伝統のインディ500でトヨタエンジン日本メーカー初制覇達成!!
G.ド・フェラン堂々の勝利。高木虎之介も大健闘日本人最上位5位
自身にとっても念願の"インディ500"初優勝を果たすとともに
トヨタエンジンに日本メーカー初制覇をもたらしたG.ド・フェラン
5月25日(日)、第87回インディアナポリス・500マイル・レース(通称"インディ500")"の決勝レースが、インディアナ州の"インディアナポリス・モーター・スピードウェイ"で行われた。
アメリカで最も長い歴史を持つ伝統の一戦は、"IRLインディカーシリーズ"の第4戦として開催され、約1ヶ月にわたる長い期間を経てプラクティスと予選が行われてきた。この予選で、選び抜かれた33台が晴れの決勝グリッドに進出。
今季から、IRLインディカー・シリーズに参戦し、前戦"もてぎ"で2勝目を挙げたトヨタエンジンにとって、伝統の"インディ500"は、初挑戦となるが、ポール・ポジションを獲得したエリオ・カストロネベスを筆頭に、6チーム14台のトヨタエンジン搭載車が、決勝レースに臨んだ。
5月25日(日)午前11時、全米から集まった40万人にも及ぶ超満員のスタンドの大観衆を前に、グリーンフラッグとともに一斉にスタート。500マイル(800km)200周に渡る決戦の火蓋が切って落とされた。
序盤は、今年"インディ500"3連覇がかかったH.カストロネベスが首位をキープしトヨタエンジン搭載チームをリード。日本期待の高木虎之介も6位から4位へと果敢にポジションアップ、周回を重ねた。しかし、服部茂章は、燃料系のトラブルのために19周目に、早々にリタイア。
その後、イエローコーションが続出するレース展開ながら、104周目には、首位奪取を果たしたT.シェクターが1位、H.カストロネベスが2位、G.ド・フェランが3位、高木虎之介4位と、トヨタエンジンが上位を占めて中盤戦に突入。
114周目からは、4位争いに加わってきたT.カナーン(ホンダ)と激しい上位争いが展開された。そして、後半戦へと入った127周目に出された6度目のイエローコーションで、上位陣が続々と4度目このピットイン。このピットインで出遅れたT.シェクターが4位に後退。H.カストロネベスとG.ド.フェランの2台が逆転を果たした。
一方、高木虎之介は、170周目の最後の給油ピットインでピット作業に手間取り6位へ後退。しかし、174周目には5位へ返り咲く大健闘。
さらに、成り行きの注目された首位争いは、175周目に、首位を逃げていたH.カストロネベスが周回遅れに進路を阻まれた隙に、チーム・メイトのG.ド・フェランが首位奪取。
レースも大詰めとなった181周目には、8位を走行していたS.シャープが第4ターンで姿勢を崩し、コンクリートウォールへヒットするなど通算9回もイエローコーションの出る波乱のレースであったが、200周の長丁場をチーム・ペンスキーの2台が"トヨタサウンド"を轟かせてゴールイン。
G.ド・フェランが、伝統の"インディ500"初勝利をものにするとともに、トヨタ・エンジンがモナコGP、ル・マン24時間レースと並び世界3大レースと称される偉大なレースで国産エンジン初勝利を獲得した。
また、終始、上位争いを展開し、日本人ファンを釘づけにした高木虎之介は、歴代日本人最高位の5位でフィニッシュ。今季3勝目を挙げたトヨタエンジン搭載チームは残り12戦でシリーズ・タイトル獲得へと邁進する。
ジル・ド・フェラン(ペンスキー・レーシング)のコメント:
この喜びをどうやって言葉に表現したらいいか分からない。まだ、信じられないぐらいだ。長いこと、この"インディ500"で勝つことを夢見ていた。約1ヶ月もの長い間、トヨタエンジンは、常に信頼性と高いパフォーマンスを発揮し、この勝利に貢献してくれた。チーム・メイトのH.カストロネベスも2位に入り、チーム・ペンスキーが、完璧な仕事をこなしてくれて、本当に感謝している。こんなに嬉しいことはない。最高の気分だ。
高木虎之介(モー・ナン・レーシング)のコメント:
普段のレースで5位という結果には、必ずしも満足していないが、伝統の"インディ500"という特別なレースでの結果なので、嬉しい。常にトップグループで競えたことが、何よりも励みになった。トヨタエンジンは、プラクティスから素晴らしかったが、決勝レースでもパフォーマンスを発揮してくれた。しかし、トップグループを走るチームも強豪が揃っており速いので、なかなかオーバーテイク出来ず、苦戦を強いられた。初めて"インディ500"を戦ってみて、いろいろなことを経験できた。前回の"もてぎ"のようなチームのミスがなければ、どこのレースでも結果を残せることがわかり、自信につながった。今回の500マイルという過酷なレースで、トヨタエンジンが上位を占めたことは、今後の戦いにおいても心強い。残り12戦あるが、とにかく今年中に勝利をものにしたい。
服部茂章(A.J.フォイト・エンタープライズ)のコメント:
決勝レースでは、クルマもエンジンもスタートからとても調子が良く、速かったので、すぐに5つぐらいポジションをアップして、かなりの手応えがあっただけに、残念な結果となってしまった。燃料ポンプの不調により、徐々に後退してしまい、ピットインして、ピットで修復を試みたが、治らなかった。
TRD-USA社長 J.オーストのコメント:
