IRL第6戦パイクスピーク 快進撃のS.ディクソンが今季2勝目
高木虎之介 試練の戦いで6位獲得 次戦リッチモンドで雪辱
僅差での首位争いを繰り広げるG.ド・フェランのトヨタ・ダラーラ(左)と
S.ディクソンのトヨタ・パノスGフォース(右)
前戦"テキサス"から1週間。"IRLインディカー・シリーズ"は、中南部のコロラド州コロラドスプリングスへ舞台を移した。第6戦が行われるパイクスピーク・インターナショナル・レースウェイは、コロラド山脈の南部に位置し、標高1800mの高地に作られた、1周1マイルのショートオーバルコース。空気が希薄で、エンジンパワーと空力セッティングの良し悪しが問われるとともに、ストレートが短く、追い越しも難しい。
15日(日)の決勝日は、朝から雲ひとつない快晴に恵まれ、続々と観衆が集まる中、午前9時30分から最終プラクティスが行われた。このプラクティスでは、トップから1秒のタイム差に19台がひしめく混戦となり、決勝レースへの期待を高めた。
決勝レースは、午後2時7分、225周に及ぶ激戦の火蓋が切って落とされ、スタート直後から"トヨタパワー"が炸裂。2周目には、2番手スタートのH.カストロネベス(ダラーラ/トヨタ)が、ポール・ポジションからスタートしたT.カナーン(ダラーラ/ホンダ)を捕らえてトップに躍り出ると、チームメイトのG.ド・フェラン(ダラーラ/トヨタ)も2位に躍進、チーム・ペンスキーの2台が1-2体制。48周目には、H.カストロネベスが周回遅れに進路を阻まれた隙に、G.ド・フェランと順位を入れ替えるが、チーム・ペンスキーが序盤戦からレースの主導権を握った。
しかし、77周目には、9番手からスタートして、徐々に順位を上げてきたT.シェクター(パノスGフォース/トヨタ)が、首位争いへと加わり、トップへ躍り出ると、その後は、"トヨタパワー"同士の首位攻防戦が繰り広げられた。
イエローコーションが出ないまま、中盤戦に突入。90周目を過ぎたところで、上位グループが1回目のピットイン。ここでトップのT.シェクターが、ピットインの際に、手前のピットのF.ジャフォーネ(パノスGフォース/トヨタ)と無念の接触。2台とも大きくポジションを後退してしまった。
代わって、序盤から燃費をセーブして周回を重ねていたS.ディクソン(パノスGフォース/トヨタ)が、敏速なピット作業で、一気に2位にジャンプアップ。首位を逃げるG.ド・フェランに続く快進撃。
終盤戦になっても、S.ディクソンの勢いは衰えず、遂に142周目に、G.ド・フェランが周回遅れに手こずる間に首位奪取。2位以下を引き離しにかかり、独走態勢を築き上げた。
レースも残り6周となった219周目、4度目のイエローコーションからの再スタートで、ロジャー安川(ダラーラ/ホンダ)が激しくクラッシュ。再度、イエローコーションが出され、ペースカーが先導するまま、チェッカーフラッグが振られ225周のレースは終了。S.ディクソンが開幕戦に続き、今季2勝目を挙げた。
一方、日本期待の高木虎之介(パノスGフォース/トヨタ)は、スタートから5位をキープして、上位進出を窺い続けていたが、序盤戦で、8位まで後退。終盤になり本来の速さを取り戻したものの、我慢のレースを強いられ、6位でチェッカーを受けた。
スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)のコメント:
序盤は燃費をセーブして、我慢の戦いだったが、最後に結果を残すことが出来た。トヨタエンジンのパワーと燃費の良さのおかげだ。今季2勝目を挙げることが出来、本当に嬉しい。このコースは抜きどころが少なく、ひとつのミスが順位に大きく影響することが分かっていたので、周回遅れのクルマを抜くのにかなり神経を使った。完璧な仕事を成し遂げてくれたチームにとても感謝している。
高木虎之介(モー・ナン・レーシング)のコメント:
スタートは上手くいったが、たぶんタイヤの空気圧が高すぎて、序盤から中盤にかけてペースが上がらず、苦戦を強いられた。終盤になって本来のペースを取り戻すことが出来たが、この時点で、1周遅れになってしまったのが致命的だった。今日の結果には決して満足していないが、最後まで諦めずにレースを戦い、6位でフィニッシュ出来て良かったと思う。次戦も、持てる力を出し切り、結果を残せるように頑張る。
