全米最大のレース インディ500決勝へと33台のグリッド決定
トヨタエンジン搭載全7チーム12人のドライバーが出場権確保
トヨタ勢最上位の8番手から決勝に挑む
H.カストロネベスのトヨタ・ダラーラ。
"インディ500"で過去2勝。3勝目を目指す
第88回インディアナポリス・500マイル・レース(通称"インディ500")がいよいよ5月30日(日)に決勝を迎える。伝統の一戦を前に、栄光の勝利を目指す33台分のスターティング・グリッドを競い、2週間にわたって合計3日間の予選が行われた。
5月23日(日)に行われた"バンプデー"は、5月15日(土)と16日(日)の両日行われた予選で33台に満たない場合と、予選通過の33台よりも速いタイムを出せば最後尾から順次出場グリッドを剥奪出来るという、いわば予選の敗者復活戦。この"バンプデー"を経て、H.カストロネベスが予選8番手で"トヨタエンジン"搭載車をリード。7チーム12人の"トヨタエンジン"搭載車の全てが、今年の"インディ500"への出場権を得て、昨年の初勝利に続く2連覇へと挑むこととなった。
IRLインディカーシリーズの第4戦として開催される"インディ500"は、アメリカで最も長い歴史を誇りモータースポーツの頂点ともいえるビッグイベント。毎年、40万人を超える大観衆を集め、2.5マイル(4.023Km)の広大なオーバルコースは、余すところ無くレースファンの熱気に包まれる。
昨年、"トヨタエンジン"は、G・ド・フェランと共に、500マイル(800Km)200周におよぶ激戦を戦い抜き、堂々の勝利。長い歴史を誇る伝統の一戦で、日本メーカー初制覇を達成した。
今年は、IRL第3戦として開催された、前戦"もてぎ"まで使用されてきた、3.5リッター、V型8気筒エンジンに代わり、この"インディ500"から、新たに3リッター、V型8気筒エンジンの使用が規定されることとなり、新エンジンを使用した予選と"バンプデー"は、各チームとも僅差ながらも混戦模様。
昨年の"インディ500"では、初挑戦ながら、歴代日本人最高位の5位入賞を果たし、"インディ500ルーキー・オブ・ザ・イヤー"を獲得した高木虎之介を含む、"トヨタエンジン"搭載ドライバー12人は、5月27日(木)の最終公式練習での仕上げを急ぎ、虎視眈々と上位進出を目論んでいる。
エリオ・カストロネベス(ペンスキー・レーシング)のコメント:
残念なことに、15日に行われたポールポジションを決定する予選1日目の"ポール・デー"は、早朝の雨の影響もあり、とても涼しく、アンダー・ステアが出るなど、予想外の展開となってしまった。それまで、9日にインディアナポリスで公式練習が始まって以来、ずっと暑い中で走り続け、セットアップを行って来ただけに、予選当日はセットアップに苦しむ結果となった。ポールポジションは、逃すことになってしまったが、"インディ500"の決勝レースは500マイルの長丁場。予選のグリッドはそれほど重要ではない。私にとって3度目の勝利、そして"トヨタエンジン"にとって、2年連続制覇を目指して、全力でアタックを仕掛けるつもりだ。
高木虎之介(モー・ナン・レーシング)のコメント:
"ポール・デー"はスピードが乗らず、苦しんだ。予選2日目も強いアンダーステアに悩まされ思う様なタイムアタックは叶わなかった。予選は残念な結果となってしまったが、昨年の経験もあり決勝レースには自信がある。27日の最終公式練習でさらに改良を加え、昨年以上の好成績を上げるべく頑張る。
リザルト
予選最終結果 | |||||||
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順位 | No. | ドライバー | シャシー | エンジン | チーム | タイム | 平均時速(マイル) |
1 | 15 | B.ライス | パノスGフォース | ホンダ | レイホール・レターマン | 02:42.1445 | 222.024 |
2 | 26 | D.ウェルドン | ダラーラ | ホンダ | アンドレッティ・グリーン | 02:42.5103 | 221.524 |
3 | 27 | D.フランキッティ | ダラーラ | ホンダ | アンドレッティ・グリーン | 02:42.5493 | 221.471 |
4 | 36 | B.ジュンケイラ | パノスGフォース | ホンダ | ニューマン・ハース | 02:42.6173 | 221.379 |