CARTでの7年間を経て、今年から"IRLインディカー・シリーズ"に参戦し、初挑戦となった"インディ500"で勝つことが出来、トヨタにとって最高の日を迎えられた。チーム・ペンスキーの2人のドライバー、チーム・スタッフ、そして、TRD-USAのスタッフ達が、今日まで"インディ500"に向けて努力してくれたおかげだ。これに満足することなく、シリーズの残り12戦にタイトル獲得をかけ、精一杯頑張っていく。
TRD-USA 林博美のコメント:
"IRLインディカー・シリーズ"への参戦を表明してから2年間、この"インディ500"制覇を目標に努力してきたが、今日、夢を実現できて、本当に感無量だ。"インディ500"の長い歴史において、初めて日本の自動車メーカーが優勝を成し遂げ、我々の優秀性を証明することが出来た。まだ、シリーズは、4戦を消化したばかり。残りの12戦は、過密なスケジュールで開催されるが、CARTでの経験を生かし、開発を続けていき、マニュファクチャラーズ・タイトルとシリーズ・チャンピオン獲得に向けて、全力で臨む。
張富士夫(トヨタ自動車 社長)のコメント:
世界3大レースの1つ"インディ500"でトヨタエンジン搭載のジル・ド・フェランが初優勝したことに、心から感激した。トヨタにとって、世界3大レースでの初勝利であり、トヨタエンジン搭載チームのドライバー、チーム、そして、多くのトヨタファンと共にこの喜びを分かちあいたい。
リザルト
決勝結果 | ||||||||
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順位 | No. | ドライバー | エンジン | シャシー | チーム | Lap | タイム/差 | 予選順位 |
1 | 6 | G.ド・フェラン | トヨタ | パノスGフォース | ペンスキー | 200 | 03:11:56.9891 | 10 |
2 | 3 | H.カストロネベス | トヨタ | ダラーラ | ペンスキー | 200 | 0.299 | 1 |
3 | 11 | T.カナーン | ホンダ | ダラーラ | アンドレッティ・グリーン | 200 | 1.2475 | 2 |
4 | 10 | T.シェクター | トヨタ | パノスGフォース | チップ・ガナッシ | 200 | 1.6845 | 12 |
5 | 12 | 高木虎之介 | トヨタ | パノスGフォース | モー・ナン | 200 | 1.9606 | 7 |
6 | 20 | A.バロン | トヨタ | パノスGフォース | モー・ナン | 200 | 6.0037 | 25 |
7 | 32 | T.レナ | トヨタ | ダラーラ | ケリー | 200 | 7.4882 | 8 |
8 | 13 | G.レイ | ホンダ | パノスGフォース | アクセス・モータースポーツ | 200 | 11.5666 | 14 |
9 | 31 | A.アンサー・Jr. | トヨタ | ダラーラ | ケリー | 200 | 17.4161 | 17 |
10 | 55 | ロジャー安川 | ホンダ | ダラーラ | スーパーアグリ・フェルナンデス | 199 | 1 lap | 11 |
17 | 9 | S.ディクソン | トヨタ | パノスGフォース | チップ・ガナッシ | 191 | 9 laps | 4 |
18 | 14 | A.J.フォイト4世 | トヨタ | ダラーラ | AJフォイト・エンタープライズ | 189 | 11 laps | 23 |
20 | 8 | S.シャープ | トヨタ | ダラーラ | ケリー | 181 | 19 laps | 9 |
24 | 41 | A.ダーレ | トヨタ | パノスGフォース | AJフォイト・エンタープライズ | 125 | 75 laps | 33 |
28 | 99 | R.ハーン | トヨタ | パノスGフォース | サム・シュミット・モータースポーツ | 61 | 139 laps | 28 |
30 | 5 | 服部茂章 | トヨタ | ダラーラ | AJフォイト・エンタープライズ | 19 | 181 laps | 30 |
33 | 21 | F.ジャフォーネ | トヨタ | パノスGフォース | モー・ナン | 6 | 194 laps | 16 |
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Race DATA | |||||||
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開催地 | インディアナ州・インディアナポリス | ||||||
コース | インディアナポリス・モーター・スピードウェイ | ||||||
コース種別 | スーパースピードウェイ (2.5マイル:4.023km) | ||||||
ポールポジション | H.カストロネベス (231.7250マイル) | ||||||
ファステストラップ | T.カナーン (39.2629秒) | ||||||
最多リードラップ | T.シェクター(63周) | ||||||
天候 | 曇り | ||||||
気温 | 12℃ | ||||||
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終始上位争いに加わり、日本人過去最高位の5位でフィニッシュした
高木虎之介のトヨタ・パノスGフォース