TRD-USA社長 J.オーストのコメント:
先週の"テキサス"に引き続き勝つことが出来、とても嬉しい。昨日のプラクティスの限られた時間で、決勝レースへ向けてのセットアップを仕上げてきたチップ・ガナッシ・レーシングの努力の結果だと思う。これから8月に向けて連戦が続くが、2週間後の"リッチモンド"でも気を緩めずに、シリーズ・タイトル獲得へと邁進する。
TRD-USA 林博美のコメント:
ほぼ225周にわたってレースをリードしていたことが示すように、トヨタエンジン搭載車は終始好調だったが、車両不調やアクシデントで次々と本命が後退していった。少々心配したが、レースの後半に、満を持してトップに立ったS.ディクソンが、しっかりレースを制してくれた。ここまで6戦を終えて5勝。この調子を維持して次戦も全力を尽くす。車両不調を抱えて我慢の走りだった高木も6位完走と、結果はまずまず。次戦での更なる頑張りに期待する。
リザルト
決勝結果 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | No. | ドライバー | エンジン | シャシー | チーム | Lap | タイム/差 | 予選順位 |
1 | 9 | S.ディクソン | トヨタ | パノスGフォース | チップ・ガナッシ | 225 | 01:32:19.9594 | 6 |
2 | 11 | T.カナーン | ホンダ | ダラーラ | アンドレッティ・グリーン | 225 | 0.1737 | 1 |
3 | 6 | G.ド・フェラン | トヨタ | ダラーラ | ペンスキー | 225 | 1.4696 | 4 |
4 | 27 | D.フランキッティ | ホンダ | ダラーラ | アンドレッティ・グリーン | 225 | 4.8999 | 7 |
5 | 4 | S.ホーニッシュ・Jr. | シボレー | ダラーラ | パンサー | 225 | 5.8774 | 14 |
6 | 12 | 高木虎之介 | トヨタ | パノスGフォース | モー・ナン | 224 | 1lap | 5 |
7 | 15 | K.ブラック | ホンダ | ダラーラ | レイホール | 224 | 1lap | 8 |
8 | 10 | T.シェクター | トヨタ | パノスGフォース | チップ・ガナッシ | 224 | 1lap | 9 |
9 | 52 | B.ライス | シボレー | ダラーラ | チーバー | 223 | 2laps | 16 |
10 | 91 | B.レイジア | シボレー | ダラーラ | ヘメルガン | 223 | 2laps | 17 |
11 | 8 | S.シャープ | トヨタ | ダラーラ | ケリー | 223 | 2laps | 10 |
12 | 3 | H.カストロネベス | トヨタ | ダラーラ | ペンスキー | 223 | 2laps | 2 |
13 | 21 | F.ジャフォーネ | トヨタ | パノスGフォース | モー・ナン | 223 | 2laps | 3 |
14 | 31 | A.アンサー・Jr. | トヨタ | ダラーラ | ケリー | 223 | 2laps | 20 |
21 | 5 | J.レイジア | トヨタ | ダラーラ | AJフォイト・エンタープライズ | 91 | 134laps | 15 |
22 | 14 | A.J.フォイト4世 | トヨタ | ダラーラ | AJフォイト・エンタープライズ | 41 | 184laps | 21 |
|
|
Race DATA | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
開催地 | コロラド州コロラドスプリングス | ||||||
コース | パイクスピーク・インターナショナル・レースウェイ | ||||||
コース種別 | ショートオーバル(1マイル:1.6km) | ||||||
ポールポジション | T.カナーン | ||||||
ファステストラップ | T.カナーン(20.7067) | ||||||
最多リードラップ | S.ディクソン(89周) | ||||||
天候 | 快晴 | ||||||
気温 | 23℃ | ||||||
-
今季2勝目をあげたS.ディクソン