5 | 11 | T.カナーン | ダラーラ | ホンダ | アンドレッティ・グリーン | 02:42.7488 | 221.200 |
8 | 3 | H.カストロネベス | ダラーラ | トヨタ | ペンスキー | 02:42.9830 | 220.882 |
11 | 6 | S.ホーニッシュ・Jr | ダラーラ | トヨタ | ペンスキー | 02:43.5023 | 220.180 |
13 | 1 | S.ディクソン | パノスGフォース | トヨタ | チップ・ガナッシ | 02:44.1447 | 219.319 |
15 | 10 | D.マニング | パノスGフォース | トヨタ | チップ・ガナッシ | 02:44.1804 | 219.271 |
19 | 39 | S.フィッシャー | ダラーラ | トヨタ | ケリー | 02:46.8437 | 215.771 |
20 | 8T | S.シャープ | ダラーラ | トヨタ | ケリー | 02:46.9485 | 215.635 |
21 | 14 | A.J.フォイト4世 | ダラーラ | トヨタ | AJフォイト | 02:48.0235 | 214.256 |
22 | 41 | L.フォイト | パノスGフォース | トヨタ | AJフォイト | 02:48.7944 | 213.277 |
26 | 12 | 高木虎之介 | ダラーラ | トヨタ | モー・ナン | 02:47.9384 | 214.364 |
29 | 12T | J.シモンズ | ダラーラ | トヨタ | モー・ナン | 02:47.6110 | 214.783 |
30 | 33 | R.ハーン | パノスGフォース | トヨタ | サム・シュミット | 02:48.4484 | 213.715 |
32 | 25 | M.ロス | ダラーラ | トヨタ | ロス | 02:49.8320 | 211.974 |
長い歴史と伝統のブリックヤード
開催地:インディアナ州 インディアナポリス
1周2.5マイル(4.023km)のスーパースピードウェイであるインディアナポリス・モーター・スピードウェイは、1909年の開設当時は未舗装路面であった。しかし、間もなく320万個もの煉瓦を敷き詰めたコースへと変更された。このことから、アスファルト舗装に改善された現在でもこのコースは「ブリックヤード」と呼ばれ、その名残はスタート/フィニッシュラインの煉瓦の列に残されている。2000年からは、F1世界選手権USGPの舞台として、反対周りながらコースの約半分がF1サーキットの一部に使用されている。
コース:インディアナポリス・モーター・スピードウェイ
(2.5マイル:4.023km)
コースレコード:A.ルイエンダイク(2:31.908)
03年ウィナー:G.ド・フェラン
03年PP:H.カストロネベス(2:35.3564)
93年間で3時間半も短縮された"インディ"の500マイル
1909年に、フランスのル・マンで世界最初の「グランプリ」が開催されたその年、当時アメリカの自動車産業の中心地であったインディアナ州のインディアナポリスに巨大な"インディアナポリス・スピードウェイ"が誕生。
3年後の1911年に煉瓦敷きの独特のコースで"500マイルレース"が開催された。当時は、500マイルを6時間42分で走破するという壮大な挑戦であったが、1950年から60年まではF1世界選手権の一戦に組み入れられるなど発展。
その後、60年代には、ジム・クラーク(65年)、グレアム・ヒル(66年)など多くのF1チャンピオンドライバーが"インディ500チャンピオン"を獲得し、偉大なレースとして名声を高めた。
経済恐慌や戦争による中断なども余儀なくされたものの、今年で88回目を数える"インディ500"は、毎年、戦没者追悼記念日(メモリアルデー)となる5月最終日曜日に、世界中の注目を集めて開催される。
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開催当時は6時間以上かかっていた500マイルレースだが、2003年のウィナーG.ド・フェラン(右)は、3時間12分で500マイルを駆け抜けた。栄光の勝者は、ボルグワーナートロフィー(中央)に歴代の優勝者とともに顔が刻み込まれる。