2003年7月 6日(日)配信

IRL第8戦カンザス トヨタエンジン久々に首位を譲り僅差の2位、3位
予選好調だった高木虎之介は燃料系のトラブルで惜しくもリタイア

惜しくも優勝はならなかったが、2-3位に入った、ペンスキー・チームの2台
惜しくも優勝はならなかったが、2-3位に入った、
ペンスキー・チームの2台
 "IRLインディカーシリーズ"全16戦の折り返し、第8戦の決勝レースが、カンザス州カンザス・シティのカンザス・スピードウェイで行われた。
 昨日行われた予選では、7番手までをトヨタエンジン搭載車が独占し、そのパワーを発揮。6連勝へと期待を集めた。しかし、決勝レースは、常にフルスロットル走行で競われるため、容易に追い越しをすることは不可能で、周回遅れの処理と給油ピットイン作戦が勝負の鍵を握ると予想された。
 7月6日(日)の決勝日は、朝から雲ひとつない青空が広がる快晴。1周1.5マイルのオーバル・コースには、強い陽射しが照りつけ、気温32度、湿度62%を越える蒸し暑さの中、午後12時10分、大観衆に見守られ、スタートが切られた。
 最前列から好スタートを切った、S.ディクソンとT.シェクター、2台のチップ・ガナッシ・レーシング(パノスGフォース/トヨタ)がポジションをキープ。G.ド・フェランとH.カストロネベスのチーム・ペンスキー(ダラーラ/トヨタ)の2台が、それに続き、トヨタエンジン搭載車の2チーム4台が、序盤戦をリードした。
 しかし、3連勝を狙うS.ディクソンが、トップをキープする後方では、5位のT.カナーン(ダラーラ/ホンダ)まで4台が一団となり、サイド・バイ・サイドの激しいバトルを展開。まったく予断を許さない戦いが繰り広げられた。
 そして、61周目に3位のG.ド・フェランがトップグループの意表を突いて、唯一、早めの給油ピットイン。G.ド・フェランは、このピット作戦が功を奏し、3度目のイエローコーションの際に、トップグループのピットインを横目に首位奪取。S.ディクソン、H.カストロネベス、T.カナーン、そして、徐々にポジションを上げてきたB.ハータ(ダラーラ/ホンダ)が猛追して中盤戦へと突入した。
 その後、H.カストロネベスが、ミッション・トラブルのため、一瞬、ポジションを後退したものの、勝敗の行方は、トヨタ対ホンダの一騎打ちの様相を呈して終盤戦に持ち込まれた。
 しかし、レースも大詰めを迎え残り30周を切ったところで、ラストスパートをかけ、2位以下を突き放しにかかっていたG.ド・フェランを始め、S.ディクソン、T.カナーンが、給油のためにピットインを余儀なくされて後退。
 その後は、他車よりもピットストップを1回少なく済ませたB.ハータとH.カストロネベス2人の争いとなったが、惜しくもH.カストロネベスは、トランスミッションに不調を抱えており、首位躍進はならず、トヨタエンジン搭載車は久々に首位を譲り、2位、3位でのフィニッシュとなった。
 一方、予選3番手からスタートの高木虎之介は、序盤戦から燃料系にトラブルが発生し、徐々にポジションを後退。諦めることなく、粘り強い走りを見せたが、92周目に力尽き、リタイアとなった。

H.カストロネベス(チーム・ペンスキー)のコメント:
優勝は出来なかったが、2位になれて満足している。同じ1.5マイル・オーバル・コースの第5戦"テキサス"での成績不振以降、チームスタッフがハード・ワークをこなしてくれたおかげだ。本当に感謝している。ピット戦略は完璧だった。しかし、レース終盤になり、トランスミッションにトラブルが発生してしまい、1速から4速までしか使えなくなってしまった。もちろん、トラブルがなければ、優勝できたと思うが、今日は、リタイアせずに2位になれたことを喜んでいる。この勢いを維持して、次戦ナッシュビルでは、優勝を目指す。

高木虎之介(モー・ナン・レーシング)のコメント:
スタート直後から、スピードが伸びず、昨日までの本来の走りが出来なかった。せっかくの好ポジションからのスタートだっただけに、悔しい。なんとか少しでも多くのポイントを獲得しようと、最後まで諦めなかったが、徐々に症状が悪化してしまい、リタイアを余儀なくされた。確実にトラブルの原因を究明して対策を施さなくてはならない。これから8月にかけての連戦で、結果を残せるように、チームとともに力を合わせて全力で臨む。

TRD-USA社長 J.オーストのコメント:
エンジンの燃費には自信があったが、給油のタイミングが勝敗を決するレースとなってしまった。予選7番手までをトヨタエンジン搭載車が独占していただけに、この"カンザス"で優勝出来なかったことは、非常に残念だ。燃料系のトラブルが発生したクルマがあったので、至急、対策を施し、次戦に臨む。

TRD-USA 林博美のコメント:
レース後半までトップを走っていたにもかかわらず、終盤に燃料系の不具合やピットタイミングをずらした作戦が外れてしまい、6戦連続の優勝を逃し、本当に残念だ。しかし、"トヨタRV8I" エンジンは、常に高い競争力と信頼性を発揮出来ているので、今回のレースの失敗を反省し、次戦では、必ず雪辱を晴らす。

リザルト

決勝結果
順位No.ドライバーエンジンシャシーチームLapタイム/差予選順位
127B.ハータホンダダラーラアンドレッティ・グリーン20001:48:50.986111
23H.カストロネベストヨタダラーラペンスキー2007.32646
36G.ド・フェラントヨタダラーラペンスキー2007.48454
411T.カナーンホンダダラーラアンドレッティ・グリーン2009.74228
515K.ブラックホンダダラーラレイホール1991 lap12
69S.ディクソントヨタパノスGフォースチップ・ガナッシ1991 lap1
755ロジャー安川ホンダダラーラスーパーアグリ・フェルナンデス1982 laps14
813G.レイホンダパノスGフォースアクセス・モータースポーツ1982 laps9
910T.シェクタートヨタパノスGフォースチップ・ガナッシ1982 laps2
105J.レイジアトヨタダラーラAJフォイト・エンタープライズ1973 laps15
1431A.アンサー・Jr.トヨタダラーラケリー17129 laps7
1514A.J.フォイト4世トヨタパノスGフォースAJフォイト・エンタープライズ16832 laps16
168S.シャープトヨタダラーラケリー16634 laps10
1812高木虎之介トヨタパノスGフォースモー・ナン92108 laps3
2221F.ジャフォーネトヨタパノスGフォースモー・ナン55145 laps5
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1位T.カナーンホンダ279
2位S.ディクソントヨタ248
3位H.カストロネベストヨタ247
4位G.ド・フェラントヨタ239
5位K.ブラックホンダ217
6位A.アンサー・Jr.トヨタ203
7位S.シャープトヨタ176
9位T.シェクタートヨタ159
10位F.ジャフォーネトヨタ159
11位高木虎之介トヨタ149
マニュファクチャラーズ ポイント
順位エンジンポイント
1位トヨタ74
2位ホンダ60
3位シボレー42
Race DATA
開催地:カンザス州カンザス・シティ
コース:カンザス・スピードウェイ
コース種別:オーバル(1.5マイル:2.4km)
ポールポジション:S.ディクソン (25.0911)
ファステストラップ:T.カナーン(25.1849)
最多リードラップ:G.ド・フェラン(93周)
天候:快晴
気温:32℃