッドにつけた。
GT300クラスでは、練習走行から好調だったOGT Panasonic PRIUS 31号車が嵯峨宏紀のドライブでQ2進出を果たすと、ベテラン新田守男が渾身の走りでポールポジションを獲得した。
決勝
6日(日)は前夜に続き、午前中のフリー走行時前にも雨に見舞われたが、フリー走行セッション中に雨は止み、路面は回復。決勝レースがスタートする午後2時の時点では、気温8度、路面温度20度と寒さは感じるものの、ドライコンディションで決勝スタートを迎えた。
新規定となったことで、ウォームアップラップが1周追加され、その後フォーメーションラップに入ったが、これが1周延長されたこともあり、規定よりも1周少ない81周で決勝レースのスタートとなった。
ポールポジションの6号車大嶋は順当にポジションをキープ。36号車ロシターはスタートこそ4位を守ったが、1周目の混戦の中で接触を喫しコースアウト。大きく順位を落としてしまった。一方、37号車のカルダレッリは前走車のアクシデントもあり3位にポジションを上げた。
レースが4分の1ほどを消化した20周目あたりから降り始めた雨は、あっという間に強さを増し、路面はセミウェットに。そんな中、3位につけていた37号車カルダレッリが、スリックタイヤでの難コンディションながら見事な走りで2位に浮上。首位を独走していた6号車大嶋に迫った。
しかしまもなく雨は止み、日が差し始めるという、めまぐるしく変わる天候で、路面もすぐドライに。その後も6号車と37号車の首位争いが続いた。
34周目には、8位まで順位を上げ、5位争いの集団に加わっていた平手の1号車が、前走車をパスしようとして接触、コースアウト。こちらも大きく後退を余儀なくされてしまった。
レースが中盤に入り、39周目が終了した時点で、37号車が先にピットイン。カルダレッリから伊藤へと交代。翌周には6号車がピットへ向かい、大嶋から国本へチェンジ。交換直後の冷えたタイヤでも激しい順位争いが繰り広げられた。
43周目に、最後まで引っ張った19号車がピットへ向かうと、6号車は再び首位に復帰。しかし、1周早くピットを終えた37号車の伊藤が猛烈な追い上げを見せ、ピット直後には6秒以上もあった首位6号車 国本との差を詰めていった。
国本も懸命に首位を逃げるが、次々に現れる周回遅れ車両を処理する中でその差は更に詰まっていき、51周目にはテール・トゥ・ノーズに。2台のLEXUS RC Fによる息詰まるようなバトルが続く中、55周目、突然首位の6号車がシフト系の一時的な作動不良に見舞われ、スローダウン。この機に一気に37号車伊藤が6号車をパスし首位を奪った。
幸いにも6号車の不具合はまもなく解消し、何とか2位の座を維持したままペースも復活。一時的には3位の車両に追われる場面もあったが、終盤にはこれを引き離し、首位を奪還すべく37号車へとじりじりと詰め寄っていった。
その後方では、9番手スタートから前半5位まで順位を上げ、石浦に交代した後半戦でも54周目に4位に上がった39号車が、更に3位との差を詰めていき、3位争いに注目が集まった。
2位の6号車 国本は懸命に首位を追ったが、逃げる37号車 伊藤はペースをコントロールし、トップでチェッカー。歴史にその名を刻む、新規定でのSUPER GT初レースで、見事LEXUS RC Fに勝利をもたらした。6号車も2位で続き、LEXUS RC Fはデビュー戦で1−2フィニッシュを果たすこととなった。
3位を追っていた39号車は惜しくも届かず、4位でフィニッシュした。
優勝した37号車の伊藤にとっては、2012年第4戦SUGO大会以来の勝利。カルダレッリは嬉しいSUPER GTでの初優勝となった。
GT300クラスでは、ポールポジションからスタートしたプリウス31号車が、スタートで先行を許したものの、序盤首位争いを展開。しかし、23周目、電装系トラブルでコース上にストップ。そのままレースを終えた。
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新生SUPER GTでの初優勝を飾った
KeePer TOM'S RC F 37号車 -
ポールポジションから2位フィニッシュを果たした
ENEOS SUSTINA RC F 6号車
KeePer TOM'S RC F 37号車 ドライバー 伊藤大輔:
「昨年このチームに移籍して来て、アンドレア(カルダレッリ)とも息は合っていたのだが、なかなか勝利に恵まれなかった。今年こそ、スポンサーやチームの為にも、絶対に早いうちに優勝したいという思いでシーズンに臨んだので、それが果たせたのがとても嬉しい。テストからずっとクルマの調子は良く、クルマを信じて最後まで走った。正直、昨年新車のテストが始まった段階では、まさかこのクルマでレースが戦えるとは思えなかっただけに、短期間で勝てるクルマに仕上げてくれたTRDの開発陣やクルマを作ってくれたチームスタッフに感謝している」
KeePer TOM'S RC F 37号車 ドライバー アンドレア・カルダレッリ:
「日本に来てから3年経つが、やっとこうして優勝することが出来、とても嬉しい。今日のレースは私にとって特別なものになった。メーカー、TRD、チームに感謝している。テストの時から調子は非常に良く、勝つべくして勝てたと思っている。これからも1レース1レース、ポイントを積み重ねて行きたい。幸先の良いスタートを切ることが出来、レースの内容にもとても満足している」
ENEOS SUSTINA RC F 6号車 ドライバー 大嶋和也:
