2003年4月13日(日)配信

日本初開催のIRLもてぎ戦 S.シャープがトヨタエンジンで勝利
序盤首位争いの高木虎之介は8位 次戦伝統のインディ500に期待

日本初開催の
日本初開催の"インディ"で今季初優勝をあげたS.シャープ
 4月13日(日)、"IRLインディカー・シリーズ"第3戦"インディ・ジャパン・300"の決勝レースが行われた。
 国内唯一のオーバル・コースである、栃木県茂木町の"ツインリンクもてぎ"には、昨年までのCARTシリーズ同様に7万1千人の大観衆が、日本初開催のIRL観戦に集結した。
 予選をキャンセルした昨日からの雨は上がり、絶好のレース日和で汗ばむ陽気のもと、午後12時40分、総勢24台のインディカーの轟音とともにスタートが切られた。
 3番手グリッドからスタートした日本期待の高木虎之介は、果敢なスタートダッシュで、一気に2位にポジションをアップ。序盤戦から首位を逃げるT.カナーン(ホンダ)に続きトップ争いに加わり、スタンドを埋め尽くしたファンは総立ちで大興奮。
 しかし、高木虎之介は、39周目にイエローコーションを利用したピット作業の際、スタッフが給油ミスを犯して、大きくポジションを後退。首位争いから遠ざかってしまった。
 レースは序盤から混戦を極め、クラッシュが多発。もう一人のトヨタエンジンを搭載する日本人、服部茂章もその餌食となり、他車との接触から84周で戦列を去ってしまった。
 注目の首位争いは、T.カナーンに、トヨタエンジン搭載チームが次々と挑む展開。イエローコーションからの再スタートでは、サイド・バイ・サイドの激しいポジション争いが繰り広げられた。とくに、2台のチップ・ガナッシ・レーシングのT.シェクターとS.ディクソンは、執拗にT.カナーンにアタック。手に汗握るバトルを繰り広げたが、思いもよらぬ結末が待っていた。
 169周目に、トップに躍り出たT.シェクターが周回遅れに行く手を阻まれ、追従するT.カナーンと共に、どちらも譲らず2台並んだまま第4ターンに進入。この凌ぎ合いで、T.シェクターは姿勢を崩し、コンクリートウォールへヒット。さらに、178周目には、イエローコーションからの再スタートで、S.ディクソンがT.カナーンに襲いかかり、第3ターンで接触し、激しくクラッシュ。T.カナーンと共に戦列を去ってしまった。
 レースは、残り9周で再スタートが切られたが、193周目に9回目のイエローコーションが出され、ペースカーが先導するまま、チェッカーフラッグが振られ200周のレースは終了。常に、虎視眈々と首位争いを窺っていたS.シャープが今季初優勝を挙げ、日本初開催の"IRLインディカー・シリーズ"でトヨタエンジン搭載チームに勝利をもたらした。
 また、一時は、順位を大きく落とした高木虎之介であったが、最後まで粘り強い走りで、8位でフィニッシュ。この雪辱は、5月25日に行われるIRL第4戦"インディ500"で晴らすこととなった。

スコット・シャープ(ケリー・レーシング)のコメント:
優勝出来て本当に嬉しい。"もてぎ"は、私の好きなコースレイアウトなので、レースを楽しめた。今日は、完走して確実にポイントを獲得することを念頭に戦った。チームは、速いクルマに仕上げてくれ、戦略も良く、ピット作業も完璧にこなしてくれた。もし、イエローフィニッシュにならなかったとしても、首位を守ってフィニッシュ出来たと思う。再スタートが多く、エンジンには厳しいレースとなったが、トヨタエンジンは素晴らしい働きをしてくれた。

高木虎之介(モー・ナン・レーシング)のコメント:
クルマもエンジンも絶好調だった。スタートも決まって、トップ争いが 出来たのだが、最初の給油の時に給油口の蓋が閉まっておらずにペナルティを受けて、周回遅れになってしまった。この遅れで、チームメイトを先行させねばならず、ペースも上げられず、それ以上のポジションアップは困難になってしまった。最後のピットインでは、同一周回にいた前の2台を抜こうと思い、タイヤを替えた。しかし、イエローコーションが続き、結局それはかなわなかった。8位という結果で終わったが、今回はとくに手応えがあっただけに、応援してくれた多くの日本のファンの期待に応えられず残念。決勝レースで不運が続き、すべてがうまく回らないといい結果は出せないということを痛感した。次の"インディ500"こそは、ミス無く、すべての歯車がちゃんと噛み合ったレースをして表彰台を狙う。

