中嶋一貴/ジェームス・ロシター組LEXUS RC Fがポール・トゥ・ウィン!
8月30日(土)、31日(日)にかけて鈴鹿サーキットでSUPER GT第6戦「鈴鹿1000km」が開催。長い1000kmのレースを、中嶋一貴/ジェームス・ロシター組のPETRONAS TOM'S RC F 36号車がポール・トゥ・ウィンで制し、今季初勝利を挙げた。GT300クラスでは新田守男/嵯峨宏紀/中山雄一組のOGT Panasonic PRIUS 31号車が2位表彰台を獲得した。
今季初勝利を表彰台の頂点で喜ぶ中嶋一貴(左)とジェームス・ロシター(右)
8月30日(土)、31日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで、SUPER GT第6戦「43rd International SUZUKA 1000km」が開催された。
伝統のレース「鈴鹿1000km」。夏の一大レースとして、50年近い歴史を持つ。現在シリーズの1戦であるSUPER GTではもちろん最長、これに次ぐ長さの第2戦富士の500kmの倍、通常のレースの約3倍という長丁場で争われる。
今季は例年よりも2週間程開催が遅く、夏休みを締めくくる時期の開催。暦の上では秋に入るとは言え、まだまだ暑さの残る中で、通常の倍から3倍という長さは、車両やエンジン、ブレーキ、そしてドライバーにも大きな負担を強いる。長いレースだけに、真夏ならではの天候の急変なども考えられる上に、ピット回数も多くなるため、ピット作業や戦略など、チーム全体の力がいつも以上に重要なレースである。
また、シーズン全体を考えても、フルウェイトハンデでの最後の戦いとなるだけでなく、通常のポイントに加え、ボーナスポイントが加算されるため、チャンピオンシップ争いにとっても山場となる一戦となった。
予選
30日(土)は好天に恵まれ、気温30度、路面温度40度というコンディションで、午後2時よりノックアウト方式で予選が実施された。
上位8台がQ2へと進出する予選Q1では、セッション後半に入ると各車アタックを開始。順位がめまぐるしく入れ替わった。LEXUS RC F勢ではジェームス・、ロシターのドライブするPETRONAS TOM'S RC F 36号車が5番手。立川祐路の駆るZENT CERUMO RC F 1号車は終盤までQ2進出圏内の8番手につけていたが、最後の最後に逆転され9番手。Q2進出を逃すことに。
他のLEXUS RC F勢も予選でのセッティングをあわせきれず苦戦。DENSO KOBELCO SARD RC F 39号車が11番手、WedsSport ADVAN RC F 19号車が12番手、ENEOS SUSTINA RC F 6号車13番手、KeePer TOM'S RC F 37号車は14番手となり、Q2進出はならなかった。
Q2では、36号車は中嶋一貴が担当。中嶋一貴はセッション開始後、ライバルがピットで待機する中、先陣を切ってコースインし、ライバルよりも早い段階からじっくりとタイヤを暖め、アタックを開始した。
6台のLEXUS RC Fのうち唯一Q2進出となった36号車の中嶋一貴は気迫の走りを見せ、トップタイムをマーク。Q1でライバルがマークした新コースレコードに1000分の4秒まで迫る速さを見せた。ライバル勢もセッション終盤にかけてタイムアップを果たしたが、36号車のタイムには及ばず、36号車は第4戦SUGOに続き、今季2度目となるポールポジションを獲得した。
GT300クラスでは、12台がQ2へと進出する予選Q1で、嵯峨宏紀が担当したOGT Panasonic PRIUS 31号車は4番手タイムをマークしQ2に進出。
予選Q2では、新田守男が31号車をドライブ。このセッションでも終盤コースオフした車両があったため赤旗が出され、セッションは残り4分で再開されることに。多くの車両が中断前にタイムを出しており、残り4分では1発アタックしか出来ないため、ほとんどの車両が再開後のアタックを断念したが、この時点で3番手につけていた31号車の新田はコースイン。更に上位グリッドを狙ってアタックし、自己ベストタイムは更新したが、わずか100分の3秒差でポジションアップならず。プリウス31号車は、決勝レースを2列目3番手グリッドからスタートすることとなった。