「天候がかなり荒れており、どうなることかと思いながらのスタートだった。スタートは上手く行き、その後のペースも良く、首位をキープして国本(雄資)に渡すことが出来れば、チャンスもあるかなと思っていた。しかし、国本が不具合に見舞われてしまった。不具合については、誰が悪い訳でもなく、自分は良いレースをしたし、国本も頑張ったと思っている。今まで、岡山でこんな戦績を残したことがなかったので、ここで15ポイント獲得出来たのは良い結果だと、前向きに考えたい。今年は、自分らしさをどんどん出して、攻めて行こうと思っている」
ENEOS SUSTINA RC F 6号車 ドライバー 国本雄資:
「土曜、日曜と、クルマの速さがあったので、チームの為になんとかそれに結果で応えたいと思っていた。今回のレースの300kmという距離は、新しい車両になって、全メーカーが、テストでも走ったことのない距離だったので、どんなトラブルが出るのか想像もつかなかった。首位を走っている時に、ミッションに不具合が出てしまったことは悔しい。不具合の原因は不明だが、クルマの速さを見せることは出来たと思っている。次戦までに、今日出た不具合の対策を施し、この速さをキープしたまま次戦富士で雪辱を果たしたい」
リザルト
GT500 | |||||||
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順位 | No. | 車名 | ドライバー名 | 周回 | 所要時間/差 | 予選 | WH |
1 | 37 | KeePer TOM'S RC F | 伊藤 大輔/アンドレア・カルダレッリ | 81 | 1:57'15.816 | 5 | |
2 | 6 | ENEOS SUSTINA RC F | 大嶋 和也/国本 雄資 | 81 | 5.026 | 1 | |
3 | 12 | カルソニックIMPUL GT-R | 安田 裕信/J.P.デ・オリベイラ | 81 | 18.818 | 2 | |
4 | 39 | DENSO KOBELCO SARD RC F | 石浦 宏明/オリバー・ジャービス | 81 | 21.475 | 9 | |
5 | 18 | ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT | 山本 尚貴/ジャン・カール・ベルネ | 81 | 23.259 | 8 | |
6 | 17 | KEIHIN NSX CONCEPT-GT | 塚越 広大/金石 年弘 | 81 | 31.039 | 7 | |
7 | 23 | MOTUL AUTECH GT-R | 松田 次生/ロニー・クインタレッリ | 81 | 31.367 | 6 | |
8 | 8 | ARTA NSX CONCEPT-GT | V.リウッツィ/松浦 孝亮 | 81 | 1'07.608 | 12 | |
9 | 100 | RAYBRIG NSX CONCEPT-GT | 小暮 卓史/武藤 英紀 | 80 | 1Lap | 14 | |
10 | 46 | S Road MOLA GT-R | 本山 哲/柳田 真孝 | 80 | 1Lap | 3 | |
11 | 19 | WedsSport ADVAN RC F | 脇阪 寿一/関口 雄飛 | 80 | 1Lap | 13 | |
12 | 24 | D'station ADVAN GT-R | ミハエル・クルム/佐々木 大樹 | 80 | 1Lap | 10 | |
13 | 36 | PETRONAS TOM'S RC F | 中嶋 一貴/ジェームス・ロシター | 79 | 2Laps | 4 | |
14 | 1 | ZENT CERUMO RC F | 立川 祐路/平手 晃平 | 77 | 4Laps | 11 | |
15 | 32 | Epson NSX CONCEPT-GT | 中嶋 大祐/ベルトラン・バゲット | 75 | 6Laps | 15 | |
GT300 | |||||||
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順位 | No. | 車名 | ドライバー名 | 周回 | 所要時間/差 | 予選 | WH |
1 | 4 | グッドスマイル 初音ミク Z4 | 谷口 信輝/片岡 龍也 | 77 | 1:58'28.101 | 2 | |
2 | 7 | Studie BMW Z4 | ヨルグ・ミューラー/荒 聖治 | 77 | 0.329 | 4 | |
3 | 11 | GAINER DIXCEL SLS | 平中 克幸/ビヨン・ビルドハイム | 76 | 1Lap | 6 | |
4 | 3 | B-MAX NDDP GT-R | 星野 一樹/ルーカス・オルドネス | 76 | 1Lap | 7 | |
5 | 65 | LEON SLS | 黒澤 治樹/峰尾 恭輔 | 76 | 1Lap | 9 | |
6 | 55 | ARTA CR-Z GT | 高木 真一/小林 崇志 | 76 | 1Lap | 3 | |
7 | 86 | クリスタルクロコ ランボルギーニ GT3 | 細川 慎弥/山西 康司 | 75 | 2Laps | 14 | |
8 | 21 | Audi R8 LMS ultra | リチャード・ライアン/藤井 誠暢 | 75 | 2Laps | 16 | |
9 | 0 | MUGEN CR-Z GT | 中山 友貴/野尻 智紀 | 75 | 2Laps | 5 | |
10 | 10 | GAINER Rn-SPORTS SLS | 植田 正幸/山内 英輝 | 75 | 2Laps | 15 | |
31 | OGT Panasonic PRIUS | 新田 守男/嵯峨 宏紀 | 22 | 55Laps | 1 | ||
※WH:ウェイトハンデ(kg) |
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