2003年6月15日(日)配信

IRL第6戦パイクスピーク 快進撃のS.ディクソンが今季2勝目
高木虎之介 試練の戦いで6位獲得 次戦リッチモンドで雪辱

僅差での首位争いを繰り広げるG.ド・フェランのトヨタ・ダラーラ(左)とS.ディクソンのトヨタ・パノスGフォース(右)
僅差での首位争いを繰り広げるG.ド・フェランのトヨタ・ダラーラ(左)と
S.ディクソンのトヨタ・パノスGフォース(右)
 前戦"テキサス"から1週間。"IRLインディカー・シリーズ"は、中南部のコロラド州コロラドスプリングスへ舞台を移した。第6戦が行われるパイクスピーク・インターナショナル・レースウェイは、コロラド山脈の南部に位置し、標高1800mの高地に作られた、1周1マイルのショートオーバルコース。空気が希薄で、エンジンパワーと空力セッティングの良し悪しが問われるとともに、ストレートが短く、追い越しも難しい。
 15日(日)の決勝日は、朝から雲ひとつない快晴に恵まれ、続々と観衆が集まる中、午前9時30分から最終プラクティスが行われた。このプラクティスでは、トップから1秒のタイム差に19台がひしめく混戦となり、決勝レースへの期待を高めた。
 決勝レースは、午後2時7分、225周に及ぶ激戦の火蓋が切って落とされ、スタート直後から"トヨタパワー"が炸裂。2周目には、2番手スタートのH.カストロネベス(ダラーラ/トヨタ)が、ポール・ポジションからスタートしたT.カナーン(ダラーラ/ホンダ)を捕らえてトップに躍り出ると、チームメイトのG.ド・フェラン(ダラーラ/トヨタ)も2位に躍進、チーム・ペンスキーの2台が1-2体制。48周目には、H.カストロネベスが周回遅れに進路を阻まれた隙に、G.ド・フェランと順位を入れ替えるが、チーム・ペンスキーが序盤戦からレースの主導権を握った。
 しかし、77周目には、9番手からスタートして、徐々に順位を上げてきたT.シェクター(パノスGフォース/トヨタ)が、首位争いへと加わり、トップへ躍り出ると、その後は、"トヨタパワー"同士の首位攻防戦が繰り広げられた。
 イエローコーションが出ないまま、中盤戦に突入。90周目を過ぎたところで、上位グループが1回目のピットイン。ここでトップのT.シェクターが、ピットインの際に、手前のピットのF.ジャフォーネ(パノスGフォース/トヨタ)と無念の接触。2台とも大きくポジションを後退してしまった。
 代わって、序盤から燃費をセーブして周回を重ねていたS.ディクソン(パノスGフォース/トヨタ)が、敏速なピット作業で、一気に2位にジャンプアップ。首位を逃げるG.ド・フェランに続く快進撃。  終盤戦になっても、S.ディクソンの勢いは衰えず、遂に142周目に、G.ド・フェランが周回遅れに手こずる間に首位奪取。2位以下を引き離しにかかり、独走態勢を築き上げた。
 レースも残り6周となった219周目、4度目のイエローコーションからの再スタートで、ロジャー安川(ダラーラ/ホンダ)が激しくクラッシュ。再度、イエローコーションが出され、ペースカーが先導するまま、チェッカーフラッグが振られ225周のレースは終了。S.ディクソンが開幕戦に続き、今季2勝目を挙げた。
 一方、日本期待の高木虎之介(パノスGフォース/トヨタ)は、スタートから5位をキープして、上位進出を窺い続けていたが、序盤戦で、8位まで後退。終盤になり本来の速さを取り戻したものの、我慢のレースを強いられ、6位でチェッカーを受けた。

スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)のコメント:
序盤は燃費をセーブして、我慢の戦いだったが、最後に結果を残すことが出来た。トヨタエンジンのパワーと燃費の良さのおかげだ。今季2勝目を挙げることが出来、本当に嬉しい。このコースは抜きどころが少なく、ひとつのミスが順位に大きく影響することが分かっていたので、周回遅れのクルマを抜くのにかなり神経を使った。完璧な仕事を成し遂げてくれたチームにとても感謝している。