決勝
31日(日)は、午前中こそやや雲があったものの、スタート直前の昼頃には雲の間から日差しが顔を出し、SUPER GT真夏の3連戦は、最後となる鈴鹿戦でようやく夏らしい気候の下でのレースが行われることとなった。
午後12時15分、今大会、シリーズ初の試みとして、交通安全啓発のため三重県警の協力の下、白バイとパトカーがレーシングカーを先導してのパレードラップを1周行った後、通常通りのフォーメーションラップを実施。気温27度、路面温度31度というコンディションで長い1000km(173周)の決勝レースがスタートした。
今大会は燃料給油、ピットなどの戦略も重要。173周を6スティントに分け、約29周ごとでのピットインか、燃料消費を抑え、約35周ずつ、5スティントで走行するという2つのピット戦略に分かれた。6スティント(5回ピットイン)作戦は、燃料消費を気にすることなく常に全開で走ることが出来るが、レーストータルでは1回ピットが多くなる分、ピットでのロスタイムが長くなる。5スティント(4回ピットイン)作戦は、1回分のピットイン時間を節約出来るが、燃費を考慮した走りを余儀なくされるため、ラップタイムは遅くなる。
ポールポジションの36号車はロシターがスタートを担当。順当に首位を守ってスタートを切ったが、周回を重ね、周回遅れが現れてくると、追い上げるKEIHIN NSX CONCEPT-GT 17号車とのバトルが激化。10周目に周回遅れのGT300車両をかわそうとした隙を突かれ、首位を奪われてしまった。
一方で、12番手スタートの19号車は12周目にタイヤバースト、9番手スタートの1号車も21周目に周回遅れとの接触し車両前部にダメージを負うなど、波乱の幕開けに。
大きく離されることなく首位を追った36号車は、29周目にピットインし、中嶋一貴へと交代。11番手スタートから序盤の25周で6位まで順位を上げた39号車もピットへ向かい、共に6スティント作戦を採った。残るLEXUS RC F勢は35周目前後までピットを引っ張り、5スティント作戦に。
36号車は、5スティント作戦の車両が全車最初のピットを終え、首位でコースに復帰した17号車をアウトラップでパス。首位を奪還すると、その後は10秒以上の大差をつけ、独走態勢に入った。
首位の36号車はピットタイミングの違いにより、2回目のピットを終えた58周目には6位まで後退するも、5スティント作戦の車両がピットに向かった70周目に首位に復帰し、2位との差は約30秒に。
気温は30度、路面温度も40度を超える暑さとなる中、接触やコースオフ、トラブルなどで脱落する車両が続出。36号車と首位を争っていた17号車は、36号車が3回目のピットに向かった直後の88周目に高速130Rでコースオフし、クラッシュ。これで、36号車と首位を争う相手は、MOTUL AUTECH GT-R 23号車1台のみとなった。また、ライバル勢の脱落もあり、39号車は3位へと浮上した。
36号車は、ライバルよりも1回多く必要なピット作業時間を稼ぐべく、ハイペースで周回。116周目、4回目のピットインを行った36号車は、共に残りピット回数が1回ずつとなる23号車の直前でピットアウト。中嶋一貴から交代したロシターは、装着したばかりで温まっていないタイヤながら、23号車の猛追をかろうじて防ぎきり、首位をキープ。タイヤが温まってからは再びペースを上げ、2位を引き離していった。
145周を終了した時点で、36号車は最後のピットイン。中嶋一貴はドライバー交代の準備はしていたが、好調にハイペースなラップタイムを刻んでいるロシターが、交代せずそのまま最後まで走りきることに。2位の23号車にに40秒差をつけ、首位のままコースに復帰した。
147周目、3位を走行していた39号車が最後のピット作業を終え、表彰台へ向け、最後のスティントへ石浦宏明のドライブでコースへ復帰。しかし、デグナーカーブ通過時に、左リアタイヤがまさかの脱落。39号車はそのままコース脇に車両を止め、残り1時間での痛恨のリタイアとなってしまった。