服部茂章(A.J.フォイト・エンタープライズ)のコメント:
S.フィッシャーと接触してしまった。何とか完走しようと、ピットへ戻り時間をかけて修理したのだが、リア内部のどこかが壊れたらしく、振動が収まらず、レースを続けることを諦めざるを得なかった。今週はずっとレースへの流れがあまり良くなかった。日本のファンの前でもっと良いレースを見せたかったが、とても残念だ。次の"インディ500"こそは、良い成績を挙げるべく、さらに体制を整えて全力で]頑張り悔いなく戦いたい。

TRD-USA社長 J.オーストのコメント:
日本でのIRLインディ・カー・シリーズ初開催となった今年、昨年のCARTレースに引き続き、トヨタの地元である"もてぎ"で2度目の勝利を挙げることが出来て、本当に嬉しい。前回のフェニックス同様、多くのアクシデントがあり、エキサイティングなレースとなったが、ドライバーは良く頑張ってくれた。

TRD-USA 林博美のコメント:
高木虎之介の序盤での活躍は、本当に素晴らしかっただけに、チームのミスが足を引っ張る結果になってしまい、本当に残念。荒れたレースだったが、トヨタエンジン搭載チームは、常に上位でレースを戦い、この"もてぎ"で、2年連続の優勝を飾ることが出来た。これを弾みに、次戦、伝統の"インディ500"に挑む。

リザルト

決勝結果
順位No.ドライバーエンジンシャシーチームLapタイム/差ST
18S.シャープトヨタダラーラケリー2007
215K.ブラックホンダダラーラレイホール2000.32316
321F.ジャフォーネトヨタパノスGフォースモー・ナン2001.54619
47M.アンドレッティホンダダラーラアンドレッティ・グリーン2003.298610
531A.アンサー・Jr.トヨタダラーラケリー2006.32498
64S.ホーニッシュ・Jr.シボレーダラーラパンサー1991 lap13
727D.ウェルドンホンダダラーラアンドレッティ・グリーン1982 laps5
812高木虎之介トヨタパノスGフォースモー・ナン1982 laps3
913G.レイホンダパノスGフォースアクセス・モータースポーツ1973 laps23
1024R.ビュールシボレーダラーラドレイヤー&レインボールド1928 laps19
1154中野信治ホンダダラーラベック・モータースポーツ19010 laps21
122J.レイジアシボレーダラーラメナード19010 laps16
1352B.ライスシボレーダラーラチーバー18119 laps20
1411T.カナーンホンダダラーラアンドレッティ・グリーン17723 laps2
159S.ディクソントヨタパノスGフォースチップ・ガナッシ17723 laps1
1610T.シェクタートヨタパノスGフォースチップ・ガナッシ16832 laps4
176A.バロントヨタパノスGフォースペンスキー16733 laps12
1814A.J.フォイト4世トヨタパノスGフォースAJフォイト・エンタープライズ10199 laps18
1991B.レイジアシボレーダラーラヘメルガン63137 laps17
205服部茂章トヨタパノスGフォースAJフォイト・エンタープライズ48152 laps22
2155ロジャー安川ホンダダラーラスーパーアグリ・フェルナンデス45155 laps15
223H.カストロネベストヨタダラーラペンスキー45155 laps11
2323S.フィッシャーシボレーダラーラドレイヤー&レインボールド35165 laps14
2418S.メイヤーシボレーダラーラPDM8192 laps24
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1位S.シャープトヨタ106
2位T.カナーンホンダ102
3位F.ジャフォーネトヨタ92
5位H.カストロネベストヨタ83
6位A.アンサー・Jr.トヨタ79
8位S.ディクソントヨタ75
9位G.ド・フェラントヨタ58
12位T.シェクタートヨタ53
14位高木虎之介トヨタ50
17位服部茂章トヨタ42
20位A.J.フォイト4世トヨタ37
26位A.バロントヨタ13
マニュファクチャラーズ ポイント
順位エンジンポイント
1位トヨタ27
2位ホンダ24
3位シボレー15
Race DATA
開催地日本・栃木県茂木町
コースツインリンクもてぎ
コース種別オーバル(1.549マイル:2.414km)
ポールポジションS.ディクソン (26.4353)
ファステストラップT.シェクター (27.0977)
最多リードラップT.カナーン(70周)
天候晴れ
気温23℃