高木虎之介(モー・ナン・レーシング)のコメント:
スタートは上手くいったが、たぶんタイヤの空気圧が高すぎて、序盤から中盤にかけてペースが上がらず、苦戦を強いられた。終盤になって本来のペースを取り戻すことが出来たが、この時点で、1周遅れになってしまったのが致命的だった。今日の結果には決して満足していないが、最後まで諦めずにレースを戦い、6位でフィニッシュ出来て良かったと思う。次戦も、持てる力を出し切り、結果を残せるように頑張る。

TRD-USA社長 J.オーストのコメント:
先週の"テキサス"に引き続き勝つことが出来、とても嬉しい。昨日のプラクティスの限られた時間で、決勝レースへ向けてのセットアップを仕上げてきたチップ・ガナッシ・レーシングの努力の結果だと思う。これから8月に向けて連戦が続くが、2週間後の"リッチモンド"でも気を緩めずに、シリーズ・タイトル獲得へと邁進する。

TRD-USA 林博美のコメント:
ほぼ225周にわたってレースをリードしていたことが示すように、トヨタエンジン搭載車は終始好調だったが、車両不調やアクシデントで次々と本命が後退していった。少々心配したが、レースの後半に、満を持してトップに立ったS.ディクソンが、しっかりレースを制してくれた。ここまで6戦を終えて5勝。この調子を維持して次戦も全力を尽くす。車両不調を抱えて我慢の走りだった高木も6位完走と、結果はまずまず。次戦での更なる頑張りに期待する。

リザルト

決勝結果
順位No.ドライバーエンジンシャシーチームLapタイム/差予選順位
19S.ディクソントヨタパノスGフォースチップ・ガナッシ22501:32:19.95946
211T.カナーンホンダダラーラアンドレッティ・グリーン2250.17371
36G.ド・フェラントヨタダラーラペンスキー2251.46964
427D.フランキッティホンダダラーラアンドレッティ・グリーン2254.89997
54S.ホーニッシュ・Jr.シボレーダラーラパンサー2255.877414
612高木虎之介トヨタパノスGフォースモー・ナン2241lap5
715K.ブラックホンダダラーラレイホール2241lap8
810T.シェクタートヨタパノスGフォースチップ・ガナッシ2241lap9
952B.ライスシボレーダラーラチーバー2232laps16
1091B.レイジアシボレーダラーラヘメルガン2232laps17
118S.シャープトヨタダラーラケリー2232laps10
123H.カストロネベストヨタダラーラペンスキー2232laps2
1321F.ジャフォーネトヨタパノスGフォースモー・ナン2232laps3
1431A.アンサー・Jr.トヨタダラーラケリー2232laps20
215J.レイジアトヨタダラーラAJフォイト・エンタープライズ91134laps15
2214A.J.フォイト4世トヨタダラーラAJフォイト・エンタープライズ41184laps21
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1位T.カナーンホンダ217
2位S.ディクソントヨタ168
3位G.ド・フェラントヨタ167
3位H.カストロネベストヨタ167
3位A.アンサー・Jr.トヨタ167
6位K.ブラックホンダ161
7位S.シャープトヨタ149
8位T.シェクタートヨタ125
9位F.ジャフォーネトヨタ123
11位高木虎之介トヨタ120
マニュファクチャラーズ ポイント
順位エンジンポイント
1位トヨタ57
2位ホンダ45
3位シボレー30
Race DATA
開催地コロラド州コロラドスプリングス
コースパイクスピーク・インターナショナル・レースウェイ
コース種別ショートオーバル(1マイル:1.6km)
ポールポジションT.カナーン
ファステストラップT.カナーン(20.7067)
最多リードラップS.ディクソン(89周)
天候快晴
気温23℃