首位を行く36号車のロシターは、暗くなっていくコースでも、後続との差をキープしたまま着実に周回。スタートからフィニッシュまで手綱を緩めることなく、中嶋一貴とロシターが全開で走り続けた36号車は、2位に50秒近い大差をつけ、トップでチェッカー。今季初、昨年の第7戦以来となる勝利を飾った。
6号車が5位、37号車が7位、1号車が8位に入り、貴重なポイントを獲得した。
GT300クラスでは、3番手グリッドのプリウス31号車は新田守男がスタートを担当。序盤から2位争いを繰り広げ、その後は3位のポジションをキープ。4回ピット、5スティント作戦を採り、2スティント目は嵯峨宏紀、そして3スティント目には今大会第3ドライバーとしてスポット参戦した中山雄一が担当、好走を見せた。
長い、厳しい6時間の戦いを3位のポジションで走り続けた31号車だったが、終盤に来て、首位を争っていた2位の車両がトラブルで脱落。これにより、31号車は2位に浮上。
終盤には、ブレーキ系やシフトのトラブルにも見舞われ、後続車両からの猛烈な追い上げを受けたが、最後のスティントを担当する嵯峨が苦しみながらも逃げ切り、2位でフィニッシュ。今季初表彰台を獲得した。
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今季初勝利を挙げたPETRONAS TOM'S RC F 36号車 -
GT300クラス2位でフィニッシュし表彰台に上ったOGT Panasonic PRIUS 31号車の嵯峨宏紀(左)、新田守男(中央)、中山雄一(右)
PETRONAS TOM'S RC F 36号車 ドライバー 中嶋一貴:
「長いレースということもあり、昨日予選が終わった時点では、またこの会見場に戻って来られるとは思っていなかったが、結果としてこうして優勝者の記者会見に出席出来て良かった。予選でのポールポジション獲得も驚きだったが、今日の優勝も正直なところ予想以上の結果だ。ペースもとても良かったし、要所要所でジェームス(ロシター)が良い仕事をしてくれたおかげで、二人で力を合わせて優勝出来た。LEXUS RC F勢が苦戦する中でこういう結果を出すことが出来たので、これを弾みに残り2戦も頑張りたい」
PETRONAS TOM'S RC F 36号車 ドライバー ジェームス・ロシター:
「最高の気分だ。最初のスティントでは少しトラフィックに引っかかったが、首位に立ってからはずっと全開でギャップを築くことが出来た。クルマの状態は最後まで完璧だった。努力を続けてくれたチームや関係者の皆さんに感謝したい」
OGT Panasonic PRIUS 31号車 ドライバー 新田守男:
「優勝を逃したのは悔しい。クルマのトラブルは(中山)雄一の時から出ていて、最後(嵯峨)宏紀の時にひどくなったようだが、そんな中でも常に表彰台を狙えるペースで走れたのは良い兆候だ。今回は走れなくなるような大きなトラブルはなく、ドライバーもミスせず、チームも良い仕事をした。優勝は逃したが、とても良い結果だと思う。次のタイも楽しみだ」
OGT Panasonic PRIUS 31号車 ドライバー 嵯峨宏紀:
「最後、ブレーキが利かず、シフトも上手く落ちないトラブルに見舞われ、接触の影響で左のミラーを失っていたので、GT500に抜かれる時には注意が必要だった。長いレースならではのトラブルに見舞われることとなったが、なんとか走り切った。ペース的には3位のレースだったと思うが、表彰台に乗ることが出来て良かった。前のクルマのペースには届かなかったので、そこが課題かなと思っている」
OGT Panasonic PRIUS 31号車 ドライバー 中山雄一:
「サードドライバーとしてこのチームで参戦するのは3回目となるが、1年目はリタイア、2年目は勝負権がなかったので、今回は良いレースをして2位表彰台という結果が得られて良かった。3位でバトンを受け、途中抜かれそうになったが、ポジションをキープしたまま次に渡すことが出来たので、自分に与えられた仕事はこなせたと思っている」
リザルト
GT500 | |||||||
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順位 | No. | 車名 | ドライバー名 | 周回 | 所要時間/差 | 予選 | WH |
1 | 36 | PETRONAS TOM'S RC F | 中嶋 一貴/ジェームス・ロシター | 173 | 5:37'27.911 | 1 | 44 |
2 | 23 | MOTUL AUTECH GT-R | 松田 次生/ロニー・クインタレッリ | 173 | 50.549 | 3 | 84 |
3 | 18 | ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT | 山本 尚貴/F.マコヴィッキィ | 172 | 1Lap | 7 | 68 |
4 | 8 | ARTA NSX CONCEPT-GT | V.リウッツィ/松浦 孝亮 | 172 | 1Lap | 5 | 8 |
5 | 6 | ENEOS SUSTINA RC F | 大嶋 和也/国本 雄資 | 171 | 2Laps | 14 | 68 |
6 | 100 | RAYBRIG NSX CONCEPT-GT | 小暮 卓史/武藤 英紀 | 171 | 2Laps | 8 | 22 |
7 | 37 | KeePer TOM'S RC F | 伊藤 大輔/アンドレア・カルダレッリ | 171 | 2Laps | 13 | 100 |
8 | 1 | ZENT CERUMO RC F | 立川 祐路/平手 晃平 | 170 | 3Laps | 9 | 70 |
9 | 24 | D'station ADVAN GT-R | ミハエル・クルム/佐々木 大樹 | 168 | 5Laps | 10 | 18 |
10 | 12 | カルソニックIMPUL GT-R | 安田 裕信/J.P.デ・オリベイラ | 165 | 8Laps | 6 | 94 |
11 | 39 | DENSO KOBELCO SARD RC F | 石浦 宏明/オリバー・ジャービス | 146 | 27Laps | 11 | 36 |
19 | WedsSport ADVAN RC F | 脇阪 寿一/関口 雄飛 | 100 | 73Laps | 12 | 14 | |
GT300 | |||||||
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順位 | No. | 車名 | ドライバー名 | 周回 | 所要時間/差 | 予選 | WH |
1 | 60 | TWS LM corsa BMW Z4 | 飯田 章/吉本 大樹/佐藤 晋也 | 160 | 5:39'21.300 | 6 | 22 |
2 | 31 | OGT Panasonic PRIUS | 新田 守男/嵯峨 宏紀/中山 雄一 | 159 | 1Lap | 3 | 20 |
3 | 7 | Studie BMW Z4 | ヨルグ・ミューラー/荒 聖治/ アウグスト・ファルフス | 159 | 1Lap | 7 | 60 |
4 | 10 | GAINER Rn-SPORTS SLS | 植田 正幸/山内 英輝 | 158 | 2Laps | 9 | 2 |
5 | 4 | グッドスマイル 初音ミク Z4 | 谷口 信輝/片岡 龍也 | 158 | 2Laps | 17 | 96 |
6 | 33 | PUMA KRH PORSCHE | 都筑 晶裕/ティム・ベルグマイスター/ ヨルグ・ベルグマイスター | 158 | 2Laps | 21 | 16 |
7 | 9 | 国立音ノ木坂学院NACポルシェ with DR | 白坂 卓也/アンドレ・クート/ 飯田 太陽 | 158 | 2Laps | 10 | |
8 | 0 | MUGEN CR-Z GT | 中山 友貴/野尻 智紀/道上 龍 | 158 | 2Laps | 2 | 38 |
9 | 61 | SUBARU BRZ R&D SPORT | 佐々木 孝太/井口 卓人 | 158 | 2Laps | 4 | 70 |
10 | 11 | GAINER DIXCEL SLS | 平中 克幸/ビヨン・ビルドハイム | 157 | 3Laps | 18 | 100 |
※WH:ウェイトハンデ(kg) |
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